ワインの本場に日本の本物を ‐甲州ワインの挑戦‐

2018年08月23日

世界のワイン情報の発信地・ロンドンで開催された見本市で、外国人バイヤーが高く評価していたのが日本固有のぶどう品種「甲州」で作られたワインだ。甲州ワインのルーツは明治時代にさかのぼる。山梨には今日に続くワイナリーが生まれ、日本ワインの主要な産地となっている。近年、日本でもワイン市場は拡大してきたが、各ワイナリーはブームに左右されない高品質なワイン造りを目指してきた。そうしたなか、ロンドンを拠点にしたプロモーション活動が開始された。2010年には日本産として初めてラベルに品種名を記載して対欧輸出が可能となるなど、着実に歩みを進める。ワインの本場・欧州、そして世界に目を向けた甲州ワインの挑戦を追った。

(11分55秒)

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映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。 薄い青を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。 世界地図から飛び出した、中が空洞になった地球儀が、回転しながら拡大表示される。 さらに世界のさまざまな都市の画像が周囲を取り巻きタイトルが現れる。 「世界は今ジェトログローバルアイ」

映像説明: スタジオ。 地球儀が回転するコンピューターグラフィックスのスタジオに女性キャスターが入ってくる。 えんじ色のベルスリーブのカットソーに茶色いプリーツスカート。

テロップ: 宮瀬 茉祐子(みやせ まゆこ)

宮瀬キャスター: 世界は今、ジェトログローバルアイ。 日本のぶどうで作られたワインに、海外からも熱い視線が向けられています。 山梨県で明治時代に醸造が始まった「甲州ワイン」。 今、世界のワイン情報の発信地となっているイギリスで、その座を確立すべく奮闘しています。 歴史と伝統のある甲州ワインの、海外展開に向けた挑戦を取材しました。

タイトル: ワインの本場に日本の本物を ‐甲州ワインの挑戦‐

映像説明: 市街地を穏やかに流れるテムズ川。古城のような2つの塔を備えたタワーブリッジが架かっている。 古い建築物が連なる大通り。赤い2階建てバスや黒塗りタクシーが、左側通行で行き交う。

テロップ: ロンドン London

映像説明: 多くの来場者でにぎわうイベント会場。 髪を短く刈り上げた外国人男性が、ワイングラスを傾ける。泡だった黄色い液体を口の中で転がして味わう。

バイヤー・英語: オイシイ! いろいろ試してみて、日本のワインが進化しているのを感じるよ。

映像説明: 水色のシャツを着た黒髪の外国人男性がワイングラスを片手に話す。 奥には、黒ぶち眼鏡をかけた白髪の日本人男性や、ショートヘアの日本人女性の姿がある。

テロップ: ミシュラン一つ星レストラン ソムリエ

ソムリエ・英語: 甲州のような土地固有のぶどう(ワイン)を探しに来た。 普通とは違うものを期待しているので、甲州はおもしろいのではないかと考えた。

映像説明: 巨大なかまぼこ形の建物。 ガラス張りのアーチ屋根から光が差し込み、会場内を照らし出す。 天井から下がる3枚の大きな垂れ幕。「imbibe live(ライブ)」と書かれ、それぞれに「WATER BAR」、「WHERE DRINKS MEAN BUSINESS」、「CENTRE STAGE」の文字が並ぶ。 「CENTRE STAGE」と掲げられたコーナーに、いくつも設置されたテーブルセット。グラスやボトルを用意したテーブルで、大勢の来場者が談笑している。

テロップ: 7月2~(から)3日 Imbibe Live(ライブ) 2018

ナレーション: こちらは、今年7月にロンドンで開催されたイギリス最大級の飲料見本市。

映像説明: 会場の一角にJETRO(ジェトロ)の看板。農作業をする人や酒(さけ)の仕込みをする人の写真とともに、「Japan. “Kampai(カンパイ)” to the world」のコピーが添えられている。スーツを着た人々の中に法被を着たスタッフも混じり、一帯が来場者でにぎわっている。 カウンターで日本人スタッフの話に耳を傾けるブロンドの女性。透明な液体が入った試飲用カップを手に相槌を打つ。 丸テーブルで話す、スーツを着た外国人男性とチェックのシャツを着た外国人男性。沖縄の写真が掲載されたパンフレットを広げている。 カウンターで試飲する外国人男性たち。琥珀色(こはくいろ)の液体が注がれた試飲用カップに鼻を近づけ、香りを確かめる。

