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安全保障貿易管理 ‐輸出品・技術の軍事転用を防げ!‐

2017年10月11日

日本の製品や技術は、海外で意図せず武器製造などに悪用される可能性がある。それを未然に防ぐために設けられているのが、「安全保障貿易管理制度」だ。重要なのは、民生用途の製品であっても、軍事転用される恐れがあるものは規制の対象となり、輸出許可が求められること。2017年10月には、改正外為法の施行により罰則が大幅に強化された。精密加工機械を製造する中小企業の取り組み事例とともに、「リスト規制」や「キャッチオール規制」などの制度の概要と注意点を改めて解説する。

(9分32秒)

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テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル 世界のさまざまな都市の映像が続き、やがていくつもの道のようになり、 立ち並ぶビルのイメージの間(あいだ)を通り抜け、地球に続く。 日本列島が輝き、光を放つ。 「世界は今ジェトログローバルアイ」

映像説明: スタジオ。木目調のテーブルに女性キャスターが座っている。ベージュのワンピース姿。

テロップ: 馬場 典子

馬場キャスター: 世界は今、ジェトログローバルアイ。 日本の高度な製品や技術。これらは意図しないところで、国際情勢を脅(おびや)かす国家やテロリストに悪用されてしまう危険をはらんでいます。 そうしたことを未然に防ぐため、輸出する際には、法的な規制、安全保障貿易管理制度があります。 今月10月からは、より罰則が強化されています。 今回は、大企業はもちろん中小企業にとっても、知らなかったでは済まされない、輸出における注意点などをお伝えします。

タイトル: 安全保障貿易管理 ‐輸出品・技術の軍事転用を防げ!‐

映像説明: 馬場キャスターの隣に黒スーツの男性。

テロップ: 経済産業省 貿易経済協力局 安全保障貿易管理課 椎名 隆之(しいな たかゆき) 総括係長

馬場キャスター: スタジオには経済産業省の椎名さんにお越しいただきました。よろしくお願いいたします。

椎名総括係長: よろしくお願いいたします。

テロップ: 安全保障貿易管理とは

馬場キャスター: まずは今回のテーマである安全保障貿易管理。これはどういったものなのでしょうか。

テロップ: 安全保障貿易管理 高性能な機械や技術など テロリスト等に 渡らないように管理する制度

椎名総括係長: はい。安全保障貿易管理とは、国際的な平和及び安全を維持するための手段の1つです。 武器そのものだけでなく、高性能な機械や技術などは民生用途のものであっても、軍事的に転用されるおそれがあります。これらが大量破壊兵器の開発者であったり、テロリストなどに渡らないようにするのが安全保障貿易管理です。

馬場キャスター: 武器そのものでしたら、分かりやすいですけれども、日本企業が一般的に製造している機械や技術、これも管理の対象になるということなんですね。

テロップ: 大量破壊兵器の製造に必要な機材や技術の多くは 民生用と軍事用との両方で使える →デュアルユース

椎名総括係長: はい。大量破壊兵器の製造に必要な機械や技術の多くは、民生用と軍事用の両方で使える、いわゆるデュアルユースというふうになっております。そのため、偽装も容易で脅威になる場合があります。

馬場キャスター: 輸出する際、十分注意が必要ということですけれども、日本企業は先進技術を多く保有するので、本当に責任が重大ですね。

テロップ: 制度の概要

テロップ: 外為法 外国為替及び外国貿易法

椎名総括係長: 日本においては、外国為替及び外国貿易法、いわゆる外為法に基づいて、安全保障貿易管理を実施しています。

テロップ: 規制対象となる貨物を輸出する場合や 技術を提供する場合 →経済産業大臣の許可が必要

椎名総括係長: 外為法においては、規制対象となる貨物を輸出する場合や技術を提供する場合、経済産業大臣の許可が必要となります。

テロップ: 規制対象(例) 火薬類・原子炉・ミサイルなど 民生用途の高性能な製品

椎名総括係長: 規制対象として分かりやすい例としましては、火薬類ですとか、原子炉、ミサイルなどです。 注意すべき点は、民生用途であっても高性能な製品は軍事転用が可能ですので、これらも規制されています。

映像説明: 汎用品の転用懸念を示した表(一例)。 工作機械:民生用途は自動車の製造や切削、懸念用途はウラン濃縮用遠心分離機の製造。 シアン化ナトリウム:民生用途は金属メッキ工程・化粧品の原料、懸念用途は化学兵器の原材料。 ろ過器:民生用途は海水淡水化、懸念用途は細菌兵器製造のための細菌抽出。 炭素繊維:民生用途はゴルフクラブのシャフト・傘など、懸念用途はミサイルの構造材料。

ナレーション: 例えば、工作機械は自動車の製造や切削、精密機械の製造などに使われるが、ウラン濃縮用の遠心分離機の製造にも使われる。 メッキ加工や化粧品の原料であるシアン化ナトリウム、海水の淡水化に使われるろ過器、ゴルフクラブのシャフトや傘にも使われる炭素繊維なども兵器転用が可能である。

