モンゴルで深刻な大気汚染 救世主は帰国留学生!?
2024年03月21日
「世界は今」のアクセシビリティ対応について
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モンゴルでは大気汚染が深刻だ。その理由の1つがゲル地区で加工した石炭が使われていること。さらに、移住から定住に生活様式が変わり、ごみ問題も生じている。こうした課題解決に立ち上がったのが日本から帰国した元留学生だ。彼らの挑戦を追った。
(11分40秒)
テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。
映像説明: 大型スクリーンのある壇上で、ロングヘアーの男性が白い椅子に座り、モンゴルの民族楽器の演奏をしている。演奏が始まると、大型スクリーンに雪山の映像が映し出される。 青空の下、真っ白な雪に覆われた壮大な平原の中を赤とグレーに塗られた2両編成のディーゼル機関車が走り抜けていく。遠くに連なる雪山が見える。
テロップ: モンゴル
ナレーション: 広大な大地が広がるモンゴル。
映像説明: 真っ白な雪原で、数頭の牛が雪をかき分け、草を食べている。 雪の上に並んだ、2つのゲル。壁は円柱形(えんちゅうけい)、屋根は円すい形(えんすいけい)をしたテント風の住居で、屋根の中心から突き出た煙突から煙が出ている。 ゲルの室内。放射状の骨組みでできた天井の中心には天窓が開き、ストーブの煙突が外へ出ている。四角いストーブを囲んで人々が座っている。
ナレーション: 自然豊かなイメージがあるが、今、大きな問題を抱えている。それは…。
映像説明: ゲルの中で、ベージュ色(いろ)と茶色のパーカーを着た男性がインタビューに答える。
テロップ: ゲルで暮らす人
ゲルで暮らす人・モンゴル語: ゲル地区のみんなが石炭を使うから、空気が汚れてしまった。
映像説明: 小高い場所から見下ろした町並み。全体に白いもやがかかっている。
テロップ: 深刻な大気汚染
ナレーション: 世界で最悪とも言われる、大気汚染。
映像説明: 雪が積もった切り妻屋根の建物。そばにある細長い煙突から白い煙がもくもくと出ている。
ナレーション: さらに、問題は、これだけではない。
映像説明: 大量のごみが廃棄された場所の写真。ビニール袋やポリタンク、自動車のタイヤなど、さまざまなごみが捨てられている。無造作に捨てられた緑色(みどりいろ)のマットレスがアップになる。
ナレーション: 地面を埋め尽くす、ごみの山。中には、マットレスまで捨てられている。
映像説明: 薄い雲が浮かぶ青空の下、広大な平原にある大量のごみが廃棄された場所の写真。青いごみ収集車や作業している人々の姿が小さく見える。処分場の向こうには、緑色(みどりいろ)の草原が広がっている。
テロップ: 遊牧→定住
映像説明: 廃棄されたごみの山。水色のバケツやペットボトルなども埋もれている(うもれている)。
テロップ: ごみ増
ナレーション: 遊牧していた暮らしから定住に生活様式が大きく様変わりし(さまがわりし)、ごみの量が増えた。
映像説明: 画面が左右に2分割され、画面の左側にレンガ造りの建物の煙突から白い煙が立ちのぼる映像、画面の右側に大量のごみが廃棄された場所の写真が並ぶ。
ナレーション: モンゴルで深刻化する、大気汚染とごみ問題。
映像説明: 木目調の外壁の建物の前。メガネをかけた男性が建物のほうを眺めながら話している。
テロップ: 大学教授
ナレーション: その課題を解決するため、立ち上がったのが、大学教授や
映像説明: 白い壁の室内で、短髪の男性が円柱形(えんちゅうけい)をしたフタ付きの道具を両手で持って振っている。
テロップ: スタートアップ経営者
ナレーション: スタートアップの経営者たち。
映像説明: 短髪の男性が、青いコンテナに入った、こげ茶色(こげちゃいろ)の土(つち)を手のひらに取って見せる。
テロップ: 共通点とは?
