海外で売れる日本産の農作物とは? その仕組みづくりに迫る!

2023年08月03日

海外で売れる日本の農作物とは! 成長する海外市場を取り込み農業の再生に挑むスタートアップに注目。彼らが取り組んでいる新しい壮大な仕組みづくりに迫る。

(13分11秒)

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テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: 町なかの通り。3輪自動車のトゥクトゥクや2人乗りをしたオートバイが行き交っている。パラソルが並んでいるのが見える建物と建物のあいだの狭い路地に向かって歩いていく人もいる。

テロップ: バンコク

ナレーション: タイ、バンコクの旧市街。

映像説明: 狭い路地。食料品や雑貨などを販売している露店が立ち並び、大勢の人でにぎわっている。露店の店員の声が聞こえる。

露店の店員の声・タイ語: いらっしゃいませ。こんにちは。

テロップ: 伝統的な朝市

ナレーション: 狭い路地で開かれているのは、昔ながらの朝市。

映像説明: 露店の店先にカボチャなどの野菜や魚、ドラゴンフルーツなどの果物といった、さまざまな食材が並んでいる。

ナレーション: さまざまな種類の野菜や魚、南国ならではのカラフルなフルーツ。

映像説明: パラソルを立てた露店のあいだを、大勢の人が行き交っている。

テロップ: 安くて新鮮な食材

ナレーション: 安くて新鮮な食材を求める市民でにぎわう。

映像説明: りんごやオレンジなどの果物を販売している露店。果物を並べたテーブルの周りには買い物客が集まり、ベージュ色(いろ)のTシャツを着た女性店員が接客をしている。

ナレーション: こちらは、果物を扱う店。

映像説明: 露店。ベージュ色(いろ)のTシャツを着た女性店員が左手の親指を立てながら、黄色と薄いグレーのシャツワンピースを着て黒いマスクをつけた女性客に話しかける。女性客がが筒型のパックに入ったぶどうを手に取り、女性店員に見せながら話しかける。女性店員が手ぶりを交えて価格を伝える。

ベージュ色(いろ)のTシャツを着た女性店員・タイ語: これが1番おいしいよ。

黄色と薄いグレーのシャツワンピースを着て黒いマスクをつけた女性客・タイ語: これは、いくらですか?

ベージュ色(いろ)のTシャツを着た女性店員・タイ語: 250バーツ(約1,000円)です。

映像説明: 透明なパックに詰められた赤いさくらんぼなど、露店に並ぶさまざまな種類の果物が映し出される。

テロップ: 外国産の くだもの

ナレーション: 売られていたのは、外国産の果物だ。

映像説明: 白いビニールが敷かれた箱の中にある、濃い赤色で艶のあるさくらんぼのズームアップ。

テロップ: 米国産 100バーツ(約400円)/100g

ナレーション: さくらんぼはアメリカ産で、100グラム、およそ400円。

映像説明: 積まれた大量の赤いりんごのアップ。

テロップ: ニュージーランド産 50バーツ(約200円)

ナレーション: りんごはニュージーランド産で、1つ200円。

映像説明: 積み重ねられたみかんのアップ。

テロップ: オーストラリア産

ナレーション: オーストラリア産のみかんも。

映像説明: 果物を扱う露店。黄色と薄いグレーのシャツワンピースを着て黒いマスクをつけた女性客と、ピンク色のワンピースを着て買い物袋を提げた女性客が数枚の紙幣をベージュ色(いろ)のTシャツを着た女性店員に差し出す。

ナレーション: 少し(すこし)値(ね)は張るが、次々に売れていく。

映像説明: 別の露店。ボーダー柄のTシャツを着てジーンズをはいた男性が果物を選んでいる。

テロップ: 南アフリカ産

ナレーション: 南アフリカ産の洋梨を買った男性は…。

映像説明: ボーダー柄のTシャツを着てジーンズをはき、黒いマスクをつけた男性が店先でインタビューに答える。

ボーダー柄のTシャツを着てジーンズをはき、黒いマスクをつけた男性・英語: 食べるのさ。 とても甘いよ。

映像説明: 露店が立ち並ぶ朝市の一角。果物が入ったビニール袋を提げた女性など大勢の人が狭い通りを歩いている。

ナレーション: バンコク市民の所得は、年々増えている。

映像説明: 透明なパックに詰められたいちごや、ビニール袋に詰められたキウイなどが映し出される。キウイには「Zespri(ゼスプリ)」のロゴがあるシールが貼られている。

