動き出した巨大経済圏! ‐RCEP協定の目玉とは‐

2022年03月10日

2022年1月、RCEP(地域的な包括的経済連携)協定が日本でも発効した。東アジア、東南アジア、オセアニアから参加する15ヵ国すべてでこの協定が発効すれば、人口、貿易総額、GDPで、それぞれ世界の3割をカバーする巨大な経済圏が誕生する。また、日本にとっては、中国、韓国との初めての経済連携協定となる。企業の視点で、関税の撤廃や原産地証明など輸出入手続きの簡素化といったメリットについて取材した。

(10分08秒)


※番組で紹介している「RCEP協定解説書」および「原産地証明」に関する詳細は、以下の各リンクをご覧ください。
RCEP協定解説書
原産地証明ナビ(RCEPの原産品申告書およびTPP11、日EU・EPA等の自己申告による原産地証明書等の書類作成ツール)

テキスト解説を読む

テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: 上空から撮影した、大量のコンテナを積んだ貨物船が海上を航行している映像。海の向こうには山(やま)や陸地が見え、多くの建物が建っている。遠くには、海峡に架かったつり橋があり、雲の隙間から太陽の光がさし込んでいる。 上空から撮影した、雲が浮かぶ空の下のふ頭の映像。ふ頭には、コンテナが積み上げられ、4基の赤いガントリークレーンが設置されている。 上空から撮影した、雲が浮かぶ青空の下のふ頭の映像。ふ頭には、赤や青などのたくさんのコンテナが積み上げられ、5基のガントリークレーンが設置されていて、さまざまな船舶が数隻、係留されている。

テロップ: RCEP(アールセップ)協定 地域的な包括的経済連携協定

ナレーション: 2022年1月、15ヵ国が参加するRCEP(アールセップ)、地域的な包括的経済連携協定が日本でも発効した。

映像説明: 曇り空の下。赤や青、黄色(きいろ)などの中国語の看板が掲げられた建物が並んでいる。 緑(みどり)や水色のトラムが走行する街の通り。通り沿いには、赤や緑(みどり)、黄色(きいろ)の中国語の看板が掲げられた建物が並び、多くの人が行き交う。歩道には樹木が植えられている。

テロップ: 中国 韓国と初の経済連携協定

ナレーション: 日本にとって中国、韓国との初めての経済連携協定だ。

映像説明: バイクやスクーターが走行する通り。横長の建物の前にカラフルなパラソルの店が並び、店先にバイクなどが置かれている。

テロップ: 関税の撤廃

ナレーション: メリットは関税の撤廃だけでなく、

映像悦明: パラソルの下の店。キャベツやタマネギ、アスパラガスなどの多くの種類の野菜がプラスチック製のカゴに盛られている。店先に黄色い帽子をかぶりスマートフォンを手にした男性がいて、ピンクのカーディガンを着た女性が手にしていたビニール袋を野菜の切れ端が入ったプラスチック製のカゴに置く。奥には、店先に立つ女性やビニール袋を手にした男性が見える。 倉庫。青とオレンジ色(いろ)の天井近くまで高さがある棚にダンボール箱が積まれている。棚の周りに数箱重ねて積まれたダンボール箱が置かれている。赤と黒のフォークリフトがパレットの上に3段に積まれたダンボール箱を持ち上げ、棚に入れようとしている。

テロップ: 原産地証明

ナレーション: 原産地証明など輸出入の手続きにまで及ぶ。

映像説明: コンテナ置き場。赤、青、白、黄色(きいろ)のコンテナが積み重なっている。赤いフォークリフトがコンテナを移動させ、白いコンテナ車が走行している。遠くには建物や山が見える。

ナレーション: その注目すべき点とは。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。 フランス・パリのエッフェル塔や凱旋門、アニメキャラクターのコスプレをした20代くらいの海外の女の子や、渋谷のスクランブル交差点の写真など、世界中の12枚の写真が画面の奥から飛び出してくる。水色を基調としたコンピューターグラフィックスの背景に、中が空洞になった緑色(みどりいろ)の地球儀が回転しながら現れる。画面右側で地球儀が回転し、左側に紺色の文字で「世界は今 JETRO Global Eye(ジェトロ グローバル アイ)」と書かれたタイトルテロップが表示される。

