IoTでエビを救え! ‐タイで挑む養殖ビジネス‐

2019年02月28日

いろいろな料理で私たちの食卓を彩るエビ。実は、その多くがアジアの国々で養殖されたものだ。しかし、エビの養殖には大きな課題がある。出荷に至るまで無事に育つのは、全体の6割程だという。外貨収入につながり、地域経済を支える一次産業の高度化は、各国にとって重要なテーマとなっている。そうしたなか、タイにおいてエビの生存率を引き上げようとする日本の通信会社がある。IoTを活用して生育状況をデータ化し、養殖環境の最適化を図ろうとするものだ。しかし、新たな領域への挑戦には、さまざまな困難も。現地企業と連携しつつ、課題を乗り越えようと奮闘する企業の取り組みを追った。

(12分18秒)

テキスト解説を読む

テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。 薄い青を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。 世界地図から飛び出した、中が空洞になった地球儀が、回転しながら拡大表示される。 さらに世界のさまざまな都市の画像が周囲を取り巻きタイトルが現れる。 「世界は今 ジェトロ グローバル アイ」

映像説明: スタジオ。地球儀と都市の画像をバックに、女性キャスターが入ってくる。 ブルーグレーのブラウスに、ベージュのラインが入った黒いスカート姿。

テロップ: 宮瀬 茉祐子(みやせ まゆこ)

宮瀬キャスター: 世界は今、ジェトロ グローバル アイ。 私たちが普段食べているエビの多くが、東南アジアで養殖されたものです。 しかし、養殖の現場では、生存率が低いなどの課題が指摘されています。 今、エビの養殖にIoT(あい おー てぃー)を導入し、効率を上げようと試みる日本の企業があります。 その挑戦をタイで取材しました。

テロップ: IoT(あい おー てぃー)でエビを救え! ‐タイで挑む養殖ビジネス‐

映像説明: 晴天の下に広がる青い海。空には白い雲。海の向こうの島にはごつごつとした岩山が並び、水上にはいかだが浮かぶ。

ナレーション: タイの南部。美しい海が広がる。

映像説明: 走る車からの車窓風景。低木やヤシの木が並ぶ舗装された一本道。道路の脇の切り開かれた土地に入っていく。

ナレーション: そこから少し内陸に入ったエリアでは、エビの養殖が盛んに行われている。

映像説明: 広い土地に大きな黒い水槽と、その横に黒い大型容器が置かれている。 黒い大型容器の横に3人の男性が立っている。白いポロシャツを着た男性が容器の方向に手を振りながら、サングラスをかけてグレーのV字Tシャツを着た男性に話しかけている。

ナレーション: その一角にある、エビをふ化させる施設にひとりの日本人がいる。

映像説明: 白いポロシャツを着た日本人男性が腰に手を当てながら、サングラスをかけてグレーのV字Tシャツを着た男性に話している。

白いポロシャツを着た男性・英語: 平均より低い。 通常の生存率は60%、今は50%。

映像説明: 目盛りの付いた黒い大型容器の横で、白いポロシャツを着た日本人男性が、サングラスをかけてグレーのV字Tシャツを着た男性と赤いTシャツを着た男性に話をしている。

テロップ: インターネットイニシアティブ グローバル事業本部 大谷 壮史(おおたにそうし) 部長

ナレーション: 大手通信会社に勤める大谷(おおたに)さん。

映像説明: 大きな黒い水槽の中をのぞき込む白いポロシャツを着た大谷(おおたに)部長。隣に立つサングラスをかけてグレーのV字Tシャツを着た男性が水槽に入れられている網籠のひもを上に引いている。 網籠の中には黒っぽいエビが数匹泳いでいる。画面の左上に「通信」の文字、右下に「エビの養殖」という文字が浮かぶ。水に浮かぶ白い泡の上で2つの文字が重なり、「IoT(あい おー てぃー)」という文字に変わる。

テロップ: 通信

テロップ: エビの養殖

テロップ: IoT(あい おー てぃー)

