揺らぐ国際経済秩序とグローバルビジネスの今後 ‐世界貿易投資報告2019年版より‐
2019年09月19日
「世界は今」のアクセシビリティ対応について
ジェトロ・ウェブアクセシビリティ方針に基づき、「世界は今」では次のような取り組みを行っています。
- 聴覚障害をお持ちの方向け
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- 視覚障害をお持ちの方向け
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2018年の世界貿易は過去最高額を記録したが、伸び率では前年に比べ鈍化した。その背景には、保護貿易主義の台頭に伴う世界経済の減速がある。米中間の関税引き上げの応酬は、両国経済に留まらず、そこでビジネスを行う外国企業にも大きな影響を与え、生産拠点の見直しなど、各社は対応を迫られている。一方、こうしたなかでもスタートアップなどの新興企業が成長を続けており、それらを支えるエコシステムの整備が各地で進められている。米中貿易摩擦に揺れる世界貿易の動向に加え、各国のエコシステムの強みを特徴の類型化により分析する。
(14分10秒)
テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。
映像説明: 画面の左半分に、はためくアメリカの国旗。13本の赤と白のボーダーと、左上の青地の長方形の中に、州の数の白い星が描かれている。画面の右半分には、はためく中国の国旗。赤地の旗の左上に大きな黄色い星が配置され、その星を囲むように右側に小さな4つの黄色い星が描かれている。 ビルが立ち並ぶ市街地。交通量の少ない車道と歩道の境に、金属製の低いフェンスが2重に並べられている。手前のフェンスの内側には、三脚の上にビデオカメラが設置されており、茶色のジャンパーにフードをかぶった人物が、道路を挟んで正面のガラス張りのビルを見ている。ビルの前の歩道にはアンティーク調の金色の四面時計。後ろには、大きな金色のエントランスがあり、黒い枠の上部に「TRUMP TOWER」と書かれた金色の立体看板が掲げられている。左隣のベージュの建物には、壁に噴水のような形の大きな電飾(でんしょく)があり、ショーウィンドウには緑のサンシェードが掛けられている。 広大な土地に広がる建築現場。長い荷台を引いたトレーラーがゆっくりと動いていく。むき出しの茶色の土地に、3階建ての建物の骨組みが組まれており、ところどころに6台ほどのクレーン車が長い首を伸ばしている。
テロップ: 米中貿易摩擦
ナレーション: 米中貿易摩擦でゆれる世界経済。加熱する報道を注視しながらも、次の一手を冷静に見極める企業の動き。
映像説明: 白い机とモニターが並ぶオフィスの中。黒いTシャツを着た男性が、イヤホンをつけてモニターを見つめている。向かいの席に座るグレーのTシャツを着た男性がノートパソコンを操作している。後ろの白い机には、からし色(いろ)のシャツを着た女性と大きな腕時計をつけた男性が並んで座り、奥のコピー機の上には、青いオーバーオールを着て、水中眼鏡をかけた目が1つの黄色いミニオンズのキャラクターの人形が置かれている。 天井の高い展示会場の中。白い柱とはりで囲まれたブースの入口に、赤と黒の縁取り(ふちどり)のある白の看板が掲げられており、アルファベットの「J」をモチーフにした黒いマークと、黒の文字で「J‐Startup(ジェイ スタートアップ)」と書かれている。多くの人々でにぎわうブースの壁は、赤、黒、白に塗り分けられ、英語で説明が書かれている。
テロップ: スタートアップ エコシステム
ナレーション: そして、各地で存在感を増す、スタートアップを生み出すエコシステム。
映像説明: 白い建物の外観。壁には、巨大なモニターが取り付けられ、画面に黄色(きいろ)、緑、青、赤の小さなボールが敷き詰められて、ゆっくりと動いていく映像が映る。モニターの上には、「Hey Google」と書かれた黒い立体看板が掲げられている。 大勢の人が行き来する薄暗い展示会場。高い天井に届くほどの巨大なデジタル看板が設置され、青の背景に白い文字で、「Qualcomm(クアルコム)」、「THE REAL 5G(ザ リアル ファイブ ジー)」、「In the age of 5G we enable connections everywhere. (イン ジ エイジ オブ ファイブジー ウイ エネイブル コネクションズ エブリウェア)」と書かれた動画が映し出されている。 巨大な貨物船が停泊している埠頭。船の横には、背の高いコンテナクレーンが2台設置されており、足元に赤や青、黄色(きいろ)、緑などのコンテナが積み上げられている。クレーンから吊り下げられたコンテナが、ゆっくりと移動していく。
ナレーション: 変化を続ける世界経済の動きを、ジェトロの専門家が解説します。
映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。 薄い青を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。 世界地図の上で回転する、中が空洞になった地球儀から、もうひとつ地球儀が飛び出す。 拡大表示された地球儀の横にタイトルが現れる。