映像説明: スタジオ。横長の薄い黄緑色(きみどりいろ)の背景モニターに緑色(みどりいろ)を基調とした地球儀と「世界は今 JETRO Global Eye(ジェトロ グローバル アイ)」のロゴが映し出されている。前方にも小さいモニターが置いてある。モニターには、コンテナを積んだ貨物船が海峡に架かったつり橋の下を航行する様子が映し出されている。モニターの左側、スタジオ中央に女性キャスターが座っている。薄い緑色(みどりいろ)のボウタイのブラウスとスカートを着ている。

女性キャスター: 世界は今、ジェトログローバルアイ。

映像説明: スタジオ。画面の左側に女性キャスターが、右側に小型モニターがある。モニターには、「RCEP(アールセップ)  Regional Comprehensive Economic Partnership」と題された太平洋を中心としたアジアやオセアニアなどの地図が映し出されている。「11ヵ国 ※2022年2月現在の発効国」「ASEAN」の文字が表示されていて、「ASEAN」の下に紺色で「カンボジア」「シンガポール」「タイ」「ブルネイ」「ベトナム」「ラオス」の国名(くにめい)、グレーで「インドネシア」「フィリピン」「マレーシア」「ミャンマー」の国名(くにめい)が表示されている。地図上(ちずじょう)で、紺色で表示された6ヵ国と「日本」「韓国」「中国」「オーストラリア」「ニュージーランド」の5ヵ国が黄色(きいろ)で示され、グレーで表示されている4ヵ国が薄い黄色(きいろ)で示されている。女性キャスターが話をする。

テロップ: 江連 裕子(えづれ ゆうこ)

テロップ: マレーシアは2022年3月18日発効予定

江連(えづれ)キャスター: 東アジアを中心とする「地域的な包括的経済連携」、RCEP(アールセップ)協定が、ことし1月から始まり、この2月までに11ヵ国が発効しました。

映像説明: 太平洋を中心としたアジアやオセアニアなどの地図。「RCEP(アールセップ)Regional Comprehensive Economic Partnership」、「ASEAN」の文字が表示されていて、「ASEAN」の下に「インドネシア」「カンボジア」「シンガポール」「タイ」「フィリピン」「ブルネイ」「ベトナム」「マレーシア」「ミャンマー」「ラオス」の国名(くにめい)が表示されている。地図上(ちずじょう)で、「ASEAN」の下部に表示された10ヵ国と「日本」「韓国」「中国」「オーストラリア」「ニュージーランド」の5ヵ国がオレンジ色(いろ)で示され、「15ヵ国」の文字が表示される。

江連(えづれ)キャスター: 「アールセップ」には日本をはじめ、中国、韓国、東南アジア諸国、オセアニアが含まれており、参加する全15ヵ国で発効すれば、

映像説明: スタジオ。画面の左側に江連(えづれ)キャスターが、右側に小型モニターがある。モニターには、太平洋を中心としたアジアやオセアニアなどの地図に「RCEP(アールセップ)」に参加している国がオレンジ色(いろ)で示されている画像が映し出されている。江連(えづれ)キャスターが話を続ける。

テロップ: 人口 貿易総額 GDPで世界の3割をカバー

江連(えづれ)キャスター: 人口、貿易総額、GDPで、それぞれ世界の3割をカバーする巨大な経済圏が誕生します。その「アールセップ」を、これから活用しようとする企業を取材しました。

テロップ: 動き出した巨大経済圏! ‐RCEP(アールセップ)協定の目玉とは‐

映像説明: 青空の下。交差点がある道路沿いに建つ、正面の壁が縦長のガラス張りの白い建物の外観。

サイドテロップ(画面右上にほぼ常時表示): 初の経済連携協定 中国 韓国へ輸出チャンス

テロップ: 名古屋市

映像説明: 緑(みどり)と白の床の工場。青いキャップをかぶり、上下とも青の作業服を着た4人の人物がステンレス製の機械に向かい作業をしている。複数台の緑(みどり)のラックに部品や工具のような物が置かれている。マスクをつけ青いキャップをかぶり、眼鏡をかけ青い上下の作業服を着た男性が、3段の黒い台車の上にパーツを3個載せて運んでいる。 マスクをつけ青いキャップをかぶり、青い上下の作業服を着て紺色の作業用手袋をはめた男性が手にしたドライバーを機械の配線部分のネジに差し込み作業をしている。