ナレーション 彼はずっと、ある実証実験に取り組んでいる。通信とエビの養殖に一体どんな関係が? 2つをつなげるカギは、あらゆるモノがネットでつながる「IoT(あい おー てぃー)」だ。

映像説明: 水揚げされたたくさんのエビ。黒っぽい殻が光っている。頭と腹のあいだが薄い朱色に染まっている。

ナレーション: 私たちが、普段、食べているエビ。

映像説明: 「日本のエビ類の輸入量 国別割合(2018年)」と題された円グラフのCG。 インドが22%を占め、次いでベトナムが19%、インドネシアが15%、アルゼンチンが9%で、タイが8%、その他が27%になっている。(出所:財務省「貿易統計」)

ナレーション: その多くが、インドや東南アジアの国々から輸入されたもの。

映像説明: 大きな人工の池。池のあいだに細い道が通っている。池の奥にはなだらかな山が連なっている。

テロップ: エビの養殖池(ようしょくいけ)

ナレーション: 一般的な養殖池(ようしょくいけ)を覗いてみると…。

映像説明: 小型の水車(すいしゃ)が設置された池。数十台の水車(すいしゃ)が回転し、水しぶきがあがっている。 勢いよく回転する水車(すいしゃ)。水しぶきがあがり、水面に白い泡が流れていく。 池から引き揚げられた水色の丸い網籠。8匹のエビが入っている。 網籠の中で跳ねるエビ。1匹が網籠の外へ飛び出し、池に戻る。

ナレーション: 森を切り開き、海水などを引き込んで、作られている。 ここに稚エビ(ちえび)を放流し、およそ4ヵ月間育てる。

映像説明: 養殖池(ようしょくいけ)に張り出した細い足場。その足場の上に立つ白い帽子をかぶり、ブルーグレーの長袖Tシャツを着た男性が、黒い容器の前でかがむ。 白い帽子をかぶり、ブルーグレーの長袖Tシャツを着た男性がエビを一匹つまみあげ、カメラに笑顔を向ける。 養殖池(ようしょくいけ)の横に設置されたパネルに手を伸ばす白い帽子をかぶり、ブルーグレーの長袖TVシャツを着た男性。パネルの扉を開けるとスイッチを押す。 白い帽子をかぶり、ブルーグレーの長袖Tシャツを着た男性が小さな手こぎのボートに乗り、左手でパドルをこぎながら、右手で餌をまいている。 ボートをこぎながら餌を池に向かってまきながら移動していく。

ナレーション: この広い池で、成長を見守るのは、わずか数名のスタッフ。酸素を取り込むかくはん機の管理や 餌やりなど、日々の変化に合わせて調整を加えながら、毎日、面倒を見ている。 いわば、職人の勘で営まれてきた現場だ。

映像説明: 回る水車(すいしゃ)がある広い養殖池(ようしょくいけ)。4人の男性が腰まで水につかり、手に持った棒で水面を打ちつけている。 グレーの帽子をかぶり、えんじ色(いろ)の長袖Tシャツを着た男性が、回る水車(すいしゃ)の水しぶきを浴びながら水面を棒で打つ。 養殖池(ようしょくいけ)のほとりには、黒い大きな網を引き上げる人たち。水を囲うように手繰り寄せる。 養殖池(ようしょくいけ)に浸かった、黒い大きな網の横に立つグレーの帽子をかぶり、えんじ色(いろ)の長袖Tシャツを着た男性。プラスチックの籠を受け取ると、網の中にくぐらせエビをとる。 その籠を池のふちに立つ女性に手渡す。 3人の男性が、籠の中のエビをより分ける。 プラスチックの緑の籠にたくさん入った黒っぽいエビ。

テロップ: ブラックタイガー

ナレーション: この日は、専門の業者が来て水揚げを行っていた。水面を棒でたたき、エビを1ヵ所に集めていく。 籠ですくい、仲買人がその場で買いつける。

映像説明: 養殖池(ようしょくいけ)の横の空き地。プラスチックの緑の籠がいくつも並び、数人がなかのエビを選別している。赤いTシャツを着た男性がエビの入ったプラスチックの緑の籠の重さを量ると、トラックの荷台に立つ黒のTシャツを着た男性に手渡す。荷台の上で、黒のTシャツを着た男性がプラスチックの青い容器にエビを移し替える。

