進化する日本の伝統文化 世界に輸出する秘訣とは
2023年12月21日
「世界は今」のアクセシビリティ対応について
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日本の伝統文化「盆栽」と400年以上続く「有田焼」。伝統を守りながら海外に受け入れられるよう、いかに進化させたか。はじめて輸出に挑戦したい、または、海外販路を拡大したい中小企業を支援する「新規輸出1万者支援プログラム」の一環で行われた商談会に参加した企業の挑戦を追った。
(12分35秒)
テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。
映像説明: 白一色の画面に、鮮やかな緑の葉を茂らせた盆栽が浮かび上がる。幹が、ひらがなの「く」の字に曲がり、枝が横に広がった松の木の静止画像。
テロップ: 盆栽
ナレーション: 日本が誇る伝統文化「盆栽」。
映像説明: 松の木の盆栽の枝を、下から見上げた映像。 赤いコイが泳ぐ池にある石の上に置かれた盆栽を、斜め上から見下ろした映像。
テロップ: “検疫”
ナレーション: 今や海外でも人気だが、輸出に必要な「検疫」が国内業者にとって大きな足かせになっている。ところが!
映像説明: 建物内の通路で、白いボタンダウンシャツを着てメガネをかけた日本人男性(にほんじんだんせい)がインタビューに答える。
白いボタンダウンシャツを着てメガネをかけた日本人男性(にほんじんだんせい): 検疫がなくても、日本(にほん)の伝統文化を凝縮されたものを 海外に輸出することができる。
映像説明: こげ茶色(こげちゃいろ)の格子があるガラス窓の前に、松の木の盆栽が並んでいる。幹の形や葉の茂り方など、どれもそれぞれに異なっている。 雑木(ぞうき)の庭を背景にして、小さな畳の上に置かれた松の木の盆栽。後ろには金の屏風が立てられている。 こげ茶色(こげちゃいろ)のデスクの上に、ノートパソコンやスマートフォンと並べて、小さな盆栽が置かれている。 白い壁の前に置かれた盆栽。こんもりと葉を茂らせた松の木が、浅い四角形の鉢に根を張っている。
ナレーション: こちらの美しい盆栽、なんと検疫を受けることなく輸出できるという。その秘密とは!?
映像説明: パーティションで区切られたスペース。長机(ながづくえ)が向かい合わせで並べられている。グレーのジャケットを着た日本人男性(にほんじんだんせい)が、若草色(わかくさいろ)と白のまだら模様のタンブラーを紙の包みから取り出している。長机(ながづくえ)の上には紫色のロックグラスサイズの器も置かれている。 長机(ながづくえ)上に、金色のフタつきの茶わんと茶たく、銀色の丸みのあるカップなども追加され、いずれもメタリックな質感をした、さまざまな形の器が並べられている。さらに紙の包みからメタリックな青いとっくりなどが取り出され、置かれる。
テロップ: 有田焼の進化
ナレーション: さらに、400年続く伝統工芸品、有田焼も海外向けに進化を遂げていた!
映像説明: 長机(ながづくえ)の上に並べられたカラフルな器。いずれの器にも、メタリックな質感がある。 建物内の通路で、グレーのジャケットを着た日本人男性(にほんじんだんせい)がインタビューに答える。
グレーのジャケットを着た日本人男性(にほんじんだんせい): 磁器、なんだけど、あのー、メタリックな感じとか、 今まで表現できなかったものができてるという、思っておりますので。
映像説明: 暗い照明の中に、器が並んでいる。次第に照明が明るくなり、器の絵柄や質感を浮かび上がらせていく。白地に藍色の抽象柄のカップ、黒っぽい凹凸のある地紋柄のカップ、赤黒い色をしたマグカップなどが並んでいるのが分かる。
テロップ: メタリックな有田焼
ナレーション: これまでの常識を覆す、メタリックな有田焼が誕生した背景とは?