ナレーション: 実は、彼らには、ある共通点が…。
映像説明: しろいかべのしつない。青と白のフレームの棚の前で短髪の男性がインタビューに答える。
テロップ: モンゴル国立農業大学(モンゴルこくりつのうぎょうだいがく) 土壌研究センター ビルグーデイ・バヤルサイハン さん
ビルグーデイさん: 日本(にほんで)で土壌の研究してた。
映像説明: 白い壁の室内で、メガネをかけた男性がノートパソコンに向かっている。
テロップ: モンゴル国立大学(モンゴルこくりつだいがく) 工学部 アマルバヤル・アジヤバト 教授
アマルバヤル教授: 20歳(はたち)のときに日本(にほん)行きました。
映像説明: 左右に2分割された画面。画面の左側に黒縁のメガネをかけ、ボーダー柄のポロシャツを着た男性、画面右側に短髪で白いTシャツを着た男性が映し出される。
テロップ: 帰国留学生
ナレーション: そう、日本の大学で学び、モンゴルに帰国した元留学生だ。
映像説明: 白い壁の室内。アマルバヤル教授が赤い箱形の装置の前で話をしている。 屋上のような場所で、白い装置を前にアマルバヤル教授が話をしている。 白い壁の室内。緑色(みどりいろ)の容器を持って作業をしているビルグーデイさんが、髪を後ろで束ねた女性と談笑している。
テロップ: モンゴルで深刻な大気汚染 救世主は帰国留学生!?
ナレーション: モンゴルが直面している社会課題の解決に挑む、日本から帰国した元留学生の挑戦を追った。
映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。各国のさまざまな人々の笑顔や、農作物(のうさくぶつ)を収穫している様子、ガントリークレーンが並んでいる港、緑色(みどりいろ)の仏像、小型飛行機や新幹線、バイクなどの乗り物や生き物など、世界中のいろいろな写真が現れて白い画面を埋めていく。連なった写真に重なるように世界地図のCGが浮かび上がり、中央に紺色の文字で「世界は今 JETRO Global Eye(ジェトロ グローバル アイ)」と書かれたタイトルテロップが表示される。
映像説明: 小高い場所から見下ろした町並み。近代的なビルや中層の集合住宅がある。
サイドテロップ(画面右上に常時表示): 帰国した元留学生 モンゴルで活躍
テロップ: ウランバートル
ナレーション: 首都のウランバートル。
映像説明: 白い人型の彫像が中央に装飾された、クリーム色(いろ)の外壁の建物の外観。 幾何学模様の壁がある室内。黒いタートルネックを着た男性がいすに座り、手ぶりを交えて話をしている。 10人ほどの男女を前に、黒いタートルネックを着た男性が話をしている。全員いすに座っている。
テロップ: 2023年12月7~(から)9日 モンゴルIT(アイティー)ミッション 主催:ジェトロ
ナレーション: 日本から来た一団を前に、モンゴルでのビジネスについて説明する1人の男性がいた。
黒いタートルネックを着た男性: カスタマー・データー・プラットフォームって言いまして、あの、オンライン上にある、えっと、エンドユーザーさんたちの、この、情報を集めて、その中に…。
映像説明: 黒いタートルネックを着た男性が大型の液晶ディスプレーを操作しながら話をしている。
テロップ: Nasha Tech(ナシャテック) チンバト・チンデグスレン CEO
チンバトCEO: 18年(2018年)に(日本から)モンゴルに、あの、帰国しまして、今の、あの、Nasha Tech(ナシャテック)社を設立しました。
映像説明: チンバトCEOが、黒いスーツを着た男性と名刺交換をしている。 チンバトCEOが名刺を手に、首にストールをかけた男性と話している。
ナレーション: 2009年(にせんくねん)に留学し、日本で情報電子工学を勉強したチンバトさん。