馬場キャスター: 傘やゴルフクラブなど、身近なものも、全く違う形で利用される危険があるんですね。

テロップ: リスト規制 武器や大量破壊兵器等の開発に用いられる おそれの高いものをリスト化し規制

椎名総括係長: 外為法では、国際的な合意を踏まえて、武器や大量破壊兵器の開発に用いられるおそれの高いものを、リスト化して規制しています。これをリスト規制と呼んでいます。

映像説明: リスト規制の説明文。 輸出貿易管理令(輸出令)→貨物の輸出を規制。 外国為替令(外為令)→技術の提供を規制。 ※貨物等省令で、規制対象となる貨物と技術の詳細な仕様(スペック)を規定。

ナレーション: リスト規制は、物のリストと技術のリストの2つがある。 物は輸出令で、技術は外為令で規制されており、それぞれリスト化されている。リスト規制に該当するものは必ず輸出許可が必要となる。

映像説明: 椎名総括係長がフリップを立てる。

テロップ: リスト規制とは

フリップ: リスト規制一覧(一部)。 6つの大項目それぞれに輸出許可品目名が書かれている。 武器17品目、原子力52品目、化学兵器2品目、生物兵器2品目、ミサイル26品目、先端材料19品目。 (出典:経済産業省)

椎名総括係長: こちらがリスト規制品目の一部です。このように細かく分類されています。

馬場キャスター: ずいぶんたくさんありますが、これでも一部なんですね。

テロップ: 毎年 規制リストは部分的に改正される 「安全保障貿易管理」で検索

椎名総括係長: 毎年、規制品目リストは部分的に改正されますので、常に最新のリストを経済産業省のホームページで確認する必要があります。

馬場キャスター: リスト規制品目のうち、物については、まだ対象が分かりやすいと思うんですが、技術のほうは、ちょっとイメージしづらいですね。

テロップ: 技術 設計図やマニュアルなどが含まれる

椎名総括係長: はい。技術には、設計図やマニュアルなどが含まれます。 それらを日本に居住していない外国人に提供する場合ですとか、外国に出向いて提供する場合は、技術の提供に当たります。

映像説明: キャッチオール規制についての説明文。 リスト規制に該当しない場合であっても、 大量破壊兵器や通常兵器等の開発等に用いられるおそれがある場合には、 経済産業大臣の許可が必要となる制度。

ナレーション: 一方、リスト規制に該当しない場合であっても、大量破壊兵器や通常兵器などの開発等に用いられるおそれがある場合には、経済産業大臣の許可が必要。これをキャッチオール規制という。

映像説明: キャッチオール規制(大量破壊兵器等の場合)の説明文。 対象となるもの:リスト規制に該当しない全品目(食料品・木材等は除く)。 対象地域:輸出管理を厳格に実施している27ヵ国(ホワイト国)を除く全地域。 ※ホワイト国:米国・英国・オーストラリア等。

ナレーション: キャッチオール規制の対象は、食料品や木材などを除く全ての品目だ。 対象地域は全ての地域だが、輸出管理を厳格におこなっている国とされる、いわゆるホワイト国に輸出する場合は、キャッチオール規制の対象外となる。

映像説明: キャッチオール規制(大量破壊兵器等の場合)の説明文。 用途確認:輸出先での使用目的など。 需要者確認:製品の最終需要者。 →大量破壊兵器等の開発等に用いられるおそれのある場合には経済産業大臣の許可が必要。 ナレーション: ホワイト国以外に輸出する場合は、輸出先での使用目的などの用途確認や製品の最終需要者の確認が必要。それらを確認した結果、軍事用途に転用されるおそれがある場合には、キャッチオール規制に該当するため、経済産業大臣の許可が必要となる。

馬場キャスター: ではここで具体的に海外の企業などから、製品や技術の引合いがあった場合の対応をどうすれば良いのか、実際に取り組んでいる中小企業を取材しました。

映像説明: ところどころに田んぼが見える町。大きな中層建築物。

テロップ: 福井市

テロップ: 松浦機械製作所 産業用金属3D(すりーてぃー)プリンタなどの製造・販売

ナレーション: 福井県福井市。 高度な産業用金属3D(すりーでぃー)プリンタなどを製造している「松浦機械製作所」。

映像説明: メッシュ構造の金属が自動製造される。マシニングセンタ(複合(ふくごう)加工工作機械)の外観。 さまざまな形状の金属が、ガラスケースに展示されている。

ナレーション: ここの工作機械は精密な航空機の部品や医療製品をはじめ、さまざまな産業分野の部品を製造することができる。

映像説明: 回転している金属を切削加工していく。 展示されているF1(えふわん)マシンのエンジンパーツ。 部屋に3D(すりーでぃー)プリンタや工作機械が並んでいる。