ナレーション: このイベントに、ジェトロと国税庁は「日本産(にほんさん)酒類プロモーションブース」を出展した。 日本産(にほんさん)酒類の認知度向上や、輸出拡大に向け、バイヤーとのマッチングを図ることが狙いだ。

映像説明: 日本酒(にほんしゅ)のパッケージが展示されたカウンター。「ウイスキー樽で貯蔵した日本酒(にほんしゅ)」や「越後村上(えちごむらかみ)、大洋盛(たいようさかり)純米吟醸」と書かれた箱が並ぶ。 ショートヘアの日本人女性がボトルクーラーに酒瓶を戻す。カウンターの向かいで試飲するTシャツを着た外国人男性。ワイングラスを素早く回し、飲みくちから香りを確かめる。 資料写真。淡い黄色(きいろ)の液体がワイングラスの中で揺れる。 (写真提供:Koshu(こうしゅう) of Japan)

テロップ: 日本固有のぶどう品種「甲州」で造られた 甲州ワイン

ナレーション: 外国人バイヤーが高く評価していたのが、日本固有のぶどう品種、甲州で作られた「甲州ワイン」。

映像説明: 青々とした葉が生い茂るぶどう畑(ばたけ)。 奥には住宅地が広がり、山並みがかすんで見える。

テロップ: 山梨県

ナレーション: そんな甲州ワインのふるさとを訪ねた。

映像説明: 山の急斜面に広がる緑の絨毯。 ぶどう畑(ばたけ)の中。大きな葉が頭上を覆い尽くしている。点々と連なる白い傘紙(かさがみ)。その下で濃い紫色の実が鈴なりになっている。 たっぷりと実る、黄緑色(きみどりいろ)の果皮に包まれた果実。

テロップ: ワイナリー数 製造量 日本一

ナレーション: 山梨県には、81のワイナリーがあり、日本のぶどうで製造された「日本(にほん)ワイン」の約3分の1が作られている。 ワイナリー数、製造量ともに日本一だ。

映像説明: 山あいの農地にかかる鉄橋。遠くの平野部に住宅が点在する。

ナレーション: ここ山梨で、古くからぶどう作りがおこなわれていた痕跡を残す場所がある。

映像説明: 緑に囲まれた寺の本堂。大きな檜皮葺(ひわだぶき)の屋根。 表(おもて)に石灯籠が建ち、植木はきれいに刈り込まれている。

テロップ: 大善寺

ナレーション: 平安時代に創建された大善寺。

映像説明: 本堂の中。たくさんの仏像が祀られている。

薬師如来像の資料写真。手のひらを上に向けた左手にぶどうの房(ふさ)が載っている。(写真提供:大善寺)

テロップ: 薬師如来像

ナレーション: 国宝である薬師堂の中にそれはあった。 左手にぶどうを持った薬師如来。 ぶどう作りの歴史の深さを感じることができる。

映像説明: 丘陵地帯に広がるぶどう畑(ばたけ)。ビニールハウスもある。遠くになだらかな山々が連なる。 平屋建てのモダンな建物。入り口(いりぐち)に石柱が立ち、玄関アプローチの脇には白い砂利が敷きつめられている。玄関脇にZelkovaとアルファベットで書かれた看板がある。

テロップ: ルミエール

ナレーション: ここ山梨の地で、明治18年に創業したルミエール。 実は、先ほど紹介したロンドンの見本市にも出展した企業だ。

映像説明: 日光に照らされた黄緑色(きみどりいろ)のぶどう。 大きな濃い紫色のぶどうが、ぶどう棚からいくつもぶら下がっている。

ナレーション: 自社農園でもぶどうを栽培し、甲州ワインを中心に多くのワインを製造している。

映像説明: ワインショップの店内。専用のワイン棚に寝かせて販売されているワインボトル。棚の上には、赤や白のラベルがずらりと並ぶ。 広々とした店内に整然と陳列されたワイン。 テーブルに置かれた2本のワイン。 白いラベルが貼られたワインには「甲州シュール リー」「株式会社 ルミエール 製造」と書かれている。

ナレーション: 創業133年の中で、自社農園の開拓、醸造技術の向上を図るなど、品質へのこだわりを追い求めてきた。

映像説明: ルミエールのワイナリー。 建物内に置かれたステンレス製のタンク。横にたくさんのボトルケースが積んである。 建物の隅に建てられた石碑。「登録有形文化財」と記された銘板が貼られ、横に数枚の写真と説明書きが添えてある。 石碑の後ろに、格子状の鉄柵を被せた長方形の穴があり、下に空洞が広がっている。 地下。切り出された石を積み重ねたような壁。つなぎ目は水分がにじんだように、黒々(くろぐろ)と光っている。