映像説明: 白い壁のオフィス。壁には「NASHA TECH(ナシャテック)」と書かれた英文字と企業ロゴが掲げられている。木目調のデスクが対面で設置され、女性2人と男性1人がそれぞれの席でパソコンに向かっている。 デスクのそばでチンバトCEOと男性社員が立ち話をしている。
ナレーション: その経験を生かして、日本企業(にほんきぎょう)と連携してソフトウエア開発などを行っている。
映像説明: オフィスの1室で、チンバトCEOがパソコンに向かっている。
ナレーション: 実は、モンゴルは人口に対して、日本に留学している人の割合が高い。
映像説明: オフィスの1室で。チンバトCEOが黒い椅子に座ってインタビューに答える。
テロップ: Nasha Tech(ナシャテック) チンバト・チンデグスレン CEO
チンバトCEO: この(モンゴルの)ビジネス界の中でも、日本(にほん)で留学してた人たちが結構いるんですよ。 大きなグループ会社(企業)のトップの、ま、あの、創業者の方(かた)だったり、トップの人たちが、日本(にほん)で、あの、留学してたメンバーたちだったりします。
映像説明: 半円形(はんえんけい)をしたガラス張りの建物の外観。そばには大型の液晶ディスプレーや信号が見える。 満席のプレゼンテーション会場。大型スクリーンの前に黒いパーカーを着た男性が登壇し、マイクを手に話をしている。
サイドテロップ(画面右上に常時表示): モンゴルの未来を担う 模索する帰国留学生
テロップ: MICS(ミックス)‐2023 主催:JICA(ジャイカ)
ナレーション: そうしたなか、社会課題の解決をテーマにしたイベントが開催され、
映像説明: スクリーンにスマートフォンに表示されたQRコードの画面が映し出されていて、黒いパーカーを着た男性がそれを指し示しながら話している。 黒いジャケットを着た女性が登壇し、プレゼンをしている。
ナレーション: モンゴルのスタートアップがプレゼンを行った。
映像説明: ベージュ色(いろ)のスタンドパックが7つほど並べられた黒い布が敷かれたテーブルのそばに、グレーのスーツを着たビルグーデイさんが立っている。 ビルグーデイさんが、ベージュ色(いろ)の袋を手に取って見ている来場客を応対している。
テロップ: モンゴル国立農業大学 土壌研究センター ビルグーデイ・バヤルサイハン さん
ナレーション: その参加者の1人、ビルグーデイさんも、日本で学んだ元留学生だ。
映像説明: グレーのカーテンがある室内で、ビルグーデイさんがインタビューに答える。
映像説明: グレーのカーテンがかかる壁の前で、ビルグーデイさんがインタビューに答える。
ビルグーデイさん: 今は、コンポストの会社を、あー、先生と一緒に立てて、今、働いています。
映像説明: 黒い布が敷かれたテーブルにロゴマーク入りのラベルが貼られたベージュ色(いろ)のスタンドパックが並んでいる。スタンドパックの手前には、土(つち)のような茶色い粉末が入ったシャーレが置かれている。 シャーレに入った土(つち)のような茶色い粉末のアップ。
テロップ: コンポスト 家庭用のごみを 畑に使える堆肥に変えたもの
ナレーション: 「コンポスト」とは、家庭用の生ごみを畑に使える堆肥に変えたもの。
映像説明: ビニール袋やポリタンク、マットレスなど、さまざまなごみが廃棄された場所の写真。 大量のごみが廃棄された平原に、青いごみ収集車や作業している人々が小さく見える。ごみが廃棄されている場所の向こうには、緑色(みどりいろ)の草原が広がっているのが見える。(写真提供:JICA(ジャイカ))
ナレーション: 首都のウランバートルでは、人口が急速に増え、それに伴い、ごみの量も増加し続けている。
