海外ビジネス情報

ジェトロの海外ネットワークを通じて収集した最近のビジネスニュースや政治・経済の概況、貿易・投資実務に役立つ制度・手続き情報や各種統計、調査レポートなどをお届けしています。

各国・地域別にご覧になりたい場合は「国・地域別情報」をご覧ください。

国・地域別に見る

ビジネスマッチングサイトTTPPは、海外生産、販売委託、市場開拓/拡大、実務サポートなど国際的なビジネスパートナーを探したい、貿易(輸出・輸入)したい方を支援します。

English

  • 貿易実務アドバイス
  • 貿易実務レッスン

TTPP特集 TTPPの登録案件の中から、特定分野に関連する案件を抽出して紹介します。

すべての内容を印刷する全般

外部の専門職を活用する際のトラブル回避法
この内容を印刷する2013年07月号
外部の専門職を活用する際のトラブル回避法
〜ポイントは人選、契約条件の明確化、業務管理〜

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

海外市場や新分野への進出等の新規プロジェクトのために、専門のスキルや ノウハウを持ったスタッフを社外から調達するケースが増えています。

ところが、最近寄せられる相談の中に、「デザイナーを起用したものの、 時間にルーズで、非常識な言動が多く、どうしたものか」、「海外進出の際の 責任者としてフリーランスの技術者を採用したが、処遇に対する不平不満ばかり 言って、仕事に手がつかず、他の社員との人間関係も悪化している。プロジェ クトへのモチベーションが下がるので、辞めてもらうことにした」というもの がありました。

客観的に見て、私は依頼者、請負者双方に非があると思います。そこで、外部 の専門職を起用する場合のトラブル回避法をまとめてみました。

  1. 人選は能力、経験だけでなく、業務範囲と業務遂行の基本動作も考慮
    まず、必要とされる能力や経験等の要件を具体的に整理します。「XXXXの 資格保持者」、「YYYYの経験10年以上」などです。さらに、浅くてもなるべ く広い領域をカバーできる人材が良いのか、深さを極めた人材をワンポイン トで使いたいのか等の視点も、人選に役立ちます。

    どんな仕事であれ、『ほう(報告)・れん(連絡)・そう(相談)』は基本です。 「一般人にない技能を持っているのだから、仕方ない」と大目に見てしまう こともあるでしょう。しかし、この基本動作ができないと、プロジェクトが うまく進まないばかりか、感情的なこじれも生じるでしょう。

    また、信頼性も大変重要なので、業務の中で知り得たことを勝手に外部に漏ら さないという“機密保持契約”も結んでおくと良いでしょう。

  2. 依頼業務の内容等を契約書に具体的に提示
    人が決まれば、次は契約です。“業務内容、責任の範囲、勤務形態、タイム・ スケジュール、報酬”など、依頼業務の詳細を明文化した契約書を作成します。 これをないがしろにすると、特に会社や組織の後ろ盾を持たない請負者(専 門職)はだんだん疑心暗鬼になったり、疎外感を感じるようになります。 悪くすると、仕事へのモチベーションが下がったり、管理者にたてつくよう になったりもします。

    一刻も早い契約内容の提示が、依頼者と請負者の相互理解(了解)と、尊敬や 感謝につながり、さらには専門職の能力を最大限に発揮することにもつなが ります。

    また、新規プロジェクト故に、契約が長期化するほど、想定外の新しい業務が 発生する可能性もあります。外部の専門職に、社員の嫌がる専門外(契約外) の仕事をついでに押しつけたという例も聞きます。

  3. 専門職の業務への理解と業務管理
    「高い専門能力を持った人だから、放置しておいても良い仕事をしてくれる に違いない」という期待や「専門分野のことがわからないので、注意をしたり、 指示をしたりできない」という管理不足から、依頼者の意向とずれた方向に 進んでしまうこともあります。依頼者がこれを放置すれば(気づかずにいると)、 最後にはトラブルになるケースもあります。

    依頼者は業務に必要な情報を専門職に正しく開示、説明し、専門職が適切 かつ円滑に業務を行えるようにすることです。また、プロジェクト管理者は 専門職の業務の進捗状況や業務の内容・質が納得できるものであるかどうか、 適宜把握する必要があります。それには、依頼者が専門職の業務を理解、学 ぼうとする姿勢が必要です。このことが相互の信頼関係構築につながります。

  4. 必要とする専門職を探すには
    順序が逆になりましたが、最後に最適な専門職の探し方をアドバイスします。

    (1)試用期間を設ける
    外部の専門職を長期間活用する場合、専門職に対し、その技能や経験だけで なく、御社の社風や経営方針についての理解と協力、プロジェクトに関わる 社員とのコミュニケーション・協調性が求められます。

    契約に一定の試用期間を設け、試用期間後に、お互いに納得して仕事ができ るかどうかを見直す機会があると、トラブルの発生率は低いでしょう。

    (2)専門職の団体・組合等に相談する
    依頼者が必要とする専門職の能力や適正を判断できない場合、専門職が所属 する団体・組合、あるいは専門職を活用している業界団体等に接触し、ニー ズにあった専門職を紹介してもらうとよいでしょう。人材の選択肢が広がり、 多くの事例を承知していますので、業務の委託や管理方法等のアドバイスを 得ることもできるでしょう。

    (3)専門職の斡旋業者を利用する
    少しコストが掛かりますが、信頼できる斡旋業者を利用することも一考です。 専門の斡旋業者ならば、最適な人材の検討と選定はもちろんのこと、適切な 契約書(案)の提示、トラブル時の仲裁、専門職が辞めた場合の後任者探し 等で支援を得られるでしょう。

自分でできる相手の信用度チェックで、リスク・トラブル回避
この内容を印刷する2009年09月号
自分でできる相手の信用度チェックで、リスク・トラブル回避

有限会社フォーカス・ビジネスプロデュース 代表取締役 大石達也

あなたがTTPP登録案件へのコンタクトメールを受信した際、果たして本当に信用できる相手かどうか、取引への期待とともに、不安を感じることがよくあると思います。TTPP でも、詐欺メールには十分に気をつけるよう、注意を促しています。

見知らぬ海外の相手との取引には、慎重には慎重を重ねることが大切です。リスクやトラブルを未然に防ぐため、交渉の初期段階に、Eメールで相手のある程度の信用度を推測するポイントをご紹介します。これらポイントを自ら総合的にチェックし、相手が信用できるか否かを判断することをお勧めします。

1.初回コンタクトメールの特徴をチェック
受信したコンタクトメールで、まず次のことをチェックできるでしょう。
(1)メールアドレスは、法人(らしい)組織のものか?
(2)具体的な内容が明記されているか?
(3)会社として、あるいはビジネスマンとして、ふさわしいビジネス文体か?
(4)フリーソフトなどの簡易自動翻訳を使った文章ではないか?
(5)詐欺メールの特徴はないか?

■メールアドレス: フリーメールアドレスに要注意
まず、送信者のメールアドレスがフリーメールではなく、企業で一般的に使われる有料アドレスになっているかどうかを見ます。多くの詐欺メールやスパムメールでは、フリーメールが使用されています。信用の観点からは、フリーメールはビジネスを行う上で余りふさわしくありません。個人のメールアドレスの場合も、信頼度は下がります。特に、大きな金額の取引では尚更です。

■具体的な内容明記: 真面目なオファーには様々な質問がある筈
真面目な問合せやオファーならば、1〜2行程度の単に興味があるというシンプルな文ではなく、興味の度合いや質問事項等の内容が具体的に明記される筈です。また、コンタクト内容がオファーされた登録案件に即しているかどうかもチェックします。

■ビジネス文体
完璧な英語である必要はありませんが、相手に失礼にならない文体であるかどうかをチェックします。余りに馴れ馴れしいもの、高圧的なもの(例えば「大至急、返信しろ」、「すぐに見積もりを送れ」など)、意味不明な内容のもの等は、要注意です。

■簡易自動翻訳文
国際取引においては、輸出入時のみならず、その後のアフターケアでも多くのコミュニケーションが必要とされます。ウェブ上の簡易自動翻訳を利用して、自国語から日本語や英語に置き換えて、コンタクトしてくるケースを時々見かけます。その多くは意味不明な内容で、信頼性以前の問題です。

■詐欺メール
上記のチェック項目全てに問題がなくても、詐欺メールである可能性は残ります。詐欺メールの多くは丁寧な英文で、内容も詳しく書かれている場合が多々あります。一方、詐欺メールには決まったパターンがありますので、TTPPの詐欺メール対策ページなどを参照してください。

 <TTPP詐欺メールへの注意喚起>
  http://www.jetro.go.jp/ttppoas/remarks/indexj.html

2.Eメール以外のチェック方法
Eメール以外にも、相手の信用度をチェックする方法があります。
(1)相手企業のウェブサイトをチェックする
(2)相手の社名・代表者名・担当者名などをインターネット検索してみる
(3)電話でコンタクトしてみる
(4)タイムリーに返信があるかをチェックする

■ウェブサイト
ウェブサイトの有無は信用度に直接影響します。英文ウェブサイトがあれば、相手のTTPP登録情報や問い合わせ・オファー情報との内容を照合することができます。照合できない事項があれば、問合せするか、あるいは商談中止の判断材料となります。

■メディア検索
相手の国で英語メディアが発達してれば、念のため、検索エンジンで相手の企業名や代表者名などをチェックしてみてください。私自身、過去に1度、相手の代表者名が詐欺まがいの事件で訴訟を起こされているのを見つけたことがあります。

■電話でコンタクト: 相手の職場環境を推察
Eメールによるコミュニケーションがある程度進んだ段階で、可能であれば相手の会社に直接電話してはいかがでしょう。相手の電話応対や背景の音などから、きちんとした会社組織か否かを推測できます。

■タイムリーで的確な返事
きちんとした回答がタイムリーに返ってくるかでも、相手の信用度を推測できます。妙に取引を急がせたり、途中から高圧的な態度に変わったり、連絡が途絶えがちになったりしたら、要注意です。

以上、相手の信頼性チェックの方法をご紹介しましたが、逆にあなたの信頼性も同様にチェックされます。見知らぬ相手との取引では、“相手の信頼性を審査する”一方、“自分が信頼を得る”の両面から対応し、信頼関係を築いていくことをお勧めします。

商品展示会を効果的に活用するには
この内容を印刷する2007年07月号
商品展示会を効果的に活用するには
〜展示会視察・出展の効果をより高める事前準備〜

有限会社フォーカス・ビジネスプロデュース 代表取締役 大石達也

商品展示会をうまく活用することによって、自社取扱商品の幅を広げる、業界・市場や競合他社の情報を仕入れる、効果的に自社製品の販路を開拓する、などそれぞれの目的に応じた成果を期待することができます。一方で、たまたま開催されていた展示会に行ってみたけど、あるいは出展してみたがあまり成果がなかった、という話もよく耳にします。
今回は、いかに展示会を効果的にビジネスに結びつけるか、そのヒントをご紹介します。

1.海外展示会視察
海外展示会視察の有効性について、(1)輸出による海外新規市場参入のための情報収集、(2)新規商材発掘と代理店契約の二つのケースに絞ってお話します。

(1)新規参入のための情報収集
海外市場に新規参入を検討する際、事前準備のための市場調査として、海外の展示会は正に“情報の宝庫”です。そこには、その市場に興味を持つ業界関係者が多く集まります。具体的には、競合他社、代理店などの提携先候補、潜在顧客、業界情報関係者(業界紙・雑誌など)、ビジネス支援業者などです。インターネットや展示会で配布される紙媒体(出展者リスト、市場概況、新製品・技術情報など)なども、その市場を研究する上で欠かせません。もちろん、実際に一つ一つブースを回って、業界関係者と話をすることで生の情報、つまり貴重な一次情報を入手することができます。過去20年間このような仕事に関わってきた私ですが、いかに早くその業界に馴染むかが、新規参入で最も大切なことだと思います。それゆえ、展示会ではなるべく多くの関係者と実際にコミュニケーションすることをお勧めします。

(2)新規商材発掘と代理店契約

ユニークな商品には、同じように代理店権の獲得を目指す商社やセールスエージェント等が必ずいる筈です。同業他社より一歩抜きん出るためには、事前準備が大切です。展示会では「お目当て」の会社、製品を見に行く、といったパターンが理想的です。そのためには、常日頃から、ジェトロ、業界関係者、関連ウェブサイト、各国大使館や商工会議所からの情報収集など、あらゆるネットワークを駆使して、可能な限り早期に情報を入手しておくことが重要です。

また、多くの場合、展示会の開催案内には出展者の概要がインターネットなどで事前に紹介されます。必ず一通りチェックし、興味を持った出展者にはすぐにEメールを送ってアポイントを取ってしまいましょう。こうすれば、先方に自社のことを事前に知ってもらうことができる上、相手に自分を強く印象づけることができます。

「とにかく、事前のチェックとアポイントなしで展示会に行ってはいけない!」これが展示会を有効活用するための秘訣です。海外展示会視察には高い経費がかかりますので、特に興味を持った企業(特に責任者)との事前アポイントは大切です。

2.海外展示会出展
海外展示会の効果的な出展について、(1)展示会出展のコストと効果の事前調査、(2)来客者数を増やすための事前PR、の二つのケースに絞ってお話します。

(1)展示会出展のコストと効果の事前調査
海外展示会への出展についても、本当に自社の目的に適った展示会であるか、やはり事前調査が必要です。既に業界で世界的に知名度のある専門展示会の場合、業界に精通していれば、自ずとその情報が入ってくるものです。この点においても、業界にネットワークを多く持つということは大切なことです。

情報収集の結果、出展候補の海外展示会が決まったら、事業計画にも依りますが、一度その展示会を視察することをお勧めします。そして、自社の潜在顧客開拓に効果的だと判断できれば、次回以降の出展を決定すれば、ロスを軽減することができます。
実際の出展にあたっては、主催者側とのコンタクト、ブース設営の手配、展示品の搬送などの業務が発生します。自社で手配しても良いし、国際物流業者、その他各地域に強みを持つサポート企業の支援を受けることも可能です。
ほとんどの場合、最初の相談は無料と思われますので、まずはこれら業者にコンタクトしてみてください。

(2)来客者数を増やすための事前PR
展示会出展をさらに効果的に行う方法をご紹介します。出展を決定したら、プレスリリースをその開催地の言語で発表し、現地の業界紙や雑誌に送りましょう。もちろん自社の技術や製品にニュースバリューがあることが前提です。プレスリリースは、可能であれば、現地雑誌社などから業界専門のライターを紹介してもらい、有償で書いてもらうと採用される確率が高くなると思います。次に、業界団体リストなどの潜在顧客リストを入手できれば、直前に、自社紹介と今回出展する旨を記したレターを、雑誌記事を同封して、ダイレクトメールで送付するという手法もあります。つまり、いかに展示会本番までに話題性を高めて、当日の来客者数を伸ばすかが鍵になります。

英文契約書を理解する3つのポイント
この内容を印刷する2007年06月号
英文契約書を理解する3つのポイント
〜異なる契約・権利文化、明確さを求める英文契約書はまず型を押さえる〜

有限会社フォーカス・ビジネスプロデュース 代表取締役 大石達也 米国公認会計士

先月号(2007年5月号)のトピックは、具体的な国際間取引でのリスク事例と契約書上での対応策についてでしたが、今回は基礎に戻って、英文契約書を正しく理解するためのポイントを3つに絞ってご紹介します。

海外企業との継続的な売買、海外での販売代理店の任命や委託製造の手配など、国際ビジネス、国際取引の様々な場面で必要とされるのが英文契約書です。私自身、過去20年間、さまざまな国の企業とビジネス契約のネゴシエーションを行い、契約書の作成に携わってきました。また、米国駐在時は米国公認会計士の資格を活かし、米国ビジネス法の観点から、自社で締結するすべての契約書をチェックしてきました。これらの契約書はすべて英語によるものでした。

契約書だからといって、英文契約書は日本国内で使用する日本語契約書を英訳したものではありません。この点をまずしっかり理解しておくことが重要です。

【ポイント1:日本の常識は通用しない】
英文契約書を実務で扱う際、日本人にとって最も難しいのは、もちろん英語が外国語である点です。これは、単に言語表現の違いだけではなく、英語の母国である英・米の文化、慣習、契約の考え方、さらにはその背景に英米法があることまで含まれます。つまり、英文契約書はその土台から日本語のものとは異なっている点を理解してください。

典型的な例として、日本では「本契約に定めの無い事項に疑義が生じた場合は、甲・乙誠意をもって協議するものとする。」という条項をよく目にしますが、英文契約書では余り見当たりません。その代わり、考えられるさまざまなケースを細かく規定し、更に紛争が生じた場合の処理の仕方も、仲裁条項や裁判管轄条項によって規定します。

【ポイント2:曖昧さを排除し、明確さを求める】
日本の企業や個人が契約当事者として、英文契約書をチェックする、あるいは作成する際に必要とされる、もう一つのポイントはたとえ英米法に準拠しない英文契約書であっても、英文法律用語の解釈は英米法に基づくことです。つまり、契約の相手国が英国や米国などの英語圏、あるいは英語を公用語としない国であっても、英文契約書である以上、その英文法律用語の解釈は一般的に英米法に依拠します。