テロップ: 日本初の地下発酵槽

ナレーション: ルミエールの木田社長が、ある場所を案内してくれた。 それが、こちらの、有形文化財に登録されている日本初の地下発酵槽だ。 現在の主流は、ステンレス製のタンクを使った発酵だが、ルミエールではこの石蔵(いしぐら)でもワイン造りをおこなっている。

映像説明: 石蔵(いしぐら)の中。 黒ぶち眼鏡をかけた白髪の木田社長が、石壁を示しながら話す。 長方形の石を隙間なく敷きつめた壁。 ところどころに金属製の丸いフックや、直径数センチほどの金具が埋め込まれている。 壁際に寝かされた木の樽。 その前で木田社長が説明を続ける。

テロップ: ルミエール 木田 茂樹 社長

木田社長: これは明治時代に造られたものでして、その当時はこの石のタンクを使ってフルにワインの生産がされていました。 これは、世界でも類を見ない非常に貴重な歴史的な建造物であって、ワイン造りの、日本のワイン造りの歴史と言っても過言ではないかというふうに思います。

映像説明: 水分がにじんだように変色した壁。白っぽくなっている部分もある。 石蔵(いしぐら)の中はいくつかの壁で仕切られ、それぞれに木の樽が積まれている。 屋外。黄緑色(きみどりいろ)の実をつけたぶどうの房(ふさ)。 ぶどう棚からぶら下がるぶどうに、山の稜線が重なる。

ナレーション: 石についている自然酵母の影響か、ステンレスタンクとは一味(ひとあじ)違った、石蔵(いしぐら)ならではの複雑な味わいが醸し出されるという。 甲州ワインの歴史とは、日本のワイン造りの歴史そのものだ。

映像説明: 狭い通りに建つ白壁の蔵(くら)。「葡萄酒資料館」と漢字で書かれた木の看板が掲げられている。 資料館の中。壁際に大きな木桶が展示されている。木桶の中には小石が詰められ、その上に手桶や、たらいなどが置いてある。 別の一角には古い圧搾機。木製の巨大なたらいの中に、挽き臼のような回転する機械が入っている。圧搾機の土台部分には絞り汁を流す樋状の板があり、圧搾機の前に掘られた四角い穴に落ちる仕組みになっている。 広々とした展示スペース。十人ほどが入(はい)れそうな巨大な樽もある。

テロップ: シャトー・メルシャン ワイン資料館

ナレーション: こちらは明治37年(1904年)に建てられた、現存する日本最古の木造ワイン醸造所。 現在はワイン資料館として利用されている。 明治時代に、実際にこの場所で使われていた醸造器具などが展示されている。

映像説明: 資料館の一角。 白いポロシャツを着た白髪の男性が、木製の機械の前に立つ。 機械は腰ほどまで高さがあり、左右に手回しの回転ハンドルがある。足元はトンネル状になっており、破砕物がたまる構造。そばに木箱が積まれている。 白髪の男性の解説が続く。

テロップ: シャトー・メルシャン ワイン資料館 上野 昇(うえの のぼる) 館長

上野館長: こちらはですね、ぶどうをね、破砕する機械です。破砕機ですね。 昔、電気がきていないものですから、水力を利用したんですね。

映像説明: 展示スペースに置かれた扉つきの巨大な樽。その両側に、横に寝かせたひと回り小さい樽が並ぶ。 別の場所に保管された古い木の樽。表面が色あせている。 展示されている圧搾機。脇には説明書きの看板が立ててある。

ナレーション: 時は明治。殖産興業政策のもとで近代化を推し進める政府の後押しもあり、ワイン産業(さんぎょう)は拡大していく。

映像説明: 破砕機の前で話をする上野館長。 破砕機の上に開いた投入口(とうにゅうぐち)。金網を巻きつけたローラー状の物が見える。 破砕機の下にあるトンネル状の部分。液体をためられるように、周囲の壁が高くなっている。 上野館長の解説が続く。

上野館長: 家内工業的な産業でしたけども、それがある程度大きな規模になったというのは、こちら(破砕機)が水力になってですね、そういうものが、産業が大きくなった一つの転換点になっているとは思いますけどもね。