映像説明: トロフィーや表彰盾が飾られた棚がある室内をビルグーデイさんが歩きながら話している。 白い壁の室内で、ビルグーデイさんが円柱形(えんちゅうけい)をしたフタ付きの土ふるい(つちふるい)を両手で持って振っている。 土ふるい(つちふるい)にかけられ、きめ細かくなった土(つち)のアップ。 白い壁の室内。緑色(みどりいろ)の容器を持って作業をしているビルグーデイさんが髪を後ろで束ねた女性と談笑している。
ナレーション: 帰国したビルグーデイさんは、農業大学で土壌の研究をしながら、肥料を販売するスタートアップを軌道に乗せようとしていた。
映像説明: 黒い布が敷かれたテーブルにコンポストが入ったロゴマーク入りのラベルが貼られたベージュ色(いろ)のスタンドパックが並んでいる。ロゴマークは、中央に描かれた植物を囲むように、2つの矢印が丸くつながって循環しているようなデザインになっている。スタンドパックの手前には、コンポストが入ったシャーレが置かれている
ナレーション: コンポストを普及させ、家庭用のごみの削減につなげたいという。
映像説明: 赤い山門の向こうに、赤と白を基調とした寺院が建っている。3階建てほどの建物の高さがある寺院のやぐらの部分がクローズアップされる。
テロップ: 寺
ナレーション: その研究を行っている場所に案内してもらうと、そこは、なんと!? お寺。
映像説明: 寺院の出入り口。赤茶色の重厚な観音開きの扉の左側が開いていて、ビルグーデイさんが中へと入っていく。撮影スタッフが後ろから声をかける。
テロップ: モンゴル国立農業大学 土壌研究センター ビルグーデイ・バヤルサイハン さん
撮影スタッフ(声のみ): 実家?
ビルグーデイさん: 実家です。 で、この中は、使わないから、今は(研究所として使っている)。
映像説明: 赤い山門のアップ。門扉には赤地に黄色(きいろ)で伝統的な模様が描かれている。 寺院の室内。ビルグーデイさんが茶色い液体が入った、さまざまな大きさのボトルが置かれた棚を手で示しながら話している。
ナレーション: そう、彼の実家は、お寺。ここで、ある肥料の研究をしている。
映像説明: ビルグーデイさんが黒いビニールで覆われたコンテナがいくつも並んだ棚を手で示しながら話している。 青いコンテナに入った、こげ茶色(こげちゃいろ)の土(つち)を、手のひらに取って見せる。土(つち)の中で小さなミミズが動いている。 黒いビニールで覆われたコンテナがいくつも並んだ棚の前でビルグーデイさんがインタビューに答える。
テロップ: モンゴル国立農業大学 土壌研究センター ビルグーデイ・バヤルサイハン さん
ビルグーデイさん: 3種類のミミズを、育ててるんです(そだててるんです)。 で、これ、カリフォルニアF1(カリフォルニア エフいち)っていう種類なんですね。 ミミズ肥料ってあるの分かって、えー、おもしろいな、 ミミズって、肥料って作れるのかなって思って、家で、あ、実家で作ったら、おー、本当に肥料ができて。で、今、できあがった肥料が、これ…。
映像説明: ビルグーデイさんが、青いコンテナから手のひらの上に土(つち)をすくい上げて、それを見せながら隣に立つベージュ色(いろ)のダウンコートを着た女性に見せている。
テロップ: ビルグーデイさんの研究 ミミズを使って生ゴミを 食べさせ肥料に変えること
ナレーション: ビルグーデイさんは、ミミズを使って生ごみを肥料に変える研究を進めている。
映像説明: ビルグーデイさんが、薄く赤みを帯びたミミズをつまんで見せる。少し土(つち)の付いたミミズが体をくねらせ動いている。 ビルグーデイさんの手のひらに載せたミミズが動いている様子。 ビルグーデイさんが、黒いビニールで覆われたコンテナが置かれた棚の前でインタビューに答える。
テロップ: モンゴル国立農業大学 土壌研究センター ビルグーデイ・バヤルサイハン さん
ビルグーデイさん: モンゴルでは10%、み、未満のところで、肥料を作ってるんです。 で、今、研究やってるところだけど、来年から、ま、どんなビジネスがいいかなって(模索している)。