テロップ: 伝統的な市場(いちば)で 外国産のくだものを販売

ナレーション: こうした伝統的な市場(いちば)でも、外国産の果物が日常的に売られるようになった。

映像説明: 果物を扱う露店が次々に映し出される。

テロップ: 日本のくだものは―

ナレーション: ところが、日本産(にほんさん)の果物は、まだまだ見かけることが少ない。

映像説明: 天井の配管がむき出しになっている建物の中。短髪で紺色のポロシャツを着た日本人男性(にほんじんだんせい)が、果物を販売している店舗の前でインタビューに答える。

短髪で紺色のポロシャツを着た日本人男性(にほんじんだんせい): とにかく、日本産(にほんさん)、の、青果の輸出量を増やしたい。

映像説明: 天井の配管がむき出しになっている建物の中。短髪で紺色のポロシャツを着た日本人男性(にほんじんだんせい)が、手に持った桃を鼻に近づけて香りを確かめている。 出荷場。赤いりんごが入ったいくつもの木箱がベルトコンベアの上に並べられている。 広大な農園。支柱に沿ってまっすぐ伸びた苗木の列が並んでいる。 一面に緑色(みどりいろ)の苗が植えられている農地の上を、プロペラの下にあるモータ部分が赤いドローンが飛んでいく。

テロップ: 海外で売れる日本産(にほんさん)の農作物(のうさくぶつ)とは? その仕組みづくりに迫る!

ナレーション: 新たな販路を切り開く企業に注目。彼らが目指す海外で売れる仕組みづくりとは?

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。各国のさまざまな人々の笑顔や、農作物(のうさくぶつ)を収穫している様子、ガントリークレーンが並んでいる港、緑色(みどりいろ)の仏像、小型飛行機や新幹線、バイクなどの乗り物や生き物など、世界中のいろいろな写真が現れて白い画面を埋めていく。連なった写真に重なるように世界地図の CGが浮かび上がり、中央に紺色の文字で「世界は今 JETRO Global Eye(ジェトロ グローバル アイ)」と書かれたタイトルテロップが表示される。

映像説明: 天井からつるされた「gourmet market(グルメ マーケット)」の看板がある店舗の出入り口。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): タイでも人気 日本の高級フルーツ

テロップ: バンコク

テロップ: サイアム・パラゴン

ナレーション: タイでも指折りの高級デパート。

映像説明: 店内の果物売り場。りんごやぶどう、マスカットなど、さまざまな果物が種類ごとに籠に山積みになっている。箱詰めされた贈答用の果物も陳列されている。

ナレーション: さまざまな外国産の果物が売られている。

映像説明: 果物が山積みになった籠に、品名と原産国名、価格が書かれたプレートが種類ごとに設置されている。洋梨と、ざくろ、キウイのプレートが青い枠で囲まれ、それぞれに説明テロップが追加して表示される。

テロップ: 中国産 洋なし

テロップ: ペルー産 ざくろ

テロップ: ニュージーランド産 キウイ

ナレーション: 中国産の洋梨、ペルー産のざくろ、キウイは、ニュージーランド産だ。

映像説明: 果物売り場。フロアの中央には「くだもの」と書かれた看板を立てたワゴンが設置してある。ワゴンには和柄のランプシェードがつるされ、棚には日本人形(にほんにんぎょう)や、桜の絵がプリントされたボックスが飾られている。

ナレーション: 日本から輸出されたものも…。

映像説明: 贈答用のボックスに詰められた、さまざまな種類の桃が陳列されている。中央には、桃の写真を背景に「JAPANESE FRUIT THE ULTIMATE GIFT(ジャパニーズ フルーツ ジ アルティメット ギフト)」の文字と富士山のマークが書かれたパネルが立っている。

テロップ: 日本産(にほんさん) 1,500バーツ(約6,000円)/2個

ナレーション: こちらの桃は、2つで、およそ6,000円。

映像説明: カラフルな包装紙でラッピングされたシャインマスカットやナガノパープルが、丸い台座に飾られている。シャインマスカットには「5,000 THB(タイバーツ)」と書かれたプレートが添えられている。

テロップ: 日本産(にほんさん) 5,000バーツ(約2万円)

ナレーション: なんと、2万円する商品もある。

映像説明: フロアの中央に設置されたワゴン。日本人形(にほんにんぎょう)や風呂敷、着物生地などが飾られ、和柄のランプシェードがつるされている。3段の棚には、贈答用にラッピングされた桃やシャインマスカット、ナガノパープル、りんごなどの果物が陳列されている。 陳列されているリンゴのアップ。