英米法では、契約当事者の合意が明確であること、つまり裁判所が判断するにしても、十分に法律上強制力を持たせることができる明確な根拠を求めます。また、詐欺防止法などでは、重要な契約は書面によることを規定しています。さらに、契約交渉の過程で合意された個々の事項を、最終的に契約書の条項としてまとめる(含める)のが普通です。

【ポイント3:英文契約書の型を押さえる】
ポイント1、2の考え方に基づいて英文契約書が作成されるため、必然的にページ数が増え、一見複雑な内容に見えてしまうのです。このため、多くの日本人にとって、まずは読むだけでも尻込みしてしまいがちです。ところが、実務上知っておくと便利なポイントがあります。それは、英文契約書の本文は大きく分けて、主要条項と一般条項の二つの部分から成り立っている点です。

主要条項とは契約毎に異なり、いわば契約の核となる条項です。たとえば、通常の売買契約の場合、契約対象となる物品・サービスの特定、対価、取引条件、支払条件など、その契約に固有の条件を明記した部分です。まずは、この主要条項に注目し、細かくチェックしましょう。

他方、一般条項は多くの契約で共通して規定される条項のことです。もちろん、共通とは内容まですべて同じという意味ではなく、英文契約書にいつも登場する条項という意味です。言い回しも似通っています。つまり、英文契約書には型(パターン)があるのです。英文契約書の一般条項については、一度勉強して慣れておけば、その型に沿ってどこがチェックポイントか、すぐに判断できるようになります。

ジェトロ貿易実務オンライン講座では、英文契約書の基礎知識を習得する『英文契約編』を07年7月に開講します。是非、ご利用下さい。

日本人が国際ビジネスマンになるために
この内容を印刷する2007年04月号
日本人が国際ビジネスマンになるために
〜海外はビジネス環境、文化、価値観も違うことを忘れずに〜

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

交通手段や通信システムの進歩により、小規模企業も国際ビジネスに簡単に参入できるようになりました。海外との距離が縮まることはメリットであると同時に、「国際ビジネスを行っている」という意識を薄れさせてしまうというデメリットもあります。

私自身は海外の公的機関でコンサルタントの仕事をすることがしばしばあり、そこで海外のメーカーからご相談を受けております。こうした活動を通じ、日本人に多く見られる行動が、国際ビジネスで誤解やトラブルを招ねいていること思い知らされます。

1.コミュニケーションは明確、迅速に

海外のビジネスマンが不満に思っている代表的なものには「カタログやサンプルの依頼は多いが、送った後何の連絡もない。問い合わせをしても、返事も来ない。情報収集をして、悪利用しているのではないか。」というものです。

確かに、日本ではカタログやサンプルを使って取引先や商品を慎重に吟味します。一定規模の企業であれば、担当者だけの判断で取引を開始することは不可能な場合がほとんどです。また、社内での審議が長引くうちに、関心が薄らいでしまうこともあります。
依頼したカタログやサンプルが届いたら、簡単なお礼とともに、検討の結果をいつ頃連絡する等も併せて伝えるとより親切です。

取引しないとの結論に達したとしても放置をせず、理由を説明しておけば、相手が日本の企業や市場を理解するのに役に立ち、次回の商談ではより良い対応や条件が期待できるかも知れません。

日本の文化や言語的習慣では、「相手にはっきり断るのは失礼なこと」とされており、つい婉曲な表現を使います。これをそのまま外国語で表現すると、あいまいな内容の返事となり、誤解を招く場合があります。あるいは、億劫で返事を出さないでいると、無礼な人と思われる場合もあります。日本人同士なら、経緯や担当者の様子から結果を察することもできますが、これは外国人には無理です。相手が外国人の場合には、明解かつ迅速なコミュニケーションを心がけることが大切です。

2. 権利と義務の意識

日本のビジネスは契約に縛られた権利や義務の意識よりも、お互いの信頼関係を重視します。自社がやるべきことを取引先が代わって無償でやってくれたり、自社が損失を被った時、取引先に責任はないものの、取引先が支払の猶予や値引きといった形で損失の拡大を防いでくれたり、販売支援をして利益を拡大するなどの協力をしてくれる場合があります。このような背景には、取引関係を一種の“運命共同体”のように見做しているからです。

この感覚をそのまま国際ビジネスに持ち込むと、日本側は「協力をする姿勢がない」あるいは「親切にしたのに見返りがない」と言って相手を非難する一方、「他人の領域に勝手に入り込んでくる」と外国側から非難される可能性があります。貿易取引は国際ルールに沿って行われますので、日本人もこのルールを理解し、契約書に記載された権利と義務をしっかり認識することが必要です。

3.論理性と客観性を持つこと

あらゆるビジネスにおいて国際化が急速に進んでおり、日本でも初心者がいきなり貿易取引を行うケースが増えています。残念なことに、途上国では日本や先進国のように取引がスムーズにできないことも多々あり、取引先に対して横柄な態度を取る日本人がいることです。中にはたった1回の失敗で相手を「悪い国」、「悪い国民」と簡単に決めつける人もいます。どの国にも良い点と悪い点があり、良い人も悪い人もいるわけですから、大変失礼な話です。

もちろん相手の知識や態度に問題があることもありますが、ビジネスを取り巻く背景、たとえばインフラ、制度、教育などがうまく機能していないこと、そして文化や価値観の違いにも原因があることがあります。思うように進まないからと感情的にならず、うまくいかない原因を論理的、客観的に分析し対策を考える余裕を持つことがビジネスを成功させる秘訣です。

以上の事柄を実務に則し、過去のTTPPニューズレターでもご紹介していますので、併せてご覧下さい。

http://www.jetro.go.jp/ttppoas/howto/index2j.html

・外国人との商談はYes、Noが明確な英語が便利(2006年6月号)
・輸入を始める相手とのコンタクト法(2006年2月号)
・交渉力を磨くには(2005年8月号)

TTPPを有効に活用する方法
この内容を印刷する2007年02月号
TTPPを有効に活用する方法

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

私自身も2002年からTTPPのユーザーです。以後、300件以上のコンタクトをいただきましたし、国内外ともに成約実績を持っております。その中で気づいたことをまとめました。

1.ビジネスは自身の知恵と努力次第
まず、TTPPは誰でもどこにいても簡単にインターネットからアクセス可能でかつ無償のサービスである事が最大の長所です。しかし、その裏には悪利用をする人もあり得るという認識を持つことが必要です。ジェトロが世界中から登録される案件を登録者も含めすべて正しいかどうかをチェックするのは不可能です。また、その費用を誰が負担するのかという問題も別途生じます。また、チェックに時間を要すれば、案件の掲載が遅れるという不都合も生じます。

ジェトロという公的機関が運営する以上、門戸を広く平等に開くため「怪しいかも知れない」という推測程度では掲載を断ることができません。当然、特定の企業/人をターゲットとした案件を収集しているわけでもなく、数ある案件から取捨選択して、自分のビジネスにできるかどうかはユーザーの智恵と努力次第です。

2.貿易取引には英語力、貿易実務の学習と経験が必要通信や交通手段の発達により、海外とのコミュニケーションや往来が簡単になりました。海外のカタログ販売業者から商品を買ったり、海外でお土産を買うのと違い、貿易取引となれば、高校卒業程度の英語力と貿易実務知識を必要とします。

海外には日本語対応ができる業者もいなくはありませんが、極めて限定されます。貿易 実務には学習と経験の両方が必要ですので、新規に貿易取引を始めるには、貿易スタッ フの育成や専門家へ依頼することをお勧めします。未経験者が見よう見真似で始め、トラブルが発生してから慌てて専門家に依頼される場合があります。このような場合、時間もコストもかえって掛かり、損するばかりか、信用を失い、ビジネスそのものも成り立たなくなることがあります。

3.TTPP登録情報は取引判断材料、コンタクトメールから始まる相互理解案件を登録されている方はいま一度内容のチェックをしてみてはいかがでしょうか。引合にも5W1Hと似たような法則があります。どんな商品かサービスか(what)はもとより、売主や買主はどんな企業・人なのか(who)、どこからどこへ(産地や港:where)売りたい/買いたいのか、いつ(納期や時間的な制約など:when)、どのような形態の取引なのか、単なる売買なのか、提携先がほしいのか(which/how to)、などが明確に記載されていますか?判断材料が不十分ですと、コンタクトする側も躊躇しがちとなりせっかくの案件登録も生きてきません。

コンタクトメールには、案件内容とは直接関係ないものや、ダイレクトメールに近い内容のようなものも含まれています。真摯な態度での問いかけについては、お断りする場合でも、私は簡単な返事を出すように心がけています。自社/自分が案件を登録している以上は、それがビジネスマンとしての礼儀だと思うからです。初回のコンタクトメールが言葉不足で誤解をしていることもあり、返事を出したことにより、さらに相手からの詳細説明をもらい、誤解が解け成約に至ったケースもあります。

自社/自分側からコンタクトメールを出す場合も、案件登録者の情報はある程度開示されているわけですから、自社/自分についても、どのような業態で、どのような取引をしたいのかなどを知らせる配慮と熱意が必要です。「見積がほしい」や「カタログを送ってほしい」というだけの内容ですと、単に「情報を収集しているだけだろう」、「どんな業者かわからないので不安」と思われ、迅速な対応をしてもらえないことがあります。

ビジネスマンとしてのプロ意識、日々の研鑽、自社/自分の一方的な都合だけでなく、相手の立場も考える余裕があれば、TTPPをより有効に使いこなせる筈です。

「TTPP活用術」「貿易実務アドバイス」「貿易実務ワンポイントレッスン」のバックナンバーは下記のURLをクリックすると、各コラムをご覧になれます。TTPPの活用をさらに効果あるものとするために、ぜひご参考になさってください。

http://www.jetro.go.jp/ttppoas/howto/indexj.html

日本企業にとっての対ベトナム・ビジネス構築
この内容を印刷する2006年10月号
日本企業にとっての対ベトナム・ビジネス構築

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

近年、生産拠点としての中国一極集中によるリスクを懸念し、ベトナムへのシフトや分散に関心が集まっています。ベトナムでの生産委託手配や、ベトナム企業向け対日ビジネス・セミナーの講師等の経験を通じて得た私のベトナム観を整理すると、次のとおりです。

・1人当たりのGDPは500米ドル程度で、まだ中国の半分以下ですが、経済成長は2000年以降7%台を続けています。また、95年には、アセアン加盟、米国との国交正常化を果た し、本格的に国際社会にデビューしました。

・ベトナム人は非常に親日的で、勤勉で、向上心が高いと思います。国土面積は日本の9割程度で、人口は9,000万人弱ですが、毎年100万人増加しています。人口の約半分が20歳以下であることを加味すると、今後市場としても注目されると思います。

・国策として「日本語話者世界一」を目指しており、大学では日本語が話せる技術者や専門家を養成しています。他のアセアン諸国と比べ、英語が通じにくい気もしますが
その分日本語の話せる人の多さに驚きます。

・95年から03年の外国資本累積額は日本、台湾、シンガポール、韓国、香港が多く、アジア先進国が好んで生産基地にしていることがわかります。日本企業については大手のみならず中小企業も500社ほど投資をしています。

ベトナムはラタンや竹などの自然素材の雑貨、木工品、刺繍やビーズ製品等、手工芸品 の宝庫です。漆器、陶磁器などかなり手の込んだものも、手頃な価格で買い付けることが可能です。元来、手先が器用な国民なので、日本の現代生活にマッチした色使い、デザイン、日本人が気にする部分(例:バスケットなら左右均等、直線部分はまっすぐに等)を丁寧に指導し、一緒に物作りをしていく姿勢が必要です。

一定規模以上の日本企業の場合、日本からデザインや仕様を送り、開発輸入することが多いと思います。ベトナムはまだ裾野産業が十分に発達しておらず、素材を輸入に依存すればするほど、原価率は上がってしまいます。そのため、安い人件費であっても、量産品や単価が高い製品でないと、採算が取れないかと思います。こうした状況は10年前の中国と同じで、数年後にはかなり改善されると、多くの関係者がみています。

最後に、ベトナムの北側は中国に隣接しており、中国(特に華南)とのサプライ・チェーン・マネジメントにベトナムを組み込む企業も増えています。中国とベトナム間を陸送するには、道路整備のみならず、両国における通関のスピードアップなど改善すべき問題があります。対ベトナム・ビジネスは中期的な視点での取り組みが必要だと思います。(本原稿は2006年8月、日本アセアンセンターでの講演を基に作成しました)

なお、『ジェトロ海外情報ファイル』から、次のベトナムに関連する調査レポートが閲覧できます。

ASEAN各国における関税・通貨制度の実態と問題点(2005年3月)
ベトナムの科学技術(2005年8月)
ベトナムの産業技術開発政策の動向(2004年7月)
在アジア日系製造業の経営実態−ASEAN・インド編(2004年度調査)
ベトナムのWTO加盟とその影響(2004年3月)

途上国で提携工場を探す際のヒント
この内容を印刷する2006年09月号
途上国で提携工場を探す際のヒント

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

安価な労働コストを利用するため、途上国で商品を生産したいと思う日本企業が増えています。工場設立の場合、独資(100%出資)や相手国企業との合弁の形態があります。そこまで資金がない、海外で企業経営するほどのノウハウや人材的な余裕がない場合は相手国の企業に自社製品をOEM生産してもらうことになります。特に、軽工業品ではこのOEM方式が多く見られます。

これから海外で提携工場を探したり、増やしたりする際に、失敗しないためのヒントをいくつか例をあげてご紹介します。

1.海外委託生産は指導、検品、輸送、在庫等を含むトータルコストで算出途上国の場合、インフラ整備が日本と全く違います。また、熟練度を別にしても国民性や社会制度の違いによる職業意識や感性の違いもあります。国内の下請に出すのと違い詳細な仕様と指示はもちろん、不良品の定義を決めたり、時には指導や検品のために現地に行くことも想定しておく必要があります。

取引当初は、高い不良品発生率が予想され、日本市場での販売ならば輸入コスト(船賃、関税、国内輸送費他)もかかります。工場労働者の賃金や工場出し値から、単純に「安い」と判断したものの、詳細なコスト計算をすると国産とほとんど変わらない。むしろ、コンテナ輸送で、大量に発注し、在庫しなければならないことから、リスクが増えたという事例もあります。

2.海外パートナー選びとトラブル対応は客観的に調査、評価相手や仲介者を信用し、一切任せたために、金銭を騙しとられる、あるいはノウハウやデザインをすっかり盗まれ、知らない間に自社の競合相手にまでなっているケースがあります。また、「現地商社に依頼したものの、長らく何の進展もない」と相談に来られる方もあります。これらのトラブルは、日本側が国際ビジネスの初心者であったり、相手が日本語が話せるためについ気を許し過ぎた場合に起こりがちです。

相手国のパートナー選びは慎重に、自ら何度も足を運び現地を確認し、また相手企業を調査するなど、客観的に評価することが大切です。トラブルが起こった場合、必ず原因を調査し、防ぐ方法を考えることも大切です。相手が外国人であると、「仕方ない」と妙に寛容になったり、「そのうち慣れるだろう、相手も申し訳ないと思っているだろう」などと楽観視して、問題から目を逸らしてしまう方もいます。しかし、面倒でも向き合って解決をしていってください。

3.ビジネス・スキームの検討とメリット・デメリット比較労働コストの安さだけを追求し、現地メーカーと組むことだけを考え、行き詰った例もあります。当社の取引先に、中国に提携工場を持っている日本企業があります。この提携工場4社とも全て韓国系です。中国系企業にも依頼した経験があるものの、韓国は伝統的にそのジャンルには強く、ノウハウがあることと、韓国製の素材を多用することから、韓国系企業の方が素材の調達も便利だというのが理由です。

同様に、周辺産業が整っていないベトナムでは、素材の調達が難しく、安価な労働力を活かせないことがあります。素材の調達や輸入に慣れている現地商社を間に入れたり、その産業に強い国のベトナム進出企業を提携先にすることも一考かと思います。

いろいろなビジネス・スキームを考え、メリットとデメリットを比較し、自社に一番適したものを選んでみてください。特に中小企業の場合、身の丈にあった事業からスタートし、段階的にレベルアップさせいくなどの計画性がリスクの軽減につながります。経済格差により、スケールの大きなことができそうな気になりがちです。途上国では、日本で想像もできないような理由で、生産がストップすることもあり得るのです。

最近、中国、東南アジアに関しては、公的機関主催の投資セミナーが数多く開催されています。各国特有の事情が実例をあげて紹介され、質疑応答の時間もあります。このようなセミナーをどんどん活用されることをお勧めします。

特許出願のリスクと技術移転(その2)
この内容を印刷する2006年08月号
特許出願のリスクと技術移転(その2)

株式会社Business Creation & Collaboration Network 代表取締役 宮崎 巡

前回の(その1)では、海外展開する場合の特許出願のリスクを紹介しましたが、今回は特許手続きノウハウの一端をご紹介します。

知的財産権取引業の日本アイアール(株)の矢間社長によれば、日本の技術移転が欧米のように広がらない理由を次のようにコメントしています。

1. 特許明細書が意味不明で理解できないから、限られた特殊な人しか読まない。

2. 発明仕様書としては情報が少ない。私の発明はこれだけですと、発明の本質しか書かない。だから真似されやすい。そこで、発明の本質を分かりにくく書くのが腕の見せ所みたいになってしまったところに問題がある。