ナレーション: これが加工工場を経て、日本などに輸出されているのだ。

映像説明: ステンレスのバットいっぱいに入ったエビ。

テロップ: 現金収入が得られる 農水産品(のうすいさんひん)

ナレーション: エビは、高い現金収入が得られる農水産品(のうすいさんひん)の一つ。

映像説明: エビの入ったバットが並び、「130」と書かれた札(ふだ)が置かれている。 テントの張られた市場(いちば)。せまい通路の両側に店(みせ)が並ぶ。 氷を入れたバットに、たくさんのエビが並べられている。

テロップ: 地域経済を支える 重要な産業

ナレーション: 外貨の獲得や雇用の創出など、地域経済を支える重要な産業になっている。

映像説明: 氷水を張った青いトレーに大ぶりのエビが並べられている。「240」と書かれた札(ふだ)がエビの横に置かれている。

ナレーション: 中でもタイは、エビの一大生産拠点だった。

映像説明: 赤や緑のパラソルが並ぶ市場(いちば)。その下には肉などの食品が置かれ、多くの買い物客が見て回っている。 パラソルを広げた出店(でみせ)や軒先テントのある店が並ぶ通り。人々が通り過ぎていく。

テロップ: 感染症のまん延による 生産量の減少

ナレーション: しかし、今、養殖に携わる人が減っている。 理由のひとつは、7年ほど前に、感染症がまん延したこと。それによって生産量が激減した。

映像説明: シートで天井を覆った市場(いちば)。ライムや玉ねぎなどがバットに並んでいる。

テロップ: 周辺国との 競争の激化

ナレーション: さらに、生産コストの安い周辺国との競争も激しくなっている。

映像説明: 水車(すいしゃ)が回る養殖池(ようしょくいけ)。そのほとりの草が茂る道を、黒の帽子をかぶり、ピンクの長袖シャツを着た男性が歩く。池に張り出した細い足場に乗り、先端にかかっている青の浅い網籠に手を伸ばす。 青の浅い網籠の中のエビをつかみ、じっと見つめる黒の帽子をかぶり、ピンクの長袖シャツを着た男性。

ナレーション: タイで、20年間、エビを養殖してきたこちらの生産者。極力、化学薬品を使わず、自然の餌で育てることに取り組んできた。

映像説明: 緑が茂る中庭のような場所で、ピンクの長袖シャツを着た男性が椅子に座ってインタビューに答える。 青の浅い網籠を持ったまま、細い足場の上で立ち上がる、黒い帽子をかぶり、ピンクの長袖シャツを着た男性。 緑が茂る中庭のような場所で、ピンクの長袖シャツを着た男性のインタビューが続く。

ピンクの長袖シャツを着たエビの生産者・タイ語吹き替え: 今、力を入れているのは、オーガニックのエビです。 世界的に健康志向が広がっていて、 品質の高いエビが求められています。 特に、中国が高値で買ってくれます。

映像説明: 水車(水車)が回る養殖池(ようしょくいけ)のほとりの、草の茂る道を歩いていく、黒い帽子をかぶり、ピンクの長袖シャツを着たエビの生産者。 広い養殖池(ようしょくいけ)には、連なった水車(すいしゃ)がいくつも設置されている。養殖池(ようしょくいけ)の奥には、青々としたなだらかな山が広がる。

テロップ: 養殖の 高付加価値化

ナレーション: 現地の生産者は、生き残りをはかるため付加価値を高めようと模索していた。

映像説明: 大きな黒い水槽のそばに立つ3人の男性。白いポロシャツを着た大谷(おおたに)部長と、サングラスをかけ、グレーのTシャツを着た男性が手振りを交えて話をしている。