映像説明: 「日本のワイン市場」と題された棒(ぼう)グラフ。縦軸に単位を1,000キロリットルとした数量、横軸に年度。1965年からの統計。1970年のワイン輸入自由化を経て、86年頃まで、市場は少しずつ拡大を続ける。87年頃の「ボージョレ・ヌーヴォー」ブームで10万キロリットルを超え、弾みがつくが、90年代に入って一時低迷。 しかし90年代後半からの「ポリフェノール」による赤ワイン人気で40万キロリットル目前まで市場は急拡大する。2000年代に入ってから再び縮小し、2010年頃から再び、上向いている。 果実酒類(果実酒および甘味(かんみ)果実酒)の課税数量 出所:国税庁「国税庁統計年報」

ナレーション: 昭和に入り、ワイン市場は徐々に拡大していった。 しかし、ブームとともに、市場は浮き沈みしてきた。 こうした中、ワイナリーと自治体は、一過性のブームに左右されない高品質なワイン造りに取り組むことを誓う。

映像説明: 資料写真。雪に覆われた頂上に光がさしている富士山を背景に、白ワインの注がれたワイングラス。 ワイングラス越しに雪で覆われた頂上が見える。 (写真提供:Koshu(こうしゅう) of Japan)

テロップ: KOJ KOSHU(こうしゅう) OF JAPAN

ナレーション: 2009年、「甲州ワインを世界で認められるワインへ。」をコンセプトに、EU(いーゆー)向け輸出プロジェクト「Koshu(こうしゅう)of Japan」が始動。

映像説明: 白ワインの写真を背景に、次々とスナップ写真が紹介される。 テーブルの上にたくさんのワイングラスが並ぶ会場。「Koshu(こうしゅう) of Japan Master Class」の文字がスクリーンに映し出されている。 ワインボトルを手に笑顔の集合写真。 グラスが並ぶ部屋でスーツ姿の男性たちがメモを取る様子。 大きなテーブルを囲む人々。それぞれの前に数種類のワインとパンが置かれている。 パンフレットを片手にワインを注いでもらう外国人女性。 富士山を背景にしたワイングラス。(写真提供:Koshu(こうしゅう) of Japan)

ナレーション: 県内のワイン生産者15社などによって設立されたKOJは、翌2010年1月から、世界のワイン情報の発信地・イギリスを拠点に、甲州ワインのプロモーション活動を開始する。しかし、EU(いーゆー)向けに甲州ワインとして輸出するには課題があった。

映像説明: 茶色い壁の重厚感ある建物。 事務所内。白いあご髭を短く整えた男性が、笑顔で話す。

テロップ: 山梨県庁

ナレーション: およそ30年間にわたり行政の立場からワイン振興に携わり、KOJの活動にも関わってきた仲田(なかだ)氏は、当時をこう振り返る。

映像説明: デスクで話す仲田(なかだ)さん。後ろの窓にはポスター。「週末は山梨にいます。」のキャッチコピー。

テロップ: やまなし観光推進機構 仲田 道弘(なかだ みちひろ) 専務理事

仲田(なかだ)専務理事: ヨーロッパに甲州ワインを輸出するにあたりまして、ヨーロッパの基準でですね、O.I.V.(オーアイブイ)に登録しているぶどう品種でないと、向こうにラベルに甲州と書けないということがわかりまして。

映像説明: ぶどう棚に張り出した枝から、黄緑色(きみどりいろ)の房(ふさ)がぶら下がる。 風に揺れる濃い紫の実。

テロップ: O.I.V.(オーアイブイ) 国際ブドウ・ワイン機構 フランスに拠点を置くワイン造りに関する研究機関

ナレーション: O.I.V.(オーアイブイ)とは、フランスに拠点を置くワイン造りに関する研究機関。 EU(いーゆー)向けに輸出する場合、O.I.V.(オーアイブイ)に登録された品種だけがラベルに品種名を表示することができる。

映像説明: テーブルに並んださまざまな甲州ワインのボトル。

テロップ: 国内の醸造用ぶどう品種として 「甲州」が初めて登録

ナレーション: 2010年4月、国内の醸造用ぶどう品種として初めて登録され、これにより、その名前をワインラベルに記載することが可能になった。

映像説明: 事務所のデスクで説明をする仲田(なかだ)専務理事。

仲田(なかだ)専務理事: ロンドンプロモーションをおこなって、このワインは非常に和食に合うんだということで、多くの人が認めてくれるようになったんですが、そういう中でぶどうの品種を書いて輸出ができなかったんですね。 いよいよ、バイヤーの方(かた)がですね、欲しいと言ったときに、そのぶどうの品種の名前を書けるワインが輸出できるってことは、非常に大きなステップだったというふうに感じています。

