米国へ“みかんブリ”を売り込め! 輸出のカギは魚の差別化

2024年03月28日

今、米国で日本の水産物が注目されている。西部の内陸に位置するラスベガスの小売店では、高品質な日本の魚を求めるお客が増えたため、月間の売り上げが倍々で増加しているという。そうした米国水産市場へ、自社のブランド魚で挑戦する企業の取り組みを追った。

(11分30秒)

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テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: 夕暮れどきの繁華街の一角。大きなアーチ形のゲートに英文字で「Las Vegas(ラスベガス)」と書かれ、ピンクと紫のイルミネーションできらめいている。

テロップ: 米国 ラスベガス

ナレーション: アメリカ、観光都市の1つ、ラスベガス。

映像説明: 見本市会場。こげ茶色(こげちゃいろ)とオレンジ色(いろ)を基調としたデザインの特設キッチン。エプロンとヘッドマイクをつけた男性が、満席の観衆を前に調理の実演をしている。 エプロンをつけた男性が木製のまな板の上で魚をおろしている手元。 会場内。赤いノースリーブのカットソーを着てメガネをかけた女性と、あごひげを生やしてニットキャップをかぶった男性の2人連れが、黒いプラスチックカップに入った試食品(ししょくひん)をフォークで口へ運んでいる。

テロップ: 新しい日本の食品

ナレーション: この地で開催された高級食品の見本市のライブイベントでは、日本の水産物を使った調理デモが行われ、新しい日本の食品を求め、バイヤーたちが集まった。

映像説明: 会場内。赤いノースリーブのカットソーを着てメガネをかけた女性がインタビューに答える。女性の背後に、多くの来場者がいるのが見せる。

テロップ: バイヤー

バイヤー・英語: 全体的にとても、かんきつ系の味がしました。

映像説明: 冷蔵ショーケースにたくさんの種類の魚が並んでいる。真っ赤なキンメダイ、こげ茶色(こげちゃいろ)のヒラメ、銀色に光るサバなどがある。尾頭付きの魚が並ぶ中に1尾だけ、頭を切り落とされたブリが置かれている。端には漢字で「壽司(すし)」と書かれた赤いちょうちんが2つ置かれている。

テロップ: 日本の水産物に注目!

ナレーション: 今、アメリカでは日本の水産物が注目されている。

映像説明: 冷蔵ショーケースの脇に設置された木目調のカウンター。英文字で書かれた「JAPANESE SEAFOOD」のロゴがあり、「FOOD」の1つ目の「O」の文字は日本国旗にある日の丸のように赤く塗られている。

ナレーション: そこに目をつけ、アメリカ市場に可能性を求めてやって来たのが…。

映像説明: 「JAPANESE SEAFOOD」のロゴ入りのバックボードの前で、短髪で黒のスーツを着た日本人男性(にほんじんだんせい)がインタビューに答える。

テロップ: 宇和島プロジェクト(うわじまプロジェクト) 木和田 権一(きわだ けんいち) 社長

木和田社長: 新しい、フルーツフィッシュ、の、みかんブリの、あの、市場調査として。

映像説明: 海に設けられた生けす。銀色の囲いの上方(じょうほう)に渡した橋の真下で、激しく水しぶきが上がっている。橋の上には、1つ20kgから30kgはありそうなベージュ色(いろ)の袋が積まれ、黒い服を着た男性が袋の中の粒を生けすにまいている。

テロップ: ブランド魚(ブランドざかな)「みかんブリ」

映像説明: 壁に浮世絵風の荒波の絵が掛けられたスペース。白い長机(ながづくえ)を挟んで、木和田社長と、黒いジャンパーを着てメガネをかけた男性が座り、ほかに数人の男性や女性が同席している。手ぶりを交えて話す木和田社長がズームアップされる。