ナレーション: 一方、大谷さんが考えているのは、別のアプローチだ。

映像説明: 青い網籠の中で、活発に泳ぎ回る数匹のエビ。

テロップ: 生存率が6割程度

ナレーション: エビの養殖の課題の一つが成長する途中で、多くが死んでしまうこと。 生存率は6割程度にとどまるという。

映像説明: 大きな黒い水槽の横に立つ3人の男性。白いポロシャツを着た大谷部長がスマートフォンを操作して、サングラスをかけ、グレーのVネックカットソーを着た男性の方へ画面を向ける。男性が首を伸ばしてのぞき込む。 黒いサングラスをかけ、グレーのVネックカットソーを着た男性が、黒い水槽に水に入った青の網籠のひもを上に引いている。その横で大谷(おおたに)部長が、網籠と水槽を見ながら手振りを交えて話している。

ナレーション: そこで、IoT(あい おー てぃー)で情報を集め、データを解析することで、生存率を上げられるのではないかと考えた。 そのための実証実験を行っているのだ。

映像説明: 大きな黒い水槽の方へと歩く大谷(おおたに)部長。 水槽の方を指し示しながら話をする。水槽の縁(ふち)に緑色(みどりいろ)のカバーで覆われた、大人の背丈ほどある、水色のパイプでできた装置。赤いTシャツを着た男性が、カバーの中をのぞき込んでいる。

大谷部長: ここ、3つ、今タンクありまして、そのうちの2つにですね、こういったセンサー、 あのー、われわれが、あの、色々こう調達して組み込んだですね、センサーを使って、 えっと、ここの、まあ2つのですね、養殖槽、 まあ実験的に作っていただいた物からですね、色々こうデータを飛ばして、 えーまあ、あの、今クラウドにデータをため込んでいるというフェーズになります。

映像説明: 白い泡が浮いている養殖池(ようしょくいけ)の水面をバックに、「センサーで水質データを取得」と書かれた枠が表示される。その下に、「オペレーションを記録」、さらにその下に「個体情報を収集」と書かれた枠が続く。その3つの枠が「データをアプリで把握」と書かれた大きな角丸四角形(かどまるしかくけい)の枠で囲まれる。 パソコンのスクリーンに映った2つのグラフ。上には4日ごとに取られたデータが水色の棒グラフで示されている。下には1日ごとに取られたデータが波形で表示されている。

ナレーション: 養殖池(ようしょくいけ)にセンサーを入れ、水質データを取る。また、餌や薬の投与などのオペレーションを記録。 さらに、エビの大きさや生存率など個体情報を集める。 それらのデータをクラウドで一括管理し、アプリを使って見えるようにする。 これによって生産の最適化を図る計画。

映像説明: 大きな黒い水槽の横に集まり、話し合う大谷(おおたに)部長、サングラスをかけて、グレーのシャツを着た男性、赤いTシャツを着た男性。

ナレーション: 事業基盤のある東南アジアで新たな分野を開拓しようと始めたものだ。

映像説明: 青空のした、背の高い木や低木のある場所で、白いポロシャツを着た大谷(おおたに)部長がインタビューに答える。

大谷(おおたに)部長: 農業(のうぎょう)とか養殖とかって、比較的その、IoT(あいおーてぃー)とか、そういう、こう、ITを使った、あのー、まあ生産性向上の、取り組みっていうのが、 比較的まだ行われてない領域なので、 まあ、タイ、それから、ASEANにですね、これからビジネスを展開しようとしている、われわれとして、 今、あのー、実際に養殖やっていらっしゃる、パートナーの方々と一緒に、そういった取り組みに貢献できればなと。

映像説明: 大きな黒い水槽の縁(ふち)に設置された、緑色(みどりいろ)のカバーに覆われた装置に手を当てながら、説明をする大谷(おおたに)部長。緑色(みどりいろ)のカバーのジッパーを上げて、カバーをめくると、水色のパイプの枠の中に、腰ほどの高さの銀色の箱。なかに機械が据えられている。