テロップ: 富裕層向けの高級品

ナレーション: 日本の果物は、富裕層向けの高級品として人気がある。年々、輸出量も増えてきた。

映像説明: さまざまな種類の果物が陳列された冷蔵商品棚の前。1組(ひとくみ)の買い物客が果物を指さしながら選んでいる。 短髪で紺色のポロシャツを着た日本人男性(にほんじんだんせい)が冷蔵商品棚に並んだぶどうを見つめている。

ナレーション: そこに、新たに販路を広げようと、奮闘する企業がある。

映像説明: 短髪で紺色のポロシャツを着た男性が、ぶどうなどが陳列された冷蔵商品棚を指し示しながら、インタビューに答える。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) タイ事業部 今岡 柾(いまおか まさき) さん

今岡さん: この、棚の中のひと区画を、お借りしておりまして、ぶどう、を、この季節はメインで、置かせていただいてます。 九州、福岡から、えー、輸入してきまして、えー、この棚に置いています。

映像説明: ぶどうなどが陳列された冷蔵商品棚の前で今岡さんが話をしている。

ナレーション: 今岡 柾さん。株式会社日本農業(かぶしきがいしゃ にほんのうぎょう)で、タイ市場の開拓を行っている。

映像説明: 透明なカップに入ったブルーベリーや、贈答用の箱に入ったぶどうなどが並ぶ冷蔵商品棚。 今岡さんが、少し離れた所から冷蔵商品棚のほうを眺めている。

テロップ: 高級デパートにスペースを確保 日本産(にほんさん)の農作物(のうさくぶつ)を販売

ナレーション: 複数の高級デパートに販売用のスペースを確保して、旬の果物を売ってきた。

映像説明: 買い物客が冷蔵商品棚の前で果物を選んでいる。 棚に陳列された、1房(ひとふさ)ごとに透明なパックに入ったぶどう。 今岡さんが、大量のさつまいもが積み重ねられたスペースを指さす。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) 農家から直接 農作物(のうさくぶつ)を仕入れ 自社で箱詰めして各国へ輸出

ナレーション: 日本農業(にほんのうぎょう)は、農家から直接、果物や野菜を仕入れ、自社で箱詰めし、輸出している。

映像説明: 2本ずつ袋詰めされたさつまいもが並んでいる棚。日本国旗(にほんこっき)のイラストや価格が書かれたプレートが立っている。

テロップ: 新しい仕組みづくり

ナレーション: 日本産(にほんさん)の農作物(のうさくぶつ)を世界中に広めるため、新しい仕組みづくりに挑戦する、創業から7年目のスタートアップだ。

映像説明: 果物売り場で今岡さんがインタビューに答える。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) タイ事業部 今岡 柾 さん

今岡さん: 日本(にほん)のいいものをしっかり届ける、ってことをするのは、ま、ひいては、こう、日本(にほん)の、生産者、さんとか、やっぱ農家さんのために、あの、なるかなということで、 しっかりとした、こう、顧客設定というか、顧客の、ターゲティングをしています。

映像説明: 走る車の車窓風景。背の低い建物や道路脇に止まっているキッチンカーなどが見える。 走る車の後部座席からフロントガラス越しに見える車窓風景。横断幕を掲げた建物や停車中とのトラック、横に荷台をつけて走ってくるバイクなどが見える。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): さらなる販路拡大へ 現地のニーズを探る

ナレーション: 成長する海外市場で、日本の果物の販路を増やすため、試行錯誤を繰り返している。

映像説明: 卸売市場(おろしうりいちば)。今岡さんが茶色の髪を1つに結んだ女性と歩いている。等間隔に設置された店舗の前には、それぞれ大量の段ボール箱が積み上げられている。店舗のあいだの狭い通路を人が行き交い、後部に荷台の付いた運搬用の3輪車が走っている。

テロップ: タラートタイ 卸売市場(おろしうりいちば)

ナレーション: この日、今岡さんが訪れたのは、バンコクの胃袋を支える卸売市場(おろしうりいちば)。

映像説明: 果物などを販売している店舗のあいだの通路。店舗の前には数人の人がいて、奥から後ろに荷台をつないだ自転車が走ってくる。 果物などを販売している店舗のあいだの通路を、今岡さんが茶色の髪を1つに結んだ女性とゆっくりと歩いていく。 今岡さんが店舗のあいだを歩きながら話をしている。 歩いてきた今岡さんが、箱詰めされたオレンジのようなものやリンゴなどが陳列された店の前で立ち止まる。