テロップ: ワタナベフーマック 食品加工機械の製造・販売

ナレーション: 愛知県名古屋市に本社を構える「ワタナベフーマック」。1938年創業の食品加工機械を製造、販売している中小企業だ。

映像説明: 絵画が飾られたベージュ色(いろ)の壁の部屋。白いシャツに紺色の蝶(ちょう)ネクタイを締め、紺色のスーツを着た男性がインタビューに答える。 緑(みどり)と白の床の工場。左側に円盤状のパーツがある食肉加工機械の上部がスライドして動いている。 食肉加工機械の食品投入口(しょくひんとうにゅうぐち)の青い平ベルトの上にブロック肉が置かれている。 食肉加工機械の搬出口(はんしゅつぐち)の白い平ベルトの上にスライスされた肉が一列に並び、流れてくる。(映像提供 ワタナベフーマック)

テロップ: ワタナベフーマック 海外営業課 上山 貴理(かみやま たかよし) 課長

上山(かみやま)課長: メインは、お肉を切るスライサーという機械で、 もちろんその食肉加工に関連した、お肉を切る機械だとか、ま、ミンチを作る機械、 はたまた冷凍のお肉を、冷凍のブロックを、切るような機械だとか、そういったものを製造してます。

映像説明: マスクをつけ青いキャップをかぶり眼鏡をかけ、上下とも青の作業服を着た男性が、食肉加工機械の円盤状のパーツに向かい作業をしている。 マスクをつけ青いキャップをかぶり、眼鏡をかけ、上下とも青の作業服を着て白い作業用手袋をはめた男性が、傾斜した台がある食肉加工機械に向かい作業をしている。

テロップ: 輸出 米国 中南米 東南アジア オセアニア 欧州など20ヵ国

ナレーション: 日本国内(にほんこくない)の販売だけでなく、アメリカ、中南米など20ヵ国に輸出している。

映像説明: 水色の鉄骨で組まれた中二階(ちゅうにかい)がある倉庫。左側や奥にさまざまな物が置かれたラックがあり、中央にオレンジ色(いろ)のフォークリフトが置かれている。右側に青い平ベルトがある食肉加工機械が置かれている。上山(かみやま)課長が食肉加工機械に向かって歩きながら説明をする。

上山(かみやま)課長: えー、ちょうどこの機械が、その中国に出荷する予定の機械ですね。

映像説明: 機械の一部に「WATANABE(ワタナベ)」の文字や手のイラストと「危険」「警告」と表示されたステッカーが貼られ、ズームバックすると青い平ベルトがある食肉加工機械の全体が見える。 黒枠のタッチパネル。「Menu」と表示されたタッチパネルの7分割された大小の画面に中国語で文字が表示されている。「Menu」に触れると5つの項目が表示された画面に切り替わる。

テロップ: 中国市場

映像説明: 手のイラストと「危険」「警告」、電源プラグと差し込み口のイラストと「警告」の文字や中国語の説明が表示された3枚のステッカーが貼られている。

テロップ: 中国向けの輸出は全体の2割弱

ナレーション: 今、特に力を入れているのが中国市場。およそ20年前に製造工場と販売会社を設立し、販売台数は50倍以上に増加しているという。現在、全体の輸出の20パーセント弱を中国向けが占めている。

映像説明: 緑(みどり)や水色のトラムが走行する街の通り。道路沿いには、赤や緑(みどり)、黄色(きいろ)の中国語の看板が掲げられた建物が並び、多くの人が行き交う。歩道には樹木が植えられている。 街路樹が植えられた通り。黒いジャンパーを着た男性と赤いコートを着た女性やマスクをつけ、えんじ色(いろ)のジャンパーを着た女性など多くの人が行き交う。歩道沿いには中国語の文字とスマートフォンの写真が映し出された電子看板などが置かれている。 絵画が飾られたベージュ色(いろ)の壁の部屋。上山(かみやま)課長がインタビューに答える。

テロップ: ワタナベフーマック 海外営業課 上山 貴理(かみやま たかよし) 課長

上山(かみやま)課長: 中国っていうのは、まだまだ、われわれにとって大きなマーケットで、これからも伸びていくマーケットの1つではあるものでして。 現状の1.5倍~(から)2倍にはできれば。あー、販売を伸ばしていきたいなとは考えておるので。

映像説明: 緑(みどり)と白の床の工場。上山(かみやま)課長が手にA4用紙を持ち食肉加工機械に向かい作業をしている。 青い帽子をかぶり、上下とも青の作業服を着た6人ほどの人物が、それぞれ食肉加工機械に向かい作業をしている。手前には組み立て中の食肉加工機械3台や青や緑(みどり)、黄色(きいろ)のボックスが取り付けられた8段のラックなどが置かれ、奥にはオレンジ色(いろ)の扉が見える。工場は、天井や壁際に取り付けられた多くのライトで照らされ、窓から光がさし込んでいる。