ナレーション: こちらがそのセンサー部分。 現地の養殖産業に普及できるように安価なシステムの開発をタイのパートナー企業と進めてきた。

映像説明: 大きな黒い水槽の中の水へ伸びる、水色のパイプを指さしながら説明をする大谷(おおたに)部長。

大谷(おおたに)部長: (パイプの)一番先にですね、少し(すこし)だけ穴を開けて、えー、その先から水のデータを取っています。

映像説明: 大きな黒い水槽の縁(ふち)に設置された、緑色(みどりいろ)のカバーに覆われた装置の方へと歩いて行く大谷(おおたに)部長。 透明の扉が付いた銀色の箱の中には、2つの正方形の黒い箱型の機器。黒いケーブルでつながっている。 正方形の黒い機器には、ケーブルがいくつも接続されている。

ナレーション: とったデータをデバイスから通信で飛ばす仕組みだ。通信に採用したのは、タイで認可が下りたばかりの規格。電力消費を抑え、電池一つで、1年間、データを飛ばすことが可能だという。

映像説明: 大きな黒い水槽のそばに立つ3人の男性。大谷(おおたに)部長とサングラスをかけ、グレーのカットソーを着た男性が、大きな黒い水槽の方を振り返りながら話をしている。

ナレーション: しかしこの実証実験、想定外の連続だった。

映像説明: 大きな黒い水槽のそばに立つ3人の男性。サングラスをかけ、グレーのカットソーを着た男性の話を真剣な表情で聞く大谷(おおたに)部長。

ナレーション: しかしこの実証実験、想定外の連続だった。大谷(おおたに)さんたちにとって、通信分野は専門だが、養殖や水質検査は未知の領域。知見が乏しい…。

映像説明: 水色の細長い2本のパイプ。下の方をたどると、水色のパイプが長方形に組まれ、その中にパイプがジグザグに組まれている。ジグザグに組まれたパイプには、9個の小さな穴が開いている。

テロップ: 計測装置 初号機

ナレーション: そんな苦労の跡がうかがえるこんなものが…。 こちらは初号機。

映像説明: 水色のパイプで作られた初号機を手に、大きな黒い水槽の方へ歩きながら話をする大谷(おおたに)部長。細長い2本のパイプを握り、水槽の中へ入れるしぐさをして、パイプにある9個の穴を指さす。

大谷(おおたに)部長: 最初、こういったものを使ってましたと。 で、これどうやっていたかっていうと、これをこの中にですね、ポチャンとつけますと。 そうするとこれが、浮くんですね。で、ここにセンサーを差してました。 まあすぐにダメになりましたと。 まあ理由はですね、やはりここが開いて(あいて)るんで、で、ここにその水しぶきがかかって、 まあ腐食してですね、あの、データがうまく飛ばなくなる。

映像説明: 白い台の上に置かれた、小型の水槽のような装置。透明の水槽からL字型の水色の接続口が出ている。水槽の中には、大きさの違う穴の開いた(あいた)部品がセットされている。

テロップ: 計測装置 2号機

ナレーション: こちらが、2号機。これも、ポンプの部分に問題が生じた。

映像説明: 大きな黒い水槽。縁(ふち)に設置された緑色(みどりいろ)のカバーの下の方から、何本もの細い水色のパイプが水槽の水の中へと伸びている。パイプの周りに黒いケーブルが巻き付いている。

テロップ: 計測装置 3号機

ナレーション: さらに、現在の3号機でも、センサーの精度が安定しないなど思わぬ課題にぶつかっている。

映像説明: サングラスをかけ、グレーのVネックカットソーを着た男性が、手振りで水の流れる様子を示すと、大谷(おおたに)部長が、左出て水が上るようなしぐさをし、そのあとで大きく両手を広げてのけぞるような反応を見せる。赤いTシャツを着た男性が、2人の横で黒いスマートフォンを操作している。

映像説明: 建物がひしめく市街地。薄雲(うすぐも)が広がる空の下に高層ビルが立ち並ぶ。

テロップ: タイ バンコク

ナレーション: そんな中、タイの首都バンコクでは、

映像説明: シャンデリアの明かりがともる、薄暗い大きなホール。テーブルが数十列並べられ、多くの男女が席についている。テーブルの奥には3つの大型スクリーンが天井から吊るされている。