映像説明: 黒いビニールで覆われたコンテナが並ぶ棚のそばでビルグーデイさんとベージュ色(いろ)のダウンコートを着た女性が話している。 黒いビニールで覆われたコンテナのアップ。中には、こげ茶色(こげちゃいろ)のきめ細かい土(つち)がこんもりと入っている。下の段に置かれた青いコンテナの中には、小石などが見える粗い土(つち)が入っている。 ビルグーデイさんが手のひらに載せたミミズを見つめている。ミミズは体を、ひらがなの「つ」の字に曲げて小さく動いている。
ナレーション: 質の高い肥料を作り、ビジネスにつなげることができれば、ごみの削減だけでなく、農業の近代化にも貢献できると期待を膨らませている。
映像説明: 走る車からの車窓風景。まっすぐに伸びた大きな道路を車が行き交っている。歩道や周辺に建ち並ぶ低層住宅の屋根には雪が積もっている。遠くに雪をかぶった、なだらかな山々も見える。走る車の左側を映すと、屋根に雪が積もった低層の住宅と、その向こうにもやがかかったような風景が見える。
サイドテロップ(画面右上に常時表示): 深刻な大気汚染 ゲル地区での暮らし
ナレーション: モンゴルが抱える、もう1つの社会課題が深刻な大気汚染だ。
映像説明: 小高い場所から見下ろした映像。屋根に雪が積もった低層の住宅が多く建ち並び、それぞれの住居の煙突から煙が出ている。 雪の上に並んだ、2つのゲル。壁は円柱形(えんちゅうけい)、屋根は円すい形(えんすいけい)をしたテント風の住居で、屋根の中心から突き出た煙突から煙が出ている。
テロップ: ゲル地区
ナレーション: その原因があるのが、ウランバートルの郊外に広がるゲル地区。ゲルとは、遊牧民が使う伝統的な移動式住居のこと。
映像説明: ゲルの室内。放射状の骨組みでできた天井の真下には、煙突の付いた四角いストーブが置かれている。 白いTシャツを着た女性が、ストーブの上の蒸し器に小籠包(ショーロンポー)のような形の餃子を並べていく。 人々がストーブを囲んで椅子に座り、話している。
ナレーション: およそ30年前の民主化以降、仕事を求めて多くの人がゲル地区に集まった。
映像説明: 小高い場所から見下ろしたゲル地区の町並み。全体に白いもやがかかっている。 かすんだ景色へのズームアップ。
ナレーション: そんなゲル地区を高台から眺めると、異様な光景が。町全体を白いもやが覆っている。
映像説明: 雪が積もった切り妻屋根の建物。そばにある細長い煙突から白い煙がもくもくと出ている。
テロップ: PM2.5(ピーエムにーてんご)
テロップ: 硫黄酸化物
ナレーション: その正体は、PM2.5や硫黄酸化物が含まれる煙だ。
映像説明: 小高い場所から、白いもやがかかった町並みを見下ろす。低層の住宅が多く建ち並び、それぞれの住居の煙突からもくもくと煙が出ている。
テロップ: モンゴルのPM2.5の値 WHO(ダブリューエイチオー)基準値を慢性的に上回る
ナレーション: 冬場のモンゴルのPM2.5の値は、WHO(ダブリューエイチオー)が定めた基準値を慢性的に上回っている。
映像説明: ゲルの中でベージュ色(いろ)と茶色のパーカーを着た男性がインタビューに答える。
テロップ: ゲルで暮らす人
グレーのパーカーを着た男性・モンゴル語: 人口が過密になっているし、みんなが石炭を使うから空気が汚れてしまった。
映像説明: うっすらと日の光がさし込む天窓から伸びた煙突は、ゲルの中心に置かれたストーブへとつながっている。 ストーブの中を上から見た映像。円形の開口部から燃料の石炭が真っ赤に燃えているのが見える。
テロップ: 石炭
ナレーション: ゲル地区では、生活インフラが十分に整備されていない。そのため、暖房や料理をするのに、加工した石炭が使われている。