映像説明: ステンレス製のたらいのような容器にチャコールグレーの液体が口いっぱいまで入っている。白い器を持った手が、ひじまで浸かりながら容器を液体にくぐらせ、色をつけていく工程の様子。 手回しのろくろの上に紺色の凹凸のある地紋柄の器を伏せ、ろくろを回しながら筆を使って色をつけている手元の様子。 数本束ねた太い茶色の針金に、松葉のパーツを取りつけていく手元の様子。 松の木などの盆栽が並ぶ棚の前で、3人の女性が針金や筆を使って作業をしている。
テロップ: 進化する日本の伝統文化 世界に輸出する秘訣とは
ナレーション: 日本が培ってきた伝統が、形を変え、世界中に輸出されていく。そこに隠された企業の戦略と、その挑戦を追った。
映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。各国のさまざまな人々の笑顔や、農作物(のうさくぶつ)を収穫している様子、ガントリークレーンが並んでいる港、緑色(みどりいろ)の仏像、小型飛行機や新幹線、バイクなどの乗り物や生き物など、世界中のいろいろな写真が現れて白い画面を埋めていく。連なった写真に重なるように世界地図のCGが浮かび上がり、中央に紺色の文字で「世界は今 JETRO Global Eye(ジェトロ グローバル アイ)」と書かれたタイトルテロップが表示される。
映像説明: オフィスビルの屋内。ゆるやかな曲線形(きょくせんけい)のカウンターに、「受付」と書かれた紙が貼られている。カウンターの中央部には「JETRO(ジェトロ)」のロゴがあり、カウンターの中に2人の女性が座り、1人の男性が立っている。 建物内の通路。ドアに「国内輸出商社との商談会」などと書かれた紙が貼られている。
サイドテロップ(画面右上に常時表示): 日本の伝統文化を海外へ 誕生400年“有田焼”の進化
ナレーション: 東京都内の会場。そこで行われていたのは「国内輸出商社との商談会」。
映像説明: 商談会の会場。広い会議室を、かぎ型に立てた白いパーティションで区切り、複数のブースを設けている。出入り口付近やブースの中に人の姿がちらほらと見える。 出入り口付近に置かれたいすに座る来場者がパンフレットをまとめている。 ブースが並ぶ商談会の会場を、ひと巡り見渡す。どのブースでも、数人のビジネスパーソンが長机(ながづくえ)を挟んで商談している。
テロップ: 国内輸出商社との商談会 「新規輸出1万者支援プログラム」の一環 輸出を目指す企業が商談を行う
ナレーション: これはジェトロが事務局を担い、特に、初めて輸出に挑戦したい中小企業や新しい輸出先を探す中小企業を支援する「新規輸出1万者支援プログラム」の一環で行われた。
映像説明: 会場に設置されたブース内の様子を映しながらカメラが移動していく。どのブースも、出入り口に企業名を書いた紙が貼られている。
ナレーション: 会場に設けられた複数のブース内では、各企業が自社の商品を海外に売り込むべく、商談を行っていた。
映像説明: 出入り口に「霜山(しもやま)株式会社」と書かれたブース。向かい合わせで並べられた長机(ながづくえ)の片側に黒いTシャツを着た男性、もう一方の側に、グレーのジャケットを着た日本人男性(にほんじんだんせい)と丸刈りでメガネをかけた日本人男性(にほんじんだんせい)が座っている。長机(ながづくえ)の上には、カラフルでメタリックな質感の磁器が並んでいる。 カメラが長机(長机)の上に置かれた器をズームアップする。金色のフタつきの茶わんと茶たく、若草色(わかくさいろ)と白のまだら模様のタンブラー、紫色のロックグラスサイズの磁器などが並んでいる。
ナレーション: そのブースの1つをのぞいてみると…。商談中のデスクの上には、カラフルな色合いの磁器が、ずらり。
映像説明: 黒いTシャツを着た男性とグレーのジャケットを着た日本人男性(にほんじんだんせい)が、長机(ながづくえ)を挟んで座っている。グレーのジャケットを着た日本人男性(にほんじんだんせい)が、若草色(わかくさいろ)と白のまだら模様のタンブラーを持ちながら話している。黒いTシャツを着た男性がうなずきながら話を聞いている。
テロップ: 金照堂(きんしょうどう) 金子 真次(かねこ しんじ) 社長
金子社長: 有田焼創業400年、で、オリジナルブランドを作るべく、開発したものですね。
映像説明: 黒いTシャツを着た男性が、左手に紫色のロックグラスサイズの器を持ち、右手でスマートフォンを操作している。左手に持った紫色のロックグラスサイズの器がズームアップされる。