ナレーション: タイ国内最大規模を誇り、世界各国から運ばれてきた果物が、毎日さばかれている。今岡さんは、なじみの仲卸の店に…。

映像説明: 果物が並んだ店舗の前で、今岡さんが、白いTシャツを着た金髪の男性店員に英語で質問をする。茶色の髪を1つに結んだ女性がタイ語に通訳し、男性店員が答える。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) タイ事業部 今岡 柾 さん

今岡さん・英語: いくらぐらい安くすれば、Bグレードでも買ってもらえますか?

白いTシャツを着た金髪の男性店員・タイ語: 450~(から)500バーツ(1,800~(から)2,000円)ぐらいですね。

映像説明: 今岡さんと白いTシャツを着た金髪の男性店員、茶色の髪を1つに結んだ女性が店先に並ぶ果物を見ながら話をしている。

ナレーション: 表面にわずかに傷のある、グレードの落ちる品を取り引きできないか、可能性を探りに来た。

映像説明: 同じ店舗の全景。「THUNDERRICH」などと書かれた看板が掲げられている。 店先にはたくさんの果物が陳列されている。 今岡さんが陳列された果物を見ながら話をしている。

テロップ: 広い層への訴求

ナレーション: 高級品として売られている日本の果物は、販路が限られている。そこで、質は少し落ちるが、価格の安いものもさばければ、より広い層へ訴求することができる。

映像説明: 今岡さんが茶色の髪を1つに結んだ女性と、通路を進んでいく。 今岡さんが茶色の髪を1つに結んだ女性が白いTシャツを着た女性店員と店先で立ち話をしている。 別の店舗。今岡さんが茶色の髪を1つに結んだ女性が、白いズボンをはき、ストライプのシャツを着た男性店員と冷蔵ショーケース内の果物を見ながら話している。

ナレーション: 複数の業者を回り、商談を重ねた。快く応じてくれるところもあれば、とりつく島もない相手も…。

映像説明: 店舗が並ぶ通路で、今岡さんがインタビューに答える。 さまざまな種類のみかんが並ぶ店舗の前で、白いズボンをはき、ストライプのシャツを着た男性店員と商談をしている様子。 種類ごとに箱に詰められた、さまざまな種類の果物。 店舗が並ぶ通路で、今岡さんが話を続ける。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) タイ事業部 今岡 柾 さん

今岡さん: あの、日本産(にほんさん)のぶどう、とかを、こう、主に買っていただいたり、あとりんごとかを、すごい、買っていただいてる、お客さんなんですけど、 富裕層というか、やっぱりどうしても見た目、が、大事だっていうお客さんを、多くお持ちだったりするので、 ちょっと見た目が悪い商品は、あの、取り扱えないんだっていう話をされました。

映像説明: 店先で、今岡さんが手に持った桃を鼻に近づけて香りを確かめている。その様子を、白いズボンをはき、ストライプのシャツを着た男性店員と茶色の髪を1つに結んだ女性が見つめる。 店先で、今岡さんがカットされた1切れの桃を口に運ぶ。

テロップ: ニーズと価格のバランス

ナレーション: 今岡さんが自ら足を運ぶのは、タイのニーズと価格のバランスを調べるためだ。

映像説明: 通路を前方部に大きな荷台がある運搬用の自転車や小型バイクが走っている。 冷蔵ショーケース内のにある贈答用のマスカット。 りんごやぶどうが種類ごとに箱に詰めて並べられている。

テロップ: 発想の転換

ナレーション: これまで、日本の農作物(のうさくぶつ)は、国内市場に合わせて作ったものを海外に輸出してきた。しかし、その量を飛躍的に増やすには、発想の転換が不可欠だと考えている。

映像説明: 果物を販売している店舗の前で、今岡さんがインタビューに答える。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) タイ事業部 今岡 柾 さん

今岡さん: 輸出量を、えー、3倍、10倍にしていきたいとかっていう、非連続の成長を、やっぱり目指してやってるので、 こうやって、お客さんと密に話して、何が、今求められているのか、っていうのを つぶさに読み取る、っていうのが僕らの、ま、仕事だと思うので、 ま、それを、えー、世界中で、どんどんやっていきたいなと。