映像説明: 小高い場所から、白いもやがかかった町並みを眺める。低層の住宅が多く建ち並び、それぞれの住居の煙突から煙が出ている。
ナレーション: さらに四方を山に囲まれているため、気温の低い冬場、よどんだ大気が滞留してしまうのだ。
映像説明: うっすらと雪に覆われたビルの屋上。黒いニット帽をかぶったアマルバヤル教授が歩いている。 ビルの屋上の別の一角。アマルバヤル教授が白い装置をチェックしている。装置には、アンテナのようなアームがあり、先端に黒い球体が付いている。
サイドテロップ(画面右上に常時表示): 大気汚染の解決に挑む カギは「住宅構造」
テロップ: モンゴル国立大学 工学部 アマルバヤル・アジヤバト 教授
ナレーション: この社会課題の解決を図ろうと取り組んでいるのが、モンゴル国立大学のアマルバヤル教授だ。
映像説明: 屋上に設置された、畳ほどの大きさの2枚の太陽光パネル。
テロップ: 太陽エネルギー
ナレーション: 専門は、太陽エネルギー。
映像説明: 白い壁の室内。アマルバヤル教授が白い円筒形(えんとうけい)の機械を指し示しながら話している。 別の一室。アマルバヤル教授がベージュ色(いろ)の綿のようなものを詰めた直方体の木の枠をテーブルに載せる。
ナレーション: 効率的に電気を生み出すだけでなく、効果的に消費する方法も模索している。
映像説明: アマルバヤル教授が、壁に貼られた大気汚染や住宅の写真、模式図などが入ったポスターを指し示しながらインタビューに答える。
テロップ: モンゴル国立大学 工学部 アマルバヤル・アジヤバト 教授
アマルバヤル教授: 煙をなくすためには、ゲル地区にある個人住宅を、高断熱、高密性(高気密)の建物にしなければいけない、っていうのがあって。 パッシブハウス(の)技術を普及させたくて、えー、活動してます。
映像説明: 家屋の外観の2枚の写真が順々に映し出される。茶色や紺色、グレーの外壁の2階建ての建物や、コンクリートの箱のような2階建ての建物。どちらも外壁や屋根の上に太陽光パネルが設置されている。
テロップ: パッシブハウス 断熱性や気密性などを高めた省エネ住宅
ナレーション: 「パッシブハウス」とは、断熱性や気密性などを高めた省エネ住宅のこと。石炭を使わない住宅が増えれば、大気汚染の改善を図ることができる。
映像説明: 白い壁の室内。中央に設置されたテーブルには、デスクトップパソコンやプリンターなどが置かれている。だ円形(だえんけい)のテーブルにアマルバヤル教授が座り、ノートパソコンに向かっている。
ナレーション: そのアマルバヤル教授も日本に留学していた。
映像説明: アマルバヤル教授が、パソコンに映った2枚の写真を見せる。赤いシャツを着た男性の写真と、短髪で白いTシャツを着た男性の写真。 パソコンの画面を見ながら、撮影スタッフと談笑するアマルバヤル教授。
テロップ: モンゴル国立大学 工学部 アマルバヤル・アジヤバト 教授
アマルバヤル教授: あの、日本語を勉強してるとき、20歳(はたち)のときに日本(にほん)行きました。 刺身、食べれなくて。ハハハ…。
撮影スタッフ(声のみ): 食べれなかったんですか? ハハハ…。
映像説明: 学生時代のアマルバヤル教授の写真。白い室内で、短髪で白いTシャツを着ている。
テロップ: 11年間 日本に留学
ナレーション: 11年間、日本に留学したアマルバヤル教授。
映像説明: 学生時代のアマルバヤル教授の別の写真。「木更津工業高等専門学校」の校名の石板(せきばん)がある場所の前で撮った先生らしき男性と学生たちとの集合写真、日本国旗と「東京農工大学」の文字と徽章(きしょう)がある旗が掲揚された壇上で卒業証書を授与されている写真などが順々に映し出される。
テロップ: ・千葉県の高等専門学校 卒業 ・東京農工大学工学部 博士課程(はくしかてい)修了