映像説明: スタジオ。 コンピューターグラフィックスの世界地図のパネルの前に、ピンクのブラウスにノーカラーの白のジャケットを着て、左の胸元に小さな黒いピンマイクをつけた女性が座っている。
テロップ: 八木 ひとみ(やぎ ひとみ)
テロップ: 揺らぐ国際経済秩序とグローバルビジネスの今後 ‐世界貿易投資報告2019年版より‐
八木(やぎ)キャスター 世界は今、ジェトログローバルアイ。 米中貿易摩擦をはじめ、今、ニュースでも、国際間のさまざまな通商問題が取り上げられており、皆さんも、気になっているのではないでしょうか。今回は、ジェトロが毎年発行している「世界貿易投資報告」をもとに、世界の貿易や投資の動きについて、改めて見ていきたいと思います。
映像説明: コンピューターグラフィックスの巨大な世界地図のパネルには青い海の中に水色の陸地が浮かび、白いラインで幾何学模様が描かれた陸地のあちこちで、小さな明かりがついたり消えたりしている。青いフロアの中央には、側面に横じま模様が入った半円形の水色のカウンターが配置されている。カウンターの後ろ、左側には白のジャケット姿の八木(やぎ)キャスター、右側には、黒いスーツ姿の眼鏡をかけた男性が座っている。
八木(やぎ)キャスター: スタジオには、ジェトロ国際経済課の米山さんにお越しいただいています。よろしくお願いします。
映像説明: 黒いスーツ姿の米山(ジェトロ 国際経済課 課長)がお辞儀をする。ジャケットの右襟には黒いピンマイクをつけている。
テロップ: ジェトロ 国際経済課 課長 米山 洋(よねやま ひろし)
米山: よろしくお願いします。
映像説明: スタジオの八木(やぎ)キャスターが、隣に座る黒いジャケットの米山に話しかける。
八木(やぎ)キャスター: 今年の報告のテーマは、「揺らぐ国際経済秩序とグローバルビジネスの今後」ということですね。
テロップ: 「世界貿易投資報告」のポイント ●保護貿易主義の動向とその影響 ●各国で進むエコシステム整備の動き
米山: はい。えー、ジェトロでは毎年、えー、「世界貿易投資報告」で、世界と日本の貿易・投資や通商ルールを分析していますが、今年のメイントピックは、「保護貿易主義の影響」です。また、報告では毎年、えー、ビジネスにまつわるトピックにも、触れていますが、今年はスタートアップ企業を生み出すエコシステムについて、えー、分析をしています。今回はこの2つを中心にお話します。
映像説明: 中が空洞になった地球儀の映像を背景に、白の縁取り(ふちどり)のある金色の文字で「2018年の世界貿易」の文字が表示される。
テロップ: 2018年の世界貿易
映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターが、米山に話しかける。
テロップ: 2018年の世界貿易
八木(やぎ)キャスター: まず、世界貿易の動向についてお聞かせください。
映像説明: 「世界貿易の推移(輸出ベース)」と題された緑の棒グラフが表示される。左の縦軸は、0から20兆ドルまでの金額を5兆ドル刻みで示しており、横軸は2003年から2018年までの年を表している。2003年に7兆ドルほどだった数字が、2008年の15兆ドル超まで右肩上がりで上昇。2009年には12兆ドルほどに下がったものの、翌年の2010年から再び増加。2011年から2014年までは19兆ドルをわずかに下回るレベルを維持していたが、2015年、2016年は15兆ドルを超える程度にまでに数字が下がる。2017年からは上昇に転じ、2018年の棒グラフから四角い吹きだしが出て、「19兆ドル(前年比9.7%↑)」と表示される。右の縦軸には伸び率が、マイナス30からプラス30までの5%刻みで示される。棒グラフの上に、オレンジ色(いろ)の「伸び率」の折れ線グラフが重なる。2003年は17%程度、2004年は21%程度、2005年から2008年にかけては、15%前後をほぼ横ばいで推移していた伸び率が、2009年は一気に下落、マイナス23%に近い数字を記録する。翌年の2010年はプラス20%超へと回復し、過去最高の伸び率を記録するも、2011年から減少に転じ、2015年はマイナス15%に迫る数字となる。2016年から再度上昇、2017年は10%超、2018年はプラス9.7%となった。(出所:各国・地域貿易統計を基にジェトロ作成)
米山: はい、ジェトロの推計によりますと、2018年の世界貿易は、前年比9.7%増の19兆ドルを上回り、過去最高額を記録しましたが、前年に比べると伸びは鈍化しました。2018年は後半にかけて、世界の多くの国や地域で、輸出が減速。
テロップ: 電気機器 一般機械の輸出鈍化
米山: 商品別では、電気機器や一般機械などで輸出の鈍化がみられました。
テロップ: 米中貿易紛争に伴う関税引き上げ
米山: その背景には、米中貿易紛争とそれに伴う関税の引き上げ、景況感の低下、
テロップ: 世界経済の減速
米山: 政策の不確実性の高まりなどによる、世界経済の減速があります。
八木(やぎ)キャスター: 今年に入っても、その減速傾向っていうのは続いているんでしょうか。
