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輸出が地域農業を再生する ‐有機日本茶で稼ぐ若者たち‐

2017年08月09日

日本茶の輸出はこの10年で3倍に増え、いまや欧米のカフェでは抹茶を使ったメニューが定番になりつつある。しかし、日本の高級茶が現地で高く売れるとは限らない。主要輸出先の米国、ドイツでは、有機認証があることが高く評価され、次いで味と香りが問われるという。こうしたニーズを的確に捉え、“売れる日本茶”を作る生産者が鹿児島県霧島市にいる。海外からのオーダーに応えるため農地を4倍にする若手生産者や、3年で協力農家が30人に倍増した製茶工場。今回は日本茶にフォーカスし、「有機」で輸出に取り組む意義について解説する。

(9分28秒)

※本番組は英語版(字幕)でもご覧いただけます。

Export Revives Local Farming ‐The Young Make Organic Japanese Tea‐

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テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル 世界の様々な都市の映像が続き、やがていくつもの道のようになり、 立ち並ぶビルのイメージの間(あいだ)を通り抜け、地球に続く。 日本列島が輝き、光を放つ。 「世界は今ジェトログローバルアイ」

場面1:スタジオ

映像説明: スタジオ。木目調のテーブルに女性キャスターが座っている。緑のワンピース姿。

テロップ: 馬場 典子

馬場キャスター: 世界は今ジェトログローバルアイ。 緑茶の輸出が、この10年で3倍に伸びています。 一方、国内市場では価格が下げ止まらず緑茶農家の多くが苦戦しているといいます。 果たして輸出は、農業再生の切り札となるのでしょうか。 海外市場開拓の秘訣を探ります。

タイトル: 輸出が地域農業を再生する ‐有機日本茶(にほんちゃ)で稼ぐ若者たち‐

馬場キャスター: スタジオには、ジェトロ農林産品支援課の吉村 優美子さんに 来ていただきました。よろしくお願いします。

映像説明: 黒いジャケットを着たショートカットの女性が座っている。

テロップ: ジェトロ 農林産品支援課 課長代理 吉村 優美子

吉村(ジェトロ 農林産品支援課 課長代理): よろしくお願いします。

馬場キャスター: 吉村さん、なぜ今、日本茶(にほんちゃ)の輸出が増えているんでしょうか。

テロップ: 抹茶の海外需要が拡大 欧米の食生活に浸透している

吉村: 日本茶(にほんちゃ)輸出を牽引しているのは実は抹茶です。 欧米を中心に抹茶は健康に良いと、カフェでは抹茶を使った飲み物が増えていますし、 最近では抹茶のペットボトル飲料が販売されるなど、広く人気を集めています。

テロップ: 日本→お茶はうまみや香りで評価 欧米→有機栽培であることを重視

吉村: ただし、ここで注意しなくてはいけないのは、日本と欧米の価値観の違いです。 日本では、お茶はうまみや香りで評価されますが、欧米では、有機であることが重視されます。 緑茶を選んで飲む方は健康志向が強いため、ほかの食材と同様に、 有機栽培かどうかを気にするかたが多いからです。

馬場キャスター: ああ、購買の動機が、日本とは随分違うわけですね。

吉村: その実態を見てもらうために日本茶(にほんちゃ)輸出第2位のドイツ市場をご紹介します。

場面2:ドイツ市場 霧島製茶

映像説明: 広い水路の近くに、尖塔を持つ緑の屋根の建物。

テロップ: ドイツ

ナレーション: 一人当たりの有機食品の消費量が、日本のおよそ10倍のドイツ。

映像説明: 店のレジ。毛糸のニット帽をかぶった女性が清算済みの商品をバッグに入れる。

テロップ: オーガニック専門店

ナレーション: 今、紅茶と並ぶほど人気なのが抹茶である。

映像説明: お茶のコーナーに様々な紅茶が並んでいる。棚の一角に茶筅や数種類の抹茶。

テロップ: 日本産(にほんさん)有機抹茶14ユーロ(30g入り)