テロップ: 現在7.0%の関税率が11年かけて撤廃 → 1年ごとに0.6~(から)0.7%の引き下げ

ナレーション: そうしたなか、「アールセップ」の発効を耳にした上山(かみやま)さん。調べてみると、製品によっては、現在7.0%の関税率が11年かけて撤廃されることが分かった。1年ごとの0.6から0.7%の引き下げには、大きなメリットを感じたという。

映像説明: 絵画が飾られたベージュ色(いろ)の壁の部屋。上山(かみやま)課長がインタビューに答える。 水色の鉄骨で組まれた、中二階の棚がある倉庫。透明や半透明のビニールで梱包された製品が複数台置かれている。その右側に「WATANABE」と書かれた段ボール箱が複数個、2段に積み重ねられている。 絵画が飾られたベージュ色(いろ)の壁の部屋。上山(かみやま)課長が話を続ける。

上山(かみやま)課長: 少し(すこし)でも金額が安くなるっていうのは(関税削減のない)、競合のヨーロッパの機械だとかっていうのを考えたときも、大きなメリットになるのではないかなと。 ま、0.6%ずつであろうが、ま、最終的に7%の、逆にそれ、値上げをせずに済むっていうふうに考えると、 逆に大きな値引きにはなるとは考えられるので。

映像説明: 木の板やビニールの梱包材がある倉庫。マスクをつけヘルメットをかぶり、上下とも紺色の作業服を着て軍手をはめた男性が、タッカーを手に持ちビニールで包まれた製品の木枠の梱包パネルを組み立てている。 白いヘルメットをかぶり紺色の作業服を着た男性が、緑(みどり)のフォークリフトを操縦し、木枠の梱包パネルを持ち上げ運んでいる。(映像提供 伊勢湾海運)

ナレーション: ワタナベフーマックのように、中国向けの輸出を強化したい企業にとって「アールセップ」は追い風だ。

映像説明: 窓にブラインドが掛かる白い壁の部屋。窓際に観葉植物が置かれている。グレーのワイシャツに紺色のネクタイを締め、紺色のスーツを着た男性がインタビューに答える。 上空から撮影した、雲が浮かぶ空の下のふ頭の映像。ふ頭には、コンテナが積み上げられ、4基の赤いガントリークレーンが設置されている。 上空から撮影した、雲が浮かぶ青空の下のふ頭の映像。ふ頭には、赤や青などのたくさんのコンテナが積み上げられ、5基のガントリークレーンが設置され、さまざまな船舶が数隻、係留されている。

テロップ: ジェトロ 海外調査部アジア大洋州課 三木 貴博

テロップ: 日本の貿易に占める中国/韓国の割合 輸出額 約26% 輸入額 約28%

映像説明: コンテナ置き場の上空から撮影した映像。赤や青、黄色(きいろ)のたくさんのコンテナが積み上げられ、2台の自動車と複数のコンテナ車が停車している。赤いトランスファークレーンの周辺を複数のコンテナ車が走行している。

三木(ジェトロ 海外調査部アジア大洋州課): 今回のRCEP(アールセップ)協定の注目の1つが、同協定は日本(にほん)にとって、中国、韓国との初めてのEPA(イーピーエー)(経済連携協定)であることです。 日本(にほん)と中国、韓国、両国との貿易は、日本(にほん)の輸出額の約26%、えー、輸入額の28%を占めており、 えー、日本(にほん)の貿易総額でいうと、4分の1以上、この2ヵ国(中国、韓国)との貿易になります。

映像説明: 曇り空の港の海上を走る船上からの映像。停泊する貨物船、積まれたコンテナやクレーンがあり、奥のほうにオレンジの屋根でクリーム色(いろ)の外壁の建物が見える。 繁華街。手前に中国語の電光看板が掲げられた飲食店が通りをはさみ、並んでいる。左側にはライトアップされた店が奥まで続き、多くの人たちが行き交う。髪の長い女性が、フタが開いた赤い箱を左手に持ち、右手で串に刺した食べ物を口に運んでいる。 信号がある広い通り。通り沿いには看板が掲げられた建物が並び、左側には街灯が等間隔に置かれている。多くの人が行き交い、奥には樹木や高層ビルが見える。 コンテナ置き場。赤、青、白、黄色(きいろ)のコンテナが積み重なっている。赤いフォークリフトが停車している白いコンテナ車に近づく。遠くには建物や山が見える。