テロップ: 米国へ“みかんブリ”を売り込め! 輸出のカギは魚の差別化

ナレーション: 自社のブランド魚(ブランドざかな)、「みかんブリ」を売り込もうと、アメリカの水産市場の門をたたいた企業の挑戦を追った。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。各国のさまざまな人々の笑顔や、農作物(のうさくぶつ)を収穫している様子、ガントリークレーンが並んでいる港、緑色(みどりいろ)の仏像、小型飛行機や新幹線、バイクなどの乗り物や生き物など、世界中のいろいろな写真が現れて白い画面を埋めていく。連なった写真に重なるように世界地図のCGが浮かび上がり、中央に紺色の文字で「世界は今 JETRO Global Eye(ジェトロ グローバル アイ)」と書かれたタイトルテロップが表示される。

映像説明: 低層や高層のビルが並ぶ繁華街の街並み。巨大なベーグルのイラストや、肉があふれ出しそうなサンドイッチの写真、フットボールを頭上に掲げた女性たちの写真など、派手な看板や広告が目を引く。画面左下の四角い枠内に、米国の地図が緑色(みどりいろ)で表示される。西海岸地方の内陸部に位置するラスベガスの位置が赤い星印で示されている。 有名な複合リゾート施設(ふくごうリゾートしせつ)が軒を連ねる通りを、車が行き交う。 英文字で「CASINO(カジノ)」などと書かれた水色のネオン看板がある建物の外観。出入り口の両脇に建物よりも背の高いフェニックスの木が立っている。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): 米国内陸部でも 日本の水産物が人気!?

ナレーション: アメリカ西部の内陸部に位置するラスベガス。カジノやホテルが建ち並び、国内外から観光客が訪れる都市だ。

映像説明: 豆腐やこんにゃく、漬物、タケノコの水煮など、日本語のパッケージの食品並んでいる商品棚。 冷凍ショーケースには、たい焼きやどら焼きなど、日本のスイーツの商品も並んでいる。

テロップ: 日本食(にほんしょく)が人気

ナレーション: この地でも、ロサンゼルスやニューヨークと同様に日本食(にほんしょく)が人気だ。

映像説明: ひらがなの筆文字で「ふくや」と書かれた赤い電光文字看板がある店舗の外観。その電光文字看板の右に、赤字に白い英文字で「JAPAN MARKET FUKU‐YA(ジャパン マーケット フクヤ)」と書かれた電光看板もある。

テロップ: JAPAN MARKET FUKU‐YA(ジャパン マーケット フクヤ)

ナレーション: 日本の食品や生活雑貨を扱うスーパー「ふくや」は、日本食(にほんしょく)が好きな地元の人たちが足しげく通う店舗だ。

映像説明: 「ふくや」の店内。出入り口付近に並ぶガチャマシンや低い台に積まれた大袋のコメ、「BENTO(ベントー)」と書かれた総菜売り場などが見える。 商品棚には日本のメーカーのカップ麺、冷凍ショーケースにもギョーザやシューマイなど、日本のメーカーの商品が並んでいる。

ナレーション: 店内には、日本のカップ麺や冷凍食品が、ずらり。

映像説明: 店内で、白髪交じりの短髪の男性とボブヘアーの女性の2人連れの買い物客がインタビューに答える。

テロップ: 買い物客

買い物客の女性・英語: 弁当、刺身、すし…。

買い物客の男性・英語: ほとんどの日本食(にほんしょく)が好きですね。

映像説明: 積み上げられた発泡スチロールのケース。いずれにも、「五島列島」や「熊本・天草」など、日本の地名を書いたラベルやブランド魚(ブランドざかな)のロゴマーク、ウニの写真などが貼られている。

テロップ: 魚介類の受注販売

ナレーション: さらに、この店では日本産(にほんさん)の魚介類の受注販売をしている。

映像説明: 店内で、白髪で短髪の黒いパーカーを着た日本人男性(にほんじんだんせい)がインタビューに答える。背後に見える掲示板には、たくさんの種類の魚の名前と写真入りのプレートが貼り出されている。

テロップ: JAPAN MARKET FUKU‐YA(ジャパン マーケット フクヤ) 勝田 晃範(かつだ あきのり) 社長

勝田(かつだ)社長: 3年前から、えーっと、魚のほうは(販売)始めてますけど、えー、実は、あの、倍々というかたちで、今、増えてます。 月間で大体、うちで言うと、円で言うと、大体600万から800万円ぐらい、の、魚の売り上げがある、というところですね。