テロップ: 2018年12月18日 「日ASEAN(にちあせあん)新産業創出実証事業」報告会 主催:経済産業省 ジェトロ AMEICC(えいめっく) AOTS

ナレーション: 日本とASEANの企業が連携し、新しい産業分野を創ろうとする実証事業の報告会が開かれた。

映像説明: 多くの参加者が話を聴いている様子。ベージュのジャケットを着て眼鏡をかけた女性や眼鏡をかけ、スーツを着た2人の男性。2人の男性のテーブルには氏名と「Fujifilm」と書かれたプレートが置かれている。 壇上の3つの大きなスクリーンに円すい形(えんすいけい)の図や説明が映し出され、演台(えんだい)の男性が説明をしている。壇上にはタイと日本の国旗が飾られている。

ナレーション: 経済発展を遂げつつあるASEANで日本の企業のノウハウを活かして国境を越えた、新しいビジネスの創出を目指したものだ。

映像説明: 壇上で演台(えんだい)に立ち、マイクに向かう黒いスーツ姿の男性。左横にあるスクリーンには、”Project for Nurturing New Industries in ASEAN and Japan”というタイトルの資料が映し出されている。タイトルの下には大きな2つの丸があり、左の丸には「Out of 18(えいてぃーん) Projects in ASEAN」、右の丸には「8(えいと) Projects in Thailand」と書かれている。 上から赤、白、青、白、赤の横線(よこせん)から成るタイの国旗と、白地の中央に赤い丸からなる日本国旗が掲げられた壇上に十数人のスーツ姿の男女が2列に並んで前を向いている。

ナレーション: 18のプロジェクトが採択され、そのうち最多の8つがタイで行われている。

映像説明: 黒いスーツ姿の男性が、壇上で演台(えんだい)に立ち、マイクを握って話をしている。右横にあるスクリーンには、2つの長方形の枠があり、左側の枠内には8つの車のイラスト。左側の枠から右側の枠に向かって三角形が書かれており、右側の枠内には、茶色と黄色(きいろ)と緑色(みどりいろ)の長方形が縦に並んだ図。

テロップ: 豊田通商

ナレーション: 社会問題になっている渋滞対策や、

映像説明: 市街地の片側4車線の道路。こちらに向かってくる方の道路は、大型トラックやバス、乗用車などで渋滞している。 室内。白いテーブルの上に置かれた白いトレー。中には、手の指ほどの大きさの検査キットが入っている。白とピンクのキットを指先に押し付けて離すと、粒のように丸く血が出てくる。

ナレーション: これから市場が拡大する医療分野などの、

映像説明: 眼鏡をかけた男性が演台(えんだい)に立ち、マイクを握って話をしている。

テロップ: 富士フイルム

ナレーション: 先進的な事例が紹介された。

映像説明: 座っている参加者に交じり、黒いジャケットを着た大谷(おおたに)部長が話を聞いている。腕を組み、正面をじっと見つめる。

テロップ: インターネットイニシアティブ グローバル事業本部 大谷 壮史(おおたに そうし) 部長

ナレーション: 大谷さんたちのプロジェクトもその一つ。一次産業の高度化はタイ政府が力を入れる分野。

映像説明: 壇上で、演台(えんだい)のマイクに向かい、話しをしている大谷(おおたに)部長。

ナレーション: 日本とタイ企業との連携で、エビの養殖産業(さんぎょう)が抱える社会課題の解決をはかる。

映像説明: 壇上で演台(えんだい)に立ち、右側にあるスクリーンを見あげながら説明をする大谷(おおたに)部長。

大谷(おおたに)部長: ええと、システムとしては、構築は完了しました。 で、一方で、やはりそのセンサーの部分はですね、我々自身が知見がないこともあって、 この、そのセンサーのですね、えっと、耐久性、それからあの、正確性(せいかくせい)、こういったものを、 ユーザーさんのですね、ええと、満足するレベルまで、どこまで高めていけるのか、というところが、まあ課題として挙げられるかなと思ってます。

映像説明: 屋外。テントを張った出店(でみせ)が並ぶ路地で大谷(おおたに)部長が、携帯電話を耳に当て、話をしている。 5階建てほどのどっしりとしたビルの外観。エントランスの上には「LOXLEY(ろくすれい) ICT 2」のロゴがあり、入り口の両側にはタイの国旗が置かれている。