テロップ: 有田焼
ナレーション: 中国への輸出を請け負う商社に金照堂(きんしょうどう)の金子社長が売り込もうとしているのは、有田焼。
映像説明: 長机(ながづくえ)に置かれたカラフルでメタリックな質感の磁器。金色のフタつきの茶わんと茶たく、若草色(わかくさいろ)と白のまだら模様のタンブラー、青いとっくりなどが並んでいる。 左下の四角い枠に、しま模様や唐草模様などの、有田焼の青磁の皿を並べた写真が表示される。写真の下に「伝統的な有田焼」とテロップが表示される。
ナレーション: しかし、取り出された商品は、伝統的な有田焼と比べてみると、ずいぶんと色合いが違うもよう。
映像説明: カラフルでメタリックな質感の磁器が置かれた長机(ながづくえ)を前に、金子社長が商品を手で示しながら説明する。向かい側の席から、黒いTシャツを着た男性がスマートフォンで並べられた磁器を撮影している。
金子社長: メタリックな、雰囲気の、非日常のような感じ、を、表現する有田焼。
映像説明: 暗い照明の中にうっすらと器の形が見える。次第に照明が明るくなり、メタリックな質感の器が見えてくる。画面の右に紫色の地紋柄の上に黒い帯を巻いたデザインのタンブラーが浮かび上がり、画面の右には「麟 Lin Japan(リン ジャパン)」の文字、続いて、画面の表面に六角形の型が押された赤銅色(しゃくどういろ)のマグカップと「麟 Lin NY(リン ニューヨーク)」の文字、最後に不ぞろいの小さな丸を集めた凹凸のある地紋柄の墨色(すみいろ)の器と「麟 Lin Awa(リン アワ)」の文字が映し出される。
ナレーション: そう、金照堂(きんしょうどう)の作製したオリジナルブランド「麟シリーズ」は、まるで金属のような質感と、見る角度で変化するつややかな色彩が特徴の有田焼なのだ。
映像説明: 高い吹き抜けのある、モダンな建物の内部。青空の写真に白抜きで「NY NOW(ニューヨーク ナウ)」のロゴが入ったタペストリーが下げられ、その下を人々が通り抜けていく。 NY NOW Summer 2019(ニューヨーク ナウ サマー 2019)の会場内。さまざまな工芸品が展示された場内を来場者がゆったりと見て回っている。
テロップ: 米国 ニューヨーク
映像説明: 濃いグレーのパーティションで区切られたブース。紺色に白抜きの文字で「麟Lin Japan(リン ジャパン)」と書かれたパネルが掲示されている。濃いグレーの壁の中ほどに奥行きの浅い棚、その下に奥行きの深い棚が設けられ、カラフルな磁器がディスプレーされている。 奥行きの深い棚のアップ。コーヒーカップのセットや、大小の皿、しずく型の器などが展示されている。 濃いグレーのパーティションで区切られたブースで、金子社長と5人の女性や男性が並んで立っている写真。金子社長は胸の前に「NY NOW(ニューヨーク ナウ)」のロゴが入った額縁を持っている。
テロップ: 金照堂(きんしょうどう)「麟(りん)(Lin Japan(リン ジャパン))」 北米最大級の国際見本市「NY NOW Summer 2019(ニューヨーク ナウ サマー 2019)」 アクセサリー部門で「BEST IN SHOW」を受賞
ナレーション: 海外での評価は高く、北米最大規模のライフスタイル・ギフト関連の見本市「NY NOW(ニューヨーク ナウ)」に佐賀県の支援で出展した際、アクセサリー部門の最高賞である「BEST IN SHOW」を受賞している。
映像説明: メタリックな質感の磁器を集めた写真。赤、青、ゴールドなどカラフルな朝顔型のカップ、グレーや青の皿、紫色の急須が並べられている。画面の右隅に、白抜きで正方形の商品ロゴマークと「lin japan(リン ジャパン)」のロゴが入っている。 紫色の大皿と、若草色(わかくさいろ)の皿を重ねて置いている写真。周りに、同じ柄のカラフルなカップや角皿(かくざら)が映っている。画面の右隅に、白抜きで正方形の商品ロゴマークと「lin japan(リン ジャパン)」のロゴが入っている。
テロップ: “日本の伝統を守りたい”
ナレーション: この「麟シリーズ」が生まれた背景には、日本の伝統を守りたいという強い思いがあった。
映像説明: 建物内の通路で、金子社長がインタビューに答える。 メタリックな質感の朝顔型のカラフルなカップが並んでいる写真。右隅に、白抜きで正方形の商品ロゴマークと「lin japan(リン ジャパン)」のロゴが入っている。