映像説明: 交通量の多い道路に沿った歩道を、たくさんの人が行き交っている。 「ふくや」の店頭に置かれた、A4サイズほどの大きさの「すだちぶり」の紹介POP。スダチの写真や説明文とともに、産地である徳島県を赤い丸で示した日本地図(にほんちず)も描かれている。 店内で、黒髪を後ろで結んだ人が掲示板の前で魚の名前と写真入りのプレートに見入っている。「すだちぶり」のほか、「タイ」や「キンメダイ」など、さまざまな水産物のプレートが並んでいる。 「キンメダイ」、「タイ」、「スダチぶり」のプレートのアップ。

ナレーション: アメリカ内陸部のラスベガスでは、魚はあまり食べられていなかったが、高品質の魚を求める人たちが増えたため、この店舗では日本の水産物が多く売れているのだ。納めているのは主に高級日本食(にほんしょく)レストランだが、一般客も注文さえすれば尾頭付きの魚を買うことができる。ところが…。

映像説明: 店内で、魚の名前と写真入りのプレートが並ぶ掲示板の前で勝田(かつだ)社長がインタビューに答える。

テロップ: JAPAN MARKET FUKU‐YA(ジャパン マーケット フクヤ) 勝田 晃範(かつだ あきのり) 社長

勝田(かつだ)社長: アメリカ人って、実は、魚の頭を怖がるんですよ。ですんで、その、それを見るだけで嫌だ。 じゃあ、それを自分で、おろして、頭とか尻尾とか、ってなると、なかなかやっぱり、ハードルが高いというか、慣れてない。

映像説明: 店内の掲示板に貼り出された、魚の名前と写真入りのプレートのアップ。尾頭付きの「シマアジ」、ブロック状にカットされた「本鮪 赤身」や「本鮪 中トロ(ちゅうトロ)」など、魚の名前が日本語と英語で書かれている。 プラスチックの容器に入った魚の総菜が並ぶ。それぞれに、「Saba MISO」、「Teriyaki Salmon(テリヤキ サーモン)」など、料理名を英語で手書きしたシールが貼ってある。

ナレーション: 現地の人たちの特徴を理解することが大切で、調理した魚や、おろした魚も輸入すれば、今まで以上に一般家庭でも消費され、日本産(にほんさん)の魚の輸出は伸びる可能性があるという。

映像説明: 「welcome to the fancy food show(ウェルカム トゥー ザ ファンシー フード ショー)」と書かれた看板のアップ。ズームアウトすると建物の外観が見える。総ガラス張りのイベントホールの横に長いエントランスは、こげ茶色(こげちゃいろ)とオレンジ色(いろ)を基調としたポスターやPOPで装飾され、ガラスの向こうの巨大なデジタルサイネージにはカラフルな映像が流れている。

テロップ: 1月21~(から)23日 Winter Fancy Food Show(ウインター ファンシー フード ショー) 2024

ナレーション: 日本産(にほんさん)の水産物の人気が高まりつつあるなか、ラスベガスで高級食材の見本市が開催され、

映像説明: 会場内。広い通路の両側に出展ブースが並び、たくさんの来場者でにぎわっている。

テロップ: 出展企業 世界36の国・地域から約1,000社以上(いっせんしゃいじょう)

ナレーション: 36の国や地域から、1,000社(いっせんしゃ)を超える企業が参加。多くの小売りやレストランのバイヤーなどが訪れた。

映像説明: 見本市会場の一角。ベージュのジャケットを着た男性と黒いスーツを着た女性がジャンボサイズのハサミを一緒に持ち、幅20cmほどの真っ赤なテープをカットする。横1列になって歓声を上げる人々の両側には、日本とアメリカの国旗が立てられている。