テロップ: 日本からの輸入で関税が免除される品目の割合 中国 8%→86% 韓国 19%→92%

ナレーション: 「アールセップ」では、日本からの輸入品に対して関税のかからない品目の割合が、中国では8%から86%へ、韓国では19%から92%へと大幅に増える。関税率は、毎年、段階的に引き下げられ、最終的に一部の品目を除き撤廃される。日本企業(にほんきぎょう)にとっては輸出のチャンスが広がることになる。

映像説明: 窓にブラインドが掛かる白い壁の部屋。窓際に観葉植物が置かれている。三木がインタビューに答える。 曇り空の下。上下4車線の高速道路を白や赤、黒など、多くの車が走行し、高速道路沿いには、葉が落ちた樹木と青々と葉が茂った樹木が植えられている。右奥には高層ビルが並んでいる。 雲が浮かぶ青空の下。片側3車線以上ある道路を自動車やバイク、バスが走行し、奥には多くの背の高い樹木が植えられ、白とベージュ色(いろ)やレンガ色(いろ)の高層ビルが5棟ほど建っているのが見える。 工場の一角。3本の茶色い瓶に液体が注ぎ込まれている(そそぎこまれている)。 木目の長机(ながづくえ)の上。先が山型の木の台に茶色の瓶が斜めに置かれ、白い布で茶色の瓶の表面を拭く手元。 2人の人物が並び、手前の人物が白い布で茶色の瓶の表面を拭き、奥の人物が茶色の瓶に青いラベルを貼っている。奥には、赤いプラスチックケースが積まれている。 窓にブラインドが掛かる白い壁の部屋。窓際に観葉植物が置かれている。三木が話を続ける。

三木: 貿易相手国や品目によって関税率が異なって、えー、くるのですが、 ま、日本(にほん)から輸出の際はですね、えー、(例えば)中国向けの(にほんしゅ)日本酒や、えー、電気自動車用の重要部品、 バッテリーや、えー、モーターの部品の一部などが恩恵を受けます。 例えば、日本酒(にほんしゅ)なんかはですね、対中国向けの輸出では現状40%の関税がかかっているんですけども、 RCEP(アールセップ)協定により段階的に引き下げとなり、えー、21年目にはゼロになります。

映像説明: 雲が浮かぶ空の下。外壁の一部が茶色い3階建てほどの高さの白い壁のJR西条駅の駅舎の外観。ロータリーにはタクシーや乗用車が駐車している。

サイドテロップ(画面右上にほぼ常時表示): 15ヵ国参加のRCEP(アールセップ) 輸出入の手続きにメリット

ナレーション: 関税の撤廃だけでなく、「アールセップ」域内の輸出入の手続きに期待する企業もある。

映像説明: ベージュ色(いろ)の壁の3階建ての建物の外観。出入り口や倉庫の1階の上部に大きなひさしがある。出入り口の上部に、白で「DAISO(ダイソー)」と書かれた濃いピンクの看板が掲げられている。倉庫の前にダンボール箱が積まれたカゴ台車が置かれ、シャッターが開けられた倉庫の中には、袋が入ったカゴ台車が2台置かれている。 出入り口の上部に掲げられた、白でシンボルマークと「DAISO(ダイソー)」の文字が書かれた濃いピンクの看板。 白い壁の店内。壁や並んだ棚の上部に、白で「DAISO(ダイソー)」と書かれた緑(みどり)のパネルが掲げられて いる。棚には、プラスチックのケースや布製品など、さまざまな商品が陳列されている。

テロップ: 広島県 東広島市

テロップ: 大創産業 100円ショップ「ダイソー」を国内外に展開

映像説明: 店内の一角。中央に白い模様がある濃紺や水色のデニムのような生地のトートバッグがつり下げられている。

ナレーション: 東広島市に本社を置く、「大創産業」。7万6千種類もの生活雑貨がそろう、全国展開の100円ショップでおなじみだ。

映像説明: 倉庫の中。天井まである4段ほどの黒い棚が並び、オレンジ色(いろ)のパレットに積まれたダンボール箱が大量に置かれている。棚と棚のあいだを、白で「DAISO(ダイソー) ダイソー」と書かれた一部がピンクの銀色の機械が、倉庫の奥に移動していく。 物流センターの中。壁際には、紫や緑色(みどりいろ)の折りたたみコンテナが大量に積み上げられている。手前のローラーコンベアの上に、さまざまな大きさのダンボール箱が置かれている。中 ほどでは、手前のローラーコンベアとつながった作業台数台の前で、数人の人物がダンボール箱を開け、作業をしている。作業台の奥に設置されたローラーコンベアの上を小さめのダンボール箱などが流れている。