映像説明: 「世界の輸出額の伸び率(主要33ヵ国・地域)」と題された緑の棒グラフが表示される。縦軸にはマイナス3%からプラス15%までの伸び率が3%刻みで示されている。横軸には2018年1月を起点として2019年の3月までが四半期ごとに示されている。2018年の1月から3月期に13.2%だった伸び率が徐々に減少し、2018年4月から6月期は11.5%、7月から9月期は7.2%、2018年10月から12月期は3%、2019年1月から3月期にはマイナス2.6%にまで下がっている。オレンジの枠に白抜きで、「工作機械 半導体製造機器 携帯電話の落ち込みが顕著」と表示される。(出所:各国・地域貿易統計を基にジェトロ作成)
米山: はい、あの、2019年第1四半期のデータを入手できる国・地域の貿易額を合計しますと、輸出は前年同期に比べ2.6%減と減少に転じました。とりわけ工作機械、半導体製造機器、携帯電話の落ち込みが顕著になっています。
テロップ: 貿易摩擦・景況感の低下など下振れ(したぶれ)リスク大 →2019年 世界貿易は減速の見込み(数量ベース)
米山: ま、原油価格の回復や、中国の景気刺激策など押し上げ要因はあるものの、貿易摩擦や景況感の低下など、下振れ(したぶれ)リスクは大きく、2019年の世界貿易は、ま、数量ベースでは、減速が見込まれます。
映像説明: 中が空洞になった地球儀の映像を背景に、白い縁取り(ふちどり)のある金色の文字で、「保護貿易主義の動向とその影響」と表示される。
テロップ: 保護貿易主義の動向とその影響
映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターが、米山(ジェトロ 国際経済課 課長)に質問をなげかける。
テロップ: 保護貿易主義の動向とその影響
八木(やぎ)キャスター: では、次に今回のメイントピックの保護貿易主義の影響ですが、世界的には、どのような状況なのでしょうか。
映像説明: 「G20(ジー トゥエンティー)諸国による貿易制限的措置件数」と題された緑の棒グラフが表示される。 縦軸は0件から100件までの件数を20件刻みで示し、横軸は2012年から2018年までの年を表している。2012年は78件、2013年は83件だった件数は、2014年に68件まで減少するも、2015年には上昇し、91件を記録する。2016年には58件に減少するが、その後、右肩上がりに増加、2017年は62件、2018年には71件となっている。2016から2018年の棒グラフに沿うように、赤い右上がりの矢印が表示される。(出所:WTO)
米山: はい、世界の主要20ヵ国、G20(ジー トゥエンティー)が2018年に導入した、輸入制限など、貿易制限的措置は、71件ということで、2年連続で増加をいたしました。また、その対象となった貿易額も、昨年以降、高止まり(たかどまり)をしています。2018年には、米中などで大規模な貿易制限的措置の発動が相次ぎましたが、これら主要な措置の対象貿易額を合算しますと、世界貿易の4%に、程度に相当する規模ということになります。
映像説明: 車通りが多い市街地の交差点。歩道に面した白いビルには、赤い文字で「H&M」と書かれた立体看板が掲げられている。2階部分までガラス張りになったエントランスの前には、歩行者用信号機に赤い手のひらのマークが映し出され、歩道に大勢の人が佇んでいる。赤信号で停止する車と、通り過ぎる黄色(きいろ)のタクシー。 いろいろな英語の看板に囲まれた横断歩道。歩行者用信号機には、歩いている人のマークが映し出されており、信号機の上部には、矢印の中に「ONE WAY」と書かれた標識が掲げられている。交差点に面したビルには、「TIMES SQUARE」と書かれた立体看板が取り付けられている。道路を横断するたくさんの通行人。
テロップ: 3回にわたる追加関税措置
ナレーション: 昨年発動した、3回にわたる米中間の追加関税措置の応酬。
映像説明: 「米国の中国からの輸入額の伸び率(前年同月比)」の折れ線グラフが表示される。縦軸はマイナス20%からプラス20%までの伸び率を5%刻みで示している。横軸は2018年1月から2019年5月までを月単位で表している。2018年1月は10%で、2月は20%に届くほど上昇していた伸び率は、その後、減少して4月には2%ほどに落ち込む。5月、6月は5%程度、7月は10%程度に上昇したが、追加関税措置の第1弾が7月6日に、第2弾が8月23日に、第3弾が9月24日に実施されると、11月にはマイナス3%ほどに低下。12月にいったんプラスに転じたものの、2019年1月以降は右肩下がりとなり、3月にはマイナス20%近くまで落ち込んだ。4月にはマイナス9%程度に戻すも、5月には再びマイナス10%程度に減少している。(出所:米国商務省)
ナレーション: その結果、アメリカの中国からの輸入額は、2019年1月以降は前年同月比で、大幅なマイナスが続いている。
映像説明: 「中国の米国からの輸入額の伸び率 (前年同月比)」と題された折れ線グラフが表示される。縦軸はマイナス50%からプラス30%までの伸び率を10%刻みで示し、横軸は2018年1月から2019年5月までを月単位で示している。2018年1月は30%ほどだった伸び率は、2月には0%を下回り、その後、増加して4月には25%超まで戻す。翌月の5月からは緩やかに下がり続け、追加関税措置の第1弾が7月6日に、第2弾が8月23日に、第3弾が9月24日に実施されると、9月、10月は0%前後にまで減少。その後、急激に落ち込み、11月にはマイナス25%程度、12月にはマイナス35%程度、2019年1月にはマイナス40%ほどに減少した。翌月の2月にはマイナス25%程度にまで上昇するが、その後はわずかな増減を繰り返している。(出所:中国税関)