欧米の特許は素人でも理解できるように書いています。しかも、自分のことだけでなく背景や他人のこともしっかりと書いています。つまり、理念から始まり、先人達の技術(先行技術)を書き上げ、その技術の問題点、さらには問題点をどのように解決したかそれがどんなに素晴らしいか、そして自分の発明が将来どのような分野に展開できるかが、しつこく書かれています。だから、その特許明細書を読めば、素人でも(関心さえあれば)ビジネスの芽が見つけられます。導入する側もわかりやすい。特許明細書が事業提案書になっているようなものです。

ところが、日本の特許明細書には情報がなく、しかも難解ですから「目利き」という新種のプロ(情報を集めて分析、事業の提案ができる人)を求めるわけです。このような人を養成できるものではない。このような理由から、技術移転に拘わる人口の差が致命的欠陥となっています。大学や国の研究機関の発明は素晴らしいのですが、「知的財産化(文書化)」するところで価値が吹っ飛んでいます。

また、矢間氏によれば、(その1)で、海外展開する上でのPCT出願の利便性を紹介しましたが、PCT出願以外の方法、すなわち、パリ条約による特許の国際出願もあります。

通常、国際出願する場合、日本と海外の弁理士にダブルで代理人が必要ですが、その分費用が2倍近くかかります。私見ですが、日本の弁理士や外国部の担当者の費用を現在の仕事の内容に応じたレベルまで落としていただければ、特に中小企業の国際出願の際費用節約となります。日本サイドの費用は現在の半分でやれる筈。1カ国100万円から120万円も掛かるようでは、中小企業には負担できません。

特許の翻訳業の方が、PCT出願を利用しない理由として、次の事柄をあげています。

A)提携米国弁理士によれば、主マーケットであり、かつ先発明主義を採用している特殊な国、米国に対し、PCT出願後、米国向けにクレームを書き換えたり、実態に合わせたりすることが困難になることが多い。結果として、強い権利を確保しにくい等のデメリットがある。

B)最近、PCT出願のプロモーションセミナーに2回ほど参加したが、メリット、デメリットがそれぞれあり、出願時にその技術を応用した製品の主マーケット国(特に米国)や競合相手の存在する国がはっきりしている場合は、パリ条約の優先権主張を利用し、主要国に直接出願する方が費用対効果の点からも有効と考える。欧州特許はドイツの欧州特許庁に英語で出願し、権利化されたら、あらかじめノミネートした国の言語に翻訳すればよいので楽であり、コストの節約になる。

C)日本の特許庁経由のPCT出願の際、所有データベースに対する質、量、鮮度に対する不安があること。米国や欧州の弁理士経由PCT出願にもまだ確信が持てない。従って、従来のパリ条約による国際出願で、いかに、コストを抑えながら、有効にすすめることが肝要だと認識している。

この翻訳業の方は2005年7月1日に国内出願した特許の国際出願をPCTを使わずに、2006年7月1日までに、パリ条約の優先権主張に基いて、米国、豪州、中国、韓国、欧州、またこれとは別に、台湾に出願する作業を行います。これらは日本の弁理士に依頼せずに、全て現地の弁理士経由の出願により、経費を抑えております。効果は日本の弁理士に依頼するのと変わりませんが、英語でのやり取りが必要になります。

なお、私自身(宮崎)は特許には詳しくないので、必要があれば、専門家の方をご紹介します。その場合、何をどのようにしたいのか(例えば、海外出願手続きについて知りたいのか、あるいは翻訳を頼みたいのか等)そしてどのような方(プロの弁理士、それとも個人ベースで相談に乗ってくれる方)に頼みたいのかをお知らせ下さい。また予算が限られておりましたら、予め予算をご提示下さい。

特許出願のリスクと技術移転(その1)
この内容を印刷する2006年07月号
特許出願のリスクと技術移転(その1)

株式会社Business Creation & Collaboration Network 代表取締役 宮崎 巡

TTPP「利用者の声」で紹介した宮崎氏の会社のメール配信で、国際ビジネスにおける特許出願のリスクを紹介していました。宮崎氏のご了解を得て、その一部を転載紹介します。

建設資材の開発を主力業務とする会社が、独自の建設工法を中国に技術移転するにあたり、従来の特許を集大成させ、更に新たなノウハウを入れて、中国に特許出願をしようと考え、知財翻訳研究所に相談したところ、次の指摘を受けました。

日本の特許出願は出願後18カ月で公開され、その時点で公知となります。それ以後に、海外出願すること自体は可能ですが、既に日本において公知であることを理由に拒絶されます。公開は審査請求の有無に関係なく行われます。従って、海外出願の拒絶理由は成立しますから、審査請求していないことを理由に拒絶を免れることはできません。

【特許協力条約(PCT : Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願】一つの出願願書を条約に従って提出することによって、PCT加盟国であるすべての国に同時に出願したことと同じ効果を与える出願制度です。

A. 国内に出願された特許は出願から1年以内であれば、PCT出願に切り替えることができる。
B. PCT出願された特許は30カ月以内に、希望する国への出願手続きを行えば良いので海外での権利を最長で1年間(国内)+30カ月(海外)の期間先延ばしできる。

海外の方などが、特許電子図書館(Industrial Property Digital Library: IPDL)で特許出願後18カ月を経過した日本国内のみに出願された特許を利用し、日本以外でその特許を利用した製品を製造しても、日本以外の国では、それを咎めることはできないことになります。上記の技術は幸いにも、ノウハウがないと実施できない技術なので、中国出願によるライセンシングには制限がありますが、そのような部分についてはノウハウの技術移転で処理することができます。

日本の特許電子図書館

ちなみに、日本のIPDLの最大のユーザーは韓国、中国とのことで、私も「そんなものか困ったものだ」程度の認識でした。しかし、国内のみの出願特許で、特許内容が詳しく分かりやすく開示されているものは、真似されている可能性が高いと思われ、そのような目的でアクセスされているケースがたくさん含まれると思われます。

こうしたことを十分に勘案すると、海外展開する場合、特許出願は少なくとも、PCT出願が望ましいようで、また場合によっては出願しない方が賢明という判断もあり得るようです。日本の特許明細書が意味不明で理解し難いという批判も聞こえますが、結果としてそのような難解さが技術流出を防御していると言う、誠に皮肉な側面もあるようです。

なお、TTPP「資材調達供給サイト」内の“日本の技術・異業種交流”では、特許関連のサイトをご紹介しています。内容をご覧いただくには、ログインが必要です。

日本の技術・異業種交流

外国人との商談はYes、Noが明確な英語が便利
この内容を印刷する2006年06月号
外国人との商談はYes、Noが明確な英語が便利

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

海外の取引先と商談をする際に何語(日本語、英語)で話していますか?その取引先を選ぶにあたって、日本語ができることを優先していませんか?確かに外国語が苦手な人が多い日本人にとって、相手が日本語を理解してくれるのは非常にありがたく、通訳や翻訳を外部に依頼しなくてすむので、経費節減につながるかも知れません。

ところが、コミュニケーションの快適さに魅かれ、相手が自分の要求する質の商品やサービスを提供してくれるかのチェックがおろそかになり、失敗するケースをよく聞きます。逆に、海外の企業が日本の取引先を選ぶ際にも、同じことが言えます。母国語が通じることを最優先して日本企業を選定したものの、ビジネスそのものはうまくいかず、立ち往生するケースがあるのです。

私自身は外国人と商談する場合、相手が日本語をかなり理解できても、あえて英語を使うことにしています。その理由はいくつかありますが、第一に、英語の方が直接的な表現が多く、YesやNoがはっきりしており、意志の伝達が明確であることです。

日本語表現には微妙なニュアンスの言い回しが多く、特にNoとはっきり言わず、「しばらく検討させてください」、「今回は見送らせていただきます」など遠回しの表現を使うことがあります。前者は単なる断りの場合もあるし、本当に検討してくれる場合もあります。この違いは日本人でも経緯やその場の雰囲気で察するしかありません。後者は日本人なら断りと理解できても、外国人はただタイミングが悪かっただけで、次回は大丈夫と誤解するかもしれません。また、「結構です」の表現も、不要なのか、良いですね(評価する)なのかわからないことがあります。

第二に、日本語で対応されると、つい相手も日本人並みに理解してくれたものと誤解する危険性があることです。最初はわかりやすい日本語を使うようにしても、「○○みたいな感じ?」、「○○じゃないですか」、「いかがなものか」など、つい相手の同意を求める表現をしながら、自分の意見を言う表現を使うと、外国人を戸惑わせてしまうことになります。対応する外国人も日本語ができると言ってしまった以上、「理解できない」を連発するわけにはいかなくなります。

その結果、こちらが頼んだつもりが、相手は頼まれたと思っていない、あるいは、婉曲に断ったつもりでも、相手はいつまでも返事がないと怒っている、といったトラブルが生じます。やむを得ず日本語で商談をする場合は、明確な表現を使うと同時に、相手が理解しているかを随時確認をすることが大事です。

このようなトラブルを避けるために、英語を使うメリットとして、英語を母国語としない人とは、お互いに外国語となり、上手下手はあってもお互いによく確認し合う努力がなされます。また、英語を基準言語として考えると、客観的に他社との比較、検討することができます。

日本語が得意なことを披露したい外国人や、英語より日本語の方が得意な外国人もいます。私はこのような外国人とは、商談は英語、プライベートの場では日本語と使い分け話す時は日本語でも、確認は英語で行うようにしています。

また、特定の国と関わりができてきたら、できるだけその国の言語を勉強するようにしています。このことは相手国の文化を理解し、尊敬することにつながります。人は言語で考えるわけですから、言葉の違いから、発想や文化の違いに気付くこともあります。「こんにちは」、「ありがとう」などの簡単な挨拶だけでも相手国の言葉で言えれば、誰もが親しみを持って接してくれ、商談も多いにはずむことでしょう。

クレーム処理はタイムリーかつスピーディに
この内容を印刷する2005年09月号
クレーム処理はタイムリーかつスピーディに

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

国際宅配便は小ロット取引やサンプル送付などの小口貨物の輸出入や、重要かつ緊急の書類のやり取りなどに非常に便利です。最近の宅配便は貨物の一つ一つに固有の追跡番号が付けられ、この番号がバーコード化され、業者の決めたポイントを通過するたびにスキャンされます。その結果がインターネット上に反映され、誰でも確認できる仕組みになっています。

以前は詳細な証拠がないだけに、荷送り人の手配が遅かったのではないか、荷受人が不在で受け取りが遅れたのではないか、貨物が途中で迷子になったのではないかなど、責任の所在が不明確で疑ったり疑われたりということがありました。国際宅配便における貨物のバーコード化により、貨物の動きが時系列的に誰でも調べられるようになったと同時に、自分のミスを誤魔化すこともできなくなったわけです。

先日、私は香港へ商品サンプルを国際宅配便で送りました。私はいつも荷物を送ると同時に、追跡番号を荷受人に通知し、自分でも必ず貨物の所在を相手が受け取るまでチェックしています。通常は翌日届くのですが、この時は香港の空港に到着したものの、なぜか中国本土の深センに転送され、税関で停滞してしまいました。やっと香港に戻されたものの、土曜、日曜を挟んだため配達ができず、貨物の到着に1週間近くかかりました。スピードが売り物の国際宅配便が、これではその価値(メリット)も半減です。

私はすかさず、この国際宅配業者のカスタマー・サービスに遅れた原因の調査を依頼しました。「遅れたからけしからん」と感情的になるのではなく、理由を聞くのです。国際物流というのは国際バケツリレーのようなものです。たった1個の貨物でも、実に多くの人が関わっています。業者のミスのみでなく、自然災害や突然空港の施設や交通手段にトラブルが発生することもあります。原因さえわかれば、今後の対策を考えることができます。場合によっては、業者を変えるという選択肢もあるでしょう。

この国際宅配業者は米国系の企業で、貨物遅延の原因を調べてほしいと依頼したところ、この業者から1時間以内に調査結果と遅延のお詫びと料金の請求を差し控えたいという回答が来ました。実に誠実かつ潔い対応と感じました。日本企業にありがちなのは、「謝って何とか済ませよう」あるいは「調査よりも言い訳を考えるのに時間を費やす」態度です。このような場合、クレームをする側も受ける側も、タイムリーかつスピーディに処理するのがコツです。時間がたてば、人の記憶も薄れ、データ探しにも時間がかかるようになり、クレーム対応が本来業務の邪魔をするようになります。また、時間がかかれば、かかるほど感情的にもこじれます。クレームの規模にもよりますが、非があると分かった場合は潔く認め、応分の補償をすることで、早期に決着をつけるのがスマートな方法と言えます。

交渉力を磨くには?
この内容を印刷する2005年08月号
交渉力を磨くには?

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

最近、面白い体験をしました。私は東京の企業と交渉することが多かったのですが、久しぶりに大阪に4日ほど滞在し、数社と毎日商談を繰り返しました。大阪での商談は言葉の助けもあるのか、商人の都のなせるわざか、性格さえ合えば交渉の醍醐味を味わうことができます。一方、東京での商談はきわめてビジネスライクで最初に設定されている条件を受けるか否かの二者択一で交渉の余地が少ない気がします。国内の二大都市でもこのような差があるわけですから、国際ビジネスではもっと違いがあるといえるでしょう。

長らく総合商社に勤務していた私は、上司や先輩の姿を見ながら交渉の仕方を日々学んで来ました。特に大型の商談の場合には、交渉のやり方を入念に事前検討しておきます。囲碁や将棋で何手も先を読むのと同じで、相手の出方を予測しながら、自分の利益になるように、あるいはリスクが増えないように、話をもっていく方法を準備しておく必要があります。

最近はインターネットによる通信や電子商取引が発達したせいか、「交渉」という発想そのものがないビジネスマンが増えているような気がします。また、相手の事を考慮せずに、自分に得になるような条件を一方的に主張し続けることを「交渉」と勘違いしているビジネスマンもいます。ビジネスは売り手と買い手のバランスが取れて始めて成り立ち継続するものです。どちらかが不当に利益を得ているビジネスはいつか必ず問題が起こります。

交渉の余地を見つけるには、たとえば契約違反のような理論的なものだけでなく、洞察力や観察力、心理学的なものも作用します。日本人は契約を締結してしまうと、その内容については忘れがちで、また契約違反があっても感情的になり、理論的に(特に外国語で)交渉するのは苦手なようです。

語学能力はさほど優れてはいなくても、交渉者のずば抜けた実務能力や経験、あるいは交渉に臨む態度や人格で難関を切り抜けた例をいくつも知っています。不幸にして交渉に失敗したとしても、これは将来の成功への貴重な経験と受け止め、日々交渉力を磨いていくことが国際ビジネスマンへの第一歩だと思います。

輸出入のコスト削減や迅速な手続きも工夫次第(基礎知識)
この内容を印刷する2005年07月号
輸出入のコスト削減や迅速な手続きも工夫次第(基礎知識)

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

社会環境の変化とともに、元々貿易業ではないが、いつの間にか自社で商品を輸入(あるいは輸出)するようになり、気がつけばある程度まとまった取引量になっているという企業が最近多いのではないでしょうか。このような企業の場合、輸出入に関わるコストや手順を見直し、収益の拡大を図ることをお勧めします。

通常、国内の運送費も海上運賃も、貨物が大量かつコンスタントにあれば割安になるのは常識です。さらに、コンテナ1本ずつでもコンスタントに貨物があれば、値引き交渉の余地はあります。また、さまざまな輸送方法がありますが、TPOに応じ、かつコストダウンできる輸送手段を選べるよう、普段からの情報収集が必要です。これは私自身が先日経験したことですが、輸出貨物を倉庫まで運ぶのにトラックをチャーターしようとしていました。ところが、宅配便業者と交渉し、カートン当たりの単価を下げてもらい、チャーター便の約半額のコストですみました。

また、通関業者経由で船腹の予約、コンテナ詰めやその配送等を依頼していることが多いと思います。海上運賃も船会社によって異なり、さらに船会社から格安のレートを取れる業者と取れない業者があります。実務の流れや通関業者の強みや機能を知りポイントをついた交渉をすることが大事です。一方的に値引きを要求するのではなく、通関業者から請求される諸経費を遅滞なく払い、通関業者から見て「優良顧客」であることも、値引き交渉を円滑に進めるコツです。

輸入については、最近は用途や素材が複雑な製品が増え、関税率を特定することが難しいものがあります。事前にサンプルやカタログなどを用意し、通関業者に渡せば、迅速かつ正しい申告が可能になります。通関業者に任せきりにすると、不安なものはどうしても関税率の高い方で申告されてしまうことがあります。これは関税を余分に払えば、税関に文句を言われないだろうという意味ではありません。もし、低い関税率で申告し、後で誤りとわかった場合の修正申告で、不足分の関税を支払う手間暇を惜しむ、あるいは悪意とみなされ重加算税の対象にされる危険を防ぐためでもあります。高い関税率での申告が繰り返されれば、輸入者にとっては経費の無駄となります。自社の貨物の関税率をきちんと把握する習慣をつけましょう。