テロップ: ロクスレイ

ナレーション: 報告会を終えた大谷(おおたに)さんが向かったのは、タイを代表する商社、ロクスレイ。 一緒に実証事業を行ってきたパートナー企業だ。

映像説明: 黒い半袖を着た男性、白いワイシャツを着た男性とともに、建物の中に入っていく大谷(おおたに)部長。壁には、「LOXLEY(ろくすれい) ORBIT PUBLIC COMPANY LIMITED」という文字ロゴがあり、その上に丸い「Orbit」の文字を囲うような円のロゴマークが描かれている。 オフィスの一室。大きな木目調のデスクの周りには黒い椅子が6脚置かれており、テレビモニターも置いてある。デスクの横の白い間仕切りの奥にある部屋へと進む3人。そこに座っていた男女に、大谷(おおたに)部長が両手を合わせながら現地の言葉であいさつをする。

ナレーション: センサーの調達や養殖業者との交渉を担っている。

映像説明: 間仕切りの奥の部屋。机上カレンダーやノートパソコンなどが置かれた大きな白いデスクを、黒い半袖を着た男性、白いワイシャツを着た男性、眼鏡をかけた黒い襟の白いポロシャツを着た現地の男性、五分袖(ごぶそで)のシャツを着たセミロングの女性、ロングヘアの女性が囲む。デスクの横に設置された2台のモニターの前で、大谷(おおたに)部長が、立った状態でにこやかに話す。

ナレーション: そこで、課題を解決すべく、打ち合わせを行った。

映像説明: 眼鏡をかけて黒い襟の白いポロシャツを着た現地の男性と五分袖(ごぶそで)のシャツを着たセミロングの女性に向かって、モニターを指し示しながら、立った状態で説明をする大谷(おおたに)部長。

大谷(おおたに)部長・英語: これがデータエラーの出た主な理由だと思う

映像説明: 席に着いた大谷(おおたに)部長が正面に座る、眼鏡をかけて黒い襟の白いポロシャツを着た現地の男性に話しかける。 眼鏡をかけて黒い襟の白いポロシャツを着た現地の男性が大谷(おおたに)部長たち3人に向かって話をしている。

ナレーション: パートナー企業の担当者もタイでエビの養殖業が復活することに大きな期待を寄せている。

テロップ: ロクスレイ アマリン・ダランポ さん

映像説明: 花を置いたテーブルに国王の写真が飾られた部屋で、眼鏡をかけて黒い襟の白いポロシャツを着た現地の男性がインタビューに答える。

ダランポさん・英語: 大谷(おおたに)さんたちと一緒に、このプロジェクトを進めることで、 初心者の農家でも、IoT(あい おー てぃー)の技術やソフトウェアを活用して、 一般的な手法を学べるようにしたい。 そうすれば、持続可能な養殖ビジネスが、できるようになるはずだ。

映像説明: 間仕切りの奥の部屋。大谷(おおたに)部長が白いテーブルに左手をつきながら席から立ち上がって話をしている。正面にはダランポさんたち4人のスタッフが座っている。

ナレーション: センサーに関しては、問題になっている原因が判明し、現状のもので対応できることが分かった。

映像説明: 席に座り、白いテーブルの横にある2つのモニターを見ながら、大谷(おおたに)部長が話を進める。白いテーブルを囲むダランポさんたちが話を聞いている。

ナレーション: さらに、精度を高めるため、研究機関との共同開発も検討している。

映像説明: 街なかの交差点。たくさんのバイクや自動車、大型トラックなどが行き交っている。 室内。木目調の大きなテーブルの方に歩いていく眼鏡をかけてポロシャツを着た男性。大谷(おおたに)部長と白いワイシャツを着た男性が後ろから続く。