ナレーション: 一方、中国のアメリカからの輸入額は、2018年10月以降、減少に転じている。
映像説明: 土手の上の橋から市街地に延びる高速道路。高架の上に建てられた背の高いポールには星条旗がはためき、土手には緑の芝生が広がっている。道路が延びる先には先端部分が切妻屋根のようなデザインのビルなど、二十棟ほどの高層ビルが立ちならんでいる。 ニューヨークのタイムズスクエア。ポールの上に星条旗が掲げられ、通りにはたくさんの人が行き来している。密集したビルのいたるところに英語で書かれた巨大看板が掲げられている。さまざまな映像を映し出すモニターや、「CATS」と書かれ、黄色い目が描かれた黒い看板、モデルの写真が入った巨大な縦長の看板。右手のビルの電光看板には「How to go LIVE in Times Square」の文字が映し出され、別の広告に変わる。
ナレーション: さらに、アメリカによる第4弾の追加関税措置も、この9月に発動され、今後の影響が懸念される。
映像説明: スタジオで、八木(やぎ)キャスターが身振りを交えて話をする。
八木(やぎ)キャスター: この短期間で、かなり減少が進んでいるということですが、その分、他の国からの輸入は増えているんでしょうか。
映像説明: 「米国「プリント基板などコンピューターの部分品」の輸入額」の棒グラフが表示される。縦軸は0から140億万ドルまでの数字を20億ドル刻みで示し、横軸は、追加関税実施前である2017年10月から2018年3月までの期間と、実施後の2018年10月から2019年3月までの期間が示されている。実施前の全体の輸入額は120億ドルを超えていたが、実施後は120億ドルを下回っている。実施前、中国は89億5,700万ドルを占めていたが、実施後は37億1,500万ドルに半減。韓国は14億5,300万ドルから33億2,200万ドルに増加。台湾も、8億300万ドルから21億9,200万ドルへと大幅に増加した。(出所:米国商務省統計等を基にジェトロ作成)
米山: はい、あの、そうなんです。えー、例えば、プリント基板など、ま、コンピューターの部品では、アメリカの中国からの輸入額が追加関税実施前に比べて6割近く減少しました。一方で、韓国からの輸入額は2倍強、台湾からは3倍近く拡大をしています。
八木(やぎ)キャスター: コンピューター部品などで、アメリカの輸入先に大きな変化が出てきているということですよね。一方、中国の輸入先についてはいかがでしょうか?
映像説明: 「中国「大豆」の輸入額」の棒グラフが表示される。縦軸は0から200億万ドルまでの数字を50億ドル刻みで示し、横軸は、追加関税実施前である2017年10月から2018年3月までの期間と、実施後の2018年10月から2019年3月までの期間が示されている。追加関税実施前、アメリカは102億4,500万ドルを占めていたが、実施後には10億9,500万ドルまで大幅に減少。ブラジルは、59億8,600万ドルから113億700万ドルに倍増し、カナダも5億3,900万ドルから13億3,300万ドルへと大幅に増加した。(出所:中国税関統計等を基にジェトロ作成)
米山: はい、えー、中国のその大豆の輸入においては、最大の相手国であったアメリカが追加関税の実施前に比べて、9割減となった一方で、ブラジルとカナダは、それぞれ2倍程度に拡大をしました。
八木(やぎ)キャスター: 貿易面では影響がかなり大きいようですが、そのほかの企業活動については、どんな変化があるんでしょうか。
テロップ: 中国進出企業(米系・ドイツ系)の一部 →保護貿易主義に対応 生産移管を進める
米山 はい、あの生産拠点や機能を見直す動きが出始めています。例えば、中国に拠点を構えるアメリカ系、ドイツ系、こういった外資系企業の一部は、保護貿易主義に対応して生産機能・拠点のほかの国への移管を進めていますが、その際の候補先として東南アジアを挙げる企業が多いようです。
八木(やぎ)キャスター 生産拠点の移管といったら、やっぱり企業にとって大きな決断となりますが、そういった動きも出ているということなんですね。
映像説明: 八木(やぎ)キャスターが正面を向いて話をする。
八木(やぎ)キャスター: ではここで、中国に進出している日本企業(にほんきぎょう)の事例をご覧ください。
映像説明: 樹木と白いフェンス塀に囲まれた、低層の白いビル。フェンス塀を隔てて隣の敷地には、開放された門の横に守衛室の白い建物があり、奥には一部に足場が組まれた白い3階建てのビルが建っている。
テロップ: 福島県 郡山市
ナレーション: こちらは車載(しゃさい)音響メーカー、クラリオングループの郡山工場。