スムーズな通関のために、“事前教示制度”があります。税番を特定するのが難しい商品を多品種大量に輸入することが事前にわかっている場合、この制度を利用し、税番を確定しておくと便利です。また、関税の“後納制度”を利用すれば、通関の都度関税を払わなくてすむので、迅速な貨物の引き取りが可能となります。詳しくは税関ホームページをご覧下さい。

継続的に輸出入を行う場合、『日本輸出入者標準コード』を取得すると、通関手続きの迅速化やその他の利点があります。詳しくは日本貿易関係手続簡易協会ホームページをご覧ください。

貿易実務を担当しているものの体系的に学んだことがない、あるいはより高度なノウハウを身に付けたい方には、ジェトロの「貿易実務オンライン講座」をお勧めします。インターネットを使った講座ですので、いつでも、どこでも、マイペースで学ぶことができます。

貿易パイロット − 貿易コンサルタント
この内容を印刷する2005年06月号
貿易パイロット − 貿易コンサルタント

ジョブ 貿易事務所 代表 川田康博

パイロット (= pilot) といえば、飛行機の操縦士を思い浮かべる方が多いでしょうが、本来の意味は「水先案内人」です。水先案内人とは、よそから来た船に乗り込んで、湾内での操船に指示を出す人のことです。その湾内の浅瀬に船が乗り上げたり、潮流の早い場所を避けたりして、航行に支障が出ないように案内をします。

貿易コンサルタントも、簡単に言ってしまえば「貿易パイロット」のようなものです。そっちへ進むと浅瀬に乗り上げてしまいますよ、そこの潮流は早いですよと、船の安全な航行に努めます。もしも水先案内人が居ないとしたら、自力で海図などを頼りに情報収集し、座礁の不安を抱えながら半ば「運任せ」で船を進ませなければなりません。

一方、水先案内人が乗船して操船に指示を出している間、船の乗組員は自分達の本来の仕事を行うことができます。水先案内人が乗船することは、その船の安全航行にとって大変効率的な方法なのです。

ある企業が、未知の分野である海外市場に乗り出そうとする時、国内取引とは異なるリスクに向き合うことになります。既知のリスクであれば、事前の対応策を講じられますが、未知のリスクへの対策はなかなか難しいものです。また「貿易取引のことは良く判らない」と自戒している企業よりも、「多少は、分かっている」という企業の方が、大きな問題に陥ることが多いようです。中途半端であることが最も危険な状況であるとも言えます。

私は貿易コンサルタントとして20年もの間、いろいろな企業の案件に携わってきておりますが、大変印象的なことは「ステレオ・タイプに収まる案件は一つも無い」ということと、「二つとして、同じ案件は無い」ということです。つまり、貿易取引にはケース・バイ・ケースの対応が必要とされます。現実の取引は、入門書や指導書に記載されている内容どおりには進まないようです。どの取引もカスタム・メイドの取引であると考えるべきでしょう。

日本で貿易コンサルタントが広く活躍し始めた時期は、ちょうど間接貿易から直接貿易へと、取引形態の趨勢が変わり始めた1990年頃であると思います。企業が直接貿易をしようとした時、そのニーズに応えることができるサービス提供者が必要になりました。

現実の問題として、1件の貿易取引を十分にコンサルティングするには、貿易取引に関するミクロからマクロまでの視点が要求されます。法令改正や市場動向にも敏感であり、さらに商取引上のセンスも必要とされます。従って、「貿易コンサルタントであり続ける」には、かなり広い守備範囲で相当の努力が必要とされます。しかし、直接貿易を始めようとする企業や、貿易取引の拡充を望んでいる企業にとって、貿易コンサルタントは大変心強い存在となります。ちょうど税務の場合の「税理士」、法律問題の「弁護士」などの役割に似ています。

商取引の国際化は進む一方です。内的要因、外的要因、異業種参入など、各企業の国際化の動機や理由はさまざまですが、海外と取引するならば少しでも効率的に、かつ安全に進めて欲しいと思います。また、海外の取引先の対応が、必ずしも適切で効率的であるとも限りません。相手任せで商談を進めることにも要注意です。海外市場に船出しようとされている企業の方は、是非、貴船へも貿易取引の水先案内人“貿易パイロット”の乗船をご検討下さい。

国際ビジネス:カントリーリスク分析とリスクヘッジ
この内容を印刷する2005年05月号
国際ビジネス:カントリーリスク分析とリスクヘッジ

愛知淑徳大學ビジネス学部 ビジネス研究科 教授 真田 幸光

国際ビジネスを展開する際、言葉、通貨、法律、製造・環境基準、会計基準などの違いを超え、そのリスクを上回るリターンがあることを期待しつつ、これらの要素を確認することが国際ビジネス展開の原則です。従って、国際ビジネスは、一般的には国内ビジネスよりも「リスクは大きい」と考え、そのリスクが先ず何処にあるかの検討から始まり、このことがカントリーリスク分析の第一歩です。

カントリーリスクの大きなものでは、戦争、現地政府・政治体制崩壊、現地政府による自社(自分自身)の資産接収等のリスクが挙げられます。しかし、国家的な安定性はあっても、体制やスタンダードの違いがある国については、やはりカントリーリスクを冷静かつ慎重に分析することが必要です。

対外直接投資の場合、リスク対リターンを分析することが難しいので、このリスク分析を必要最低限に止めざるをえないと、私はかねてより申し上げておりました。ただ、その前提には、暴徒化した自国民が善良なる外国人の資産や生命を危うくするような行動に出た場合、各国政府はこれを守ることが暗黙の国際ルールかと思います。外国人の生命や財産が守られる保証がないことは、カントリーリスク分析上、最も高いリスクの範疇になります。

今般の中国での一連の反日デモ報道から、対中直接投資では今まで想定していたリスクのレベルを見直し、リスク分散とリスクヘッジの方法を考える必要があると痛感しております。私は研究者の立場から、様々なリスクを越え、利益を求めて海外展開されているビジネスマンの方々とお話する機会が数多くあります。

中国ビジネスで相当の実績を上げている日系企業であれば、次の経営手法が取れると思います。深セン・上海などの中国株式市場で上場し、地場資金を調達してカントリーリスクを一旦回避し、中国の資金を有効活用して業績を拡大する。すなわち、日本から資金を持ち込むリスクを回避し、地場の経営資源を有効活用する一策です。また、日本では非上場の企業であっても、中国で実績を上げた現地法人(子会社)が中国で上場し、地場資金を調達しながら、経営展開されている日系企業もあります。

このような、各社の状況をお聴きすれば、各社各様のリスクヘッジの方法があり、ここに経営の知恵が表れると思います。私は日本企業のほか、東アジアや東南アジアの経済関係の機関・団体からも、コンサルティングの依頼を受けております。これらに対応する際、国際ビジネスに必要とされる基本的な法律や商習慣の助言から始まることもあれば、曖昧な点が多いプロジェクトの場合はどんな目的で、どんな戦略を考えているかを細かく聴取することから始まることもあります。当然のことながら、探すべき情報やリスクヘッジの手法等は各国、各社、各プロジェクトで異なり、体系的にアドバイスできないのが実情です。

*本原稿に掲載されている記事などの内容や意見は、外部原稿を含め、執筆者個人に属し、ジェトロの公式意見を示すものではありません。
*本原稿は、利用者の判断・責任においてご利用下さい。万一、本誌に基づく情報で不利益等の問題が生じた場合、ジェトロは一切責任を負いかねますのでご了承下さい。

コンサルタントを上手に利用する方法 (下)
この内容を印刷する2005年04月号
コンサルタントを上手に利用する方法 (下)

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

コンサルタントの具体的な活用例をご紹介します。海外ビジネスを新規事業として立ち上げる場合の標準的なプロセスとして、自社の経営 資源(ヒト、モノ、カネ、情報)の分析を行い、事業アイデアが妥当かつ実現性があるかどうかを客観的に考える作業があります。次に、必要な情報収集を行い、詳細な事業化計画を作成する必要があります。

ここまでできれば、コンサルタントに何をいつ依頼すれば良いか明確になります。しかし、門外漢で何をどうしたら良いかわからず、事業化案の策定段階からコンサルタントの助けが必要な依頼者(企業)もあるでしょう。このような場合、依頼者側に、事業主体として責任があるという認識や自らも勉強するという姿勢が必要とされます。幸い、一般的な情報は各種媒体から無償で取れますし、公的機関や所属する商工団体でも無償のセミナーや相談会を数多く開催しています。

コンサルタントの言いなりになって、失敗した(あるいは騙された)。逆に、コンサルタントを極度に警戒したために、効率的な仕事ができなかった。こうした悪いケースでは、依頼者側にも当事者意識の欠如や勉強不足などの問題があることが多いようです。特に、大きな新規ビジネスの推進者としてコンサルタントを活用する場合、依頼主とコンサルタント間の相互の尊敬と信頼関係構築と、コンサルタントに一定の権限と責任を持たせるなどの仕事環境づくりも必要でしょう。

大型の案件でなくても、活用事例はあります。たとえば、新規商材や新規顧客の開拓をコンサルタントに依頼するケースで、特に海外での新規開拓には経験とノウハウが必要とされます。たとえ優秀な社員がいても、既存のビジネスの維持と拡大に時間が割かれ、開拓業務が疎かになりがちです。また、新規開拓業務は定型、定量業務ではないため、社員が担当する場合、同僚からの協力が得られなかったり、人事考課が難しい企業もあるでしょう。このような場合は、新規開拓の業務をコンサルタントに依頼し、継続的なビジネスになった時点で、社員に引き継いでもらうという方法があります。

その他、海外から年間に十数件程度の引合があるものの、以前は放置していたが、今後は積極的に取り組んでいきたいという場合です。専任の社員を充当する程の仕事量はなく、小規模な事業体では専門知識や経験を積んだ社員の採用や処遇の仕方に不安を持つ場合も多いでしょう。このような場合、アウトソーシング・スタッフとしてコンサルタントを活用するのです。業務量が増えてきたら、コンサルタントへの委託を継続するか、社員の仕事に切り替えるかを選択すればよいでしょう。後者の場合、新規に社員を採用するか、既存社員の担当業務を変更し、コンサルタントに担当社員を養成してもらい、全業務を社内に移管することが考えられます。

人材面に余裕がなく、積極的なチャレンジができないと嘆く企業も少なくない昨今ですが、コンサルタントを上手に活用し、業容発展の機会をつかむことをお勧めします。

TTPPでは業務支援サービスの提供者のページを設けています。コンサルタントを探す際に お役立てください。

コンサルタントを上手に利用する方法 (上)
この内容を印刷する2005年03月号
コンサルタントを上手に利用する方法 (上)

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

生産地や市場のグローバル化に伴い、新規事業として、材料や製品の貿易のみならず、技術や工場の海外移転、海外でのライセンス・ビジネスなどを考えておられる企業も多いことと思います。国際ビジネスに関する経験やノウハウを持つ人材が社内にいない場合、コンサルタントを活用する方法があります。

コンサルタントの役割は、依頼者の目的を完遂するために専門家の立場で助言し、実務を代行することです。事業主体は当然依頼者ですから、最終的な決断を下すのは依頼者自身です。専門的なことはわからないからとコンサルタントに一任し、失敗した場合、その結果責任をコンサルタントに負わせるというトラブルもあります。

コンサルタントに依頼する場合、必要とされる知識や実務経験が「浅く広く」か、「専門的に深く」かの二つに大別されるでしょう。「浅く広く」の典型的な例は、最近多くの方が関心を持っている小口輸入です。この場合、貿易実務の初歩、日本の流通制度、マーケティング、異文化コミュニケーションなどを幅広くカバーしなければなりません。逆に、「専門的に深く」の例は、海外への技術移転やライセンス契約ベースのビジネスです。

コンサルタントにとって、作業に時間を費したり、ノウハウを伝授した時点で、サービスを売り渡したことになります。成功報酬ベースの依頼を希望される方もいますが、成果が出るまで、決定権のないコンサルタントに無償で質の高い仕事を要求し続けることには無理があります。コンサルティング業務を依頼した時点から、有償のサービス提供が発生しているのです。

依頼の仕方には、終了期間や業務内容が明確な場合は、プロジェクト単位の請負契約がいいでしょう。一方、仕事量が一定しない、あるいはいつまで続くかわからない場合は、月単位や時間単位の定額(単価)契約がいいでしょう。一般的に、コンサルタントの報酬は仕事の難易度や拘束時間を元に算出されます。

上記を勘案し、依頼者は仕事内容や責任の範囲、勤務形態、タイムスケジュール、予算などの依頼・要望事項を事前にまとめておくと、コンサルタントを探したり、複数の候補者から人選をする場合に役立ちます。

コンサルタントの人選の際には、依頼する内容に関連する実務経験をどれだけもっているか、国際ビジネスに関する知識や最新情報をどれだけ持っているかの確認も必要です。コストを優先させると、仕事のスピードが遅い、依頼者への報告・連絡・相談行為がルーズ、依頼業務に十分精通していない等の問題もありえます。

次に、総合的な視点で人選したならば、依頼者、コンサルタント双方が依頼内容や諸条件を納得することが大事です。依頼契約書には、コンサルタント業務の内容や権限、諸条件を明確にするとともに、機密保持条項を付けることも忘れてはなりません。依頼者から社内情報や事業計画の詳細等の機密情報を開示されなければ、コンサルタント業務を効率的かつ的確に遂行することはできません。一方、依頼者は適宜、依頼業務の進捗状況や実務の内容を把握、確認することを忘れないようにしてください。

なお、TTPPでは業務支援サービスの提供者のページを設けています。コンサルタントを探す際にお役に立つでしょう。

リスク分析と貿易保険制度
この内容を印刷する2005年02月号
リスク分析と貿易保険制度

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

取引相手が海外の企業であり、商品の輸送期間も長くなると、国内取引に比べリスクも増えてきます。航海に伴う危険により船積貨物の損失が生じるリスクをヘッジするには、民間保険会社による海上保険制度があります。ところが、戦争・内乱・革命などによる輸出入の禁止、関税の引き上げ、ストライキの発生のほか、為替取引の制限や禁止による外貨送金の遅延など、取引の当事者に責任のない不可抗力的なリスクが発生することがあります。特に、開発途上国では、このような政治的、経済的なカントリー・リスク(非常危機)が生じます。
また、取引相手先の破産、債務の履行遅延などのコマーシャル・リスク(信用危機)もあります。これら両リスクを防衛・回避するため、独立法人日本貿易保険(Nippon Export and Investment Insurance: NEXI)による貿易保険制度があります。

貿易保険制度

貿易保険の種類にはいろいろありますので、まずは自分の取引にどんなリスクがあるかを分析し、どの保険を適用するか、引き受け条件に取引内容が合致しているのかをチェックしましょう。もちろん、保険料はあらかじめコストに参入しておき、申し込み期限や求償時の必要書類は何なのかを確認するのを忘れないことです。かつて、開発途上国との取引は、日本では総合商社や専門商社などに限定されていましたが、今は通信手段の発達により、誰でも引合を目にすることができます。開発途上国ほど、外貨を稼ぐために熱心に商品を売ろうとしますし、また価格的に魅力があるものも少なくありません。
逆に、物不足で買いたいという引合もたくさんあり、新規市場を開拓したい企業にとっては関心がある筈です。私自身は各国のリスクの高さを考慮する時に、上記NEXI作成の国倍率カテゴリー表を参考にしています。

国倍率カテゴリー表

無償サンプルや少量の取引なら問題がなくても、本格的にビジネスをスタートしようとした途端、相手国の事情により元々取引できないことがわかった、という話を時々耳にします。どんな相手かを調べると同時に、どんな国なのかも忘れずに調べることが大切です。

公的機関の情報を利用する時に気をつけたいこと
この内容を印刷する2004年10月号
公的機関の情報を利用する時に気をつけたいこと

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

新しい商品や取引先を探したい、自分のビジネスをサポートしてくれる人を探す場合、公的機関の情報をまず活用されることをお薦めしています。誰にも公平に同じ情報が与えられるからです。それに付随する簡単なアドバイスや調査も無料もしくは比較的安価にサービスを提供してもらえます。

特に、TTPPはインターネットという媒体の特性を生かし、ユーザーがパソコンに向かえば、いつでもどこでも情報を活用できるというメリットがあります。インターネットの特性はユーザー全員が善意で利用するという前提にたって十分生かされるものです。ジェトロでは、職員が登録されるビジネス案件内容をすべてチェックしており、自動登録できる他のサイトに比べ、悪用や犯罪の抑止力にはなっていると思います。ただし、広く門戸を開くという立場から、「何となく怪しい」というだけではユーザー登録や案件登録の拒否はできません。

世界中につながっているだけに、悪意をもって活用するユーザーがどこかに潜んでいる可能性もあります。サイトで見つけた相手と取引を開始する際は、信用できる相手かどうか、自分が一方的にリスクを被る取引になっていないか、必ずチェックをすることが必要です。 また、詐欺などの被害に遭ったり、やり取りの中で不審な点がある場合、必ずTTPP事務局へ連絡をしてください。TTPP事務局では、事実確認、注意、警告、登録抹消、ユーザー再登録拒否などの手段をとって、トラブルの拡大・再発に努めています。