ナレーション: 千葉県にある高等専門学校から、東京農工大学に進み、工学分野の博士課程(はくしかてい)を修了した。
映像説明: レンガ造りの建物が並ぶ通り。雪に覆われた歩道を、黒いニット帽をかぶったアマルバヤル教授が歩いていく。 門扉をくぐると、茶色い犬が尻尾を振って出迎える。 木目調の外壁の建物の外観。10枚の太陽光パネルが貼られた外壁に日の光が降り注いでいる。 出入り口のドアの上にあるひさしの上に設置された小さい太陽光パネルと外壁に設置された太陽光パネルのアップ。
ナレーション: その教授が進める省エネ住宅に案内してもらった。ゲル地区に3年前に建てられたもので、外には太陽光パネルが設置されている。
映像説明: アマルバヤル教授が黒いドアの前でカメラに向かって話し、ドアを開けると、グレーの上着を着た男性が出迎える。
テロップ: モンゴル国立大学 工学部 アマルバヤル・アジヤバト 教授
アマルバヤル教授: では、あのー、省エネ住宅に入りましょう。
映像説明: 大きな窓がある明るい室内。白いローテーブルの横を、モンゴルの民族衣装を着た女性が歩いている。 厚みのあるサッシがある窓のアップ。外から自然光がさし込んでいる。 別の大きな窓のアップ。足元部分に花をつけた植木鉢などが置かれている。 長い髪を後ろで束ねた女の子が、ソファに座り、こちらに笑顔を向けている。
テロップ: 厚い断熱材を使用 →保温性を高め熱を効率的に利用できる設計
ナレーション: 家の中に入ると、南側の窓からは、さんさんと日が当たり、また、厚い断熱材を使うことで保温性を高めるなど、熱を効率的に利用できる設計になっている。さらに…。
映像説明: 大きな窓がある明るい室内でアマルバヤル教授がいすに座り、手ぶりを交えながらインタビューに答える。
テロップ: モンゴル国立大学 工学部 アマルバヤル・アジヤバト 教授
アマルバヤル教授: 密閉性が高くなっちゃうと、換気、換気が大事。で、外から冷たい空気入っちゃったら、それ、また大変なんで。 そこね、うまく、こう、熱交換させるんです。
映像説明: 階段の下の天井に、銀色と黒の金属製の箱が取り付けられている。
テロップ: 熱交換換気システム
ナレーション: この装置が「熱交換換気システム」というもの。
映像説明: 「熱交換換気システム」の文字があるCGイラストの説明図。 画面の左側にオレンジ色(いろ)の家をかたどった「室内」のがあり、右側に「屋外」がある。「室内」と「屋外」の境には、赤地に白抜きで「熱交換換気システム」と書かれた四角い枠がある。「室内」にはオレンジ色(いろ)の「温かい空気」があり、オレンジ色(いろ)の矢印が「熱交換換気システム」を通り、熱を取り除きながら水色となって屋外へ排出される。一方、「屋外」には水色の「冷たい空気」があり、水色の矢印が「熱交換換気システム」を通り、熱を取り入れながらオレンジ色(いろ)となって室内へと入っていく。
ナレーション: これを使えば、室内の空気を外に排出し、外から新鮮な空気を取り込む際、熱を逃さず、室内を温かく保つことができる。
映像説明: モンゴルの民族衣装を着た女性がダイニングテーブルで談笑している。
ナレーション: こちらに暮らしている方(かた)に話を聞いてみると…。
映像説明: モンゴルの民族衣装を着た女性が花柄のソファに座り、手ぶりを交えながらインタビューに答える。
テロップ: パッシブハウスに暮らす人
パッシブハウスに暮らす人・モンゴル語: 外の気温は-30度(マイナスさんじゅうど)だけど、ここはとても暖かい。
映像説明: 大きな窓がある明るい室内で、アマルバヤル教授が椅子に座っている。室内には、自然光(しぜんこう)が温かくさし込んでいる。 モンゴルの民族衣装を着たパッシブハウスに暮らす女性が民族楽器を手に取る。
テロップ: 室外温度:-30度(マイナスさんじゅうど)
テロップ: 室内温度:10度