テロップ: 金照堂(きんしょうどう) 金子 真次(かねこ しんじ) 社長
金子社長: 目の前に、有田焼創業400年が来ると、いうことが分かってましたんで、 有田焼を持続的に、あのー、高めていくには、海外展開が欠かせないという。 あのー、いろんな国にも、あのー、好んでくださる方(かた)はいらっしゃるんじゃないかなと、思っております。
映像説明: ろくろで磁器の形を整える手元。高速で回転する器に金属のへらを当てると、白く細かな粉が飛び散る。 手回しのろくろの上で、紺色の凹凸のある地紋柄の器やベージュ色(いろ)の凹凸がある器を伏せ、それぞれ、器に筆で色をつけている手元。
ナレーション: 創業400年を迎えた有田焼をさらに進化させ、日本のみならず世界中にアピールするために、海外受けする「メタリックカラー」が誕生したのだ。
映像説明: 金子社長と丸刈りでメガネをかけた日本人男性(にほんじんだんせい)、黒いTシャツを着た男性が、カラフルな器が並ぶ長机(ながづくえ)を挟んで商談している。丸刈りでメガネをかけた日本人男性(にほんじんだんせい)をズームアップする。
テロップ: 新輸出大国コンソーシアム パートナー 片山 健(かたやま たけし)
ナレーション: すでにアメリカには展開しているが、コロナ禍が明けたタイミングで、本格的に海外輸出を考え、商談にはジェトロの個別支援を行う専門家も同席した。
映像説明: 黒いTシャツを着た男性が、スマートフォンで紫色のロックグラスサイズの磁器の写真を撮っている。
ナレーション: 実際に商品を見た商社は…。
映像説明: 黒いTシャツを着た商社の男性が、長机(ながづくえ)を前にインタビューに答える。
テロップ: 霜山(しもやま) 営業部 鄭 暁龍(テイ ギョウリュウ) 課長
鄭課長: やっぱり、非常に美しいんですかね。目が、あの、自然にいっちゃうので。 すごい、いいなあと思います。はい、ぜひぜひ展開させていただきたいと思います。
映像説明: フローリングの床にテーブルやいす、ソファーなどが置かれたカフェのようなスペース。黒い飾り棚に、カラフルでメタリックな磁器のタンブラーがディスプレーされ、手前にある黒い台の上に50cmほどの大きさの細口花器が置かれている。 木目のテーブルに、表面に六角形の型が押されたデザインの器とティーポットが、色違いで並んでいる。 白いテーブルに、紫色とグレーの色違いで磁器のワイングラスが置かれている。
ナレーション: 新たな形に進化した有田焼。金子社長は、今後は、さらにグローバルな展開を想定しているという。
映像説明: 建物内の通路で、金子社長がインタビューに答える。 チャコールグレーのテーブルに、メタリックカラーの緑色(みどりいろ)の皿が重ねて置かれている写真。皿の上には、ミカンを輪切りにしたドライフルーツが2枚載っている。 黒いテーブルに、メタリックカラーの緑色(みどりいろ)や青の器をディスプレーした写真。 こげ茶色(こげちゃいろ)のテーブルの上に、六角形の型が押された渋いゴールドの皿をディスプレーした写真。 不ぞろいの小さな泡のような丸が集まった地紋柄の墨色(すみいろ)のタンブラーのアップ。
金子社長: アメリカでよく、展示会で言われたのが、中東やインドに、うちの商材、向いているというふうに言われてたので、 そういったところも視野には入れてます。
映像説明: 商談会の会場になっている広い会議室。中央を大きく空け、両側に白いパーティションで区切ったブースが並んでいる。10人ほどの男性や女性のビジネスパーソンが、それぞれのブースに分かれて入っていく。
サイドテロップ(画面右上に常時表示): 進化する日本の伝統文化 人工盆栽が持つメリットとは
ナレーション: 海外を視野に伝統を進化させたのは、金照堂(きんしょうどう)だけではない。
映像説明: 会場の出入り口付近に並べられたいすに、白いボタンダウンシャツを着てメガネをかけた日本人男性(にほんじんだんせい)が座っている。
テロップ: J‐和インターナショナル(ジェーわインターナショナル) 梶原 亨(かじはら とおる) 社長
ナレーション: 今回、初めて輸出商社との商談に臨もうとしていたのは、J‐和インターナショナル(ジェーわインターナショナル)の梶原社長。
映像説明: 白い壁の部屋で、黒い革張りのソファーに座った梶原社長がインタビューに答える。
テロップ: J‐和インターナショナル(ジェーわインターナショナル) 梶原 亨 社長