映像説明: 店先で今岡さんと白いTシャツを着た金髪の男性店員、茶色の髪を1つに結んだ女性が、胸の前で両手を合わせて、互いにおじぎをしている。

ナレーション: 日本農業(にほんのうぎょう)が目指す新たな農業のカタチとは。

映像説明: 果物の生産、輸出、販売のつながりを表した図。「生産」を表現したりんごの木の写真、「輸出」を表現した選果場(せんかじょう)の写真、「販売」を表現した露店の写真が、3角形の配置で画面に表示される。「生産」を表現したりんごの木の写真から「輸出」を表現した選果場(せんかじょう)の写真、「輸出」を表現した選果場(せんかじょう)の写真から「販売」を表現した露店の写真に向けて、それいぞれ矢印が浮かび上がり、3枚の写真がぐるりと1周つながる。3枚の写真の中央に「一気通貫(いっきつうかん)」の文字が浮かび上がる。

テロップ: 一気通貫(いっきつうかん)

ナレーション: 海外市場を調査し、ニーズに合ったものを作る。そして、輸出から販売まで手がけ、ニーズが変化すれば、生産に取り入れる。海外への輸出に軸を置いた、一気通貫(いっきつうかん)の仕組みづくりに挑戦している。

映像説明: 苗木の列が等間隔で並んだ、広大な農地。奥には、なだらかな山が広がっている。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): マーケットインに商機 輸出向けのりんご栽培

テロップ: 青森市

ナレーション: その試金石とも言える農地が、青森市にある。

映像説明: 帽子をかぶり、軍手をはめた5人の作業員が苗木を支柱にくくりつけている。 支柱に沿ってまっすぐ伸びた苗木に、青いりんごの実がなっている。 枝が横に広がったりんごの木には、ほのかに赤く色づいた実がなっている。

ナレーション: ここで栽培しているのは、海外で人気のある甘みの強い黄色いりんごや傷が目立ちにくい品種だ。さらに、輸出に適した栽培方法に取り組んでいる。

映像説明: 緑色(みどりいろ)の葉が茂った枝が横に広がって伸びているりんごの木。 ところどころに、赤く色づき始めた実がなっているのが見える。 枝先になっている赤く色づき始めたリンゴの実が風に揺れている。

テロップ: 丸葉栽培(まるばさいばい) 木が円形に伸びて広く実をつける 災害などに強いが 作業効率がよくない

ナレーション: 日本の一般的な栽培方法は、1つの木が円形に伸び、広く実をつける、丸葉栽培(まるばさいばい)。災害などには強いのだが、収穫の作業効率はよくない。

映像説明: 黒いキャップをかぶり、白いTシャツを着た日本人男性(にほんじんだんせい)が歩道から、りんごの苗木が植えられている農地に入っていく。

ナレーション: そこで、日本農業(にほんのうぎょう)が行っているのが、高密植栽培。

映像説明: 支柱に沿ってまっすぐ伸びたりんごの苗木が一直線に並べられた農地。 苗木の列のあいだで、帽子をかぶった人々が作業をしている。 高いところから見下ろした、苗木の列が等間隔で並んだ農地。苗木が風に揺れている。

テロップ: 高密植栽培 木の間隔を詰め一直線に並べる栽培方法 初期費用はかかるが収穫量が多い

ナレーション: 樹木同士の間隔を詰め、一直線に植えられている。多くの苗木を必要とすることから、初期費用はかかるが、実をつけるまでの期間が短く、単位当たりの収穫量を従来の3倍に増やすことができるという。

映像説明: 黒いキャップをかぶり白いTシャツを着た日本人男性(にほんじんだんせい)が、りんごの苗木を触りながら様子を確認している。 黒いキャップをかぶり白いTシャツを着た日本人男性(にほんじんだんせい)が、りんごの苗木の葉に触れながら様子を確認している。

ナレーション: 新しい栽培方法を取り入れることで、海外のニーズに合った果物を、より速く、より大量に出荷することが可能だ。

映像説明: 高密植栽培で植えられたりんごの苗木。青い実がなっている。 選果場(せんかじょう)。黒いエプロンを着けた男性や軍手をはめた女性などが、りんごを数個ずつビニール袋に詰めている。 たくさんの赤いりんごが入っている木箱。 苗木の前で、黒いキャップをかぶり、白いTシャツを着た日本人男性(にほんじんだんせい)がインタビューに答える。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) 国内農業部 橋口 大真(はしぐち たいしん) さん