すべての内容を印刷する詐欺について

取引詐欺に関する注意喚起
〜TTPPユーザーからの最近の報告事例より〜
この内容を印刷する2014年05月号
取引詐欺に関する注意喚起
〜TTPPユーザーからの最近の報告事例より〜

最近、TTPPユーザーの方から、以下のような取引トラブルに関する報告がありました。

トラブルを避けるため、同様の内容のやり取りにつきましては十分ご注意頂くようお願いします。

(ケース1:政府の入札をかたった詐欺)
TTPPに掲載されていた「LED電球を買いたい」という案件に問い合わせメールを送ったところ、政府関係の施設で使用するLED電球の入札に参加する予定とのことで、品質テストのためにサンプルを送るよう要求があった。

サンプル送付後、さらに、入札にあたっては、一万ドルの手数料を支払う必要があり、その半分の五千ドルを負担欲しいとの要求があった。その際、先方の身分証明書が送付されてきたため、信用して五千ドル送金したところ、その後、先方と連絡が取れなくなった。

(ケース2:パスポート情報入手詐欺)
自社が掲載している案件に対して、「貴社に興味があり、投資を考えている」との問い合わせメールを受け取った。返信すると、先方のパスポートのコピーがメールで届き、法的手続きのためにこちらのパスポートのコピーも送るよう要求があった。先方のメールには、自分が大手企業の副社長であり、テレビ出演もした有名人であるなどと記述されていた。記載されていたサイトのURLを見ると立派なサイトではあったが、別の大手メーカー企業のサイトに酷似している等不審な点が多く、実在する有名企業の役員になりすまして信頼させ、こちらのパスポート情報を盗みとろうとしたものと考えられる。

日本のVISA審査、登録料と投資の詐欺事例
この内容を印刷する2009年05月号
日本のVISA審査、登録料と投資の詐欺事例

澤田インダストリー有限会社  代表取締役 澤田 弘行 氏

TTPPニューズレター2009年4月号で、VISA取得詐欺の事例が紹介されました。私も商品や特許技術の国際取引の仲介ビジネスに携わっており、在外日本大使館のVISA審査の厳し さや、詐欺の手口を勉強させてもらっております。私の実体験を紹介し、TTPPユーザーの方にご参考になれば幸いです。

1.信頼できる日本のVISA審査
プラスチック金型を中国で委託生産するため、日本の金型工場での製造技術研修に中国人3名を招聘することになりました。ビザ申請をした際、日本の外務省から私が招聘書を出しているが、注文書や通関実績等の会社・事業実績資料の提出を求められました。しかし、私はこれからビジネスを始めるため、求められる資料の提出ができないので、ビジネスの経緯を説明しました。その後、来日予定の2名については、すぐにVISAが降りました。

残り1名についてはVISAが降りず、現地日本大使館に問合せし、再申請することになりました。それでも、やはりVISAは降りませんでした。この1名は、数年前に観光で来日した際、単独行動をした記録があるため、VISA申請が却下されたことが分かりました。

こうしたことからも、外務省や在外日本大使館はVISA審査を厳しくやっており、私は信頼できると思いました。

2.登録料の詐欺事例 〜 不審に思ったら、契約書送付は郵便で
医療機関向けの光触媒の抗菌剤の原料について、私はTTPPに売りたい案件として登録しました。アフリカから引き合いを受けました。アフリカ側メールのレターヘッドには団体名“National  XXXXX Commission”と明記され、その下に国旗も付いており、いかにも政府機関と思わせるものでした。その後、契約書のような書類が送られてきて、その条文は立派な英文でした。

契約金額は約134万米ドル(当時1億6千万円相当)と高額であることから、光触媒のメーカーは商品説明のため、現地に赴きたいと申し入れました。アフリカ側は政府機関なので、VISA取得は簡単だとの返事。

私は契約書を送付するにあたり、敢えて正と副を分けて、別便で郵送しました。その後、アフリカ側から、契約書送付の催促が電話であり、急ぐのでメール送付の要請を受けました。

私は契約書をメールで送付すると、すぐに取引に登録料(約35万円)が必要で、登録申請書が添付送付されてきました。そこに明記されている振込先が聞いたことのない銀行だったので、私はこの銀行のことを日本の銀行に調べてもらいました。その結果、個人名の口座であることが分かりました。また、登録料の話になると、別の組織らしい人間が出てきました。

私は契約額と比較し、登録料は安価だと思いましたが、念のため、この登録料が現地の年間所得額ではどの位の価値があるかを調べました。結果、3,000万円以上に相当し、数十年間は働かずに暮らせる額でした。

そんな折、先に郵便で送付した契約書が、宛先の住所に該当企業がないとのことで戻ってきました。これら不審な点に加え、アフリカ側のメールアドレスは国名が特定できないこと、当方にじっくり考えさせない書類の提示等も怪しいと思っており、詐欺と断定しました。

この後の対応が問題です。取引をいきなり取り止めると何をされるか分かりません。アフリカ側に郵便物が戻ってきたことを伝え、相手への返事をすぐにはせず、1週間、2週間と徐々に空けて、取引の自然消滅に持って行きました。

今回TTPPに報告するため、アフリカ側とのメール履歴を見ようとしましたが、過去のメールが全て消されていました。

3.投資の詐欺事例 〜 途方もない金額はまず疑う
インド系英国人(自称)から、TTPP以外のビジネスサイト経由で、日本の自動車エンジン開発に投資したいので、投資額の15%を支払うので協力して欲しいとの依頼を受けました。投資額は自己資金の300万米ドル(当時4億円相当)で、ロンドンから上海にBL(小荷物扱い)で送付する。私が上海に100万円を持参し、所定の手続き後、投資金を渡すというものでした。BLの内容自体がありえない内容でした。

私は相手にせず、返事をしないでいると、夜中の3時に頻繁に電話がかかり、メールもたくさん送信されてきました。私はたまらず、迷惑電話をやめてくれと言いました。その後も電話がありましたが、メールアドレスで国名が判明せず、最後に、私は日本語で「悪いことをすると、天が罰する」のメールを出すと、「私は日本にいない」(日本語を理解した?)と返事が来ました。このケースでも、相手からのメール文書が全て削除されていました。

中古車売買の詐欺事例(VISA取得詐欺)
この内容を印刷する2009年04月号
中古車売買の詐欺事例(VISA取得詐欺)
〜不審に思ったら、現地日本大使館に問い合わせる〜

(TTPP匿名ユーザーによる)

弊社は日本の中古車輸出会社で、主に欧州向けに出荷しております。現在、世界不況にも係わらず、アフリカ(ケニア、ウガンダ、タンザニア、南アフリカ)向けに多くの中古車が輸出されています。弊社も新規市場開拓のため、アフリカ方面に輸出したいと思っていた矢先、VISA取得詐欺に会いそうになりました。しかし、アフリカの現地日本大使館の査証担当者からの情報提供で、この詐欺を回避することができました。そこで、TTPPユーザーの方々に、私が経験した詐欺の手口をご紹介したいと思います。

1.取引コンタクトからVISA取得手続き
アフリカの業者から、08年12月上旬に、TTPP で弊社のビジネス案件をみて、日本の中古車を買いたいとのコンタクトを受けました。今までの日本の輸出業者との取引は、個人やマンションの一室でやっているような小会社ばかりなので、しっかりとした会社と取引したいとのことでした。

アフリカ側からの申し出は次のとおり。すぐに欲しい車のリストを作成し、メールで送る。今まで日本の輸出業者に騙されてきたので、車を見てから買いたい。また、長期的な取引をしたいので、すぐにでも御社と面談、交渉したい。

私はアフリカ側が車のことに詳しく、怪しいとは思わず、初めてのアフリカからのオファーであり、会って商談できるなら良いと、アフリカ側の来日を歓迎しました。

私は現地日本大使館に電話をして、VISA申請に必要な書類を聞きましたが、その際、「不法滞在目的で来る人が特に当該国は多いので、日本滞在中は十分注意をして下さい」と注意喚起されました。

アフリカ側から他社の招聘書サンプルが提供され、来日予定の2名(OPERATION MANAGER1名とメカニック1名)が示されました。書類作成のために、彼らのパスポートコピー、会社の登記簿謄本、社長のパスポートコピーをもらいました。来日スケジュールは09年1月末なので、私は08年12月中旬に、VISA取得用の必要書類とともに、弊社の登記簿謄本、印鑑証明、納税証明書を各2部郵送しました。

2.事前のデポジット要求以降のアフリカ側の不審な対応
弊社はアフリカ側に対し、来日する1月下旬に車の買い付けにお金が無いと困るので、5,000〜10,000米ドルのデポジットを要求しました。アフリカ側からメールで、すぐにデポジットのお金は払うと返事が来ました。しかし、1月に入って約10日間ぐらい連絡が途絶え、メールしても返事がなく、デポジットのお金も来ない。仕方がないので、私から電話をすることにしましたが、紹介された電話は会社ではなく、家の電話のようで、FAXも繋がりませんでした。

最初のメールにあった携帯電話に電話すると、今モンバサ(ケニア)からカンパラ(ウガンダ)に向かってるから、後からメールをすると返事。(通常、ウガンダ向けの車の積降港はケニアのモンバサで、ウガンダまで陸送することから、忙しいのだと善意に解釈)

その後、アフリカ側から、来日延期と、招聘書とスケジュール変更書を再度国際郵便で送って欲しいとの連絡あり。その理由は、ドバイからの車に問題があり、当初訪日予定のメカニックが車を見にドバイへ行くことになった。そのため、訪日を1月25日から2月24日に延期し、招聘書をメカニックではなく、MARKETING MANAGERの役職に変更し、さらに招聘書に社名を入れないで欲しいとの依頼でした。

そこで、私はおかしいと思い、直接電話で理由を聞くとともに、招聘者の社名を明記しないのはおかしいと主張し、社名入りで了解を取りました。

2月上旬、アフリカ側から、ウガンダ農林省でトラックを欲しがっており、ウガンダ向けにトラックを出荷できるかとの問い合わせがあり、私は出荷可能と返事しました。その一週間後、アフリカ側から取扱権を取れず、本取引は駄目となったと連絡あり。

2月中旬、私がメールでVISA取得のことを聞くと、アフリカ側から、現地日本大使館がVISA申請をたくさん受けて、混んでいるため、VISAが取れないとの返事。

その後、アフリカ側から、訪日を2月24日から3月5日に一週間延期したいので、FAXでスケジュール変更書類の送信依頼を受ける。しかし、以前のFAX番号はつながらず、別のFAX番号に送る。

3月2日、アフリカ側から、VISA申請が混んでいて、VISAが取れないので、訪日を3月末にして欲しいと連絡あり。スケジュール変更書類を指定されたFAX番号に再度送る。

3.現地日本大使館への問合せとVISA詐欺への対策協力
同じ頃、TTPPから米国経由のアフリカ向けトラック取引の注意喚起メールを受け、私はその日の夕方に現地日本大使館に電話しました。弊社の会社名と今までの経緯を話し、アフリカの会社と招聘予定2名の名前を告げて、調べてもらいました。

現地日本大使館の査証担当者の回答は次のとおり。弊社が問い合わせたアフリカの会社は不審な会社で、VISA申請が来ても却下している。12月末、弊社の招聘2名の申請があったが、その2名は全く違う人物であり、VISA申請を却下。1月にも、同じ会社から日本の別の会社から招聘2名のVISA申請を受けたが、却下。3月にも、同じ会社から弊社の招聘書で男性2名のVISA申請を受けたが、これも却下。

査証担当者の推測では、このアフリカの会社は弊社の招聘書や身元保証書を偽造し、弊社の登記簿謄本や印鑑証明書を悪用し、大使館へ何回もVISA申請に来ている。弊社の登記簿謄本と印鑑証明書など公的な文書の全てを悪用されないために、現地日本大使館の査証部と弊社との間で合意したことは次のとおり。大使館がこれら文書を保管し、弊社は大使館の情報収集に協力する。

その後、査証担当者からの電話連絡は次のとおり。このアフリカの会社が弊社の実印を真似て、偽造実印を作成して、VISA申請をしている。今後、大使館では同社からのVISA申請を全て却下するが、偽造実印は今後も使用される可能性が高い。

不法入国による弊社への実害はなく、弊社の登記簿謄本、印鑑証明書、納税証明書等は現地日本大使館が保管していただいておりますが、弊社の偽造実印をアフリカの会社が保持しているので大変心配です。

■TTPP利用における詐欺被害への注意喚起■
 少しでも疑わしい点がある場合は、是非一度ジェトロにご相談ください。

<詐欺に関するお客様相談窓口>
 貿易投資相談センター 貿易投資相談課 TEL: 03-3582-5171

*貿易実務ワンポイントアドバイスでも事例を紹介しています。

多種多様な国際詐欺に遭わないために
この内容を印刷する2008年12月号
多種多様な国際詐欺に遭わないために
〜最終自己責任を念頭に、詐欺事例の研究と対策を講じましょう〜

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

TTPPでは、国際詐欺への注意喚起を強化していますが、国際詐欺に巻き込まれないよう私の知見・経験からアドバイスさせていただきたいと思います。

私は総合商社に24年間勤務し、貿易コンサルタントとして独立し8年になります。この間、詐欺案件をたくさん見聞きしてきました。男性の場合、自信過剰と勝手な思い込みにより、慎重さを欠いて、詐欺被害に遭うことが多いようです。一方、女性の場合、社会経験や知識の不足から、あるいは相手が男性の場合、私的な感情からガードが甘くなった所につけ込まれ、詐欺に遭うケースが多いようです。

また、起業してから2年間位は詐欺(集団)のターゲットになりやすいと思われます。これは早く顧客を獲得したい、実績を積みたい、信用をつけたい等の起業家の逸る気持ちにつけ込まれるからです。法務面でガードの弱い小企業や論理的に対応できるだけの語学力のない企業や女性の経営者なども、詐欺のターゲットになりやすいと思われます。

1. なぜ国際詐欺が減らないか
国際詐欺事件が減らないか、その背景や状況を整理してみましょう。
1)詐欺の手口がどんどん巧妙になり、被害者が詐欺に遭っているという事実に気付きにくいこと。
2)海外であるがゆえに、相手に関する情報が得にくいこと。
3)海外との取引に関して、相談できる相手が少ないこと。
4)相手の言動に不審点があっても、文化や商習慣の違いによるものと誤解しがちなこと。
5)言語や土地勘など把握しにくい状況から、余裕がなく、注意力が散漫になりがちなこと。

2. 新規取引のための基本動作
様々な形態のビジネスが次々と生まれ、国際化に伴い、その活動範囲も拡大する現代で は、詐欺事件は決して他人事ではなく、いつ自分も遭遇するかもしれないという認識が まず大切です。

大手企業では、新しい取引を開始する際に、相手の信用調査、売掛金が発生する場合は与信枠の設定、契約書作成と法務担当者によるチェック、取引形態の確認、リスクの分析等を基本動作として、義務付けられている筈です。中小企業においても、同様の規定を決め、必ず客観的な情報収集と分析を行うことが必要です。小企業や個人事業者の場合、信頼できる相談相手を持つことも詐欺から身を守る方法です。

私は情報収集の一環として、インターネット検索を行っています。企業のホームページ情報は概して、都合の良いことが誇張されています。インターネットで企業名や代表者名を検索すると、かなりの周辺情報が入手できる筈です。また、国情についても最新情報を確認するのを忘れないことです。

3. 念のための備え
メールアドレスだけがわかり、相手の住所も電話番号も知らずに交渉を続けているケースがあるかも知れませんが、相手を特定する情報を必ず確認しましょう。同一人物がフリーメールのアドレスも含め複数のメールアドレスを使っているような場合、その理由を聞いてみることです。

また、どのような環境で仕事をしているのか(例えば、会社に常勤しているのかどうか等)、教えられた電話番号に電話をかけて、すぐ本人が出てくるかどうか等も調べておくと、緊急連絡が必要になった時にも役に立ちます。

ジェトロや商工団体では、無料の貿易相談窓口がありますので、不安な点、不審な点があれば、これら機関を積極的に活用しましょう。また、プロによる解決が必要な場合に備え、弁護士やコンサルタント等をリストアップし、専門分野や料金を確認しておくだけでも、いざという場合に時間を無駄にせず、かつ落ち着いて対処することができます。

4. 詐欺の事例と対策 詐欺事件に巻き込まれる経緯とその対策を整理すると、次のことが言えるでしょう。

1)自ら探した案件が詐欺であった場合
この場合の留意点については、既に“TTPP貿易実務アドバイス”で何度か紹介しておりますので、参考にしてください。慎重に対処すれば、防げる確率は高いと思います。
ジェトロによるTTPP登録案件の不審な内容のチェックや虚偽の発見には、限界があるでしょう。TTPP利用者自らが必ず慎重に検討してから、ビジネスを開始することをお勧めします。不幸にして詐欺に遭った(詐欺の疑いが強い)場合、ジェトロに連絡すると他に被害が及ばないよう調査するとともに、登録の抹消や登録者への警告等、適切な処置を取ってもらえます。