梶原社長: 海外展開をするのが目的で創業したものですから、 日本(にほん)の伝統文化に関係する商品、弊社の商品なんかを扱っていただきながら、 うまくこう、日本文化(にほんぶんか)を、あのー、伝えていければいいかなというふうに思っております。はい。
映像説明: 商談会のブース。白いシャツを着た男性が、長机(ながづくえ)にノートパソコンを開いて座っている。梶原社長が、向かい側の席に座りながらあいさつを交わし、長机(ながづくえ)の上に小さな盆栽を出して並べ始める。
ナレーション: 海外を見据えたJ‐和インターナショナル(ジェーわインターナショナル)の商品とは…。
映像説明: 長机(ながづくえ)の上に並べて置かれた、3つの小さな盆栽のアップ。小冊子の束を取り出し卓上に置く梶原社長の手元も見える。
テロップ: 盆栽
ナレーション: 盆栽。この小ぶりな盆栽の特徴とは。
映像説明: 梶原社長が、白いシャツを着た男性に盆栽の説明をしている。 説明をしている梶原社長のバストアップ。小さな盆栽の、松葉や幹、鉢の中の土(つち)などを1つ1つ指先でさし示しながら話している。
梶原社長: これ、プラスチックで、ま、紙ですね。紙と針金でできていて、 中は(なかは)紙粘土。
映像説明: 白い棚に松の木の盆栽が置かれている。
テロップ: A‐BONSAI(エー ボンサイ)
テロップ: 人工盆栽
ナレーション: J‐和インターナショナル(ジェーわインターナショナル)が手がけるのは、「A‐BONSAI(エー ボンサイ)」というブランド名の人工盆栽。
映像説明: 正方形の鉢に入った盆栽のアップ。アルファベットの「S」の形にくねらせた幹に、バランスよく枝が張り、葉が茂っている。
テロップ: A=Artificial(人工的)
ナレーション: 「A」というのは「Artificial。つまり「人工的」の略で「Artificial Bonsai」という意味だ。
映像説明: 石畳の上に置かれた松の木の盆栽。太い幹がまっすぐに立ち、鉢には鮮やかな緑色(みどりいろ)の苔がむしている。
ナレーション: まるで本物と見間違うくらい精巧に作られている。
映像説明: 白い棚に置かれた人工盆栽を、根元のほうから見上げた映像。次第に枝先のほうへズームしていく。 松葉のアップ。放射状に開いた葉の中心にある花の部分まで、本物そっくりに作り込まれている。
テロップ: 海外展開を視野
ナレーション: だが、なぜ、わざわざ本物そっくりの人工盆栽を作るのか? そこには、海外展開を視野に入れた理由があった。
映像説明: 建物内の通路で、梶原社長がインタビューに答える。
梶原社長: 人工物である、ということから、「検疫」の必要性がないというところになります。はい。 検疫がなくても、日本の伝統文化を凝縮されたものを 海外に輸出することができる。ええ、これがポイントだというふうに思っています。
映像説明: 白一色の画面に、鮮やかな緑の葉を茂らせた人工盆栽が浮かび上がる。幹が、ひらがなの「く」の字に曲がり、枝が横に広がった松の木の静止画像。 松の木の人工盆栽の枝を、下から見上げた映像。
テロップ: 通常の盆栽 生木や土(つち)を使用しているので 国によっては検疫のハードルが高い
ナレーション: 通常の盆栽だと、生木や土(つち)を使用するので、国によっては検疫のハードルが高く、輸出が難しい。
映像説明: 赤いコイが泳ぐ池にある石の上に置かれた人工盆栽を、斜め上から見下ろした映像。
テロップ: 人工の盆栽 生木や土(つち)を使用しないので 検疫が不要になり手軽に輸出可能
ナレーション: しかし、人工盆栽だと検疫は不要になり、手軽に輸出することが可能になるのだ。
映像説明: 水色の背景に浮かび上がっている人工盆栽の写真。白い背景の前に太い幹がまっすぐ立ったもの、白い背景に左に傾いた幹が長く伸び、先端に少し葉がついたもの、こんもりと葉が茂ったものが順に映し出される。
テロップ: 剪定などの手入れも必要なし
ナレーション: さらに、メリットは、ほかにも。枝がこれ以上成長することもないため、剪定などの手入れも必要なく、盆栽の知識がなくても飾って楽しむことができる。
映像説明: 閑静なビル街。梶原社長が歩道を歩いていく。
サイドテロップ(画面右上に常時表示): “唯一無二”精巧な人工盆栽 ものづくり職人のこだわり
ナレーション: まさに、いいこと尽くし(いいことづくし)の人工盆栽だが、一体どのようにして作られているのだろうか?