ナレーション: その日の夕方、シンガポールの企業との商談が待っていた。

映像説明: 木目調のテーブルにつく3人。大谷(おおたに)部長が、目の前に座る眼鏡をかけてポロシャツを着た男性に話をする。白いワイシャツを着た男性は、大谷(おおたに)部長の隣でノートパソコンを広げ、話を聞いている。眼鏡をかけてポロシャツを着た男性の前には名刺のような白い紙が3枚置かれている。 ポロシャツを着た男性が身振りを交えながら真剣な表情で大谷(おおたに)部長に話をする。

ナレーション: 相手は、人工知能のベンチャー企業の経営者。大谷さんたちが開発しているプラットフォームに 関心を持っている。

映像説明: 時折、小さくうなずきながらインタビューに答える眼鏡をかけてポロシャツを着た男性。

眼鏡をかけてポロシャツを着たシンガポールの実業家・英語: とても興味深いプロジェクトだ。 われわれはエビの養殖に関しても、データ解析を行うことができる。 AI(えーあい)解析を用いて、他(ほか)の分野にも応用したい。 われわれにとっても、スマート農業(のうぎょう)は関心のある分野だ。

映像説明: 木目調のテーブルを囲む4人の男性。シンガポールの実業家の男性の前に、大谷(おおたに)部長、白いワイシャツを着た男性、黒い半袖シャツを着た男性が座っている。 屋外。水が張られた大きな黒い水槽。水面に浮いたたくさんの白い泡が流れていく。 大谷(おおたに)部長とサングラスをかけてグレーのVネックカットソーを着た男性が、水路の上に置かれた丸太を渡って、大きな黒い水槽に向かって歩いていく。

ナレーション: 大谷(おおたに)さんたちが開発しているシステムはエビの養殖にとどまらず、水産や農業(のうぎょう)など幅広い分野で応用が可能だ。課題を解決し、ビジネスにつなげることができるのか挑戦は続いている。

映像説明: 屋外。実証実験施設の一角の植込みのある芝生の上で、白いポロシャツを着た大谷(おおたに)部長がインタビューに答える。植込みの向こうの道路を白い車が走り抜けていく。 スマートフォンの画面を見ながら、赤いTシャツを着た男性と話をする大谷(おおたに)部長。 スマートフォンの画面のアップ。表に日付や時間、温度などのデータが、数時間刻みで記録されている。 目盛りの付いた黒い大型容器の横で、スマートフォンを右手に持ちながら、サングラスをかけてグレーのVネックカットソーを着た男性と赤いTシャツを着た男性に話をする大谷(おおたに)部長。 黒い大きな水槽に入った網籠のひもを上に引いているサングラスをかけてグレーのVネックカットソーを着た男性。その横で大谷(おおたに)部長が網籠の中をのぞき込む。 室内。間仕切りの奥の部屋。机上カレンダーやノートパソコンなどが置かれた大きな白いデスクを、黒い半袖を着た男性、白いワイシャツを着た男性、眼鏡をかけた黒い襟の白いポロシャツを着た現地の男性、五分袖(ごぶそで)のシャツを着たセミロングの女性、ロングヘアの女性が囲む。デスクの横に設置された2台のモニターの前で話をしている大谷(おおたに)部長。 席について身振りを交えながら説明をする大谷(おおたに)部長。 実証実験施設の一角の植込みがある芝生の上で、大谷(おおたに)部長のインタビューが続く。

大谷部長: センサー、それからアプリケーション。こういった物って、まさに見える物じゃないですか。 まあ、IoT(あい おー てぃー)って、まさにそういう世界なんですよね。 で、こういったものを使って、例えばユーザーさんが何らかの形でハッピーになるっていうのが見えてるっていうのが、 自分としてやっぱり一番こう、人の役に立ってるっていうのを実感できる世界なので、 具体的な社会課題に対して、直接、貢献できるようなことを、 現場感のあるところで、やっていきたいっていうふうに。

スタジオの宮瀬キャスター: エビの養殖にIoT(あい おー てぃー)を導入する試みは、まだ、道半ばですが、他の分野への応用も期待できます。こうした取り組みがうまくいけば、生産者のメリットだけでなく、私たちの食生活も、より豊かになりそうですね。

映像説明: 宮瀬キャスターがお辞儀をする。

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