【TTPP貿易実務アドバイス】

2)仲介者から詐欺案件を紹介された場合
最初から悪意のあるケースもあるでしょうが、仲介者が詐欺に遭っていることに気付かないケースもあります。最終的には自己責任です。いくら信用できる仲介者であっても話を鵜呑みにせず、調査はきちんと行ってください。また、日本人は信頼関係から契約書を取り交わさずに、ビジネスを始めてしまう傾向があります。後日、トラブルに発展することもありますので、最初から仲介者の権利や義務を明確にしておきましょう。

3)詐欺師から電話、FAX、メール等で直接コンタクトがあった場合
明らかに詐欺とわかる場合もありますが、まったく気付かない場合もあります。詐欺師は関心を引くよう巧みに話を持ちかけてくるので、一端冷静になる時間をおくことが大切です。最近は、インターネット上でも詐欺の事例が詳しく紹介されています。詐欺の事例を研究し、社内あるいは自らのビジネス管理や詐欺対策を作成、徹底することをお勧めします。

増え続ける国際詐欺事件
この内容を印刷する2008年09月号
増え続ける国際詐欺事件

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

日本では、報道や金融機関による注意喚起にもかかわらず、振り込め詐欺事件が後を絶 たないように、ビジネスの世界でも国際的な詐欺事件が増えています。TTPPのこのコー ナーでも、私を含め多くの方が詐欺事件についてアドバイスを書いております。 今回は、詐欺被害の回避するためのチェックポイントとノウハウを整理し、ご紹介しま す。

1.投資詐欺
投資詐欺の典型的なケースは次のようなものがあります。
1)海外の新規プロジェクトに投資すれば、高額の配当金がもらえるという話に飛びついたものの、投資先企業にそんな事業の実態はなく出資金を使いこまれただけだった。
2)ビジネスに有利なように現地のVIPを紹介するので、現金を持参するようにと言われた。
3)現地で合弁会社を立ち上げる予定で、現地パートナーから会社設立の手続きをすべてやるとのことで、出資金をすべて預けて持ち逃げされた。

私自身がお勧めする方法は、「なぜ相手を信じてもよいのか」を分析することです。例えば、1)信用調査で何ら問題がなかった、2)業績の良い上場企業である、3)社会的な地位にあり詐欺はできない立場である、4)問題が起これば仲裁してくれる人や機関を知っている、などです。

また、事前に起こりそうな問題を想定し、解決策をシミレーションしておくことです。そもそも自分の専門外の分野に、海外で配当目当てに専門家のアドバイスもなしに、投資をするなどは論外です。海外での会社設立については、まずは相手国政府(小型なら地方自治体のケースもあります)の投資ライセンスを取得してからの出資となりますので、慌てて現金を払う必要はありません。各国政府は関連法規集や投資マニュアルなどを出しているので、きちんと研究した上で、慎重に対処することです。

2.貿易取引のトラブルや詐欺
貿易に関しては、代金決済に絡むトラブルや詐欺が圧倒的に多いでしょう。輸出取引では、いかに代金を回収するかがポイントです。最初の1、2回の小口取引ではきちんと支払われ、輸出業者が信用したところで、大口発注をかけて来て、貨物ごと相手が消えてしまうケースをよく耳にします。

1、2回の小口取引ならば、送金による決済がほとんどでしょう。ここで輸出業者が信用をしてしまうため、大口の発注でも決済方法を含めた取引条件での詰めが甘くなる。甚だしいケースでは、契約書や詳細を取り決めた書面がないこともあります。その他、日本では想像もつかないクレームをつけられ、代金回収ができなくなることもあります。

輸入取引では、サンプルやテストマーケティング用など少額取引の場合、口約束で簡単に前払いしてしまい、商品が来ないケースや、本格的な取引開始後に「○○手数料」などといった意味不明の費用が上乗せされた請求書を調べもせず、ずっと払い続けているケースがあります。

これらは当初から詐欺目的なのか、日本側の知識不足や不手際の結果でそうなったのか見極めが難しい場合もあります。しかし、日本側が貿易初心者であったり、契約の詰めが甘いことを計算に入れての行為なので、詐欺の一種と言えるでしょう。

通信手段や輸送手段の発達で、誰もが簡単に貿易ができると勘違いする傾向にありますが、国際取引は基本知識や実務経験が必要とされます。特に、外国の相手が日本語を話せたりすると気を許し、そのまま言いなりになっているケースがよくあります。

日本では、「自分が誠意を尽くせば、相手も必ず返してくれる」と信じているビジネスマンが多いですし、おそらく世界中同じでしょう。ところが、詐欺師にはそんなことは通用しません。振り込め詐欺と同じく、詐欺の手口もだんだん巧妙になってきており、人間の欲(金銭欲、功名心)やプライドなどを巧みについてきます。売上や利益の拡大を迫られている、競合相手に負けたくない等の余裕のなさから、平常心を失い、判断を誤ることもあります。あるいは、相手の巧みな言葉に乗せられて自信過剰になり、他人のアドバイスを素直に受け入れられない人もいます。

新しい取引では慎重には慎重を重ね、1)不明な点は相手に聞くこと、2)経験者や専門家のアドバイスを取り入れること、3)取引実績のある相手であっても、気を抜かない、手を抜かないの姿勢を貫くことが、詐欺被害に遭わない方法です。

「現地に長年住んでいる日本人だから信用したのに」という日本人による詐欺や、「日本人はまじめだから信用したのに」と被害に遭った外国人の話も聞いております。どこの国にも善人、悪人の両方がいるわけで、勝手な思い込みは禁物です。

TTPPで紹介する詐欺の事例や対策を次のURLからご覧いただけますので、ご参考になさってください。

貿易実務ワンポイントアドバイス

詐欺メールへの注意喚起

詐欺を見分ける二つの方法
〜企業のチェックと貿易実務の知識修得〜
この内容を印刷する2007年03月号
詐欺を見分ける二つの方法
〜企業のチェックと貿易実務の知識修得〜

ジェトロ認定貿易アドバイザー 永野靖夫

詐欺は相変らず頻発し、最近は普通の商売と見分けが付き難くなってきています。例えば、商品代金全額前払いの詐欺の場合、詐欺師はまず、皆さんの会社のホームページや展示会で貴商品を知った、非常に魅力的なので、是非買いたいと言ってきます。ここまでは通常の商売でも有り得ることなので、見分けがつきません。

そこで、何らかの返事をすると、商品代金は船積み前に全額前払いする旨連絡してきます。これは好条件だと思い、さらに話を進めると、送金手数料が必要だとか、送金限度額を設定するために印紙代が必要だとか、言ってきます。日本人が仲間の場合もあり、国内から日本語でアプローチしてくることもありますので、十分注意してください。

では、どうやっておかしな話か否かを見分けるかです。ここでは、二点に絞ってご紹介しましょう。

第一に、相手先の会社のホームページをKOMPASS等の企業ダイレクトリーサイトやヤフーやGoogle等の検索エンジンで探すことです。これらのデータベースから企業を検出できれば、会社概要を確認できます。しかし、企業検出できないからといって、一概に詐欺師の会社と決め付けることはできません。設立間もない企業や小企業は検出できないでしょう。この場合は、次の第二のチェックポイントがあります。

第二に、どういう条件を満たせば契約を締結し、商品を引渡すかを予め契約書(案)に作成しておくことです。引き合いがきたら、この契約書(案)を即刻提示できることが大切です。輸出の場合、商品代金を事前に受け取るか、あるいは信用状を受領しない限り、出荷すべきではありません。一方、「商品代金の全額前払い」と言われても、その支払いには、何の保証もないことに気づくべきです。

通常、インコタームズに規定の貿易条件のうち、CIF、CFR、FOBのいずれかが採用されます。いずれの場合であっても、輸出者が揚げ地で発生する送金手数料や印紙代などを負担することはありません。

詐欺師は決して貿易に熟達した会社を狙ってきません。彼らが狙うのは、上記の二点に気づかない新規参入者や貿易経験の少ない人達です。彼らはプロなので、こうした人達を見つけ出す独特のノウハウを持っています。

狙われる側にとって注意すべきは、新規にホームページを開設した、初めて展示会に出展した、あるいはE-MAILアドレスを公開した等の場合です。さらに、インコタームズをよく理解しないまま、輸出に参入すること自体が極めて危ういことだと申し上げておきます。

インコタームズについては、「TTPP活用術<貿易実務レッスン>」(TTPPニューズレター2006年4月号)をご参照ください。

国際送金の詐欺事例:入金確認を忘れずに!
この内容を印刷する2006年01月号
国際送金の詐欺事例: 入金確認を忘れずに!

ワークラボ有限会社 取締役社長 鈴木 壽

中国人の知人がナイジェリアの詐欺師に国際送金の詐欺に引っかかりました。聞いた話しですが、皆さんもこの種の詐欺にご注意下さい。

海外のある銀行には当日送金サービスがあり、送金側が送金時の送金番号とパスワードを控え、相手にメールでこれを知らせます。受取側は自国の提携銀行でこの送金番号とパスワードを提示すると、当日のうちにお金を受け取れるサービスです。(詳しくは、検索エンジンのキーワード検索で『国際送金』をお調べ下さい)

この送金番号をネット上で調べるにはタイムラグがあるらしく、詐欺師はこの嘘の送金番号を教えてきます。それで「送金番号とパスワードはXXです。送金伝票もFAXをするから、即刻、商品を送って欲しい」といってサンプルを送らせ、後は逃げるというものです。

ただ、送金番号の確認は電話でリアルタイムでできるらしく、嘘の送金番号かどうかはわかるそうです。送金番号または入金を確認した後にサンプルを送れば、何の問題もなかったのですから、知人は次回は引っかからないと言っていました。

この種の詐欺にあうのも、本人の注意不足によるものです。日本人はこの送金サービスをあまり知らないでしょうから、騙される人もいるかと思い、ご紹介する次第です。

輸出を始めるときの工夫
この内容を印刷する2005年11月号
輸出を始めるときの工夫

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

最近、日本では起業やサイドビジネスの手段として「小口輸入」に関心をもつ方が増えました。よく聞かれるのは「小口輸出はないのか」という質問です。確かに、日本における輸入は天然資源から小口輸入、個人輸入と裾野が広いのに対し、輸出は特定の業界や商品に限られているのが現状です。

輸出の一番のポイントは「信頼のおける相手に売り、安全に代金を回収する」ことです。現地にスタッフやビジネスパートナーがいない限り、引合をくれた外国企業が信頼できるかどうか、自社の商品を上手に拡販してくれるかどうか等、なかなか見分けることができません。また、現地事情を知らないがために、日本では想像もできないようなクレームが生じることもあります。

当然のことながら、現地での輸入品には、関税や輸入のためのコストが価格に上乗せされます。輸出をする場合、現地販売価格を設定する上でも、現地市場でどの位のニーズや競争力があるかなどを事前に調査することが得策でしょう。さもなければ、無償サンプルの提供や宣伝広告費などに経費をかけただけで、実際は売れなかったという失敗談につながりかねません。

このような事前の市場調査や日本側と相手国の法規のクリア、輸出用の梱包や船積書類の作成、またカントリー・リスクや代金の回収リスクを考えると、輸出はなかなか始めにくいものです。

小口輸出に近い事例を紹介しましょう。ある検査機器の中小メーカーが英文のネット販売サイトを作りました。同社の製品は仕様だけで判別がつき、国際宅配便で送ることができるサイズです。1台数万円なのでクレジットカード決済を利用しているようです。海外市場で販売数量を大きく見込めるものではないので、国内ビジネスの片手間で無理なく輸出を続けることができるでしょう。このような方法で輸出ビジネスが成り立つのは、ごくごく限られた商品だと思います。

次に、特定の市場を狙っている場合、現地の貿易見本市などに参加して製品を見てもらい、できるだけ多くのバイヤーと会ってみることも一つの方法です。ところが、自社で現地の主催者に出展申込みを行い、準備期間から見本市の終了まで、主催者と外国語で連絡を取るとなると、不安もあり、負担も大きくなります。

このような場合、ジェトロが海外で開催する展示会に参加するという方法があります。一部補助金の対象となるので、出展コストが軽減されるほか、ジェトロが出展にかかわる主催者との交渉などの煩雑な業務をやってくれたり、現地市場の情報ももらえたりと、ジェトロのサービスを活用できます。出展者は安心して効率良く、海外での営業活動に専念することができます。

<URL>http://www.jetro.go.jp/events/tradefair

特に、消費財で嗜好性の強い商品分野では、日本では知名度があっても、海外でそれが通じるとは限りません。また、文化の違いで思わぬ苦戦を強いられ、中長期的にみると、ビジネスが継続・拡大しない傾向にあります。業界団体や組合等の組織ぐるみで輸出に取り組むのも一つの方法です。

最近、この方法を積極的に採用しているとみられるのが食品業界です。それぞれが大きな企業でなくてもまとまれば、たくさんの品揃えが可能となり、広告宣伝も効果的に行え、1社では重過ぎるリスクも分け合うことができます。1社の経営不振や撤退が、日本(特定国)の製品や業界全体のイメージ・ダウンにつながることもあります。業界団体や組合単位の積極的な輸出活動も国際化時代に求められていると思います。

後を絶たない「なりすまし詐欺」
この内容を印刷する2004年12月号
後を絶たない「なりすまし詐欺」

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

西アフリカが主たる発信源となっている詐欺事件があります。これは、王族や元政府高官、その未亡人などVIPを名乗り、自分の隠し財産の何億円を預かってくれたら高額の礼金を渡すというものです。最初に保証金あるいは送金手数料を求められ、支払った途端に相手がいなくなる。保証金を持参し面会に行き殺されたという有名な事件もあります。
詐欺の手法は、かつてはわざとらしい作り話が特徴でしたが、どんどん巧妙になり、発信源も世界中に広がっています。典型的な事例をいくつかご紹介しましょう。

・直接相談したいので、自宅や携帯の電話番号を教えてほしい 〜
仕事の話でいきなりプライベートな電話番号を尋ねる人がいるでしょうか。

・王族、元政府高官が隠し財産を預けたい 〜
見ず知らずの外国人に大金を預ける融資する)でしょうか。

・大口商談と見せかけ大量のサンプルを送らせ、姿をくらましたり、偽造小切手を利用する 〜
取引相手の調査や取引形態やどんなリスクがあるか、チェックを忘れないようにしましょう。

・架空のプロジェクトや組織への投資を持ちかける 〜
大手企業でも引っかかることがあります。興味があるなら専門家に必ず相談してください。

詐欺の被害にあわないための対策はまず、相手が常識的な行動を取っているかどうか、冷静にチェックすることがリスク回避の第一歩です。電子メールは通信手段としては便利で安価なものです。しかし、相手の顔も見えず、声を聞くこともできません。誰かになりすますことも簡単にできます。楽で安全に大儲けができるビジネスは、世界中どこにもありません。国内なら不審に思えても「他所の国だからそんなこともあるのだろう」と勝手に良い方に解釈してしまう人も多いようです。調査や相談という基本を忘れないようにしましょう。

以下は私自身が必ず注意していることです。現在のTTPPのシステムでは案件の登録者の連絡先を知るには、閲覧側もTTPPに登録しなければなりません。TTPP経由コンタクトメールをもらえば、必ず相手の登録情報を知ることができます。虚偽の登録でない限りどんな業種でどこにある企業なのか、あるいは個人なのかを知ることができ、判断材料の一つとになります。
また、ある程度詳細な案件登録をしているのにもかかわらず、「興味があるので連絡をください。」とだけ書かれているメールにも用心をすることにしています。こちらが情報を開示しているにもかかわらず、自分の会社や商品、サービスについて何も述べず価格表がほしい、取引条件を知りたい、というような具体的な質問がないこと自体が奇妙だからです。

≪TTPP「案件登録画面」の注意喚起≫
案件をウェブに掲載すると、あなたの連絡先もウェブに掲載され、他のTTPPユーザーから閲覧されます。インターネット上には、メールを使って不特定多数のユーザーに悪質な勧誘を行う国際詐欺団などが存在しますので、不審な内容のメールには対応されないようご注意ください。

* 国際的詐欺事件(通称419事件)について
* 貴方のMail Boxにも?〜国際詐欺団からの招待状(文面サンプル等)

VISA取得目当ての商談詐欺にご用心
この内容を印刷する2004年11月号
VISA取得目当ての商談詐欺にご用心

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

最近、日本への入国VISA取得に関わる詐欺が何件か発生しています。 この種の詐欺は、外国企業が日本企業に対し、商談に行くのでVISA取得に必要な書類の作成を依頼し、VISAを取得した時点から外国企業との連絡が取れなくなるケースです。日本企業にとって、この外国企業とは面識がなく、電子メールで引合をもらい初めて取引する相手です。外国企業がVISA取得を目的に架空の商談を持ちかけたのです。

通常、外国企業が既に日本に取引先があれば、そこに書類作成を依頼する筈です。 VISA取得用の書類作成には、宿泊先、日程などを明記する必要があります。他に頼り先のない外国人が来日するとなれば、ホテルの予約、スケジュール調整、空港出迎えなどの事前打ち合わせが必要となります。面識もない相手に対し、このような遣り取りもなく、依頼されるままに入国関連の書類を作成することは悪用されたり、事件が起きた時の影響を考えると、たいへん危険です。