テロップ: 製造 日本 中国 韓国 タイ 台湾

テロップ: 販売 日本 海外24の国と地域

ナレーション: 主に日本、中国、韓国、タイ、台湾で製造された製品を、日本や海外の24の国と地域で販売している。

映像説明: ビニールでパッケージされた箱に「MADE IN CHINA」や封筒には「(株)大創産業」、「MADE IN CHINA」などと書かれている。

ナレーション: 特に中国や韓国の製品は取り扱いが多く、「アールセップ」には注目しているという。

映像説明: 白い壁の部屋。水色のシャツにグレーのセーターを着て眼鏡をかけた男性がインタビューに答える。 白い壁の店内。通路の両脇の棚に、発泡スチロールブロックやマスキングテープなど、さまざまな商品が陳列されている。 店内の一角。棚に電池やライターなど、さまざまな商品が陳列されている。棚の側面には、「プッシュスタンプ」などと書かれたプレートが上部に掲げられた白い棚があり、ハンコが並べられている。

テロップ: 大創産業 輸出入管理課 山名 輝(やまな あきら) 係長

山名係長: 当社にとっては、この2ヵ国っていうのは非常に、こう、大きくてですね、えー、当社輸入の8割以上を占めています。 RCEP(アールセップ)を使うことによって減免税の効果がありますから、非常にその効果が大きいですね。

映像説明: コンテナの中。茶色いジャケットを着た男性と赤い服を着た男性が、積み上げられたダンボール箱を1つずつ持ち上げ、ローラーコンベアに載せている。2人ともマスクをつけている。 光がさし込む倉庫の搬入口(はんにゅうぐち)。コンテナから倉庫につなげられたローラーコンベアの上をダンボール箱が流れてくる。濃紺の服を着た男性がローラーコンベアを流れるダンボール箱を持ち上げ、水色のパレットに積もうとしている。ローラーコンベアの左側には、数箱のダンボール箱が水色のパレットに積まれている。 数ヵ所ある搬入口(はんにゅうぐち)から光がさし込む倉庫の中。奥に、オレンジや水色のパレットに積まれたダンボール箱が天井近くまで積み上げられている。中ほどや手前にも、ダンボール箱が数箱パレットに積まれている。白いヘルメットをかぶり紺色の作業服を着た人物が、フォークリフトを操縦し、ダンボール箱を運んでいる。

テロップ: 原産地証明 締約国の産品であることを証明する書類

ナレーション: 関税率の撤廃以外にもメリットを感じているのが、通関時に必要となる「原産地証明」。締約国の産品であることを証明する書類だ。

映像説明: 倉庫の中、通路の両脇の天井近くまである3段の棚に、パレットに積まれたダンボール箱が大量に置かれている静止画を背景に、「連続する原産地証明」「Back‐to‐Back Proof of Origin(バック トゥー バック プルーフ オブ オリジン)」と題された図が表示される。画面左側に表示された「原産地 A国」から、中央に表示された「経由国 B国」に赤い矢印が伸びていて、赤で「輸入」と表示されている。「経由国 B国」から、右側に表示された「C国」「D国」のそれぞれに赤い矢印が伸びていて、赤で「在庫を輸出」と表示される。「経由国 B国」から、下部に向かってオレンジの矢印が伸び、オレンジで「原産地を証明」と表示される。

ナレーション: 「アールセップ」域内では、経由国で一旦保管したものを、加工せずに再輸出する場合、その経由国が最初の輸出国の原産地証明書に基づいて書類を作成することができるようになった。

映像説明: 天井が高い倉庫の中。通路の両脇の天井近くまである3段の赤茶色の棚に、水色のパレットに積まれたダンボール箱が大量に置かれている。

テロップ: 連続する原産地証明 Back‐to‐Back Proof of Origin(バック トゥー バック プルーフ オブ オリジン)