ナレーション: なかでも、日本産(にほんさん)有機栽培の抹茶は廉価品の10倍近い値段だという。

映像説明: 店内。帽子をかぶり、黄色いエプロンをした男性。

店主・ドイツ語吹き替え: お客様は日本の有機抹茶がおいしくて体に良いことを知っているので、高くても売れるんだ。

映像説明: フライパンでこんがりと焼かれる肉。 商談会で調理実演が行われている。バイヤーが皿に盛られた試食品(ししょくひん)を手に取る。 お茶の試飲をするドイツ人バイヤーたち。

テロップ: 2017年3月17日 日本産(にほんさん)農水産物・食品輸出商談会 主催:ジェトロ

ナレーション: 一方こちらは、ドイツで開かれた商談会。 輸出を始めてわずか1年半で、現地に営業拠点を持つ生産者がいる。

映像説明: バイヤーたちと談笑する黒いジャケットの日本人(にほんじん)男性。

テロップ: 霧島製茶 林 修太郎 社長

ナレーション: 「霧島製茶」の林社長だ。

映像説明: 白磁の茶碗に盛られた抹茶の粉末。

テロップ: 有機JAS(じゃす)認定の抹茶

ナレーション: 成功の秘訣は、有機栽培にあったという。

映像説明: 短髪に黒いジャケット姿の林社長。

林社長: 日本ではですね、有機認定を取っていても大きなアドバンテージはないです。 ただ海外輸出に関しては、JAS(じゃす)有機を取ることですごく可能性がですね、 広がるとは思います。

映像説明: 霧島製茶のスペースで、お茶を点てている林社長。 みどり色の茶碗に入れた抹茶を、茶筅で泡立てる。

ナレーション: 有機であることが分かると、次に求められるのは、本物のおいしさだという。

映像説明: 男性バイヤーが抹茶を口に含み、舌の上で軽く転がしながらじっくりと味わう。 林社長に名刺を渡し、にっこりと笑う。

林社長: 最初、私のイメージはですね、海外の方というのはお茶の味があまり分からなくて、 すごく飲みやすい低いグレードのものが好きかなと想像していましたけど 実際はですね、すごく高品質なお茶の、お茶の味が分かる方が多いですので 販売はしやすいと思います。

映像説明: 林に隣接して広がる茶畑(ちゃばたけ)。 均一に刈り揃えられた黄みどり色のお茶の木々(きぎ)が、平地(へいち)に絨毯のように広がっている。 濃いみどり色の茶畑(ちゃばたけ)では、収穫が行われている。 四角い枠内に地図のイラスト。鹿児島県の中ほどに位置する霧島市。

テロップ: ドイツの商談会から 3ヵ月後

ナレーション: ドイツの商談会から3ヵ月。 鹿児島県霧島市の霧島製茶を訪ねると、二番茶の収穫が行われていた。

映像説明: 林社長と、ジェトロ農林産品支援課の吉村さんが畑を見ながら話している。

ナレーション: 果たして、ドイツでは成果が出たのだろうか。

映像説明: 茶畑(ちゃばたけ)。Tシャツ姿の林社長。

林社長: 向こうに行っていろいろ営業回って成果はですね、ありました。 国内の市場価格より倍以上の評価をもらって販売することができます。

映像説明: ヤギが雑草を食べる畑のわきの道を、林社長が歩いていく。

ナレーション: 海外からの引き合いが急に増えたため、新たな課題も生まれたという。

林社長: (在庫が)あればあるだけ欲しいっていう海外からのオーダーが来ていて、 ちょっとそれに応えられていない状況ですね。 近くにですね、畑を新たに広げますし、面積的にいうと大体4倍ぐらいになります。

場面3:スタジオ

スタジオの馬場キャスター: いや、海外の需要に応えるために、農地を一気に4倍に広げるっていうのも、 なかなか思い切っていますね。 もともと、霧島製茶は、何がきっかけで輸出に目を向けたのでしょうか。

吉村: 霧島製茶は国内で販路開拓の努力を続けてきたんですが、成果が出ませんでした。 現状を打開するヒントを求めて相談したのがこちらです。

映像説明: インターネットサイトYahoo!JAPAN(やふーじゃぱん)知恵袋の画像が表示される。 質問タイトルは「緑茶を営業して回る仕事があります、営業先は…」

馬場キャスター: あっ、Yahoo!(やふー)知恵袋ですか?