橋口さん: 高密植って栽培方法を、大規模に、一気に成功させて、 流通のほうも、輸出で、もう、どんどんどんどん海外で売れますよっていうのを、お見せできれば、 海外にも出してもらおうっていうような、ことで、声をかけてくれる農家さんが、多くなってくると思うので、 今は、われわれは、とりあえず、こう、それを証明するために、今やれることをやるっていう感じですね。

映像説明: 画面の左側に高密植栽培の農地の写真、右側に果物を売るタイの露店の写真が並べて映し出される。

ナレーション: 効率がいい生産方法と、成長性の高い海外市場を結びつける。

映像説明: 選果場(せんかじょう)。モールドという梱包資材に並べられたりんご。奥のほうに黒いベルトの上に載せられたりんごが流れてくるのが見える。 ベルトコンベアに乗って流れて来る赤いりんごを、黒いマスクをつけた男性やエプロンを着けた女性が、1つ1つ選びながら発泡スチロールの箱に敷かれたモールドに並べていく。

ナレーション: そうすることで、衰退しつつある日本の農業を変えようとしている。

映像説明: 選果場(せんかじょう)の一角。ひげを生やし、メガネをかけた日本人男性(にほんじんだんせい)と短髪でひげを生やした日本人男性(にほんじんだんせい)が話をしている。後方にある壁際には積み重なったオレンジ色(いろ)のコンテナがあるのが見える。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) 内藤 祥平(ないとう しょうへい) 社長

ナレーション: 日本農業(にほんのうぎょう)の創業者、内藤さんは…。

映像説明: 選果場(せんかじょう)の別の一角で内藤社長がインタビューに答える。後方に積み重なったオレンジ色(いろ)や水色のコンテナがあるのが見える。

内藤社長: 日本(にほん)の農業って、すごいもったいない、なぁって思って。 品質はいいけれども生産性がよくないってところ。ま、ここをしっかりと生産性を上げることで、 ま、品質と生産性、伴うと、えー、より、えー、海外の伸びているマーケット取りにいける。 それはやっぱり、この産業自体、悪いニュースとか衰退していると言われるのが、 海外のマーケットを取りにいけると、どんどんどんどん、本来的には伸ばせてくところだと思うので、 ま、そういうふうにしていきたいなと思っていますね。

映像説明: 雑草が生い茂った農地のあいだの車道を車が進んでいく。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): 輸出産地をつくる 荒廃した農地の再生

テロップ: 静岡県 御前崎市

ナレーション: 静岡県御前崎市。

映像説明: 整備された農地。背の低い緑色(みどりいろ)の苗が一面に植えられている。

テロップ: 荒廃農地の再生

ナレーション: ここで進めているのが、荒廃してしまった農地を再生させる試みだ。

映像説明: 短髪でひげを生やした日本人男性(にほんじんだんせい)が、緑色(みどりいろ)の苗が植えられている畝の脇にしゃがみ込んで砂を手にして持ち上げながら話をする。 砂地を埋め尽くすように何列も畝が並んでいる。

テロップ: さつまいも畑(さつまいもばたけ)

ナレーション: 海岸沿いに砂地が広がるこの地で、栽培に適した農作物(のうさくぶつ)が、さつまいもだ。

映像説明: サイアム・パラゴンのさつまいも売り場。銀色の焼き芋機に透明なパックに詰められた焼き芋が陳列されている。 別のさつまいも売り場。陳列されたさつまいもの横にある、黒い石が敷かれた焼き芋機に7本のさつまいもが並べられている。

テロップ: バンコク

ナレーション: いま、タイをはじめ、東南アジアで焼き芋人気が沸騰中。

映像説明: 赤い法被を着て黒いヒジャブを巻いた女性店員が、さつまいもを手にした女性客に向かって両手を合わせておじぎをする。

ナレーション: 日本産(にほんさん)のさつまいもの需要が急増している。

映像説明: 袋詰めされたさつまいもに、「株式会社日本農業(かぶしきがいしゃ にほんのうぎょう)」と書かれたシールが貼られている。

ナレーション: そのニーズを捉え、一大産地を作る構想を進めている。

映像説明: さつまいも農地の前で、短髪でひげを生やした日本人男性(にほんじんだんせい)がインタビューに答える。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) 国内農業部 南野 真広(みなみの まひろ) さん

南野さん: 今、残念なことに荒廃農地化が進んでいますので、われわれとしても、ま、そういう畑を有効活用しながら、 えー、地域の方(かた)にも協力していただきつつ、今、ここをですね、ま、一大さつまいもの、あの、ま、産地、として、 ま、静岡県というものを有名にしたいなというふうに思ってます。