途上国からの来日手続きは煩雑ですし、コスト負担も大きなものです。契約案件がよほど高額か長期でない限り、簡単に来日する気持ちにはなれない筈です。日本企業も輸出商談なら、相手の与信管理上からも来日を待つのではなく、こちらから出向いて調べるくらいの用心深さが必要です。輸入の場合でも、non-deliveryや品質管理面でトラブルが起こる可能性があります。知っている人が取引して問題がない場合や著名企業である場合以外は、こちらから出向いて会社や工場、経営者をチェックした後、次の行動に移すべきでしょう。

この他、外国企業が「ジェトロの海外事務所に紹介された」と嘘をついたため、日本企業が信じてしまった例もあります。ジェトロの海外事務所にまず紹介のお礼と経緯をたずねるという基本動作があれば、その時点で嘘を見抜けると思います。

この受信メールを転送する形で、TTPP事務局に問合せれば、該当するジェトロ海外事務 所に事実確認の上、その対応措置を助言するそうです。

すべての内容を印刷する輸出について

輸出商談の落とし穴(その4)
この内容を印刷する2014年04月号
輸出商談の落とし穴(その4)
〜為替変動リスクを伴う一括予約発注・長期契約〜

≪失敗事例≫
海外の輸入業者の最初の注文は少ない数量であった。3回受注したところで、現地での売れ行きが好調なことから、輸入業者が来年度一年間の長期契約(偶数月に10,000個の船積み、合計60,000個)を申し出てきた。

輸出業者は、買い取り価格は採算上厳しかったが、生産設備がフル稼働するので、他の製品の経費率削減に役立つとして、契約を締結した。契約条件では、出荷は偶数月の各月末に10,000個、年計60,000個、決済通貨はUSDで合意した。

ところが、初回の2月分は契約通り10,000個を出荷したが、4月分では一方的な理由で信用状開設が遅れ、しかも船積みを5,000個分のみとし、残りの5,000個を6月分にして欲しいとの要請があった。さらに、6月分と8月分は船積みSKIPの要請があり、10月分に延期。

この間、為替レートが円安に振れ、12月分の20,000個について、円安分の値下げ要求があった。輸出業者はやむなく4%の値下げに応じたが、残りの半分を出荷したところで、円高に逆転。今度は、輸出業者が価格の戻しを要求したが、輸入業者は拒否。

生産計画の大幅な見直し、値下げによる利益の圧迫、倉庫料等の余分な経費も発生した。結果的に、当初の販売契約と大きく異なる取引となってしまった。

≪教 訓≫
輸入業者は最初の少量取引で一定の利益を上げると、利益を更に確保しようと、より低価格で仕入れようと、意図的に大量の発注を出すことがあります。輸入業者が大量発注で値下げを輸出業者に迫り、輸出業者は値下げに応じる。次に、輸入業者は何らかの理由をつけて、発注量を引き下げ、少量契約に修正しようとする。

このケースでは、取引総量を維持したものの、輸入業者は当初から出荷月に沿って、信用状を開設する気はなかったのではないでしょうか。現地での販売の実態は、当初計画の数量と同じである筈もないし、本来不規則であるべきものです。昨今、世界の市場環境は不測の要因や前年度実績に関係なく、激変する状況です。

さらに、長期契約の場合、契約完了までに為替レートの変動があるでしょうし、輸出価格を固定化するには限界があります。輸入業者の手法はいわゆるブロックブッキング(一括予約)です。輸出業者は引き合い時にこれを見抜き、販売契約書を発行しても、販売単価は実現可能な出荷分毎に限定し、その後の残量の単価は変動することにする。 この場合、別途文書で、60,000個の成約について、引き取り数量ごとに単価確定分の販売契約書を発行すると定めるのがよいでしょう。

また、別の視点から、60,000個の大口取引を前提に独占輸入権を要求し、他者のルートを排除しようとの意図があるか否か、問題意識をもつこともお勧めします。

輸出商談の落とし穴(その3)
この内容を印刷する2014年03月号
輸出商談の落とし穴(その3)
〜大口受注でも、後払いには要注意〜

≪失敗事例≫
海外販売先(輸入業者)から最初に3,000個を受注し、翌月と翌々月にそれぞれ2,000個を受注。3回とも、商品代金は約束どおり出荷前に入手した。ところが、第4回目の受注で、「新年正月前の販売多忙期に20,000個発注したいが、販売実績は当初の5,000個分のみで、当社は資金がない。半額を送金するから、残額を60日後払いにして欲しい」との依頼があった。

当社(輸出業者)は原材料を見込み発注してしまっていたので、やむなくこの申し入れを受けて、出荷した。出荷後3カ月が経過したが、残額分の支払いがなく、売掛金が滞留。今や不良債権となり、この支払い督促に海外販売先を訪問したところ、残額を50%値引きすれば、30日後に支払うとの対応であった。

≪教 訓≫
輸出取引に向けて努力をしてきた会社が、第1回目の受注にこぎつけ、その市場の大きさや将来の期待が大きければ大きいほど、将来に向けて、原材料を手配したり、新たに製造設備を手配したりして、先走った対応をしがちです。

知恵のある買付け担当者は、将来の買付け計画を述べて、価格の引き下げを交渉してきます。将来の取引を約束したとしても、人事異動で担当者が途中交代するかもしれず、あるいはリップサービスのこともあり、受注側には何の保証もありません。担当者が代わった場合、前任者のやり方を否定し、前任者の約束を反故にすることも多々あります。

大口の見込み発注量に惑わされてはいけません。相手国の販売シーズンであろうとなかろうと、入金分に見合った数量を輸出する冷静な姿勢が大事です。

さらに、商品代金の後払いを受け入れることは、売り与信が発生します。いつでも訪問可能な国内販売先でも、掛売りにはリスクを伴います。国境を越えた海外取引で、信用調査すらしない相手に、裸与信で取引することは無謀と言わざるを得ません。

輸出商談の落とし穴(その2)
この内容を印刷する2014年02月号
輸出商談の落とし穴(その2)
〜契約書に決済条件を忘れず明記〜

≪失敗事例≫
輸出業者(A社)に輸入業者(B社)から、次のようなEメールがきました。
We remitted the required amount through our Bank already. Meantime please air our cargo immediately due our clients pushing so hard.
(代金は当社取引銀行を通じて送金しました。顧客が強く要望するのですぐに貨物を空輸して下さい。)

B社は顧客から再三の催促を受けて、貨物の入手を急いでおり、商品代金がすぐにA社の指定銀行口座に入金されるだろうと、A社は好意的に理解し、また契約上の納期を守れなかった場合には不利な立場になるとも思い、急ぎ貨物の空輸を完了させました。

ところが、銀行から送金到着の通知がなかなか来ないので、B社に督促をしてみると、「checking ! checking! (調査中、調査中!)」の返答でした。そのうち、貨物は現地運送会社から引き取られ、その時初めて、最初のメールがでたらめ(虚偽)であったことに気がつきました。その後、B社に電話を入れてもつながりません・・・。

≪教 訓≫
販売契約書が発行されていなかった場合は問題外です。商談交渉の過程において、A社が「当方の銀行口座に全額入金完了の確認が取れ次第、契約貨物を空輸します。」と主張しなかったこと、更に、このことを販売契約書の決済条件に明記していなかったことにも問題があります。

取引相手の返答で、already remitted(既に送金した)、already paid(既に支払った)、sending soon (すぐ送る)、checking 、negotiating to our Bank(銀行と交渉中) 等の言葉は時間稼ぎに使う常用語です。このような言葉が相手側からきた場合、直ちに契約実行への信頼性を疑うべきです。この事例の場合は、直ちに出張して、現地での貨物回収作業を開始すべきでした。

販売契約書に、次の文言を決済条件として挿入することを提案します。また、引き合いの交渉過程においても、このことを取引条件として主張すべきです。

1.送金条件
1)「契約金額全額を船積までに売り手の銀行口座である### 銀行 OOO 支店のNo. XXXXXXXXに円で電信送金をすること。
By T/T Remittance for the full contract amount in Japanese Yen (円決済の場合) to the Sellers Bank Account No. XXXXXXXX of ###### Bank, OOOOO Branch before the shipment.

2)更に安全を期して、次のことも追記します。
船積は、売り手の銀行口座への入金確認後に行うものとする。
The shipment to be executed after Sellers confirmation of the receipt in Sellers’bank account.

2.信用状条件
船積:XXXX年Y月Z日までに開設されるL/Cの受領後90日以内
Shipment: Within 90days after receipt of L/C to be opened latest by Month dd, yyyy.

輸出商談の落とし穴(その1)
この内容を印刷する2014年01月号
輸出商談の落とし穴(その1)

輸出取引に不慣れな方のために、ジェトロの調査報告書「貿易実務上の落とし穴〜輸出実務編〜」(日本語版のみ、2010年発行)から抜粋、編集し、商談の失敗事例と教訓を4回シリーズでご紹介します。

第1回 接待を受けるのは成約後に
第2回 契約書に決済条件を忘れず明記
第3回 大口受注でも、後払いには要注意
第4回 為替変動リスクを伴う一括予約・長期契約

〜接待を受けるのは成約後に〜

≪失敗事例≫
海外の輸入企業(A社)の事務所を訪問し、輸出企業(B社)・社長が直接輸出販売活動を行った。夕刻宿泊先に到着すると、現地で有名なレストランでA社・社長の招待を受けて夕食。B社・社長はA社の接待に好印象を持ち、上機嫌であった。

翌朝、宿泊先でA社の出迎えを受け、 A社事務所で商談を開始。商談時には、A社側は秘書や担当者を同席させ、情報を共有化しているようだった。商談では、単価で折り合いがついたが、決済条件ではA社の譲歩を得られなかった。A社・社長が「私を信じてください!決済は半額前払い、残額貨物到着後90日後払い」と幾度も主張。

接待をされて、A社・社長の人柄を信じていたB社・社長は、今回は特別だと自分に言い聞かせ、A社の条件を受け入れた。前払い分の半額を受領後、即、商品を空輸したが、後払いの段階で、意図的に商品にクレームをつけてきた。「自分は今回大損をしたので25%を差し引いて送金する」との一方的な通知が来た。ここに至って、あの時の接待費は結局、自分が負担をしたのかと、B社・社長は気がついた。

同席したA社・社員達は”わが社社長の顔を立てろ!“と、B社・社長に圧力かけるための小道具だったのかと考えると、あの時の接待は恐ろしいイベントであったと思い返す。

≪教 訓≫
「私を信じてください!」と言われても、宗教活動ではありません。商売上での信用は、金額や送金時期の正確さ、全額前払いの件数が幾度か積み重なった実績から、醸成されるものです。本来は「10回程度の受注と送金実績を見てから考えます」と返事すべきでした。

信用を供与するには、担保とするものが必要です。この取引では、後払いとされる商品代金の半額について担保がありません。国内取引でも、このような条件での取引については、思慮熟考の上、調査が必要とされます。国境を越えた海外取引で、簡単に受け入れられる条件だったでしょうか。

接待攻勢で相手の心情につけこみ、低コストで高利益を出すことができるのであれば、このような手法はA社の商活動の一環といえるでしょう。B社がとるべき態度は、接待のお返しを別途他の手段で考えるとして、決済条件が合わなければ、商談を決裂させることをA社に示すべきでした。

輸出者は、現地商談前に接待を受ける必要はありません。輸入者がどうしても接待したいという場合は、「商談終了後にしましょう」と提案することで、このような失敗を回避できるでしょう。 商談開始前から、精神的に舞い上がってはならないように注意し、常識的あるいはリスク回避の判断ができるよう自己管理をするようにしてください。

TTPPを利用した海外販売
この内容を印刷する2009年02月号
TTPPを利用した海外販売
〜効果的な「売りたい」案件登録について〜

有限会社フォーカス・ビジネスプロデュース 代表取締役 大石達也

TTPPへの効果的なビジネス案件の登録について、2008年11月号で「買いたい」案件を取り上げましたが、今回は「売りたい」案件についてお話します。
「売りたい」案件の場合も、世界の大量の案件の中で、いかに自社のビジネス案件をアピールするかが重要です。

まず、買い手がどのような情報を求めているかを考えてみましょう。
 ・自社が求めたい製品か。(デザイン、仕様も含めて)
 ・希望する数量、価格帯、決済方法、リードタイム他、取引条件が合致するか。
 ・輸入規制や法規をクリヤするために、必要とされる詳細情報の開示を求めることができる相手か。
 ・売り手はその製品を販売する権利を有しているか。また、その製品について熟知しているか。  ・製品保証、クレーム・返品条件などの品質面について明確な規定があるか。
 ・信頼に足る実績(納入先、販売数量・金額など)を有しているか。
 ・信頼関係に基づき、中長期の取引ができる相手か。

「売りたい」案件の登録では、上記の買い手の要望例を念頭に、具体的な商品および取引条件等を提示するのに加え、「取引して問題ない相手か?」という買い手の不安を取り除く情報も盛り込むことが肝要です。登録時の留意点を商品カテゴリー別に見てみましょう。

<消費者向け(B2C)商品>
●消費者向け雑貨などの場合
一般雑貨に関しては、商品の見た目(画像イメージ)にも影響されます。このため、TTPPで許容される最高解像度のデジタル画像を用意する、プロに撮影してもらうと効果的です。また、サンプルを求められるケースが多いので、サンプル送付条件(有償・無償、数量、送料負担の有無など)も記載すると良いでしょう。雑貨以外の商品カテゴリーにも共通しますが、ミニマムロット、価格、決済通貨・決済条件、納期、製品保証、クレーム・返品条件等、取引条件を可能な限り明記しましょう。

●消費者向けブランド商品の場合
ブランド商品の場合、その商品の輸出販売権を有する事実(例えば、自社オリジナル・ブランド、またはメーカーとの輸出販売契約を締結していることなど)を明記することで、信頼性が向上します。一方、輸出販売権について明記がない場合は、「並行輸出品か、不正規品か?」と買い手は不安に思います。

●化粧品や健康食品などの場合
多くの国では、日本の薬事法や食品衛生法に相当する法規制があります。通常、買い手は自国内の法規制に対応する成分データ、試験結果データ、製造・品質管理工程表などの提示を求めてきます。売り案件の登録時に、これらのデータ類を用意していることを明記することで、買い手の安心・信頼感が高まります。

<企業間取引(B2B)商品>
●工業部品などの場合
自動車関連部品・アクセサリーの場合、汎用品、純正品の区別があります。純正品の場合、上記の消費者向けブランド商品と同様、輸出販売権を有していることを明記することです。

汎用品の場合、買い手は品質や補修に適応するか等を検討するため、生産国、工場の品質管理体制(ISO認証など)、製品保証の期間と内容、クレーム・返品条件、主要納入実績などがチェックポイントとなります。これらの品質関連情報も明記しましょう。

また、会社概要(主な実績、QC工程・認証、工場概要等も含む)、製品の概要・仕様等の英文版を提示ないし送付できるようにしておく。さらに、英文ホームページの作成・充実も、事業紹介や案件登録情報を補完し、信頼性を高める上で効果的です。

●農産品、工業向け資源製品、資本財の場合
2008年10月号でご紹介しましたが、金属・鉱物資源、食糧資源等の資源商品取引は、取引量や取引額が大きいこと、市況変動があること、専門家の介在が多いこと等から、取引は複雑で、慎重さが求められます。資源商品の場合、取引プロセスおよび条件を明確に記載し、買い手に誤解や不安を与えないような工夫が必要です。

大型機械の取引の場合には、機械の性能や価格に留まらず、機械の設置、操作手順の指導、メンテナンス対応等もあり、中・長期の取引条件を明記することが買い手の安心・信頼感につながります。

売り手、買い手の双方の顔が見えないTTPPでは、ビジネス案件の内容を見た時に、最初に受ける印象がとても大切です。商品PRばかりでなく、品質管理体制、取引条件、クレーム・返品条件等を可能な限り詳細に説明、明記することが、買い手の信頼を獲得し、中・長期の取引関係構築のステップとなります。

新規市場開拓のための事前調査と分析
この内容を印刷する2008年07月号
新規市場開拓のための事前調査と分析
〜自社商品の特徴は?ターゲット市場を理解していますか?〜

有限会社フォーカス・ビジネスプロデュース 代表取締役 大石 達也

自社商品の新規市場を開拓するため、TTPPに案件登録したが、期待する引合や問合せが来ないと思っておられる方は少なくないと思います。一方で、TTPPユーザーアンケート調査結果*1では、TTPPを積極的に活用し、実際に成約された方も多くおられます。

*1 TTPP活用術:ユーザーアンケート結果報告(2007年12月号)

この違いはどこにあるのか、登録案件の数だけ様々な理由が考えられます。新規市場開拓で最初に検討すべきポイントとして、1)自社商品の特徴を知る、2)ターゲット市場を取り巻く環境を把握するの2点に絞ってご紹介します。