テロップ: 日本がアジア初の選出

ナレーション: 日本食(にほんしょく)の高い人気を背景に、今回、主催者から、アジアで初めてのパートナーカントリーとして日本が選ばれた。

映像説明: 会場内にある巨大なデジタルサイネージに、「Discover Japan's Culinary Treasures(ディスカバリー ジャパンズ カリナリー トレジャース)」などの文字と日本食(にほんしょく)のイメージ映像が流れている。みそ、刺身、乾物、魚など、色鮮やかな日本の食材が次々と現れる。 白いクロスを掛けたカウンターの上に、メロンや瓶入りの白桃ジュースといった食品と、QRコードのパネル、試食用の皿やナプキンが並んでいる。3人の女性や男性のスタッフが、試食をする女性来場者を応対している。

ナレーション: 日本産食品(にほんさんしょくひん)を直接PRするための、さまざまな機会が与えられたのだ。

映像説明: 白地に薄紅色(うすべにいろ)の桜の絵柄を大きく使い、「JAPAN」の文字や、農林水産省とジェトロのロゴマークを掲げたブース。大勢の来場者が訪れている。

テロップ: ジャパンパビリオン 主催:ジェトロ

ナレーション: ジェトロは、この見本市にジャパンパビリオンを設置。

映像説明: 通常の出展ブース5小間分ほどのスペースに、半分は冷蔵ショーケースを並べ、もう半分をカウンターにしている大きなブース。冷蔵ケースの横にある腰の高さほどの木目調の仕切り部分にJAPANESE SEAFOOD」のロゴがあり、「FOOD」の1つ目の「O」の文字は日本国旗にある日の丸のように赤く塗られている

テロップ: シーフードブース

ナレーション: そこに、水産物や水産加工品をPRするプロモーションブースを設けて、

映像説明: 冷蔵ショーケースにたくさんの種類の魚が並んでいる。真っ赤なキンメダイ、こげ茶色(こげちゃいろ)のヒラメ、銀色に光るサバ。尾頭付きの魚が並ぶ中に1尾だけ、頭を切り落とされたブリが置かれている。そばに漢字で「壽司(すし)」と書かれた赤いちょうちんが2つ置かれている。 来場者たちが冷蔵ショーケースの魚を興味深そうにのぞき込んだあと、笑顔で話をしている。

ナレーション: ホタテ、タイ、ブリ、アマダイなど、日本が世界に誇る水産物の、さらなる輸出拡大を後押しした。

映像説明: シーフードブースのカウンターの中にいた木和田社長が、通路沿いに置かれた丸いテーブルへ歩み寄り、テーブルの上に置いた試食品の容器につまようじを置き始める。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): 競合他社との差別化 “みかんブリ”で米国市場へ

テロップ: 宇和島プロジェクト 木和田 権一 社長

ナレーション: そこには、参加企業の1つ、「宇和島プロジェクト」、木和田社長の姿が。

映像説明: 「JAPANESE SEAFOOD」のロゴ入りのバックボードの前で、木和田社長がインタビューに答える。

テロップ: 宇和島プロジェクト 木和田 権一 社長

木和田社長: 新しい、あのー、フルーツフィッシュの、ま、みかんブリを、あのー、市場調査として、持ってきて、どういう反応が出るかということと、 あと、あの、今回、ブリの照り焼き、それの市場調査、っていうかたちで、あの、反応を聞きに来ました、はい。

映像説明: 黒いプラスチックカップに1枚ずつ刺身を入れ、しょうゆを垂らした試食品が、カウンターにずらりと並んでいる。 黒いプラスチックカップに盛られた、張りのある肉質の、薄桃色(うすももいろ)の刺身のアップ。

ナレーション: この企業がアメリカ市場へ売り込もうとしている、みかんブリとは、愛媛産のみかんの皮を混ぜた餌を与えて育てたブリのこと。この、みかんブリは、どのような環境で育てられているのだろうか?