映像説明: さつまいも畑(さつまいもばたけ)。あぜ道を挟んだ隣には、雑草が生い茂り、荒れた農地が広がっている。

テロップ: 耕作放棄地

ナレーション: 全国各地で、高齢化や後継者不足(こうけいしゃぶそく)などから、耕作放棄地が増加。

映像説明: さつまいもを植えた畝が、砂地にきれいに並んでいる。 南野さんが畝の傍らにしゃがんで、さつまいもの生育状態を確認している。

テロップ: 輸出に特化した(とっかした)農作物(のうさくぶつ)

ナレーション: そこで、輸出に特化した(とっかした)農作物(のうさくぶつ)を作る場として、活用しようというのだ。

映像説明: プロペラの下にあるモーター部分が赤いドローンが、雑草が生い茂った農地の脇の道路から飛び立つ。 プロペラの下にあるモーター部分が赤いドローンが、さつまいも農地の上を飛んでいく。ドローンの動きに合わせてさつまいもの葉が風に揺れる。

ナレーション: この日は、ドローンを使った農薬散布のテスト。農業の担い手が減少する中で、効率のよい育て方を追求している。

映像説明: 雑草が生い茂る農地に、南野さんと短髪でベージュ色(いろ)のハーフパンツをはいた日本人男性(にほんじんだんせい)、茶色いズボンをはいてグレーのポロシャツを着た日本人男性(にほんじんだんせい)が足を踏み入れる。

ナレーション: しかし、一度、荒廃してしまった畑。再び栽培に適した土(つち)に戻すことは大変だ。

映像説明: 荒廃した畑で南野さんがインタビューに答える。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) 国内農業部 南野 真広(みなみの まひろ) さん

南野さん: 荒廃農地からの1年目の畑っていうと、もう、どうしても、こういうふうになってしまうんで。

映像説明: 畝と畝のあいだまで雑草が生えている農地。短髪でベージュ色(いろ)のハーフパンツをはいた日本人男性(にほんじんだんせい)が、畝に生えた雑草を指し示しながらインタビューに答える。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) 国内農業部 石橋 健太郎(いしばし けんたろう) さん

石橋さん: これでも、1回、最初のほうに、全部、草取り、入ってって、 草取り、終わってから、また新しく、生えてきたのが、このこの、今のこのサイズ。

映像説明: 目の前に広がるさつまいも畑(さつまいもばたけ)を歩道から眺める南野さんと石橋さん。畑の奥には、なだらかな山が広がり、2機の風力タービンの羽根が回転している。

ナレーション: 荒廃農地といえども、地権者から土地を借り受けるのは容易ではない。

映像説明: さつまいも畑(さつまいもばたけ)を指し示しながら、南野さんがインタビューに答える。 青々とした葉を広げるさつまいもの苗が畑一面に広がっている。 雑草が生い茂った耕作放棄地が映し出される。 さつまいも畑(さつまいもばたけ)の前で南野さんが話を続ける。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) 国内農業部 南野 真広(みなみの まひろ) さん

南野さん: 例えばこの土地、ここの畑1枚を確保するためにも、 もうあの、10名20名って方(かた)と、実際に、ま、あの、膝を突き合わせて、あの、お話をしなければいけない。 現段階では非常に、えーと、ま、大変な作業ではあります、はい。 僕らが仮に、ビジネスとして失敗したとしても、 ま、輸出を志す事業者が、またこの土地を使って農業をやってくれればいいと思っていて。 ただ、なんかもう、あの状態からだと、正直やっぱり、かなり資本も必要で、あのー、整地するところにもお金もかかるので、 こう、誰もやれなくなってしまうってところが本当にもったいないなって思ってて。

映像説明: 車道の脇に建つ、大きな平屋の建物の外観。 建物の中。ところどころに、段ボールやオレンジ色(いろ)のコンテナが積み重ねられている。窓際には、長机(ながづくえ)の上で作業をしている人たちがいる。 青いベストを着た男性が、長机(ながづくえ)の上に置いた段ボール箱にさつまいもを詰めている。 「プレミアムさつまいも」の文字などが書かれた段ボール箱が載ったローラーコンベアの向こうで、青いベストを着た男性がに段ボール箱にさつまいもを詰めている

