シリーズ「地域ブランド」 ‐堺の技を世界へ 思いを一つに‐

放送日:2017年04月19日

日本の特産品の振興と海外展開に向けた取り組みを紹介するシリーズ「地域ブランド」。2回目の今回は、大阪・堺の刃物。600年の歴史を持つとされ、分業体制による職人の技で造られるプロ用包丁で国内トップシェアを誇るが、生産の現場では後継者不足などの課題を抱えている。そうしたなか、産地としてブランドを発信、価値を高めることで個々のビジネスにつなげ、伝統の技を継承していこうと動きはじめた堺を取材した。

(9分32秒)

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テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: ジェトログローバルアイ オープニングタイトル 世界の様々な都市の映像が続き、やがていくつもの道のようになり、 立ち並ぶビルのイメージの間を通り抜け、地球に続く。 日本列島が輝き、光を放つ。 「世界は今 ジェトログローバルアイ」

映像説明: スタジオ。木目調のテーブルにキャスターが座っている。白い丸襟のブラウス姿。

テロップ: 馬場 典子

馬場キャスター: 世界は今、ジェトログローバルアイ。 日本の特産品の海外展開の取り組みをご紹介する、シリーズ「地域ブランド」。今回は大阪・堺の刃物です。 600年の伝統や技が今も受け継がれ、世界に誇る刃物を生産していますが、 今、海外でそのブランドの知名度を高めるための取り組みが始まっています。 地域連携を図りながら、海外展開にチャレンジする地域の姿をご紹介します。

タイトル: シリーズ「地域ブランド」 ‐堺の技を世界へ 思いを一つに‐

場面1:堺市

映像説明: 大阪府、堺市。瓦葺きの町屋が軒を連ねている。 四角の枠内に地図のイラスト。奈良県と兵庫県の間の大阪府。その南西側に位置する堺市。

ナレーション: 和包丁の名産地として知られる、大阪府堺市。 そこでつくられる堺の刃物は、 プロ用包丁の全国トップシェアを誇ると言われる。

映像説明: 整然と並べられた白木の柄の包丁。刃の形は四角。

テロップ: プロ用包丁の全国トップシェア

映像説明: 鍛冶職人の作業場。1人の職人が赤く熱した鉄をハンマーで叩いて成形している。

ナレーション: 使う側の希望にあわせ職人が一つ一つ丹念に仕上げており、 その鍛えられた鋼の最高の切れ味はプロがつくる数々の料理に 欠かせないものとなっている。

映像説明: まな板の上。包丁を使い、鯛のおろし身から刺身を引いていく。 尾頭付き鯛のお造りが完成する。 (映像提供:堺市産業振興センター)

テロップ: 最高の切れ味

映像説明: タバコ包丁の資料写真。鉄板のような平たく、幅広い刃。 (写真提供:堺市産業振興センター)

テロップ: タバコ包丁が堺で造られるようになったのが始まり

ナレーション: もともとは、タバコの葉を刻むためのタバコ包丁が、 ここ堺で造られるようになったことが始まり。

映像説明: 堺刃物の写真、刃幅が広い包丁が写っている。刃の表面が平たい。 堺打刃物の写真、刃幅が狭く、長細いかたちの包丁が写っている。刃に角度がついている。 (写真提供:堺市産業振興センター)

テロップ: 堺刃物 堺打刃物

ナレーション: 堺の刃物は、製造方法の違いなどによって「堺刃物」(さかいはもの)と「堺打刃物」(さかいうちはもの)と区分けがされている。

映像説明: 堺刃物の写真。刃の表面が1枚の鏡のように平たい。 (写真提供:堺市産業振興センター)

テロップ: 【堺刃物】金属を切削して成形していく方法

映像説明: 堺打刃物の写真。刃先に角度がついている。 (写真提供:堺市産業振興センター)