映像説明: 入り江の小さな漁港の上方(じょうほう)に、自動車道の橋が架かっている。橋の奥にはなだらかな山並み、手前には広大な駐車場が隣接する青い箱形の建物が見える。 画面左下の四角い枠内に愛媛県の地図が緑色(みどりいろ)で表示される。南西部に位置する宇和島市が赤い星印で示されている。

ナレーション: 宇和島プロジェクトの本社・工場があるのは、愛媛県南部、瀬戸内海に面する宇和島市。

映像説明: 青い箱形の建物の外観。壁に白抜きの英文字で「UWAJIMA PROJECT」と書かれている。 白い壁の部屋のオフィス。4人掛けの木目調のテーブルやパソコンを備えたデスクが並んでいる。6人から7人の女性や男性のスタッフが、それぞれデスクで仕事をしている。

テロップ: 宇和島プロジェクト

ナレーション: 従業員およそ90人の、水産業をなりわいにしている企業だ。

映像説明: 海上を走る船の上からの風景。波静かな海面に設置された生けすの、10m四方ほどの銀色の囲いが、いくつも連結されて浮かんでいる。

ナレーション: さっそく、みかんブリを養殖している生けすを見せてもらうと…。

映像説明: 銀色の囲いの上方(じょうほう)に渡した橋に、1つ20kgから30kgはありそうなベージュ色(いろ)の袋が積まれている。黒い服を着た男性が袋の中の粒を生けすにまくと、真下で激しく水しぶきが上がる。 激しく水しぶきが上がる海面のアップ。

テロップ: みかんブリの養殖数 いけす1基あたり約3,500尾 全体で約13万尾

ナレーション: 餌をまくと、活きのいいブリが一斉に群がる。この生けす1基あたり、およそ3,500尾のみかんブリを養殖しており、全体で、およそ13万尾のブリを養殖している。

映像説明: 薄茶色(うすちゃいろ)のペレット状の餌のアップ。表面に点々と、オレンジ色(いろの)みかんの皮のようなものが見えている。

テロップ: エサに「みかんの皮」などが混ぜこまれている

ナレーション: 与える餌には、「みかんの皮」などが混ぜこまれている。

映像説明: 白い壁の加工場。ベルトコンベヤーで流れてきた尾頭付きのブリが、手前の水色のコンテナに次々と落ちていく。 白い衛生服と帽子、二の腕まである水色の手袋を身につけたスタッフが、白いまな板を置いた作業台の上で、ブリのフィレを丁寧に水洗いし、黄色(きいろ)の浅いコンテナに入れる。 黄色(きいろ)の浅いコンテナに入ったフィレを、スタッフが1枚1枚、ベルトコンベヤーに載せていく。

ナレーション: この餌によって、ほのかなかんきつ系の香りがする養殖ブリを、「みかんブリ」と名付け、ブランド魚(ブランドざかな)として出荷。

映像説明: ビニールパックに入ったフィレが、ベルトコンベヤーの途中にあるプレス機で真空パックされて出てくる。

ナレーション: 社長に、このようなブランド魚(ブランドざかな)を開発した経緯を聞くと…。

映像説明: 大型の液晶モニターの前で木和田社長がインタビューに答える。モニターには、宇和島プロジェクトの企業紹介のビデオが流れている。 「みかんブリ」の生産の流れを3段階で描いたイラスト。画面左端の「みかんのジュース工場」の文字と2本の煙突がある工場のイラストから右向きの矢印が出て、中央の「みかんの皮・搾りかす」の文字とみかんの皮のイラストから、さらに右向きの矢印が出て、「みかんの皮などを混ぜた餌を魚に与える」の文字と海中にいる2匹の魚に餌をあたえているような右端のイラストにつながっている。 大型の液晶モニターの前で木和田社長が話を続ける。

テロップ: 宇和島プロジェクト 木和田 権一 社長

木和田社長: あの、愛媛といえば、あの、かんきつ王国なんですけど、 みかんジュースを絞った皮をですね、今までは廃棄されてたんですけど、結構ビタミンCがまだまだ豊富に残ってるんですね。それをあの、魚に入れることによって、 (ブリの)鮮度劣化がどうにか保てれないかという実験を基に行った(おこなった)んですけど、 実はその、鮮度劣化(を防ぐ)だけではなくて、かなり、あのー、かんきつの香りが、あの、魚に付いて…。