サイドテロップ(画面右上に常時表示): 新しい農業のカタチ 若者が切り開く

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう)のさつまいも取り扱い量 2022年 200トン 2023年 1,500トン ※国内向けも含む

ナレーション: 2022年、日本農業(にほんのうぎょう)が扱ったさつまいもの量は200トン。2023年は1,500トンを計画している。より多くの商品を処理できるように、選果場(せんかじょう)を新設した。

映像説明: 白い壁の会議室。さつまいものイラストなどが側面に書かれた段ボール箱が置かれた長机(ながづくえ)を、内藤社長や南野さんを含む5人の男性が囲んでいる。南野さんの向かい側には、白いポロシャツを着た短髪の日本人男性(にほんじんだんせい)と、黒いポロシャツを着たあごひげを生やした短髪の日本人男性(にほんじんだんせい)が並んで座り、資料を見ながら南野さんの説明に耳を傾けている。

テロップ: アグリペディア 石田 渡(いしだ わたる) 社長

ナレーション: この日は、その会議室で打ち合わせが。訪ねてきたのは、同じ世代の農業系のスタートアップ。お互いが抱える課題を共有し、協力しあえないか話していた。

映像説明: 南野さんが説明をする。白いポロシャツを着た短髪の石田社長と黒いポロシャツを着たあごひげを生やした短髪の日本人男性(にほんじんだんせい)がうなずきながら聞いている。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) 国内農業部 南野 真広(みなみの まひろ) さん

南野さん: どの産地でもやっぱ、この、なんか20代後半っていうか、青二才、若者が来たところで、えー、基本的には相手にされないんですけど、 やっぱり、輸出とか、その販路側のほうの情報と商流があるっていうところが、最初のきっかけで、うまく、こう、取り付けられたりとか、 なんか、とりあえず興味持って話をしてもらえたりとか。

映像説明: 内藤社長と南野さん、石田社長を含む5人の男性が、それぞれ真剣な表情で資料に目を落としている。

ナレーション: 若くて新参者(しんざんもの)がゆえに、具体的なもうけ話を持ち込むことが、地域に参入する足がかりになるという。

映像説明: 選果場(せんかじょう)の検査機械。細いレーンの上を、赤いりんごが列になって運ばれてくる。 列になったりんごを真上から1つずつ映したモニター画面。へたのついたりんごの映像が次々と映し出される。

テロップ: 新しい農業

ナレーション: 彼らが思い描く、新しい農業の姿…。

映像説明: タイの朝市。果物を取り扱う露店で、ピンク色のワンピースを着て買い物袋を提げた女性が果物を選んでいる。 卸売市場(おろしうりいちば)の一角。果物を取り扱う店舗の前で今岡さんたちが立ち話をしている。 白い壁の会議室。石田社長がノートパソコン画面を向かい側の席に座る内藤社長や南野さんたちに見せながら、手ぶりを交えて説明をしている。 屋内。バイクや機材が置かれた壁の前で内藤社長がインタビューに答える。

テロップ: 日本農業(にほんのうぎょう) 内藤 祥平(ないとう しょうへい) 社長

内藤社長: (海外の)マーケットは、もう、どんどんどんどん伸びてくので、そうなったときに、自分たちも、頑張るんですけど、 ま、それを見て、「あ、もっともっと農業って、海外とか売ると、可能性があるんだ」って思ってくれて、共感してくれた、仲間たちを バリューチェーンの各ポイントで作っていって、一緒に、伸びていくことがすごい重要なので、 産地を作って、そこで、1つのエコシステムとして、多くの、周りの農家の人たち、と一緒にやってくってことが、必要不可欠だなってふうに思ってますね。

映像説明: タイの朝市。果物を取り扱う露店に多くの買い物客が集まっている。ベージュ色(いろ)のTシャツを着た女性店員が果物を手に持ちながら接客をしている。 卸売市場(おろしうりいちば)。南野さんと茶色い髪を1つに結び、柄シャツ(がらしゃつ)を着た女性が、白いTシャツを着た女性店員とにこやかに話している。話し終えたあと、3人ともに胸の前で両手を合わせておじぎをしてあいさつする。 高密植栽培の農地。りんごの苗木が風に揺れている。 たくさんの赤い艶のあるりんごが木箱に入れられている。

ナレーション: これまでとは一線を画した海外輸出の在り方。日本の農業を再生できるか、その模索が続いている。

映像説明: 水色のグラデーション背景画。画面の右側で地球の陸地部分だけが点描され、中が空洞になった地球儀のグラフィックイメージが回転している。

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