映像説明: 低い植え込みに囲まれた黒い看板に白の文字で「clarion」と書かれたロゴと、「クラリオン マニュファクチャリング アンド サービス株式会社」、「Clarion Manufacturing and Service Co., Ltd(クラリオン マニュファクチャリング アンド サービス コー エルティーディー)」と書かれている。 白い壁の工場の内部。仕切りのない広い部屋の真ん中に通路があり、右手にはさまざまな種類のスチール製のラックや台車が並んでいる。手前の台車にはクラリオンのロゴが入った水色のコンテナが2列に積まれている。脇の柱には縦長の赤いボックスが置かれ、消火器とかかれた赤い標識が貼られている。通路の左には、配線がむき出しの機械が載った緑の作業台があり、水色の帽子と半袖のシャツにズボンを着て、白いマスクをつけた人々が10人ほど作業をしている。周囲には金属製のラックが数多く置かれ、グレーの四角い部品が並べられている。作業員が黒いラックから四角い部品を手に取る。
ナレーション: 車載カメラシステムや、カーナビ、カーオーディオなどを生産し、現在、国内のほか、海外5ヵ国に生産拠点を構える。
映像説明: 上空から撮影した建物群。中央の広い区画に建つ、6階ほどの高さの大きなビルが、隣に並ぶ小さめの2棟のビルの1つと渡り廊下でつながっている。すぐそばには、車通りの少ない片側3車線の大きな道路がある。 工場内。ロボットアームが入った四角い透明なケースが何列もずらりと並んでいる。ケースの中には、電子回路が取り付けられた基板が置かれ、透明のドアにはそれぞれ、中国語で書かれたピンクの貼り紙が貼ってある。ドアの横には赤や黄色(きいろ)のボタンと大小2つのモニターがついた金属製の操作パネルが、ケースの上には、筒状に重ねられた赤、黄、緑のランプが取り付けてある。透明なケースの横で、水色の帽子、半袖シャツ、ズボンを着た作業員がワゴンの前で作業をしている。
テロップ: クラリオングループ 中国拠点
ナレーション: 中でも中国は、最盛期にはグループ全体の生産量のうち、半分以上を担うほど、生産を拡大したという。
映像説明: 白い壁の部屋。黒とグレーのストライプのジャケットを着た男性が、インタビューに答える。
テロップ: クラリオン 生産技術本部・生産企画部 佐藤 弘之 部長
佐藤部長: 中国で生産していた、ほとんどグローバルといっていいほど、 日本(にほん)にも引っ張ってきてましたし。えー、米州、えー、欧州、当然その、中国国内、えー、アジアといったかたちで、 ほぼ中国から、えー、グローバルに、モノを輸出して、商売をさせていただいたっていうのが実態です。
映像説明: 工場内。巨大な透明のボックスに囲まれて、ベルトコンベアーが2列並んでいる。透明のボックスのそれぞれの中に、白い作業服を着た作業員が座っている。手前のベルトコンベアーの前には、水色の帽子、半袖シャツ、ズボンを着た3人の作業員が、奥のコンベアーの前には2人の作業員が並んで作業をしている。棚には青いプレートに中国語の簡体字(簡体字)で「組装」と「(4)」の文字がある。手前のベルトコンベアーを黒く平たい部品が1つ、ゆっくりと流れていく。
テロップ: クラリオングループ 中国拠点
ナレーション: しかし、生産拠点の一極集中は、自然災害をはじめ、問題が起きたときのリスクが大きい。
映像説明: 広い部屋に、大きな縦長の箱型の機械がたくさん設置されている。機械の下半分には、上のリールから下のリールに巻かれた25本のテープがむき出しになって並んでいる。機械の上部は、透明のカバーがついた奥行きのあるスペースで、長方形のアームが、細かく動き回っている。カバーには、「NPM」と書かれたシールが貼られ、右手にある小さなモニターには、「Panasonic」と書かれたシルバーのロゴが入っている。 側面にモニターが埋め込まれたシルバーの箱型の機械から、コンベアーに乗って電子回路の基板が流れてくる。固定されたアームの下で止まると、アームから赤い光が照射される。
テロップ: 生産機能を見直し分散化
ナレーション: そこでクラリオンは、災害などが起きても事業を継続させるため、中国へ依存していた生産機能を分散化する戦略へとシフト。
映像説明: 工場内。複数のスタンドライトが取り付けられた緑の作業台の前で、マスクをつけ、青い帽子と作業服を着た作業員が四角い部品をオレンジの台に固定し、アームの先に取り付けられた工具を使って作業している。もう一人の作業員が、部品にフタをするように別の部品をはめ込んでいる。
テロップ: 地産地消(ちしょう)への転換
ナレーション: さらに、販売するエリアで生産する「地産地消(しょう)」の割合も増やしている。
映像説明: 工場内の一室。天井から白く水蒸気が噴き出ている。室内の壁一面に、大きな縦長の箱型の機械が下半分だけずらりと並んでおり、リールに巻かれたテープがむき出しのままになっている。部屋の中央には、異なる種類の大型の機械が5台並べられている。小さなモニターが埋め込まれ、上部に赤、オレンジ、緑のランプがついたたシルバーの機械や、「クリームはんだ印刷」と書かれ、透明の窓がついた機械が置かれ、窓の中では、平たいアームがゆっくりと動いている。
テロップ: 米国向け製品の生産移管 カーナビ 中国 → 日本 カーオーディオ 中国 → メキシコ
ナレーション: そうした生産体制の見直しのなか、アメリカ向けのカーナビは日本へ、カーオーディオはメキシコへの生産移管を進めてきた。