映像説明: 白い壁の、みかんブリの加工場。白い衛生服と水色の帽子、丈の長い水色のエプロンを身につけたスタッフが、ベルトコンベヤーで流れてきた真空パック済みのフィレを次のコンベヤーへ載せ替える。次のコンベヤーの途中にはアクリルのフードがあり、その横に、重量などの数値が表示されたモニターがある。 ベルトコンベヤーの終点。ハンディースキャナーを持ったスタッフがフィレの真空パックをスキャンしたあと、発泡スチロールの箱に詰めていく。手前にいる別のスタッフが、フィレの真空パックを、スキャン作業をしているスタッフに渡している。

ナレーション: こうして出来た、みかんブリ。これまではシンガポールや中国、台湾などに輸出していたが、コロナ禍により輸出量が大幅に減少した。

映像説明: 大型の液晶モニターの前で、木和田社長がインタビューに答える。モニターには、漁港でブリを水揚げする様子から、工場での加工までの様子をまとめたビデオが流れている。

テロップ: 宇和島プロジェクト 木和田 権一 社長

木和田社長: 去年(2023年)の5月にですね、コロナが明けたあとに、さあ、営業しようと、また、あの、中国であったり、シンガポールであったり、そういうところで、 その、えー、なかなか中国にも輸出できないところで、今回、アメリカっていうところで、舵を切ってですね、やらさしていただいてるっていうかたちですね。

映像説明: 白い壁の倉庫。黄色(きいろ)のヘルメットをかぶったスタッフが、大型の水色のコンテナをフォークリフトで隣接している場所に格納している。 発泡スチロールの化粧箱に入った尾頭付きのブリ。尾のそばに、みかんやブリの写真に商品ロゴを重ねたパネルが立てられ、奥に波静かな海面が見えている。

ナレーション: こうした事情から、中国に代わる新たな市場を開拓するため、アメリカ進出を図ることにした木和田社長。みかんブリはアメリカ市場に受け入れられるのか?

映像説明: 見本市会場の一角。こげ茶色(こげちゃいろ)とオレンジ色(いろ)を基調としたデザインの特設キッチンで、チャコールグレーのエプロンをつけてメガネをかけた男性が話している。男性の前の聴衆席で話を聴いている人もいれば、後方にあるテーブル席で軽食を取っている人もいる。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): 米国 水産物市場 日本のシーフードに商機!?

テロップ: 米国 ラスベガス

テロップ: Winter Fancy Food Show(ウインター ファンシー フード ショー) 2024で行われた ライブキッチン

ナレーション: 見本市会場で行われたライブキッチン。

映像説明: チャコールグレーのエプロンをつけた男性が、白身魚(しろみざかな)の切り身が載ったバットと、8cm×10cmほどの大きさの昆布を持っている手元。 こげ茶色(こげちゃいろ)とオレンジ色(いろ)を基調としたデザインの特設キッチンで、エプロンとヘッドマイクをつけた男性が、満席の観衆を前に調理の実演をしている。

ナレーション: ホタテなど、日本産(にほんさん)の魚介類を、その場で調理するデモンストレーションが行われた。みかんブリも現地の有名シェフが腕を振るい、来場したバイヤーたちにアピール。

映像説明: 会場内の一角。赤いノースリーブのカットソーを着てメガネをかけた女性と、あごひげを生やしてニットキャップをかぶった男性の2人連れが、黒いプラスチックカップに入った試食品(ししょくひん)をフォークで口へ運んでいる。 赤いチェックのシャツを着た男性が、黒いプラスチックカップに入った試食品(ししょくひん)をフォークで口へ運ぶ。

ナレーション: 興味津々で集まった人たちに、アメリカで流通しているブリとの違いを知ってもらうため、生のみかんブリを試食してもらった。果たして…?