ナレーション: これを「連続する原産地証明」、通称「バック トゥー バック」という。

映像説明: 上空から撮影した、大量のコンテナを積んだ貨物船が海峡を航行している映像。奥には、山(やま)や陸地が見え、多くの建物が建っている。

ナレーション: さらに、この原産地証明の発行手続きも変わる。

映像説明: 上空から撮影した、大量のコンテナを積んだ貨物船が海峡を航行している映像を背景に、「第三者証明制度」と「自己申告制度」の図が表示される。画面下部に「原産地証明」と表示されている。左側に青で「EPA(イーピーエー)/FTA」「第三者証明制度」、その下に「発給機関」と表示されていて、「原産地証明」に向かって青い矢印が伸びている。左側の「EPA(イーピーエー)/FTA」の表示が消え、上部中央にオレンジで「RCEP(アールセップ)」、右側にオレンジで「自己申告制度」、その下に「輸出入者 生産者」と表示され、「原産地証明」に向かってオレンジの矢印が伸びる。

ナレーション: これまでのEPA(イーピーエー)、FTAの多くは、「第三者証明制度」により、発給機関が証明書を出していた。しかし「アールセップ」では、条件によって輸出者や生産者、あるいは輸入者自身も発行できるようになった。この「自己申告制度」によって、輸出入にかかる時間を短縮できるという。

映像説明: 白い壁の部屋。山名係長がインタビューに答える。 雲が浮かぶ空の下。ピンクと黄色(きいろ)のラインが入ったクリーム色(いろ)の壁の4階建ての倉庫の外観。1階に搬入口(はんにゅうぐち)が数ヵ所あり、シャーシに載せられた青やオレンジなどのコンテナが置かれている。 オフィスの中。山名係長が、白い長机(ながづくえ)に置かれたパソコンに向かって作業をしている。

山名係長: 現地から、えー、原産地証明書を、えー、ま、入手しますが、100%は届いていないんですね。 で、最初は、あの、50%切っていました。だいぶ増えてきて、まだ70~80%(しち、はちじゅっパーセント)ぐらいです。 しかも、遅れてくる物もあると。その間(あいだ)、通関が止まって(とまって)いるわけですね。 この状況が、これからも続くようであるならば、 えー、ま、自己申告という形で原産品申告書(げんさんぴんしょうめいしょ)を、われわれが作成するということも視野に入れてます。

映像説明: ガラス張りの店舗の外観。下部に黄色いラインが入った緑(みどり)の壁に「DAISO(ダイソー) ダイソー」と書かれた白い立体看板が掲げられている。店内の棚にさまざまな商品が陳列されているのが見える。 白い壁の店内。白で「DAISO(ダイソー) ダイソー」と書かれた緑(みどり)のパネルが貼られた白い柱が等間隔に並び、さまざまな商品が陳列された棚が奥までずらりと並んでいる。

テロップ: 累積規定 原産地を判定する規則

ナレーション: そして、原産地を判定する規則の1つである「累積規定」にも関心を示している。

映像説明: さまざまな商品が陳列された棚が奥までずらりと並んでいる店内の静止画を背景に、「累積規定」と題された図が表示される。画面左側に「日本産(にほんさん)」と書かれた青い布地を巻いたイラスト、中央に「RCEP(アールセップ) 締約国産」と書かれたオレンジとピンクのボタンのイラストがあり、2つのイラストのあいだに、青で「+(プラス)」が表示されていて、右側にある「日本産(にほんさん)」と書かれたピンクのボタンがたくさんついた青い服のイラストに向かって青い矢印が伸びている。「RCEP(アールセップ) 締約国産」の文字に赤で「×(バツ)」が表示され、赤い矢印が下部に伸び、「日本産とみなす」と表示される。

ナレーション: 例えば日本産(にほんさん)の部品に、アールセップ締約国産の部品を組み合わせて日本で製品を作った場合、その締約国産の部品も日本産(にほんさん)とみなすことができるという制度だ。

映像説明: 白い壁の部屋。山名係長がインタビューに答える。 太平洋を中心としたアジアやオセアニアなどの地図。RCEP(アールセップ)に参加している15ヵ国がオレンジで示され、「日本」「韓国」「中国」「ASEAN」「オーストラリア」「ニュージーランド」の国名(くにめい)が紺色の文字で表示されている。画面右側にはオレンジの文字で「RCEP(アールセップ)」と表示されている。

山名係長: RCEP(アールセップ)はですね、えー、15ヵ国で構成されるというのが非常に重要なポイントなんですね。 ほかのEPA(イーピーエー)に比べてですね、RCEP(アールセップ)の累積規定が及ぶ範囲っていうのが非常に広いと。 ということは、えー、原産地として認められる商品というのが、さらに増えるということですから。 これは期待したいです。