映像説明: 別の一角。大きな金属製のラックの中に、黒い縦長のラックが十数個収められている。黒いラックには、等間隔にたくさんの板がはめ込まれている。 通路をはさんで向かいには、足元に白いベルトコンベアーがついた、大きな白い機械がたくさん並べられ、機械から天井に向かってシルバーのダクトが伸びている。
テロップ: 米中貿易摩擦
ナレーション: そこで起きたのが、今回の、米中貿易摩擦。無税だった、中国からアメリカへの輸出が、追加関税措置により…。
映像説明: 白い壁の部屋で、黒とグレーのストライプのジャケットを着た佐藤部長がインタビューに答える。
佐藤部長: (米国向け製品の関税は)カーナビゲーションが初回から25%で、 カーオーディオに関しては、えっと、10%で猶予期間があったんですけれども、25%になったということになるんですが…。
映像説明: 小さなシルバーの箱型の部品が並べられた工場のラインの一角。大きな機械の扉を上にあげて、中から部品を取り出している作業員を背景に、「中国から米国輸出の関税率」と題された画像が表示される。カーナビは無税から25%に引き上げられ、カーオーディオは無税から10%、25%と段階的に引き上げられたことが示される。背景の映像が工場内から、銀色のトレーに載せられた 金属製の板に変わり、さらに、加工された金属製のパーツに変わる。
ナレーション: 当初、中国からの生産移管は、リスクの分散化を目的としていたが、追加関税のインパクトは大きく、計画を前倒しして、移管を実行した。
映像説明: 白い壁の部屋で、佐藤部長が話を続ける。
佐藤部長: もともと(生産機能を)日本(にほん)に持ってくる計画を立ててましたので。 今回の、その米中貿易摩擦がトリガーとなって、時期を少し前倒しをしたと…。
映像説明: 工場内。水色の帽子と作業服を着た2人の作業員が、緑の作業台に向かっている。作業台に貼られた青いプレートには、「機種情報照合」と書かれている。白い手袋をはめた女性作業員が、グレーの長方形の部品を作業台の上の器具に固定して、手にしたアームの先のノズルから赤い光を照射する。 工場内の緑の作業台。隣に置かれた透明のボックスの上には、「基板分割」と書かれた青いプレートが取り付けてある。作業台の上の黒い箱には、「シール台紙」と書かれたシールが貼ってある。水色の帽子と作業服を着た作業員が、台の上に置いた部品にオレンジと黒のアームのノズルの先端を押しあてる。 2台のモニターとノートパソコンが置かれたデスクのある一角。水色の作業服を着た3人の作業員が並んで座っている。水色の帽子をかぶった男性と、青と黒のキャップ帽をかぶった男性が、ノートパソコンのプレゼンテーション画面を見つめながら、話をしている。
ナレーション: 急な生産移管は、品質維持の観点でリスクが大きい。しかし、郡山工場にあるカーナビの生産体制を生かしながら、中国からの移管を効率的に行い、品質を保つことができたという。
映像説明: 花瓶に朝顔が飾られている部屋。白い作業服を着た男性がインタビューに答える。
テロップ: クラリオン マニュファクチャリングアンドサービス 鈴木 庄平 社長
鈴木社長: 基本的には、中国と同一の生産工程を、えーと、こちらの方に設置いたしまして。 ま、デイリーですね、約450台の生産能力で生産をしております。
映像説明: スタジオ。 コンピューターグラフィックスの世界地図のパネルの前で、米山が話を始める。
米山: ご覧いただいた企業のように、生産の一部を中国から他の国へ移管する理由は、必ずしも、その米中貿易摩擦だけではありませんが、その移管の決定を後押しする要因に、ま、なることもあるようです。
八木(やぎ)キャスター: 生産体制の変更というのは、企業にとって設備投資だったり、負担は小さくはないですよね。えー、そういった移管によるプラスの効果を生み出すためにも、より戦略的に進出先の選定などを検討する必要がありそうですね。
映像説明: 中が空洞になった地球儀の映像を背景に、白の縁取り(ふちどり)のある金色の文字で「各国で進む エコシステム整備の動き」と表示される。
テロップ: 各国で進む エコシステム整備の動き
映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターの話を、米山が大きくうなずきながら聞いている。
テロップ: 各国で進むエコシステム整備の動き
八木(やぎ)キャスター: では、今回の報告のもう一つのトピックである、世界のエコシステムについてお聞きしたいと思います。シリコンバレーが発祥といわれるエコシステムですが、なぜ今回、ここに注目したんでしょうか。
テロップ: 高まるスタートアップなどの存在感
米山: はい、あの、世界のビジネスの現場を、ま、見渡しますと、スタートアップなど新興企業の存在感が一段と増しています。
テロップ: GDPに対するVC投資額の割合 → 米国・イスラエルが突出 近年は他国でも上昇
米山: 主要各国の経済規模、GDPに対するベンチャーキャピタル投資の割合は、世界的に見てアメリカやイスラエルが突出していますが、近年ではカナダやイギリス、フランスなどでも上昇しています。
テロップ: スタートアップを生み出す エコシステムの整備に注力