映像説明: 赤いチェックのシャツを着た男性が、試食を終えてインタビューに答える。

テロップ: シェフ

シェフ・英語: すばらしいです。 スモーキーな部分があり、甘さのバランスが取れています。 すべての香りが上手く整っていて、食感も(しょっかんも)、すばらしいです。

映像説明: ジャパンパビリオンのシーフードブース。たくさんの来場者でにぎわっている。

テロップ: シーフードブース

ナレーション: 一方、シーフードのブースでは、

映像説明: 冷蔵ショーケースに、たくさんの種類の魚が並んでいる。真っ赤なキンメダイ、こげ茶色(こげちゃいろ)のヒラメ、銀色に光るサバ。尾頭付きの魚が並ぶ中に1尾だけ置かれた、頭を切り落とされたブリがクローズアップされる。

テロップ: 頭をカットした「みかんブリ」

ナレーション: アメリカの人たちが苦手とする、とがった頭をカットした、「みかんブリ」。

映像説明: 紺色の半袖のユニフォームを着て黒い衛生手袋をはめたスタッフが、みかんブリの柵を刺身にしていく手元。

テロップ: 加熱後もみかんの風味が残る

ナレーション: 加熱しても、みかんの風味が残るため、その特徴を生かして、宇和島プロジェクトが売り込んだのは…。

映像説明: こげ茶色(こげちゃいろ)のたれを絡めた魚の切り身が12枚、ホットプレートの上で湯気を立てている。 ホットプレートの上で加熱されている魚の切り身のアップ。

テロップ: ブリの照り焼き

ナレーション: 日本でおなじみの、ブリの照り焼きだ。

映像説明: ジャパンパビリオンのシーフードブース。白髪交じりの短髪であごひげを生やした男性や丸刈りで黒いTシャツを着た男性が、みかんブリの刺身を試食している。

ナレーション: アメリカで初めて見るみかんブリに、次から次へとバイヤーの手が伸びる。

映像説明: ジャパンパビリオンのシーフードブースの近くの通路で、洋酒瓶の絵柄のシャツを着た男性がインタビューに答える。

テロップ: バイヤー

バイヤー・英語: 食感も(しょっかんも)よくて、本当に、すばらしい味ですね。 みかんの風味も、すばらしいです。 ブリは、店によって、かなり違いがあるのですが、 みかんブリは、とても高品質かつ新鮮で、おいしかったですね。

映像説明: ジャパンパビリオンのシーフードブースの前で、木和田社長が、黒いジャンパーを着てメガネをかけた男性と話している。ひとしきり言葉を交わしたあと、黒いジャンパーを着てメガネをかけた男性が「オーケー」のハンドサインを見せる。

ナレーション: 評価は上々だ。早速、バイヤーの1人が、木和田社長と商談をするためにブースにやって来た。

映像説明: 壁に浮世絵風の荒波の絵が掛けられたスペース。白い長机(ながづくえ)を挟んで、木和田社長と黒いジャンパーを着てメガネをかけた男性が座り、ほかに数人の男性や女性が同席している。手ぶりを交えて話す木和田社長がズームアップされる。

ナレーション: 初挑戦となるアメリカでの商談とあって、木和田社長もトークに熱が入る。バイヤーの評価は…?

映像説明: 木和田社長と商談をしていたスペースで、黒いジャンパーを着てメガネをかけたバイヤーの男性がインタビューに答える。 シーフードブースでバイヤーが試食をしている様子。試食品の刺身を口へ運びながら、男性スタッフと話をしている。 木和田社長と商談をしていたスペースで、黒いジャンパーを着てメガネをかけた男性が話を続ける。

テロップ: バイヤー

バイヤー・英語: 実際に顧客にサンプル(みかんブリ)を送って意見を聞く予定です。 ユニークな風味の魚なので、きっと気に入ってもらえると思います。 一緒に仕事をすると思いますし、商品(みかんブリ)にも期待しています。

映像説明: ジャパンパビリオンのシーフードブース。通常の出展ブースの5小間分ほどのスペースに、半分が冷蔵ショーケース、残りの半分がカウンターの、大きなブースが設けられている。冷蔵ケースの横にある腰の高さほどの木目調の仕切り部分にJAPANESE SEAFOOD」のロゴがあり、「FOOD」の1つ目の「O」の文字は日本国旗にある日の丸のように赤く塗られている。 シーフードブースの前に「JAPANESE SEAFOOD」のロゴ入りの紺色のシャツを着た日本人男性(にほんじんだんせい)が立ち、うなずきながら話を聞いている。