映像説明: 毛筆で「クラフト盆栽」と書かれた紙が貼られたマンションの玄関ドア。ドアが開き、ロングヘアーでメガネをかけた日本人女性(にほんじんじょせい)があいさつをしながら梶原社長を招き入れる。
梶原社長: あ、こんにちはー。いつもお世話になっておりますー。
ロングヘアーでメガネをかけた日本人女性(にほんじんじょせい): こんにちは。いらっしゃーい、どうぞー。
梶原社長: 失礼いたしまーす。
映像説明: 大きな窓から外からの光が入る室内。ガラスショーケースや白い棚いっぱいに人工盆栽が並んでいる。10人ほど掛けられる作業テーブルには、松の木の人工盆栽や松葉のパーツ、道具箱などが置かれている。ロングヘアーでメガネをかけた日本人女性(にほんじんじょせい)を含む3人の日本人女性(にほんじんじょせい)が笑顔で梶原社長を迎える。
ナレーション: 梶原社長が訪れたのは、あるマンションの1室。
映像説明: 白い棚に並べられた人工盆栽。松の木のほか、柿の木や桃の木、ミカンの木、網目模様の実をつけたミニチュアサイズのマスクメロンなどが置かれている。
ナレーション: そこには、さまざまな種類の盆栽が並べられていた。これらもすべて人工の作品だ。
映像説明: 女性たちが人工盆栽を作っているテーブルの前で、梶原社長がインタビューに答える。
梶原社長: 日本(にほん)、えー、クラフト盆栽作家協会さんに、あのー、私どもの、えー、盆栽、人工盆栽の製作を、お願いをしておりまして。 こう、江戸盆栽の、作法にのっとった、えー、こういう人工的な盆栽を作れる、えー、職人さんっていうのは、ほとんど、え、い、おらず、 こちらでしか、いらっしゃらない。
映像説明: 天井に設置された白色のライトが作業テーブルを照らしている。その作業テーブルで3人のクラフト盆栽作家の女性が淡々と人工盆栽を作っている。 横1列に並んで製作作業をしている女性たちを、横からのアングルで撮った映像。それぞれ、筆で色をつけたり、松葉のパーツを整えたり、松の木の樹形(じゅけい)を整えたりしている。
ナレーション: 10畳ほどのスペースで、職人3人体制で行われていた人工盆栽の製作。1つ1つ、職人が丁寧に手作りで作業していく。
映像説明: テーブルの上に置かれた、製作途中の人工盆栽。鉢にセットされた薄い水色の土台に、鉛筆ほどの太さの茶色い針金を束ねた幹が、根を張るように差されている。鉢の脇には松葉のパーツが並べられ、工作ばさみや千枚通しなどの工具が見える。ロングヘアーでメガネをかけた日本人女性(にほんじんじょせい)が製作工程を説明する。
撮影スタッフ: (こちらは今、何の(なんの)作業をされているんですか?)
テロップ: 日本クラフト盆栽作家協会(にほんクラフトぼんさいさっかきょうかい) 作家 青木 桃子(あおき ももこ) さん
青木 桃子さん: クラフトのワイヤーで、こう、木の、この幹の樹形(じゅけい)っていうんですか。ま、そういうのをざっくり作ってるんですね。 それで、この短く切ってある、こういったところに、今、わたくしが作ってます、こういう松っぽい枝を、こう、最初はこういうパーツなんですけれど、 これを組み合わせまして、こういうとこに、付けていくわけなんですけれど。
映像説明: 製作途中の人工盆栽のアップ。薄い水色の土台に差された10本ほどの茶色の針金の束が、くねりながら樹形(じゅけい)を表現している。
ナレーション: 針金とクラフト紙などを使って盆栽の基礎となる幹の部分を作製、
映像説明: プラスチック製の松の枝を数本まとめ、茶色のテープを巻いていく手元のアップ。
テロップ: プラスチック製
映像説明: 角度や葉の広がり具合を調整しながら、幹の部分に松葉のパーツを取りつけていく手元の様子。
ナレーション: そこにプラスチック製の松葉を、自然に見えるよう重ね合わせていく。
映像説明: 容器に入ったこげ茶色(こげちゃいろ)の粘土状の素材をスプーンで混ぜる手元。
テロップ: 粘土状の木の粉など
ナレーション: さらに、土(つち)の部分は木の粉などで作った粘土状のものを使用。
映像説明: 人工盆栽の根元がズームアップされる。本物そっくりの松の木の根元に、本物そっくりの苔がむしているように見える。 苔の部分のアップ。