米山: ま、各国はこのスタートアップを生み出す、エコシステムの整備に力を入れています。
八木(やぎ)キャスター: 確かに、企業がスタートアップや投資家などと連携して、新たなビジネスを生み出そうとする動き、各地で増えてきましたよね。
映像説明: 画面に、「エコシステムの概念図」と題されたCG画像が表示される。4分割された円の中には、右上から時計回りに「起業家」、「資金」、「機会」、「外部環境」の4つの要素名が、円グラフの外側には具体例が示されている。「起業家」の要素には外国人起業家、中途退職者。「資金」の要素にはVC(ベンチャーキャピタル)、政府補助金。「機会」の要素にはピッチコンテスト、インキュベーション施設。「外部環境」要素には、政府のイニシアチブ、大学・研究機関、と記されている。(出所:各種情報を基にジェトロ作成)
米山: ま、こちらはスタートアップを生み出すエコシステムの概念図を示したものなんですが、起業する人材をはじめ、資金、外部環境、これら4つの要素から形成されることが分かります。
八木(やぎ)キャスター: こうした4つの要素が共存し、チャレンジしやすい環境であるほど起業家が集まり、さらに投資も増える、といった相乗効果が期待できそうですね。
米山: はい、あのー、ですので、スタートアップを支援し、優れたエコシステムを構築しようと、力を入れる国が増えています。
映像説明: 「主要なエコシステムの強み」と題されたCG画像が表示される。4分割された円が1段に3つずつ、2段表示され、6つのそれぞれ円の下に地域名が記されている。4分割された円の中には、右上から時計回りに「起業家」、「資金」、「機会」、「外部環境」の4つの要素名があり、強みがある要素は緑色(みどりいろ)で示されている。「シリコンバレー」は、「起業家」、「資金」、「機会」、「外部環境」の全てに強みがある。「パリ」は、「資金」、「外部環境」に強みがある。「テルアビブ」は、「起業家」、「資金」、「機会」が強みである。「シンガポール」は、「資金」と「外部環境」が強く、「深セン」は、「起業家」と「機会」が強みとなっている。「東京」は、「外部環境」のみが強みとされている。(出所:各種資料を基にジェトロ作成)
米山: この4つの要素をもとに、世界各地のそのエコシステムの特徴を見ますと、それぞれの持つ強みが明らかになります。
八木(やぎ)キャスター: 各地で、特徴が違うんですね。
映像説明: 画面の左上に、パリのエコシステムの強みを示したCG画像が表示され、「資金」と「外部環境」が強みであることが示されている。オフィスの中の映像。 マグカップや書類などが置かれた木製の長机(ながづくえ)に半袖のTシャツを着た男性が座り、モニターに向かって作業をしている。中央の低い棚を挟んで向かいの席に、緑の服を着た女性が座っている。女性の後ろには番号が書かれた木製のロッカーが置いてある。ロッカーの横の窓際の席で、グレーのTシャツを着た男性がノートパソコンを見ている。後ろのテーブルには黒いTシャツを着た二人の男性が並んで座り、机上のモニターを見ながらノートパソコンを操作している。 天井が半分透明になっている、ドーム屋根の広い建物の中。中央部分が最上階まで吹き抜けになっており、壁際にガラス張りのブースや部屋が並んでいる。 吹き抜けに面した壁がガラスで覆われた白い壁の小さなブース。テーブルを囲んで5人の男女が話をしている。 セミナースペース。壁に掛けられたモニターの横に、眼鏡をかけた白いワイシャツ姿の男性が立っている。10人ほどの人々がプラスチックの椅子に座って、モニターの映像を見つめている。モニターの下の壁には「Google」と書かれた立体看板が貼かれ、モニターに向かって右側の壁にも「Google」のロゴが描かれている。 壁に掛けられたモニターの横で、眼鏡をかけた白いワイシャツ姿の男性がにこやかに話をしている。
テロップ: フランス・パリ ●「フレンチテック」による資金援助 ●海外スタートアップにも手厚いサポート
米山: はい。あの例えば、あー、フランスが力を入れているスタートアップの支援策、「フレンチテック」は、公的機関からの、まあ財政的な支援、それから外国人のビザ取得など、多くのメニューを用意しています。特に、海外から優秀なスタートアップを取り込もうと、積極的に支援を展開しています。
映像説明: 「Google」の立体看板が吊り下げられたスペース。白いカウンター席に数人の男女が座り、ノートパソコンを操作したり、話をするなどしている。カウンターの前で、眼鏡をかけた白いワイシャツ姿の男性がインタビューに答える。
テロップ: フレンチテックを活用するインド企業
眼鏡をかけた白いワイシャツ姿の男性・フランス語吹き替え: 私たちの製品開発は、まだ始めたばかりで、 そのような段階において、フレンチテックチケットによる資金援助のあるフランスは魅力的です。