テロップ: 【堺打刃物】金属を鍛造して(叩いて)成形していく方法

ナレーション: 「堺刃物」は金属をカットして成型していく方法、そして「堺打刃物」は金属を叩く方法によって造られている。

映像説明: 職人がハンマーで熱した鉄を叩いている。別の職人が砥石(といし)で刃を研いでいる。

テロップ: 完全分業制

ナレーション: 堺の刃物の造り方の特徴は完全分業制。

映像説明: 真っ赤になった棒状の地金の先端に、刃金を押し付けて定着させる。 動力ハンマーにあてて徐々に形を作る。

テロップ: 【鍛冶】 熱した地金の上に刃金を重ね 熱を加えながら包丁の形に整える

ナレーション: 熱した地金の上に刃金を重ね、熱を加えながら包丁の形に整える「鍛冶」(かじ)。

映像説明: 職人の手に、包丁の形になった刃。タイヤ状の回転砥石(かいてんといし)の表面に押しあてて、研ぐ。

テロップ: 【刃付け】 形づくられた刃物を丁寧に研いでいく

ナレーション: そして形づくられた刃物を丁寧に研いでいく「刃付け」などがある。

映像説明: 職人が完成した刃を木製の柄の中に押し入れる。

テロップ: 熟練の技

ナレーション: どれも熟練の職人のなせる伝統の技だ。

映像説明: 黄緑色のジャンパーを着た男性。棚にずらりと並ぶ刃物を指さして説明している。

テロップ: 堺刃物商工業協同組合連合会 (和泉利器製作所の社長) 信田 圭造 理事長

ナレーション: しかし、堺の70以上の刃物事業者が所属する協同組合連合会を 束ねる信田(しのだ) 理事長は課題を感じている。

テロップ: 課題

信田理事長(堺刃物商工業協同組合連合会): 昔はね(刃物事業者は)みんな寄せたら300軒ぐらいあったんですけどね、 その後、後継者問題とかいうのとかあって段々ちょっと減ってきたんですけども。 職人さんはだんだん増やしていかんと、供給できへんようになっていくからですね。 そういう意味で我々もうちょっと、まだまだ頑張らんとあかんなと。

映像説明: 作業場で、ハンマーを振るう職人たち。

テロップ: 意識を変えるきっかけ

ナレーション: そんな中、地元の人々の意識を変えるきっかけがあった。

映像説明: 様々な種類の包丁。刃の峰側に「堺打刃物」の文字がある。 木製の柄には、伝統の「伝」の字と赤丸とを組み合わせたデザインのマークがついている。

テロップ: 「堺刃物」「堺打刃物」 2007年 地域団体商標登録

ナレーション: 2007年、地域ブランドの登録商標である、地域団体商標に「堺刃物」と「堺打刃物」が登録された。

映像説明: 信田理事長。

ナレーション: そのことで、堺の刃物というブランドに対して、今まで以上に誇りを持つようになったという。

信田理事長(堺刃物商工業協同組合連合会): きちっと登録商標というのがあれば、国で認められているんやからと。 地域ブランドっちゅーんですか? それが取れたっちゅーのは、我々業界もちょっとは胸を張れるし。

映像説明: 近畿地方の地図。 兵庫県を指した枠の中に「“神戸”の文字+牛のイラスト」。 大阪府を指した枠の中に「“堺”の文字+包丁のイラスト」。

テロップ: 地域団体商標制度 地域名と商品名で構成される商標

テロップ: 登録数605件 (2017年3月31日現在)

ナレーション: 地域団体商標とは、地域名と商品名で構成される商標のこと。 地域ブランドを保護し価値を高め、地域経済の活性化を目的に作られたもので、現在605件が登録されている。

映像説明: 新しい町屋風の建物。二階の虫籠窓(むしこまど)に大きな包丁をかたどったモニュメント。 包丁のモニュメントには堺打刃物と書かれてある。 建物の中。沢山の展示ケース。