映像説明: 回答の一文がピックアップされる。 「商品が有機栽培茶と、本当に言えるものであれば、国内よりも欧州、ロシア、アメリカの順に、 国外輸出を考える方が販路拡大は、国内に比べて早いと思います。」

吉村: はい。こちらの大手インターネットサイトで相談したところ、 有機栽培茶の国内需要はそれほど高くないから、 ヨーロッパなどに輸出したほうが良いとアドバイスを受け、それでジェトロに相談に来られました。

映像説明: 回答の一文がピックアップされる。 「認定が取れていることはもちろん必要で、次には味や香りが武器になります。」 四角い枠内に馬場キャスターと吉村さんの映像が表示される。

吉村: 確かに、先ほどの映像にもあったように、まずは有機認証があって、 その次に味や香りが武器になると書いてありますね。

テロップ: 外国人バイヤー “有機茶を扱う茶商を紹介して欲しい”

吉村: 実際に私たちが商談会で会う外国人バイヤーにいつも言われるのも 有機茶を扱う茶商を紹介して欲しいというものです。

テロップ: 有機緑茶の生産 拡大する海外の需要に追いついていない

吉村: 有機緑茶の生産は、拡大する海外の需要に追いついていないんです。 そこに目をつけて、5年ほど前から次々と有機栽培に切り替えて成長を続ける生産者が、 実は同じ霧島市内にいます。

場面4:西製茶工場

映像説明: 車窓に流れていく田園風景。青々とした稲。連なる山の中腹に霧がたなびく。

テロップ: 霧に煙る 海に浮かぶ島

ナレーション: 「霧に煙る海に浮かぶ島」と日本神話にも詠(よ)まれた霧島山麓を車で1時間。

映像説明: 白い壁の工場。 入口に看板「有限会社西製茶工場」。左側にお茶の葉をかたどったロゴマークが付いている。

テロップ: 西製茶工場

ナレーション: 有機茶栽培の理想的な立地に、その会社はある。

映像説明: 工場の前の道路を、吉村さんが歩いてくる。

テロップ: ジェトロ 農林産品支援課 課長代理 吉村 優美子

吉村(ジェトロ 農林産品支援課 課長代理): この「西製茶工場」は有機栽培の日本茶(にほんちゃ)が大変おいしいと評価され、 供給が追いつかないほどの引き合いがあります。 私がここを訪問するのは3回目ですが、来るたびに工場と社員が増えています。

映像説明: 工場。茶葉(ちゃば)の入った筒状の機械。中から濃いみどり色の葉が次々と流れ出てくる。 湯気の上がる機械の前で説明する作業員。茶葉(ちゃば)を手に取り、香りを嗅ぐ吉村さん。

ナレーション: 西製茶工場では、自社農園のほか、周辺農家から有機栽培茶を買い取り、 この工場で抹茶や煎せん茶にしている。 海外で、高値で取り引きされる有機栽培茶の多くは、実はこの工場から出荷されている。

映像説明: 髭を生やした外国人男性の写真。 職人と向かい合って、お茶の葉に触れている。

テロップ: 米国のバイヤー ジョシュア・カイザーさん

ナレーション: 収穫期には、有機栽培の現場を見たいと欧米のバイヤーが毎週のようにここを訪ねる。

映像説明: 農家の男性に話を聞く吉村さんとスタッフ。畑では作業が行われている。 茶葉(ちゃば)の摘採機(てきさいき)がお茶の木の上をゆっくりと進む。

テロップ: 慣行栽培(農薬を使用) →有機栽培に転換

ナレーション: 西製茶工場に茶葉(ちゃば)を売る農家の多くはもともと農薬を使う慣行栽培をしていたが、 将来性のある有機栽培に切り替えたという。

映像説明: 畑で向かい合う農家の青年たち。葉の品質を確かめながら話し合っている。

テロップ: 西製茶工場の協力農家 3年間で30人に倍増

ナレーション: 平均年齢32歳、協力農家はこの3年間で倍増した。

映像説明: 赤いTシャツの青年。

テロップ: 協力農家 西 友洋さん

西さん: 自分たちも茶をやってて(農薬を使う)慣行栽培じゃなかなかやっぱり将来将来性が見えないっていうところもありましたから。 やっぱり(有機栽培に)切り替えた人が多い。3年間で15人ぐらい増えたという形じゃないですかね。