テロップ: ジェトロ ロサンゼルス事務所 水産アドバイザー 百瀬 慶広(ももせ よしひろ)

ナレーション: 今回、シーフードのブースを取りまとめていたジェトロの百瀬は、アメリカで市場を広げるためには、一般家庭への普及が不可欠で、現地の人たちの特徴を理解することが大切だと言う。

映像説明: ジャパンパビリオンのシーフードブースの前で百瀬がインタビューに答える。 試食品の黒いプラスチックカップが並ぶ、シーフードブースのカウンター。髪をポニーテールにした女性来場者と、「JAPANESE SEAFOOD」のロゴ入りの紺色のシャツを着た女性スタッフが、カウンターを挟んで談笑している。 シーフードブースの前で百瀬が話を続ける。

百瀬: やはりあの、(米国内でも)地域性、大きく違いまして、えー、例えばテキサス(国境沿い)のほうであったりとか、えー、沿岸部、または、デンバー(内陸部)、 それぞれ、やっぱり人種構成も、比率も違いますしね。 どこをターゲットにして、えー、正しいアイテム(適切な物)をぶつけていくのか、っていうことが大事になってくると思うんですね。 正しい(適切な)ものを持っていけば、必ず商機はあると思ってるんで。

映像説明: 宇和島プロジェクトがある、愛媛県宇和島市の入り江。小さな漁港の上方(じょうほう)に、自動車道の橋が架かっている。橋の奥にはなだらかな山並み、手前には広大な駐車場が隣接する青い箱形の宇和島プロジェクトの社屋が見える。

ナレーション: 商談から1ヵ月後、

映像説明: 宇和島プロジェクトの社内。大型の液晶モニターの前で、木和田社長が話をしている。

テロップ: 宇和島プロジェクト 木和田 権一 社長

ナレーション: 宇和島プロジェクトは無事に商談をまとめ、次のステップに進んだと話す。

映像説明: 大型の液晶モニターの前で、木和田社長がインタビューに答える。

木和田社長: もうあの、すでにですね、あのー、この、えーっと、みかんブリの、照り焼きに関しましては、 電子レンジでチン、で食べれるような商材を、今から作ろうっていうところで、もう動きが、(開発)プロジェクトチームが発足しております、はい。

映像説明: 漁港でブリを水揚げしている様子。ブリがぎっしり入った網をクレーンでつるし、船から、漁港に置かれた水色のプラスチックコンテナの上方(じょうほう)へ移動する。網の取っ手付きの柄を水色の上着を着た男性が持っている。 網がコンテナの上まで来ると、水色の上着を着た男性が柄にある取っ手を操作し、網の底面を開け、ブリをコンテナの中に落としていく。

ナレーション: アメリカの人たちが求める商材の開発を進め、さらにはバイヤーと共同で新しいブランド魚(ブランドざかな)となるブリ自体を開発する話も進んでいるという。

映像説明: 見本市の会場内。ジャパンパビリオンのシーフードブースで、白髪交じりの短髪であごひげを生やした男性や丸刈りで黒いTシャツを着た男性が、みかんブリの刺身を試食している。 壁に浮世絵風の荒波の絵が掛けられた商談スペース。白い長机(ながづくえ)を挟んで、木和田社長と黒いジャンパーを着てメガネをかけた男性が座り、ほかに数人の男性や女性が同席している。手ぶりを交えて話す木和田社長がズームアップされる。

ナレーション: 日本の魚に注目するアメリカ水産物市場。魚の質や調理方法の工夫により、今後、さらなる輸出拡大が期待できそうだ。

映像説明: 水色のグラデーション背景画。画面の右側で地球の陸地部分だけが点描され、中が空洞になった地球儀のグラフィックイメージが回転している。

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