テロップ: ナイロンの繊維
ナレーション: その上にある苔は、ナイロンの繊維。それを静電気の力で立ち上がるようにして、あたかも植物が自然に下から生えて見えるように工夫がされている。
映像説明: 作業台の上に置いた松の木の人工盆栽を前にして、えんじ色(いろ)のたすきを掛けた日本人女性(にほんじんじょせい)がインタビューに答える。
テロップ: 日本クラフト盆栽作家協会(にほんクラフトぼんさいさっかきょうかい) 代表作家 青木 悦子(あおき えつこ) さん
青木 悦子さん: この日本(にほん)の、この美しい自然、こういう哲学的なね、もの、そういうのをね、(海外に)知ってもらいたいかっていう、そういうのをもう、とらわれてる。 一生懸命、それをね、伝えていたい。
映像説明: 商談会のブース。長机(ながづくえ)の片側に2人の男性が座り、梶原社長が向かい側でパソコンの映像を見せながら話している。 梶原社長が長机(ながづくえ)の上に小さな人工盆栽を並べて話している。向かい側で2人の男性がうなずきながら聞いている。
ナレーション: こうした人工盆栽は海外で受け入れられるのか? 商談会でプレゼンを受けた商社の反応は。
映像説明: 梶原社長と商談をしたブースで、短髪で白いシャツを着た日本人男性(にほんじんだんせい)がインタビューに答える。
テロップ: 太洋物産(たいようぶっさん) 大澤 智哉(おおさわ ともや)さん
大澤さん: (通常の盆栽は)毎日世話しなくちゃいけない、土(つち)の問題で輸入もできない、とかっていう形になると、 やっぱり、なかなか、こう、二の足を踏んでしまうと、いう方(かた)が結構いらっしゃると思うんですよ。 これまでの、その、盆栽とは、ちょっと違うルートで、あの、ああいったもの(人工盆栽)が(輸出)できるんじゃないかなと、いうことで、 あの、私どもも非常に期待しております。
映像説明: 長机(ながづくえ)に並べられた小さな人工盆栽のアップからズームアウトし、梶原社長と大澤さんの商談の様子が映し出される。
ナレーション: そのうえで、期待できる輸出先として出てきたのは、意外な国名だった。
映像説明: 梶原社長と商談をしたブースで、大澤さんがインタビューに答える。
サイドテロップ(画面右上に常時表示): 日本の伝統文化を海外へ 南アフリカの盆栽事情とは
大澤さん: 盆栽、に関しては、あの、南アフリカも結構、盛んでして、 あの、日本(にほん)から、は、あまり(盆栽の)輸出はないようなんですが、あの、現地で、結構すでに、生産をしてたりということがあるそうで、 あの、市場としては非常に大きい。
映像説明: 緑色(みどりいろ)のテントの下に盆栽が並ぶ様子にボカシ加工をしたイメージ映像。紺色の縁取り(ふちどり)がある文字で「2022年 日本の盆栽輸出先国内訳(金額ベース)」と見出しのテロップが表示されている。
円グラフが表示され、右上から順に、グラフの内訳を示す白抜き文字のテロップが表示される。「中国21%」、「イタリア17%」、「オランダ16%」、「ドイツ15%」。続いて、数値のない「米国」、「スペイン」、「英国」、「その他」のテロップが現れ、円グラフが、ほぼ100%になる。僅かに残った赤いエリアから引き出し線が引き出され、赤い文字で「南アフリカ 0.1%」のテロップが表示される。(出所:財務省「貿易統計」)
ナレーション: 2022年の日本の盆栽の輸出先を見てみると、中国、イタリア、オランダ、ドイツなどが主な割合を占めているが、実は南アフリカで、今、盆栽に関心が高まっているのだという。
映像説明: 高台から見下ろした広大な青空の下に広がる街並み。地平線まで続く緑の木々(きぎ)に交じって、赤やオレンジ色(いろ)の住宅の屋根や高層ビル群などが見える。 ベージュ色(いろ)の石造りの建物と、黒い板塀(いたべい)に挟まれた芝生の通路。奥へ進んでいくと、緑色(みどりいろ)のテントの下にさまざまな盆栽が置かれている場所がある。盆栽は1つ1つ、大人の胸の高さほどの黒い金属の置き台に載せられている。白髪でメガネをかけた男性が、置き台のあいだを縫うようにして歩いてきて通り過ぎていく。さらに奥へ進むと、ブロックを積んで板を渡した棚に、小さめの盆栽がずらりと並んでいる。