テロップ: F1(えふわん)のエンジンも造り出せる

ナレーション: これを使えば高い精度が要求されるF1(えふわん)のエンジンも造り出せる。 およそ70%が海外に輸出されているので管理が欠かせない。

映像説明: インタビューに答える作業服を着た男性。 工作機械の製作所。十数台並んだ工作機械に各々作業をしている人がいる。

テロップ: 松浦機械製作所 高橋 英郎(たかはし ひでろう) 取締役輸出管理室長

高橋取締役輸出管理室長: 非常に高精度な金属加工が可能であります。100%リスト規制に該当する製品ですので、外為法上(がいためほうじょう)の規制についても法令遵守が、高いレベルで求められる会社の1社となっております。

映像説明: 審査手続の流れを示すフローチャート。 貨物・技術の引合いに始まり、該非判定、取引審査の結果を受け、個別許可申請、出荷管理と続き、輸出・提供となる。

ナレーション: 審査手続の流れとして、まずは貨物がリスト規制に該当か非該当かを確認。これを該非判定という。 外為法の責任は、基本的には実際に製品を輸出する者が負うため、きちんと自社で確認することが必要になる。 取引審査の際には、どのような相手なのか、引合い先や需要者を確認するとともに、どのような用途に使うのかを確認。 最終需要者まで製品が到達するかどうかのチェックまでを行う。

映像説明: 作業服を着たメガネの男性が、同じ作業服を着た男性とブラウスを着た女性の3人で会議をしている。

テロップ: 該非判定会議

ナレーション: 松浦機械製作所では、該非判定を厳密に行うため、コンサルタント会社など、外部の第三者機関にも企業の調査を依頼しているという。

映像説明: インタビューに答えるメガネの男性。 パソコンで作業するメガネの男性。画面には輸出許可証が表示されている。 背表紙に審査票と書かれたファイルが、保存棚に並んでいる。

テロップ: 松浦機械製作所 輸出管理室 松井 裕次郎(まつい ゆうじろう) マネージャー

松井マネージャー: 工作機械というのは、当然、民間の製品をつくるのが主(しゅ)の目的としてですね、使われておるんですけれども、どうしても、その…、それ以外に使われる可能性というのを大きく秘めております。 変なところへはですね、精度の良い国産の機械は出さないという部分をですね、やはり一番中心においてですね、弊社の輸出、安全保障貿易管理ですね、というものを取り組んでおります。

スタジオの馬場キャスター: リスト規制品を扱っている企業は、徹底した輸出管理体制の整備が求められますね。

テロップ: コンプライアンス・プログラム(CP)を策定

椎名総括係長: 企業の自主的な取り組みとして、輸出管理のための内部規程、いわゆるコンプライアンス・プログラム。われわれCPというふうに呼んでいますけれども、CPを策定することは、輸出管理体制を整備するうえで有効な手段の1つです。 テロップ: 包括的な輸出許可の取得が可能

椎名総括係長: 内部規程を策定のうえ、経済産業省に届け出をして、一定の手続きを行えば、包括的な輸出許可の取得が可能になるなど、メリットがありますので内部規程の策定を推奨しています。

馬場キャスター: 無許可で輸出するなど、外為法に違反した場合は、どうなるのでしょうか。

テロップ: 無許可輸出をした場合 刑事罰と 行政制裁として最長3年間の 輸出及び技術の提供を禁止

椎名総括係長: 刑事罰と、それとはまた別に行政制裁として最長3年間の輸出及び技術の提供の禁止が科せられる可能性があります。

馬場キャスター: 輸出する企業というのは、とにかくしっかり制度を把握しておくことが大切ですね。

テロップ: 改正外為法による罰則強化

テロップ: 刑事罰(平成29年10月1日改正) 法人の場合:10億円 個人の場合:3,000万円

椎名総括係長: はい。改正外為法が10月1日から施行(せこう)されまして、刑事罰の罰則が強化されました。これまで罰金額の上限が1,000万円、または目的物の5倍とされていましたが、改正後は法人の場合は10億円、個人の場合は3,000万円に引き上げられました。

馬場キャスター: 10億円ですか。それだけ責任が重いということですね。

椎名総括係長: 単に金銭的な問題だけでなく、違反が報道されれば、企業イメージの悪化や取引への影響などに、支障をきたします。深刻な事態へとつながりますので、外為法をきちんと遵守していただく必要があります。

馬場キャスター: 高い技術力を誇る日本の企業だからこそ、こうした輸出管理の規制の遵守、非常に重要ですね。椎名さん、今日はありがとうございました。

椎名総括係長: ありがとうございました。

映像説明: 馬場キャスターと椎名総括係長がお辞儀をする。

馬場キャスター: それではまた、次回をお楽しみに。

映像説明: 馬場キャスターと椎名総括係長がお辞儀し、談笑している。

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