映像説明: 仲田(なかだ)専務理事のインタビュー映像を背景に、画面の右下に漫画の表紙と、仲田(なかだ)さんをモデルにしたキャラクターが登場するカットが映し出される。 「美味しんぼ 80巻 日本全県味巡り 山梨編」 (雁屋哲(かりや てつ) 作・花咲アキラ 画(え)‐小学館 刊)より引用。

ナレーション: 実は、この仲田(なかだ)氏、いち早く甲州ワインと和食の相性の良さを見抜いていた一人で、漫画「美味しんぼ」に登場したこともある。

映像説明: 山を背景にグラスに注がれた白ワインの写真。 写真提供:Koshu(こうしゅう) of Japan

テロップ: 「甲州ワインを世界で認められるワインへ。」

ナレーション: そして、KOJのコンセプトである「甲州ワインを世界で認められるワインへ。」が実現することになる。

映像説明: 大きな葉の奥にのぞく、黄緑色(きみどりいろ)の実をつけたぶどうの房(ふさ)。

テロップ: 甲州ワインがアジア初となる 金賞受賞

ナレーション: 2014年、甲州ワインがDecanter World Wine Awardsで、アジア初となる金賞を受賞したのだ。

映像説明: テーブルに置かれた額入りの賞状。「Decanter WORLD WINE AWARDS 2014」とアルファベットで書かれ、「GOLD」と書かれた金賞のロゴマークが添えられている。

テロップ: Decanter World Wine Awards 英国のワイン雑誌「デキャンタ」が主催する世界有数の国際ワインコンテスト

テロップ: 金賞以上を取れるワインは 全体の3%前後

ナレーション: このコンテストは、イギリスのワイン雑誌「デキャンタ」が主催する世界的にも影響力のある国際ワインコンテスト。 金賞以上を取れるワインは全体の3%前後と、その競争はしれつを極める。

映像説明: オリーブ色のワインボトル。Decanter WORLD WINE AWARDS 2014のGOLDのステッカーが貼られている。 ラベルには縦書きで「キュヴェ三澤 明野 甲州」の文字。

ナレーション: 受賞したのは、中央葡萄酒が製造する、こちらのワイン。 中央葡萄酒の三澤社長は…。

映像説明: 建物の外。ピンク色のシャツにグレーのジャケットを着た三澤社長が話をしている。 事務所の棚に置かれた「キュヴェ三澤 明野甲州」のボトル3本と、「Decanter WORLD WINE AWARDS 2016金賞」の賞状。ボトルには金色に輝くステッカーが貼ってある。 屋外で話を続ける三澤社長。

テロップ: 中央葡萄酒 三澤 茂計(みさわ しげかず) 社長

三澤社長: 2013年ヴィンテージの「キュヴェ三澤 明野甲州」が金賞を取れたというのは、これは、まあいわゆるロンドン市場というね、非常に厳しい市場の中で甲州が知れたというのは、これは非常に大きいことであると思いますね。

映像説明: 照りつける太陽の下、真っ直ぐに並んだぶどうの木が垣根のように連なる。 四角い枠内に地図のイラスト。山梨県の広域地図。山梨県の南、静岡県との県境に富士山。甲府市の北西に明野町(あけのちょう)がある。 幾重にもそびえる山々を背に、ぶどう畑(ばたけ)が広がる。

テロップ: 明野町(あけのちょう)

ナレーション: 受賞したワインの農園は明野町(あけのちょう)にある。 12ヘクタールもの広大な農園の、3分の1にあたる4ヘクタールで甲州ぶどうは作られている。

映像説明: ピンク色の半袖シャツを着た三澤社長が、ぶどう畑(ばたけ)の前で話をする。 風に揺れるぶどうの葉。隙間からまぶしい光が差し込む。 広大なぶどう畑(ばたけ)の奥に、ビニールハウスと大きな建物。 三澤社長が話を続ける。

テロップ: 中央葡萄酒 三澤 茂計(みさわ しげかず) 社長

三澤社長: 日照時間(にっしょうじかん)がここ(明野町(あけのちょう))は非常に長いんですね。 やっぱりこう、光によって、糖度を含めて、そういういろんな要素っていうのが作られていくわけですから、ここは非常にすぐれた立地になります。