映像説明: 画面の左上に、テルアビブのエコシステムの強みを示したCG画像が表示され、「起業家」、「資金」、「機会」が強みであることが示される。オレンジのブラインドが掛かった部屋。窓際の席で、紺と白のストライプのシャツを着た男性がモニターに向かい、メールを確認している。 別の一角。薄いブルーやグレー、モスグリーンのパーティションで仕切られた、コの字型のデスクに2人の男性が座り、それぞれモニターに向かいながら作業をしている。ヘッドフォンを首からかけ、えんじ色(いろ)の半袖シャツを着た男性はモニターを見ながらキーボードを叩いている。 木製の柵と金網で囲まれた小部屋(こべや)の中に黒いクッションが敷かれ、赤いプロペラのある円が4つ、組み合わさった形の黒いドローンが置かれている。赤いプロペラが回転し、浮き上がったあと、金網の手前に置かれたノートパソコンの横で、男性がドローンに向かって右手をかざすと、浮き上がったドローンが手の動きに合わせて上下する。男性の右手の動きが止まり、浮き上がったドローンが一定の高さでホバリングしている。
テロップ: イスラエル・テルアビブ ●研究者や兵役終了者の起業家が多い ●ライフサイエンス サイバーセキュリティに強み
米山: 一方、イスラエルでは、あー、ノーベル賞を受賞する研究者や軍隊での兵役終了者の起業家が多く、ライフサイエンスやサイバーセキュリティーなどの分野でスタートアップが生まれています。
映像説明: 巨大な青い看板の前で、グレーのシャツを着た男性がインタビューに答える。看板には、だ円の中に「Intel」と書かれたロゴが入っている。
テロップ: 米国の大手IT(アイティー)企業
グレーのシャツを着た男性・英語: イスラエルでは、たくさんのイノベーションが見られる。 我が社のテクノロジーを有効に活用してくれる。 (この地の)さまざまなスタートアップと組んで事業展開している。
映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターが身振りを交えて話をする。
八木(やぎ)キャスター: スタートアップやエコシステムへの期待は高まるばかりですが、その中で、東京は、どんな位置づけにあるんでしょうか。
米山: はい、あのー、東京については、世界の他の(たの)エコシステムと比較した場合、まだ十分とは言えない状況かと思います。ま、起業家の育成や誘致、こういった課題も残されているように、今、思われます。
テロップ: 東京のエコシステム ●CVCやアクセラレータが増加傾向 ●政府によるスタートアップ支援策
米山: ただ、近年は、大企業におけるオープンイノベーション、ま、この機運の高まりを受けて、えー、コーポレート・ベンチャーキャピタルやアクセラレータが増加しつつあるほか、政府もスタートアップの支援策を打ち出すなど、今後の動きに期待をしたいと思います。
映像説明: 中が空洞になった地球儀の映像を背景に、白の縁取り(ふちどり)のある金色の文字で「世界経済の今後の見通し」と表示される。
テロップ: 世界経済の今後の見通し
映像説明: スタジオで、八木(やぎ)キャスターが質問をなげかける。
テロップ: 世界経済の今後の見通し
八木(やぎ)キャスター: では最後になりますが、アメリカと中国の貿易摩擦が、ますます激しさを増すなか、今後、世界経済はどうなっていくんでしょうか。
テロップ: 実体経済にもマイナスの影響
米山: はい、あのー、少なくとも今年については、減速見通しということになっています。ま、冒頭にありましたように、今回の報告のテーマは、「揺らぐ国際経済秩序とグローバルビジネスの今後」です。保護主義の台頭で、世界経済の成長を支えてきた経済秩序が大きく揺らいでおり、実体経済にもマイナスの影響が出始めています。
テロップ: 新興企業が着実に成長
米山: ま、一方、そうした情勢下にあっても、ビジネスの世界では、スタートアップなどの新興企業が着実にまあ、成長を遂げています。このように、世界経済は大きな変化の時代を、ま、迎えておりまして、企業にとっては先行きを読みづらい状況が続くと思われます。
八木(やぎ)キャスター: まさに、変化への対応力が問われているといえそうですね。
映像説明: スタジオの八木(やぎ)キャスターが正面を向いて話をする。 画面の右側に、タイトルに、「2019年版 ジェトロ世界貿易投資報告」、サブタイトルに「揺らぐ国際経済秩序とグローバルビジネスの今後」と題された冊子のCG画像が表示される。表紙には、水色の円をモチーフにした幾何学(きかがく)模様のイラストが描かれている。画面の左側には、「世界と主要各国・地域の貿易、直接投資、通商ルール形成動向を豊富なデータを用いて分析した年次レポートです。」と、冊子の説明が添えられている。ウェブ検索のテキストボックスに「世界貿易投資報告」とタイプされ、白い矢印のカーソルが隣の検索ボタンに向けられる。
八木(やぎ)キャスター: 今回ご紹介した内容は最新の「世界貿易投資報告」で詳しく解説しています。インターネットで全文をご覧いただけるほか、ジェトロのウェブサイトからご購入いただくことも可能です。
映像説明: スタジオで、八木(やぎ)キャスターと、米山がお辞儀をする。
八木(やぎ)キャスター: 米山さん、今日はありがとうございました。
米山: ありがとうございました。
映像説明: 薄い青を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。 中が空洞になった地球儀が回転している。
番組で紹介している内容の詳細は、「世界貿易投資報告 2019年版」でご覧いただけます。
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