テロップ: 「堺刃物ミュージアム」リニューアルオープン

ナレーション: 地域団体商標への登録後、若い世代や外国の方にも関心を持ってもらいたいと、 2011年に「堺刃物ミュージアム」をリニューアルオープン。

映像説明: 製造工程の展示。見本や作業写真とともに説明している。 細やかに種類分けされた刃物の紹介もある。

ナレーション: 刃物の歴史や伝統技法を学べるこの施設は、堺の刃物の知名度を上げ、 職人たちの意識を高めることに一役買っている。

場面2:海外展開

映像説明: 包丁の映像。 木製の柄に伝統マーク。刃に「堺打刃物」の文字。

テロップ: 海外展開

ナレーション: 日本では圧倒的なシェアを誇っている堺の刃物。 次の目標の一つは海外展開だ。

映像説明: オフィス。黒いスーツにストライプ柄のネクタイの男性。

テロップ: ジェトロ 知的財産課 池永 佑

ナレーション: 地域ブランドの海外展開を支援している担当者は、 海外展開に必要なことについてこう話す。

テロップ: 海外展開に必要なこと

池永: 関係者全体が地域ブランドの海外展開における具体的な目標を共通認識として持つことが重要になってくると 考えています。

映像説明: 作業場の職人たちの風景。

映像説明: ステージで包丁の説明をする堺の職人たち。 (映像提供:堺市産業振興センター)

ナレーション: そこで、堺の関係者が地域ブランドの知名度を海外で上げるため、 昨年10月にシンガポールで開催された、ASEAN市場最大級の日本食見本市「Food Japan 2016」に参加した。

テロップ: シンガポール

テロップ: 10月27日~29日 Food Japan(フード ジャパン)2016

映像説明: 実演ブースに大勢の外国人が集まっている。アジア系女性が包丁を研ぐ伝統工芸士の手元を見ている。 講義形式の会場にも、大勢の外国人が集まっている。 (映像提供:堺市産業振興センター)

テロップ: 堺の刃物を出展

ナレーション: ジェトロの「地域団体商標海外展開支援事業」を活用し、 堺の特産品とともに堺の刃物も出展。地域一体となって刃物をPRした。

映像説明: 伝統工芸士が刃物の研ぎを実演している。 料理研究家が、料理を実演している。 大勢の外国人がそれを見ている。 伝統工芸士に説明を受けながら、砥石(といし)に刃を滑らせる外国人男性。

ナレーション: 会場では、堺の伝統工芸士が刃物の研ぎを実演し、料理研究家による堺の刃物を利用した調理実演も披露。 海外のシェフなどをターゲットに、個々の職人や事業者が一体となってPRすることで、現地の人々の心を確実に掴んだ。

映像説明: ステージ。伝統工芸士の説明を受けながら、研ぎを体験する外国人男性。

伝統工芸士: ここやったら、今度ここ・・・。

外国人男性: Oh~

映像説明: 包丁を磨く日本人男性。デニムのベストに、藍色の前掛け姿。

テロップ: 堺刃物商工業協同組合連合会の会員 山脇刃物製作所 営業部 二宮 豊 部長

ナレーション: 出展者の一人、二宮さんは、現地に行ったことで新たな発見があったという。

二宮部長: 予想外に和包丁、堺が得意とする和包丁に興味がある。とくにシェフの方なんですけど。(シェフが多かった) ほとんどの方が最初から柳刃(やなぎば)ないか、出刃(でば)ないかと包丁の型を指名して買いに来るんですね。 結構シンガポールでも和包丁が認知されているんやなっていうのは、すぐ、最初の初日で思いましたね。

映像説明: 「Food Japan 2016」キッチンブース。シェフの恰好をした外国人たちが、堺の刃物で切った食べ物に箸を伸ばす。

映像説明: 二宮部長が和包丁を磨いている。

テロップ: 戦略的な工夫

ナレーション: 海外のシェフ達の和包丁への関心は高い。 しかし、ブランドの海外展開をより効果的に行うためには、 個々の戦略的な工夫も求められる。

映像説明: 眼鏡をかけたショートカットの女性。

テロップ: ブランドプロデューサー 西道 広美 さん

ナレーション: そう話すのは、地域のブランディング活動をサポートしている、ジェトロの西道ブランドプロデューサー。

西道さん: つい海外に行くというと見本市やっておしまいとか、イベントやっておしまいとなりがちだと思うんですけど。 お相手さん(海外の人)に好きだと思って選んでいただいて、その商品とかサービスとかを信頼できるよと思っていただくような仕掛けを作ること。