映像説明: 小ぶりの果実が大量に実る枝。 葉脈がくっきりと浮き出た葉が、風に揺れる。 緑のカーテンのように続く、ぶどうの木の垣根。 黄緑色(きみどりいろ)の房(ふさ)が隠れそうなくらい、葉っぱが大きく繁っている。

ナレーション: 中央葡萄酒では、甲州ぶどうの品質を上げるために、工夫を重ねてきた。 栽培方法を変えて質の高いぶどう作りを試みたが、なかなか糖度があがらなかった。

映像説明: ぶどうが植えてある列のあいだが、一段低くなっている。 ぷっくりと膨らんだ黄緑色(きみどりいろ)の果実。

テロップ: 高畝(たかうね)式栽培 水はけをよくするため盛り土をして側面から水を蒸散させる栽培方法

ナレーション: 7年間にわたる試行錯誤の末、盛り土をする高畝(たかうね)式栽培によって、糖度の高い甲州ぶどうが生み出された。

映像説明: 2本並んだ白ワインのボトル。いずれも透明感のある淡い黄色(きいろ)の液体。 1本のラベルには縦書きで「グレイス茅ヶ岳山麓」、もう1本には「グレイス甲州」の文字。

テロップ: 5年連続で金賞受賞

ナレーション: 中央葡萄酒の甲州ワインは今年も金賞に選ばれ、5年連続の受賞となった。

映像説明: ルミエールのワインショップ。さまざまなワインがディスプレイされている。 「ルミエールフレール デラウェア2017」、「プレステージクラス デラウェア 2016」などと書かれた表示札(ふだ)がボトルとともに並ぶ。

ナレーション: 甲州ワイン全体としては、毎年10本前後のワインが表彰されてきた。

映像説明:  「KOJ参画企業によるEU(いーゆー)向け輸出量」と題された棒(ぼう)グラフ。縦軸に輸出本数、横軸に年度。2010年から伸び続け、2014年には一気に1万本を突破。2015、16年は2014年を下回るものの、2017年に回復、2万本にまで急拡大する。 出所:山梨県ワイン酒造協同組合

ナレーション: 並行して続けてきたKOJのプロモーション活動の効果もあり、EU(いーゆー)向けワイン輸出量は2010年の1,992本から2017年には20,000本にまで増え、着実にその数を伸ばしている。

映像説明: 晴天のぶどう畑(ばたけ)。青い空に葉の緑色(みどりいろ)が映える。 ぶどうの木を見つめる三澤社長。 ワインショップ内で話をするルミエールの木田社長。

ナレーション: この10年間、甲州ワインは、世界への挑戦を重ねてきた。

映像説明: 建物の外で話をする三澤社長。

テロップ: 中央葡萄酒 三澤 茂計(みさわ しげかず) 社長

三澤社長: よく言われるのは、ロンドンというのは、熱しにくいけど冷めにくいと言われてるんですよ。だから、こういうところでやっていかないと。やっぱり甲州のようなね、いわゆる世界でひっぱりだこのものではないわけですから。やっぱり掘り起こしていく必要があるのは、やっぱりある程度ロンドン市場っていうのを狙い目に…。

映像説明: ルミエールのワインショップ。 ディスプレイされたたくさんのワインボトルの前で話をする木田社長。

テロップ: ルミエール 木田 茂樹 社長

木田社長: 先代はですね、いかにフランスのワインに近づけるかという形でワイン造りをしてきたと思うんですけども、われわれの時代は、いかにその日本の食事に合うワインを作るかというところに切り替わってきていると。逆にそれが海外の消費者に受ける一番のポイントだというふうには思っております。

映像説明: ぶどうの枝が風になびき、太陽の光をちらちらと遮る。 見渡す限り一面のぶどう畑(ばたけ)。 黄緑色(きみどりいろ)の実をつけたぶどうの房(ふさ)。 若葉色(わかばいろ)の畑の奥に、霞がかった山並みが広がる。

ナレーション: 明治時代から続いてきた伝統をもとに、たゆまぬ努力でその味わいを磨いてきた甲州ワイン。 今、「日本独自の、本物のワイン」として、本場イギリスでも認められつつある。 その挑戦は、これからも続く。

映像説明: 動く世界地図をバックに、中が空洞になった地球儀がゆっくり回転する。

※本番組は英語版(字幕)でもご覧いただけます。

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