外資に関する奨励
最終更新日:2023年12月20日
- 最近の制度変更
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2020年12月23日
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2020年12月10日
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2018年10月12日
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2017年8月8日
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奨励業種
企業の新設または事業を拡張した場合、関税免除の優遇が適用される分野がある。
国内・海外投資家が企業の新設または事業を拡張した場合、関税免除の優遇が適用される分野は次のとおり。
製造業、農業、発電、送電、電力供給、情報通信技術(ICT)、旅行業、工事・建設請負業、教育訓練、高級ホテル、高級レストラン、建築工学コンサルタント業、技術試験・分析業、資本財賃貸、LPGガス・瀝青の輸入業など。
- 輸入時に課税される関税、その他の税が100%免除されるのは、プラント、機械類、設備機器、建築材料のような資本財全般。
- 投資家の輸入資本財に対する関税免除は、その投資が製造や農業の目的であれば無期限に、その投資が他の該当分野に対するものであれば5年間、認可される。
各種優遇措置
関税免除の特典を受けられる投資分野(外国投資者に適用)がある。
新投資規則(No.474/2020)以後も、優遇措置は旧改正投資規則(270/2012)の規定が当面、継続して適用される(新投資規則21条)。優遇措置は改定作業を実施中。
関税免除の投資分野
- 製造業
- 食品産業
- 飲料産業
- 繊維・同製品産業
- 皮革・同製品産業
- 木材製品産業
- 紙・同製品産業
- 化学・同製品産業
- 基礎医薬品、医薬品産業
- ゴム、プラスチック製品工業
- その他の非金属鉱物製品工業
- 卑金属工業
- 金属加工製品業
- コンピュータ、電子、光学製品分野
- 電化製品産業
- 機械、装置産業
- 農産物統合生産
- 自動車・トレーラー・セミトレーラー産業
- 事務用品・家庭用家具製造業
- その他の装置製造業
- 農業分野
農産品、食肉分野、農産品酪農混合分野、森林業 - ICT情報通信技術分野
- 発電、送電、電力供給分野
- ホテル、旅行業
高級ホテル、リゾート施設、モーテル、ロッジ、レストラン、第1等級レベル旅行業 - 工事請負業
第1等級レベル工事請負・水資源探査ボーリング - 教育訓練分野
自社ビル建設による中度・高度教育、スポーツを含む技術、職業技術訓練サービス - 公共医療サービス
自社ビル建設による病院サービス - 建築と工学分野と関連技術サービス・技術試験・分析
- 輸入業
LPGガスや瀝青の輸入
輸出業への税制優遇措置
すべての輸出業者を対象とする税制上の優遇措置は次のとおり。
- 少数の例外製品を除き(例:原皮-150%)、エチオピアからの輸出品には輸出税は課税されない。
- 関税払い戻しスキーム:投資家は、輸入品ならびに輸出品の生産に使用するエチオピア国内で購入した原材料に課税される関税、その他の税の支払いが免除される。
関税およびその他の税は、完成品の輸出後100%払い戻しされる。 - バウチャースキーム:バウチャーとは、金銭的価値を持った印刷物で、原材料の輸入に課税される関税、その他の税の代わりに使用され、輸出業者もバウチャースキームの受益者となる。
- 保税工場スキーム
- バウチャースキームの対象ではないが、保税工場・倉庫の許可を取得している生産者は原料を免税で輸入するにあたり、保税工場・倉庫の経営が認められている。
所得税の免除
投資家が新規に製造業、農産物加工業、農産物製造業、発電および電気の供給、情報通信技術の開発を行う場合、次の条件下で所得税が免除される。
- 投資家が次の地域で新たに企業を設立する場合、所得税免除期間の満了後、3年間連続して所得税を30%免除。
- ガンベラ
- ベニシャルグル・グムズ
- アファール(ただし、アワッシュ川の両岸から15キロ以内の範囲を除く)
- ソマリ
- グジおよびボラナゾーン(オロミア州)
- 南オモゾーン、セゲン地域(デラシェ、アマロ、コンソ、ブルジ)民族ゾーン、ベンチマジゾーン、シェカゾーン、ダワロゾーン、カッファゾーン、コンタおよびバスケト特別郡(南部諸民族州)
- 次の場合、所定の期間、所得税を免除(以下の表参照)。
- 投資家が達成可能な生産能力やサービス能力を50%以上向上させて既存の企業の規模を拡大または展開する場合
- 新しい品目の製品やサービスを既存の企業より100%以上導入する場合
- 投資家が製品やサービスの60%を輸出する場合、または輸出業者に供給する場合、所得税免除の期間がさらに2年間延長される。
所得税免除の投資分野と免税期間
投資分野 |
アディスアベバ・ 同周辺オロミア特別区 |
その他の地域 |
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食品産業 | 1~5年間 | 2~6年間 |
飲料産業 | 1~3年間 | 2~4年間 |
織物・同製品産業 | 2~5年間 | 3~6年間 |
皮革・同製品産業(仕上げ段階以前の皮革のなめしを除く) | 5年間 | 6年間 |
