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 TTPPニューズレター コラム


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   「中国ビジネス3.0」の時代  〜グローバル化する中国ビジネスで成功するポイント〜  

   九門 崇
    東京大学特任研究員
    フライシュマン・ヒラード・ジャパン株式会社 スペシャル・アドバイザー

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    第7回  発展する中国の地方都市:海南島のビジネスチャンスと課題   2011年5月
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【世界クラスのリゾート地を目指す】
最近は、中国の地方都市の経済発展が注目されている。おもに武漢、重慶、成都など中西部の大都市

の名前がよく挙がるが、今回は少し特色の異なる海南省の海南島を取り上げ、今後の発展の方向性を

知り、日本の商品やサービスが生かせる可能性を考えたい。

海南省は、中国の広東省の南に位置しており、2011年4月23日付新華網によると2011年第1四半期の

域内GDP成長率は前年同期比10%増となった。2008年の1人当たりGDPは2472米ドル(中国の

平均3404ドル)となっている。中国政府は、2010年1月に、海南島を世界トップクラスのリゾート地にする

という提言を出した。同省政府筋によると、「中国政府は海南島を通じて、高級サービス業の拠点として

の中国のイメージを高めようとしている。海南島もアジアの有名リゾートから色々と学んでいる。

例えば、韓国の済州島、インドネシア・バリ島、タイ・プーケット島、日本の沖縄などがあるが、それらの

島とは異なる特色を出していきたい」という。

同筋によれば、今後の方針として、基本的には、観光リゾートというだけでなく、サービス業を前面に

打ち出していく必要があり、その特色は3点あるとしている。1つは、国際的なスポーツ関連の島だ。

競馬、ロト、国際的なスポーツイベントなどが考えられる。香港資本の高級ゴルフクラブであるミッション

ヒルズでは世界的な俳優・女優や有名ゴルフ選手などを招待したスターゴルフ大会を2010年10月に

開催した。第2に、国際レベルの規模のショッピングモールを建設する予定だ。第3に、同島の港を

フリーポート(自由港)にすることを計画している。


海南島は中国の他島よりも面積が大きく、開発の余地がまだ十分にある。三亜(海南島のリゾート地)

では、リッツカールトンをはじめとする国際的な高級ホテルが多くあり、ドバイの7つ星ホテル系列のホテ

ルも建設中である。インフラ充実に向けた取り組みも始まっている。2010年末には三亜と海口を南北1

時間47分で結ぶ新幹線(モノレール)が開通した。また、島全体を結ぶ環島新幹線も今後建設予定、

東西高速道路以外に中部にも高速道路を建設予定だ。これらが建設されると、これまで3時間程度か

かっていた三亜・海口間が新幹線や車で半分くらいの時間で自由に行き来ができるようになる予定だ。

 