映像説明: 西さんが畑の葉を見せる。表面をテントウムシが這っている。 黄みどり色の柔らかな葉が、日の光を浴びて輝く。

ナレーション: 自然環境に左右される有機栽培は手間がかかる。 おいしいお茶を作る努力は1日も欠かせないという。

映像説明: 茶畑(ちゃばたけ)の中の西さん。

西さん: 人に負けないぐらいとにかく土(つち)を一生懸命作るっていう工夫は一生懸命やってるつもりです。 土(つち)を作らないことにはですね、やっぱり良いお茶も出てこないので、はい。

ナレーション: 霧島市の担当者は、輸出によって農業だけではなく、地域社会も再生したという。

映像説明: 青年たちとともに畑を見つめる男性。黒い帽子に紺のポロシャツ姿。

テロップ: 霧島市 農林水産部 農政畜産課 淵ノ上 博己(ふちのうえ ひろき) 主査

淵ノ上主査: 人口もやはり山間部ですのでなかなか高齢者が多い。

映像説明: 畝を一つずつビニールで覆う青年たち。 帽子にエプロン姿の若い女性。 笑顔の一同が、畑の方を見つめている。 柔らかな表情で話す淵之上主査。

淵之上主査: 若手が帰ってこないっていうところでも、こういう農業のこの楽しさ、 彼らたちがしっかり勉強しながら地域の若手と連携しつつ取り組んでいるというところでは、 非常に地方創生につながっているのかなと感じております。

場面5:スタジオ

スタジオの馬場キャスター: おいしいお茶を一生懸命作って売ってと頑張った結果、若い生産者が増えて。 しかもそれが地方創生につながるというのは、素敵ですね。

テロップ: 成功の秘訣 成功している輸出産業と同じことをしている

吉村: はい。彼らの成功の秘訣は、ほかの成功している輸出産業と同じことをしているからだと思います。

馬場キャスター: 具体的にはどういうことですか?

テロップ: 輸出のポイント 市場調査を行い現地で売れるものを作る

吉村: はい。例えば製造業では、どの企業も市場調査を行い、現地で売れるものを、作っています。 しかし、農業では「日本のおいしさを世界に」という思いが強すぎるせいか、 市場調査をおろそかにしがちです。

馬場キャスター: 確かに日本の食べ物はおいしい、だから外国で売れて当然と、 どこか思ってしまっているかもしれませんね。

吉村: 実際に日本の食品はおいしいですし、日本食(にほんしょく)ブームに乗って輸出は年々増えています。 しかし、今回ご紹介したような大規模な輸出を行う場合、 ターゲットとなる市場で売れるものを作らなければなりません。

テロップ: 欧米への日本茶(にほんちゃ)輸出のポイント 有機栽培+日本ならではの付加価値

吉村: 欧米に日本茶(にほんちゃ)を輸出する場合、それは有機です。 その上で、日本ならではのものづくりのこだわりが付加価値になるのです。

馬場キャスター: あの、こだわりといいますと、若い生産者の皆さんの有機栽培への熱い思い、印象的でした。

吉村: 海外のバイヤーは、契約する前に産地を訪ねることが多いのですが、 有機栽培の現場でお茶をおいしくするための工夫や、生産者の情熱に肌で触れると、 皆さん本当に感動して、その農園のファンになります。

映像説明: 畑で茶葉(ちゃば)を積んでいる二人の青年。 均一な高さに揃えられたお茶の葉が、太陽の光を浴びている。

テロップ: 有機栽培の主役は生産者

吉村: 有機栽培の主役は生産者です。 日本茶(にほんちゃ)の奥深さや、おいしさの背景にあるストーリーをどんどん発信していただいて、 輸出拡大につなげてほしいですね。

馬場キャスター: よりお茶をおいしく味わってもらえそうですよね。 吉村さん、今日はどうもありがとうございました。

吉村: ありがとうございました。

映像説明: お辞儀をする2人。

馬場キャスター: それでは、また次回をお楽しみに。

映像説明: 馬場キャスターがお辞儀をする。


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