ナレーション: 外の気温がマイナス30度を下回っても、家の中は10度以上に保つことができる。
映像説明: 大きな窓がある明るい室内で、パッシブハウスに暮らす女性が民族楽器を演奏している。 パッシブハウスに暮らす女性が花柄のソファに座り、インタビューに答える。
テロップ: パッシブハウスに暮らす人
パッシブハウスに暮らす人・モンゴル語: 冬の太陽が家の奥までさし込んで、とても気持ちがいいです。 (パッシブハウスは)快適な暮らしに掛けがえのないものです。
映像説明: 手前に低層の建物、その向こうに、建設中の集合住宅が建ち並んでいる。 上階部分(じょうかいぶぶん)が緑色(みどりいろ)のネットで覆われた建設中の集合住宅のアップ。
ナレーション: モンゴルでは、こうした省エネ住宅の需要が増えている。さらなる拡大を目指すためには、日本の優れた建設資材などが必要だという。
映像説明: 木目調の外壁の建物の外観。10枚の太陽光パネルが貼られた外壁に日の光が降り注いでいる。 厚みのあるサッシがある窓のアップ。外から自然光がさし込んでいる。 雪に覆われた歩道で、黒いニット帽をかぶったアマルバヤル教授がインタビューに答える。
テロップ: モンゴル国立大学 工学部 アマルバヤル・アジヤバト 教授
アマルバヤル教授: 日本(にほん)の、あのー、断熱材使うと、壁が薄くできますから。 あの、ぜひ、日本(にほん)のメーカーが来て、あの、質のいい断熱材作って、売ってほしいです。
映像説明: パッシブハウスの室内。大きな窓がある明るい場所で、アマルバヤル教授とモンゴルの民族衣装を着た女性が話している。 四角い床置き型の装置の前で、アマルバヤル教授が手ぶりを交えながら話している。 イベント会場。黒い布が敷かれたテーブルに、中央に描かれた植物を囲むように、2つの矢印が丸くつながって循環しているようなデザインの、ロゴマーク入りのラベルが貼られたコンポストが入ったベージュ色(いろ)のスタンドパックが並べられている。そばに立つビルグーデイさんが話をしている。 白い壁の室内で、ビルグーデイさんが円柱形(えんちゅうけい)をしたフタ付きの土ふるい(つちふるい)を両手で持って振っている。
ナレーション: 日本で学んだことをモンゴルで生かそうと奮闘する帰国留学生たち。2つの国の技術や文化を知る彼らが、両国の未来を、よりよくできるのではないかと、
映像説明: エレベーター前の通路で、薄いグレーのジャケットを着た男性が手ぶりを交えながら話している。
テロップ: JUGAMO会(ジュガモかい) ゾリゴト・スガル 事務局長
ナレーション: 帰国留学生の交流を進める組織の幹部は話す。
映像説明: エレベーター前の通路で、ゾリゴト事務局長がインタビューに答える。
テロップ: JUGAMO会(ジュガモかい) ゾリゴト・スガル 事務局長
ゾリゴト事務局長: 日本(にほん)での人手不足(ひとでぶそく)とか、だから、逆に言えば日本(にほん)の技術とかをモンゴルに導入することによって、 両方、Win‐Win(ウィン ウィン)になれる、そういう関係、が、できるのかなとは思ってまして。 日本卒業生(にほんそつぎょうせい)の役割というのは、すごく大事なのかなと思って頑張ってます。
映像説明: 水色のグラデーション背景画。画面の右側で地球の陸地部分だけが点描され、中が空洞になった地球儀のグラフィックイメージが回転している。
次の番組も併せてご覧ください:
- モンゴルで生まれる未来ビジネス 世界が注目する新たな可能性(2024年2月1日)
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1月16日(予定)
テーマ:寿司に! おにぎりに! 世界にのりを売る 兵庫の営業マン
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