木製品産業 | 2年間 | 3年間 |
紙・同製品産業 | 1~5年間 | 2~6年間 |
化学薬品・化学製品産業 | 2~5年間 | 3~6年間 |
基礎薬品産業・薬剤産業 | 4年間または5年間 | 5年間または6年間 |
天然ゴム・プラスチック製品産業 | 1~4年間 | 2~5年間 |
その他の非金属・鉱産物工業(アディスアベバ・同周辺でのセメント製造、および、アディスアベバならびにその他の地域での粘土およびセメント製品の製造を除く) | 1~4年間 | 2~5年間 |
卑金属工業(鉱物採掘を除く) | 3~5年間 | 4~6年間 |
金属製品工業(機械および設備を除く) | 1年間または3年間 | 2年間または4年間 |
コンピュータ・電子工学および光学製品工業 | 2~4年間 | 3~5年間 |
電気製品産業 | 2年間または4年間 | 4年間または5年間 |
機械器具工業 | 5年間 | 6年間 |
車両・トレーラー・セミトレーラー産業 | 2~5年間 | 3~6年間 |
事務用家庭用調度品製造業(陶磁器製品の製造を除く) | 1年間 | 2年間 |
その他製造業(宝石および関連商品、楽器、スポーツ用品、ゲーム・玩具およびその他類似品) | 1年間 | 2年間 |
農業に関連した統合生産 | 4年間 | 5年間 |
投資分野 |
アディスアベバ・ 同周辺オロミア特別区 |
その他の地域 |
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作物の生産(アディスアベバ・同周辺での繊維作物、中期の香辛料、香料作物または薬用作物、多年生果実、飲料用作物、その他の多年生作物の生育を除く) | 2年間または3年間 | 3~6年間 |
家畜の生産(野生動物の飼育、アディスアベバ・同周辺での牛乳、鶏卵、これに類似した製品の生産を除く) | 2年間または3年間 | 3年間または4年間 |
混合農業(家畜と作物) | 3年間 | 4年間 |
林業 | 8年間 | 9年間 |
- 3.情報通信技術
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- アディスアベバ・同周辺オロミア特別区:4年間
- その他の地域:5年間
- 4.発電、送電、電力供給
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- アディスアベバ・同周辺オロミア特別区:4年間
- その他の地域:5年間
税制以外の優遇措置
すべての輸出業者を対象とする税制以外の優遇措置は次のとおり。
- 輸出業者は将来の企業運営に備えて、輸出で得た外貨の一定割合を銀行口座に保持し、預金することが認められている。
- 輸出加工に携わる企業は、フランコ・ヴァルータ方式による原料の輸入が認められている。
- 取引先が債務不履行に陥った場合、輸出業者が海外に発送した商品の代金回収を確実にする輸出信用保証制度が施行されている。
その他
エチオピア投資委員会による外国企業への支援、土地使用権の優遇措置、エチオピア開発銀行の金融優遇措置、ほか
エチオピア投資委員会による外国企業への支援
- 投資ライセンス、ビジネスライセンス、建築許可の取得
- 会社定款・議事録の公証
- 会社登記、商号登録、商標登録、労働許可証の発行
- 技術移転契約、現地企業の協定登録
- 銀行融資、居住許可、給水、電力、通信インフラの手配の支援
- 納税番号(TIN)の取得
土地使用権の優遇措置
土地は国有なので、投資家には使用権が与えられる。
土地使用権および地上の固定資産については、権利の委譲および抵当権の設置が可能である。
土地使用料は需給(オークション)により決まり、場所や土壌質等が反映される。
外資誘致を促進するため、工業用地の提供は政府の優先事項となっている。
製造業および輸出志向の企業のための土地は安く提供される。
エチオピア開発銀行(DBE)による金融優遇措置
大規模開発にはDBEが融資している。
担保は不要で、借入者が5割を拠出し、残額をDBEが外貨もしくは現地通貨で低金利融資する。
製造業では通常、返済期間10 年以下、猶予期間3年。インフラや植林のような長期事業では、返済期間最長20年、猶予期間5年。
DBEの優先分野は次のとおり。
- 花卉・綿花栽培・さとうきび・水産・品種改良の普及、養鶏と加工などの商業農業
- 食品加工、綿花生産・加工、酪農、飼料生産、コーヒー加工、食用油、ジュース製造などの農産品加工
- 繊維縫製、皮革・同製品、履物、紙・同製品、化学製品、包装材、薬品などの製造業
工業団地
国営(連邦政府、地方州政府)による工業団地と民間資本により開発された工業団地(例、中国資本による東方工業団地)がある。この他、アディスアベバ市街地南部およびアカキ・カリティ地区(都心から車で約30分)は旧工業地区であり、国営・民間の工場が集積する工業団地となっている。革なめし工場もアディスアベバ周辺に散在する(モジョに皮革産業の集積を目指す工業団地構想がある)。
エチオピア政府は近年、外資誘致のための工業団地建設への投資を始めており、2013年10月に100%政府出資のエチオピア工業団地開発公社(IPDC)が創設された。
2014年には、工業団地開発は外資、連邦政府、および両者合弁のいずれも可能ということが法制化され、民間開発に新たなインセンティブを与えた。
また、工業団地開発公社が再編され、工業省(現・貿易地域統合省)から首相府直属へ変更された。