テロップ: 商品を相手に信頼してもらえるような仕掛けを作る

西道さん: 地域のブランドもそれができる。(それぞれ皆が)成功体験を 持っていただくっていうのが非常に重要だなあっていうふうに思っています。

テロップ: 地域のブランドも海外で成功できるという体験が重要

映像説明: 鳳凰が描かれた黒塗りの鞘や柄。金箔がちりばめられ、尾の先には螺鈿(らでん)の細工が施されている。 竜が描かれた朱塗りの鞘もある。

テロップ: 海外向けにデザインや色をカスタマイズ

ナレーション: 実際、二宮さんも出展にあたっては、日本では派手ととられそうなデザインや色にカスタマイズした刃物を持ち込んだ。 狙い通り、現地の人には好評だった。

映像説明: 二宮部長。

テロップ: 堺刃物商工業協同組合連合会の会員 山脇刃物製作所 営業部 二宮 豊 部長

ナレーション: こういった仕掛けを作ったことが、成果につながっているという。

二宮部長: シンガポールのすし屋さんが、うちのブランドの“義弘”の包丁を探しているっていうのを人づてに連絡して、 今ちょっとお話をしているところなんですけども。 もしかしたらこれもシンガポールに包丁を持って行っていたおかげかなとかいうのを思っています。

映像説明: 「Food Japan 2016」実演ブース。研ぎを見学する人々。外国人男性がスマートフォンで撮影している。

テロップ: ブランド化を推進する活動

ナレーション: シンガポールの見本市終了後、堺ではその成果を踏まえ、ブランド化を推進する活動が続けられていた。

映像説明: 人々がスクリーンに映し出された資料を見ながら専門家の話を聞いている。

テロップ: 2017年3月10日 知的財産権保護啓発セミナー

ナレーション: 先日開催されたセミナーでは、堺の刃物のブランドを保護し育成していく方法について、専門家がアドバイス。 地場産業の振興だけでなく、海外展開の成功にまでもつながると、地元関係者は理解を深めた。

映像説明: 鉄を叩く職人、回転砥石(かいてんといし)を使う職人、二宮部長、信田理事長、「Food Japan 2016」の光景―。

テロップ: 知名度の向上

テロップ: 海外展開

テロップ: 職人の確保

テロップ: さらに一つになる取り組み

ナレーション: 地域団体商標への登録は、地域をより一つにする、大きなきっかけとなった。 これからは、消費者へのさらなる知名度の向上、世界の料理人に向けての海外展開、 減りつつある職人の確保など、さらに地域が一体となって問題解決にあたっていく。

映像説明: 信田理事長。

テロップ: 堺刃物商工業協同組合連合会 (和泉利器製作所の社長) 信田 圭造 理事長

信田理事長: 世界で、世界でこの堺の刃物やということを(広めて)。 堺の産業は小さいもんなんですけども、伝統産業ですんで(若い世代にも)続けてほしいなと思いますね。

映像説明: 二宮部長。

テロップ: 堺刃物商工業協同組合連合会の会員 山脇刃物製作所 営業部 二宮 豊 部長

二宮部長: 評判を落とさないように、このまま維持したまま、どんどんどんどん世界各国で和包丁増えていってもらったら、 ぼくらもどんどん包丁を売っていきますし。 手を抜かないように、これからもええ商品を(皆で)どんどん海外に輸出していけたなとは思いますね。

映像説明: スタジオ。馬場キャスター。

馬場キャスター: 長年受け継がれてきた伝統や技によって生み出される堺の刃物。 こうしたブランドを海外展開していく際には、関わる地域の人々が一体となることが欠かせないのですね。 そして、そのためには、具体的な目標を共有し、発信していくことが重要だということもよく分かりました。 番組では、これからも各地の地域ブランドの海外展開の取り組みを取り上げていきたいと思います。 それではまた次回。お楽しみに。

映像説明: 馬場キャスターがお辞儀をする。

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