【海南島でのビジネスチャンス】
現地を視察して感じる今後の海南島でのビジネス機会は以下の3つである。1つは、質の高いサービ

スを持つ小売業の進出だ。海南島には、フランスのカルフールなど外資系の大型小売業がすでに進出

している。しかし、まだサービスのきめ細かさ・品質・店舗作りの面では洗練されておらず、イオンや

イトーヨーカ堂など日本企業が進出する余地は十分あるといえる。百貨店も高級なものはほとんど

なく、コンビニもほとんど見られない。街を歩いていると、10年ほど前の北京や上海など沿海都市部の

発展状況を彷彿とさせる。百貨店などには、深セン経由で日本からのお菓子やカレールーなど若干の

日本産食品が輸入されているが、まだ多くはない。日本食レストランも回転ずしや中国・香港資本の

ものが数軒ある程度だ。

第2に、新エネルギーの分野も興味深い。海南島は、再生可能エネルギーに注力しており、政府関係

者からは環境に影響が少ない「無炭素社会」を作りたいとの話も出ていた。太陽発電、下水処理技術

などの環境技術を持つ企業の進出や技術提供は今後ますます求められるだろう。

第3に、中国の高齢化に伴う高級医療施設などの需要も高まるだろう。中国では高齢化が進展して

おり、中国国家統計局が4月28日に発表した2010年の国勢調査結果では、65歳以上の人口比率が

8.9%に達し、2000年の前回調査に比べ1.9ポイント上昇した(2011年4月28日付日本経済新聞)。

中国の富裕層を筆頭に、老後は温暖な海南島で過ごしたいと考える人が多い。そうすると、富裕層

向けに人間ドックを受診できるような高級な病院・健康センターなども必要になる。中国の病院に行った

ことがある人なら実感としてわかると思うが、同じ病院の中でVIP用と一般用の診察室が分かれており、

一般用に行くと診察を受けるまでに何時間も待つのは普通である。富裕層は病院で並びたくないため、

富裕層向けの健康管理施設が必要になるのだ。地元の海南島の経営者に話を聞くと、その方の

母親が病気になり病院に行くと朝一番でも既に100人位の患者が待っているというから、その後に

着いた患者については推して知るべしだ。最近は、中国の富裕層向けに日本への人間ドックツアー

なども企画されているが、海南島には高い技術やサービスを持つ病院が不足しているため、日本に

行かなくても現地で中国人がサービスを受けられるような医療サービスの潜在的需要は高い。



【アジアリゾートとの差別化が課題】
現地の観光会社によると、年間約2000万人程度の中国人が観光やビジネスの目的で海南島を訪れ

るという。実際、海口のホテルでも携帯電話で不動産投資の話をしている中国人ビジネスマンやリゾー

トに遊びに来た中国人の姿が多くみられた。海南島の有名リゾート地である三亜のホテルは、中国から

富裕層が押し寄せるため、通常のツインタイプの部屋でも旧正月で1泊1万元〜2万元(15万円〜

30万円)の間と非常に高い価格設定になっている。7月、8月のオフシーズンですら、リッツカールトンは

3000元(4万5000円)以上の部屋が満席で予約できず、部屋を予約するのも現金で前払いいしないと

いけない位だ。

世界中のホテルが進出を図り、海南島はホテルの建設ラッシュであるが、現地の人によると日本の

旅館的なおもてなしやサービスを持つ宿泊施設はまだないという。石川県の加賀屋という温泉旅館は

日本に来る台湾人の観光客が多く、2010年12月に台湾にも別館を作るくらいの人気旅館となった。

こうした第2の加賀屋を海南島で作るのも面白いだろう。中国人が日本に来るには、観光ビザの要件が

厳しいため、訪日できる中国人の数はまだ限られており、日本に行く際も基本的には団体旅行だ。

特に、今は東日本大震災の影響もあり、日本に来る中国の観光客は落ち込んでいる。そのため、日本

に行きたくても行けない富裕層・中間層に対し、海南島で日本のサービスと雰囲気を提供できれば

人気が出るのではないか。

海南政府は「慢城市(スローシティ)」というスローガンを掲げて海南島をPRし、アジアで一番のリゾート

にしようとしている。海南島の主な観光客は13億人の人口を持つ中国国内の観光客だが、長期的には

中国人に加えて日本人を始め外国人観光客も誘致していきたいとしている。しかし、外国人観光客を

誘致するには、アジアのリゾートとどう差別化するかがカギとなる。実際、現地ではレンタカーを借りて

運転などできればリゾート気分も増すだろうが、交通マナーが悪く、旅行者が運転するには危険だ。

また、アジアには他にもリゾート地や免税の買い物ができる場所が多い。買い物でいえば、香港、

ソウル、リゾートでいえば、沖縄、済州島、バリ、プーケット、などアジア域内で様々な都市や島が競争

している。そのため、島全体でブランディングをする必要がある状況だ。

現地の人と話をすると、海南島は「アジアのハワイ」とよく言う。この表現を聞くと、中国人的発想を

感じる。中国人は、非常に大きなコンセプトを出すのが好きだ。中身はその後から考えたり、調整して

いけばいいと考える。法律を制定する際も、まず大枠の法律を発表して、実際どのように運用するか

という実施細則はその後考えて修正しながら、細部を詰めていくというやり方だ。日本人なら沖縄の

ことをアジアのハワイと表現したりはしないだろう。5年後、10年後にどう変化しているかが楽しみな

場所である。



■┓九門 崇 (くもん たかし)
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  アジアビジネスコンサルタント
東京大学 特任研究員
フライシュマン・ヒラード・ジャパン株式会社 スペシャル・アドバイザー

慶應義塾大学法学部卒。ミシガン大学公共政策大学院修士。
専門は、「中国市場でのマーケティング・PR戦略」 「中国での人材活用・人事戦略」「中国・アジア
のBOPビジネス」等。
日本貿易振興機構(ジェトロ)において、清華大学で経営学等の研修を受け、中国経済・中国での企
業戦略(人事、PR・ブランディング)、日本・台湾企業の中国・インドでのアライアンス調査等を担当。
その後、中国をはじめアジアの富裕層・ボリュームゾーン市場での日本食品市場の調査担当を経て
独立。
現在は、東京大学で中国ビジネスのケーススタディを作成し、中国ビジネスの成功・失敗事例から
問題解決を研究。米国のPRコンサルティング会社の顧問として中国ビジネスのコンサルティングや
企業研修も行う。
日経BP社の情報サイト「Nikkei Bpnet」で“中国から探るグローバルビジネス”をテーマに1年間連載
し、東洋経済などビジネス紙誌での寄稿、大手企業での講演等多数。
主な著書:「中国ビジネスのリスクマネジメント」(共著:以下同)、「中国進出企業の人材活用と人事
戦略」、「中国のトップカンパニー躍進70社の実力」、「アジア国際分業における日台企業アライアンス」。

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