映像説明: 上空から撮影した、大型の貨物船が航行する映像。数隻の船舶が航行していて、奥や左側の陸地には街並みが見える。 上空から撮影した、大型の貨物船が航行する映像を背景に「日本のEPA(イーピーエー)/FTA等(とう)」と題された図が表示される。「RCEP(アールセップ)」加盟国が青の枠内、「ASEAN」加盟国がオレンジの枠内、「TPP11(ティーピーピーイレブン)」加盟国が緑(みどり)の枠内に表示され、それぞれの一部が重なって表示されている。「RCEP(アールセップ)」と「ASEAN」と「TPP11(ティーピーピーイレブン)」に加盟している国が「シンガポール※」「マレーシア※」「ブルネイ※」「ベトナム※」、「RCEP(アールセップ)」と「ASEAN」だけに加盟している国が「ラオス」「タイ※」「ミャンマー」「フィリピン※」「カンボジア※」「インドネシア※」、「RCEP(アールセップ)」と「TPP11(ティーピーピーイレブン)」だけに加盟している国が「オーストラリア※」「ニュージーランド」、「RCEP(アールセップ)」だけに加盟している国が「中国」「韓国」、「TPP11(ティーピーピーイレブン)」だけに参加している国が「カナダ」「メキシコ※」「ペルー※」「チリ※」と表示されている。画面右側の「EU(イーユー)」加盟国の紫の枠内に「27ヵ国」と書かれ、その下に「英国※」「米国※」「モンゴル※」「スイス※」「インド※」と表示されている。画面右下に「※は日本との2国間EPA(イーピーエー)/FTA等(とう)を発行済み」と表示されている。

ナレーション: 一方、気を付けなければいけない点もある。日本が結んでいるEPA(イーピーエー)やFTAなどの貿易協定は、発効済みのもので20ある。そのため、品目によっては、日本が締結しているEPA(イーピーエー)の中で「アールセップ」の条件が必ずしもいいというわけではない。

映像説明: 上空から撮影した、雲が浮かぶ空の下で貨物船が航行する映像。奥には、つり橋があり、多くの車が行き交っている。つり橋のたもとや奥の陸地に街並みが見える。 上空から撮影した、赤と黒の貨物船が航行する映像。奥の陸地には多くの建物が建っていて、はるか遠くには高層ビルが建ち並んでいる。 窓にブラインドが掛かる白い壁の部屋。窓際に観葉植物が置かれている。三木がインタビューに答える。

テロップ: ジェトロ 海外調査部アジア大洋州課 三木 貴博

三木: えー、日本(にほん)は中国と韓国を除く12ヵ国とは、RCEP(アールセップ)協定、えー、だけではなく、2国間、および多国間でEPA(イーピーエー)を締結しています。 そのためですね、えー、品目によってはRCEP(アールセップ)協定でなく、ほかの協定の方が有利な税率になる場合もあります。

映像説明: 白い壁の部屋。山名係長がインタビューに答える。

テロップ: 大創産業 輸出入管理課 山名 輝(やまな あきら) 係長

山名係長: これはまあ、時間がかかるかもしれませんが、丹念に1商品ずつ、比較していくと、いうことの積み上げしかないと思っています。

映像説明: スタジオ。画面左側には江連(えづれ)キャスターが映り、右側にはモニターが設置されている。モニターには、倉庫の中に置かれた食肉加工機械に向かって歩きながら、上山(かみやま)課長がインタビューに答える様子、ダイソーの白い壁の店内でさまざまな商品が陳列された棚が奥までずらりと並んでいる様子、ジェトロのウェブサイト、「RCEP(アールセップ)協定について」と題されたページをスクロールして「RCEP(アールセップ)協定の特恵関税および原産地規則」や「RCEP(アールセップ)協定に関するニュース(ビジネス短信)」などの項目を見せている映像、「‐RCEP(アールセップ)協定の特恵関税活用について‐ RCEP(アールセップ)協定解説書」の表紙の映像が映し出されている。江連(えづれ)キャスターが話をする。画面左下の検索ボックスに「ジェトロ RCEP(アールセップ)」と表示される。

江連(えづれ)キャスター: 日本企業(にほんきぎょう)にとって「アールセップ)協定をよく知り、活用を検討することは、海外ビジネスを進める上で不可欠なステップといえそうですね。ジェトロでは、「アールセップ」を含むEPA(イーピーエー)の情報をウェブサイトで提供しております。またセミナー、ウェビナーの開催、EPA(イーピーエー)相談窓口もありますので、ぜひご活用ください。

映像説明: 薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。緑(みどり)を基調とした、中が空洞になった地球儀が回転している。

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