テロップ: 南アフリカ ヨハネスブルク
ナレーション: 実際に南アフリカにある盆栽園を取材してみると…。そこには大小さまざまな種類の盆栽が、ずらり。
映像説明: 盆栽に囲まれた場所で、短髪でストライプ柄のシャツを着た男性がインタビューに答える。
テロップ: SA Bonsai(エスエー ボンサイ) オーナー アンドリーズ・ストラウス さん
ストラウス オーナー・英語: 盆栽の魅力は、一緒に座って、それを眺めて形を整え始めると、 世の中で起こっているほかのことを、すべて忘れることができるのです。
映像説明: 緑色(みどりいろ)のテントの下に盆栽が並ぶ一角。白髪でメガネをかけた男性が、枝振りの形をまねするように手を広げたり、身をかがめて枝に触れたりしている。 白髪で淡いピンク色の上着を着た女性が、盆栽に下げられた札(ふだ)を手に取って読みながら、1つ1つ見て回っている。
ナレーション: 都市化が進む南アフリカでは、街なかの緑が減ってきているという。気軽に自然が楽しめるBONSAIは、人々のオアシスとなっているようだ。
映像説明: 盆栽園の通路で、白髪で淡いピンク色の上着を着た女性がインタビューに答える。
テロップ: 盆栽園を訪れた客
盆栽園を訪れた客・英語: 異なる種類の盆栽を7つ持っています。 盆栽が大好きです。とても美しいから。
映像説明: 緑色(みどりいろ)のテントの下で、ボーダー柄のポロシャツを着た男性がシャワーで盆栽に水をやっている。 枝が直角に曲がった盆栽の根元に、シャワーから水が注がれている様子。 鮮やかな緑の葉を茂らせた人工盆栽。長方形の鉢に入った松の木が映し出される。
ナレーション: 植物の手入れが苦手な人たちも気軽に景観を楽しめ、手入れに特別な技術が必要ない人工盆栽が、今後求められていく可能性が大いにあるという。
映像説明: はさみを持って盆栽を手入れする人の手元。 ストラウス オーナーがベージュ色(いろ)の石造りの建物の前で盆栽の手入れをしている。 白い棚に並べられた人工盆栽。松の木のほか、柿の木や桃の木、ミカンの木、網目模様の実をつけたミニチュアサイズのマスクメロンなどが置かれている。 マンションの一室。日本クラフト盆栽作家協会(にほんクラフトさっかきょうかい)の女性たちが人工盆栽を製作しているテーブルの前で、梶原社長がインタビューに答える。
サイドテロップ(画面右上に常時表示): 新たな発想で世界市場へ 進化する日本の伝統文化
テロップ: J‐和インターナショナル(ジェーわインターナショナル) 梶原 亨 社長
梶原社長: どうしても生木っていうこだわりがあると、いろんな制約ができてしまう、 って、それを人工物でも、あのー、きちっと、日本(にほん)の文化を凝縮できるっていうことを考えた場合には、は、 非常に新しい発想で日本(にほん)の文化っていうのを海外に展開してるんではないかな、というに思っています。
映像説明: 有田焼の工房。グレーの長袖Tシャツを着た男性が、手回しのろくろを置いた作業机に向かい、手に持った器に筆で色をつけている。 黒っぽい急須に筆で乳白色の液体を塗る手元のアップ。 メタリックな質感の磁器を集めた写真。赤、青、ゴールドなどカラフルな朝顔型のカップ、グレーや青色(いろ)の皿、紫色の急須が並べられている。画面の右隅に、白抜きで正方形の商品ロゴマークと「lin japan(リン ジャパン)」のロゴが入っている。 マンションの一室。青木 悦子さんと青木 桃子さん、茶色いボブヘアーの日本人女性(にほんじんじょせい)が人工盆栽の製作に取り組んでいる。 苔がむした岩と緑の植栽(しょくさい)が調和する日本庭園(にほんていえん)。手前にあるの岩の上に松の木の人工盆栽が置かれている。
ナレーション: 歴史ある日本の伝統文化。令和の時代、その伝統がさらなる進化を遂げて、世界へと市場を広げている。その背景にあったのは、企業のたゆまぬ努力と情熱であった。
映像説明: 水色のグラデーション背景画。画面の右側で地球の陸地部分だけが点描され、中が空洞になった地球儀のグラフィックイメージが回転している。
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