1.自社商品の特徴を知る
まずはなぜ反応が無いのか、その原因を考えてみましょう。たとえば、単にTTPP上での紹介の仕方(見せ方)に問題があり、商品・サービスの特徴がうまく伝わっていない、ターゲット市場に十分な需要がない、あるいは既に競合他社が販売シェアを席捲している、商品の強みが環境の異なるターゲット市場では強みにならない、さらに法規制や環境規制等により輸入側に大きなコスト負担がかかるので参入が困難など、実に様々な原因が考えられます。

どのような原因があるにしても、最初に検討すべきことは、自社商品の特徴を知り、何が強みなのか明確にすることです。その商品はある特定の問題を解決するような特別な技術や解決方法を提供していますか、それとも希少価値の高いある特別な素材を用いていますか。また、デザイン、ブランド、原産国等に高い知名度や価値があるなど、色々な角度から特徴を考えることができます。あるいは、コストや納期、流通システムでの強みもあるでしょうか。

このように、自社商品を客観的に観察し、「強み=アピールポイント」を明確に把握することがとても重要です。あなたの商品が既に国内市場で広く受け入れられているのであれば、必ず強みがある筈です。これを機に、自社商品の特徴と強みを見直してみてください。TTPP上でも、競合他社を含む他の案件を参考ないし比較しつつ、優位性をアピールする工夫が必要です。*2

*2 TTPP活用術:あなたのビジネス案件は魅力的ですか?(2004年12月号)

2.ターゲット市場を取り巻く環境を把握する
次に、新規市場を取り巻く環境について考えてみましょう。ビジネス環境には、政治・経済、社会・文化、技術、また法規制などのマクロ的な環境、その製品やサービスの業界特性など、様々な要因が含まれます。その中で、どの要因が自社商品に大きな影響を与えるかは、国や地域ごとに異なり、個別に見ていくことが必要です。

社会・文化的な問題事例として、世界の若者や子供達を魅了している日本のアニメとその関連商品があります。一部の国では、宗教や道徳観の違いから、特定のアニメ作品がその社会から好ましく思われず、その作品のテレビ放映が、社会問題化したと報道されたことがありました。消費者向けの商品の場合、ターゲット市場の歴史的背景、人種構成、宗教、言語、道徳観などの一般的な知識は、少なくとも知っておくことが必要です。そして、自社商品がその社会でどのように受けとられるかを想像してみてください。

法規制の問題事例として、日本では最近、輸入冷凍餃子の衛生問題や、食品偽装(原産地、製造年月日等の虚偽表示)事件が相次いで発覚しています。これによって、食品衛生に対する関心が高まっており、食品衛生法等の法規制がさらに厳格になると見られます。常日頃から国際関連のニュース、特にターゲット市場に関連する情報の入手を心がけることが役に立ちます。

より直接的に影響する要因として、ターゲットの市場や業界の特性と動向があります。
最も重要なことは、「その市場に自社商品の需要が存在するのか」です。

工業製品ならば、自社の高い技術を受け入れるだけの成熟した市場が存在するのか。アジアの一部の国では、たとえ存在したとしても、既に多くの日系企業やその提携先があり、厳しい競争市場になっている所もあります。汎用技術の製品であっても、既にコスト競争力のある国々の企業によって安価品が供給されており、参入が困難なこともあります。

市場や業界についての主な情報を列挙してみます。
 ・市場の規模 (販売数量・金額)
 ・業界を構成する企業(競合他社、提携・代理店候補企業など)
 ・競合の度合い(競合他社の数、販売シェアなど)
 ・バイヤー(B2Cであれば消費者、B2Bであれば企業顧客)
 ・代替製品・サービス
 ・業界規制など

これらの情報は国内市場であれば、様々な経路から情報を入手することができます。しかし、海外の新規市場の場合、どこにこれらの情報があるのでしょうか。現地の調査会社を使って調べることも可能ですが、安価ではありません。調査を依頼する前に、ご自身でインターネット、各種メディア、展示会等で調べることをお勧めします。このことは、課題を絞って調査費を抑える、あるいはより詳細な調査依頼にもつながります。

1)インターネット
TTPPなどのマッチングサイトや、ターゲット国の業種別ディレクトリーで、競合する企業や製品があるかを具体的に確認することができます。また、ターゲット国の業界団体(協会)のホームページがあれば、企業リストや業界ニュースを収集することができます。欧米諸国には日本と同様、様々な業界団体があり、英語のウェブサイトもかなり充実しています。この他、TTPPの“グローバルリンク”のように、大使館や団体・機関のサイトには、各国の商業関連情報サイトや世界中の関連団体・機関にリンクを貼っているものもあります。インターネットで検索してみる価値はあります。

2)メディア・図書館
メジャーな分野であれば、業界新聞や業界誌が豊富に有り、世界の主な市場や技術の動向を掲載しています。中には、Eメールでの無料配信サービスもあります。また、ジェトロのビジネスライブラリーでも各国、各業種の様々な調査レポートやデータを閲覧することが可能です。

3)展示会
展示会の利用方法については、TTPPニューズレター2007年7月号*3にも書きましたが、展示会は情報の宝庫で、対象業界の一次情報が溢れています。国内で開催される国際的な展示会にまず足を運んでみてください。さらに、本格参入を考えているのであれば、ターゲット市場の関連展示会に足を運ぶことも十分価値があります。そこで感じる業界の「空気」には、どんなに詳細で高価な調査資料からも得ることのできない情報があります。

*3 TTPP活用術:あなたのビジネス案件は魅力的ですか?(2004年12月号)

このように、ターゲット市場を取り巻く環境を調査、分析することで、留意すべき重要なポイント、解決すべき課題、提携パートナーに求められる役割や資質がより明確になってきます。これらを踏まえ、今一度、TTPPの案件登録内容を見直してみてください。

輸出ビジネスでのリスク回避
この内容を印刷する2008年06月号
輸出ビジネスでのリスク回避
〜契約時には経費負担を明確に、契約後の価格・条件変更は慎重に〜

ジェトロ貿易投資相談センター アドバイザー(南西アジア担当) 森 秀三

私は商社で通算9年間のインド駐在を経た後、現在ジェトロで対インド・ビジネスの相談に対応しております。こうした業務経験を踏まえ、輸出ビジネスに経験のない、あるいは少ない方々のために、よくあるトラブルとその回避策をご紹介します。

貿易取引のトラブルには、契約内容の不備、相手を過度に信用する、商売感覚の甘さ等日本側に問題があることが少なくありません。特に、契約書の盲点や契約履行に際しての日本側の落ち度を利用し、法の範囲内で有利な条件を引き出そうとするバイヤーは珍しくありません。以下で、こうしたトラブル相談例を2件ご紹介します。

(1)代金回収不能
決済条件は一部前払い、残金は納品後30日以内であった。前金を受け取った後、出荷したものの、納品後30日を経過しても残金の送金がない。再三催促しても、返答は言い訳ばかりで、最後は輸入業者の倒産で、代金を回収できなかった。

このトラブルは、相手を過度に信用し過ぎたことに起因します。インドでは、零弱な資金力の代理店がビジネスに絡むことが多いので、特に注意を要します。新規の取引の際は、L/C決済などで100%代金を受け取った後に商品を引き渡す条件に徹することです。

(2)輸出機械の修理サービスの経費負担
輸出した機械の修理を要求され、専門家の派遣や交換部品の空輸等を手配する際、その対応内容と経費分担に関する契約を締結。修理完了後、相手側から契約額の値引きを要求され、不承不承応じました。送金された額は、見直し額から更に現地で発生する税金と銀行手数料を差し引いた額だった。

このようなトラブルを回避するには、第一に契約時に料金の算出根拠を明確にしておくこと、第二に契約後の値引きには応じないことです。手馴れた商売人は、相手の対応が甘いと思えば、とりあえず要求してみようということがあります。契約変更には特段の事情がない限り“NO”と言うことです。むしろ、こうすることが商売人として、信用されることにもなります。なお、相手国における内地税や銀行手数料等を売り手、買い手のどちらが負担するかも、契約時に明確しておくことも重要です。基本的には、現地で発生する経費は相手負担とすべきでしょう。

上記に加え、トラブルになりやすい例を幾つかご紹介します。

(3)商品価格の見直し要求
上記(2)のトラブルに似ていますが、契約後に、市況の変化や競合他社との関係で、商品価格の見直しを要求されることがあります。この要求を一度承諾すると、毎回見直しを要求されることになりかねません。価格見直しの要求に“NO”で回答した場合、契約履行に難色を示す相手ならば、その契約は破棄した方が安全です。

(4)インボイス(送り状)の金額引き下げ依頼
現地の関税支払いを節約するために、インボイス金額を引き下げ、その不足額を分割で支払いたいと依頼されることがあります。この依頼に応じることは外為法違反となり、またアンチ・ダンピングの対象になるかもしれません。不足額を別途払うと言っても、払われない恐れもあります。“NO”と断わりましょう。

(5)代理店契約における仲介手数料の送金先に第三国を指定
代理店契約書を締結し、仲介手数料の送金先の指定が第三国の代理人であった場合、その代理人が契約相手の身内であったりして、実質的に契約相手の個人収入になることがあります。このような場合、第三国への送金は脱税行為に加担したことになります。
指定された代理人(代理店)の業務内容を調査し、業務に見合った仲介手数料かをチェックすることが不可欠です。

輸出企業による効果的なオファーメール
この内容を印刷する2007年12月号
輸出企業による効果的なオファーメール
〜簡潔な要点でコンタクト、詳細はホームページで〜

有限会社フォーカス・ビジネスプロデュース 代表取締役 大石 達也

TTPPを活用して、広く世界に自社製品を紹介し、輸出の拡大につなげていきたいと思われている方が多いことでしょう。このような輸出企業が、成約につなげるために役立つヒントをご紹介します。

TTPPを活用した輸出ビジネスの第一歩として、まず興味を持ってもらえそうな相手先を検索機能を使って探索します。次に、これはと思う相手に自社・製品紹介のオファーメールを送付します。ビジネスの場面でなくても、人と人が出会う時、第一印象がとても大切なように、この最初のオファーメールで相手に与える印象が大変重要です。

1.良い第一印象と信用度アップのために
「言葉も文化も違う相手に、いかに良い印象を与えるか」を、まずはオファーメールを受け取る側の立場で考えてみましょう。

・この会社は本当に信用できるか?
・どのくらい本気でオファーしてきているのか?
・きちんとコミュニケーションできる相手か?
・製品品質は大丈夫か?
・納期や条件などの取り決めをきちんと守ってくれる相手なのか?等々

このように多くの疑問符が思い浮かぶ筈ですが、最も重要なキーワードは「信用」です。このため、オファーメールでは、少しでもこれらの疑問を少なくし、いかに信用を得るかが作成のポイントです。そこで、信用度アップのための留意点をご紹介します。

・フリーメールアドレスや個人メールアドレスではなく、会社独自のメールアドレスを使用する。
・簡潔で要点を押さえた内容を心がける。
・ただし、あまりに短いメールは本気度を疑われる。
・丁寧な英語文章を心がける。(特に、無料の自動翻訳などには注意)
・返信は誠実かつ迅速に、質問には的確に答える。
・詳細説明は、別ファイルで英文の会社概要や提案書などを用意する。
・売り込みに重きを置かず、まずは紹介に止める。

最後の点について補足説明します。人間は普通、いきなり直接的なセールスを前にすると自然にネガティブに反応してしまうものです。したがって、最初のオファーメールでは、自社および製品の簡潔な紹介に止めておくと良いでしょう。

2.会社・製品の詳細説明は英文の会社概要、ホームページでとにかく、オファーメールはあくまでも簡潔に要点を伝え、詳細は英文のホームページや会社概要を事前に用意しておき、参照してもらうようにすると効果的です。

自社製品の全ての情報をオファーメールに盛り込む例を時々見かけますが、受け取った側では、まったく新しい内容を理解し、判断することは結構労力がかかるものです。さらに、多忙な折には、ついつい後回しになってしまうか、そのうちに忘れてしまいがちです。まずは、オファーメールを読んでもらうためにも、英文の会社概要やホームページを別に用意しておきましょう。それでは、英文の会社概要作成の留意点をご紹介します。

・オファーメールの中では詳しく説明できない内容を網羅する。(会社情報など)
・Eメールで貼付送付できる形で用意する。(ワード、パワーポイント、PDFなど)
・先方の興味をいかに引く内容にするか考える。(自社技術の優位性、納入実績、受賞暦、メディア掲載など)
・重くなり過ぎない程度に画像を活用し、見せ方を工夫する。
・簡潔を心がける。

英文の会社概要を一度用意してしまえば、その内容を英文のホームページにそのまま流用することができます。また、ホームページの場合、掲載情報を適宜更新することで、相手に対してアクティブな印象を与えることも可能になります。

3.輸出入の業者は対等の立場で、相互に利益享受
最後に、国際取引において最も重要な「心構え」についてご説明します。
日本国内の取引では、「買ってやる」、「売ってやる」というような上下関係をよく見かけます。日本の伝統的な流通制度やビジネス慣習の中で生まれたこのような意識は、国際取引の場合には理解されません。つまり、一方的に利益を享受するのではなく、この取引を通じて輸出側も輸入側も対等な立場に立って、お互いに利益を享受するといういわば相互信頼に基づく「パートナーシップ」を重んじます。

このことは、よく「WIN-WIN RELATIONSHIP」 や 「FAIR BUSINESS」 という言葉で称されます。国際ビジネスにおいて、長期的かつ良好な関係を築くためには、これらの言葉の意味するところを理解し、実践されることが強く求められます。

輸出取引と消費税の控除/免除
この内容を印刷する2006年03月号
輸出取引と消費税の控除/免除

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

輸出取引に関しては消費税が免除されることをご存知でしょうか。「輸入取引には課税されるのに対し、どうして輸出取引は免税なのか」理由がわからないという方が時々いらっしゃいます。内国税である消費税は外国で消費される場合は課税されないという考えに基づくものです。外国の消費者が日本に税金を払っても、見返りがないから払う必要がないと考えれば、簡単に理解できるはずです。

輸出取引とは商品の輸出のみならず、国際輸送、国際電話、海外へサービスを提供することなどです。輸出取引と認められるには、商品輸出の場合には税関による輸出許可書が、サービス契約の場合は一定の条件を明記した契約書が、それぞれ証明として必要になります。

輸出取引の場合、輸出業者の売上げは消費税が免除されますが、その仕入れは課税されているはずです。この課税仕入れには、商品の仕入額のみならず、輸出取引に必要な経費(国内における通信費、交通費、事務用品の購入代、交際費など)が含まれます。
従って、消費税の申告の際に、仕入額に含まれる消費税および地方消費税は、輸出取引の場合は課税対象から控除することができます。

輸出専門の業者、あるいは輸出取引率の高い業者は消費税の還付を申告することになります。日本の場合、消費税の申告には特例があり、3カ月ごと、あるいは1カ月ごとかの期間選択ができます。一端届出すると、2年間はこの申告期間の変更ができないので、よく考えてください。この特例を活用して、こまめに還付申告すれば、還付金の多い業者の場合、還付金を資金繰りに入れることができます。ただし、管轄税務署によって、還付時期が変動することもありえますので、事前に問い合わせることをお勧めします。

当社は3カ月ごとに還付申告していますが、次のメリットがあります。年1回よりはチェックが楽なこと、輸出取引が多い当社の場合ある程度まとまった還付額になること、また輸出取引が少なく消費税を支払う場合でも多大な額にはならないことなどがあげられます。期間を一端設定すると、2年間は変更できないので、どんな取引形態が多いのか、その輸出取引が2年後までどのように推移するのか、資金繰り面でどのような影響があるのか等をシミレーションしてから、届出することが大事です。

また、当社は海外企業へのコンサルタント業務を行っておりますが、国内に常駐して国内で業務を行っている場合は輸出取引とは見做されず、課税対象となります。特に、海外へのサービス提供に関しては、課税か免税か税務署にご相談ください。控除や還付の対象となるのは、課税された業者だけです。日本では、税込み売上高が年間1千万円以下の業者には、消費税が適用されませんので、控除や還付を受けようとすれば、課税される業者としての届出が必要になります。

時々、海外の取引先に対し「社内の会計システムに輸出区分がないため消費税の処理ができない」と言って消費税分を上乗せし、高く売りつける業者がいることを聞きます。相手が日本の消費税法を知れば、たちまち信用を落とすことになりかねません。また、日本のメーカーが商品を日本の貿易会社に一端売り渡し、その貿易会社が輸出取引する場合、メーカーと貿易会社間は国内取引となります。これも時々勘違いしている業者がいます。

初めて輸出取引を行う際には、実取引が発生する前に、必ず消費税の処理についても考えてください。もちろん、管轄税務署の消費税の担当者が相談にのってくれます。概要については、次の国税庁ホームページのタックスアンサーをご参照ください。

すべての内容を印刷する輸入について

輸入コストの削減方法
この内容を印刷する2010年09月号
輸入コストの削減方法
〜現行のビジネスの見直し、無駄の排除と上手な交渉〜

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

輸入ビジネスは国内でいかに売るかが最優先課題ですが、この厳しい経済状況下にあっては同時に仕入コストも削減して経営効率、利益率、競争力の拡大を図らなければ生き残れません。

海外の企業に商品を売り、代金を回収する輸出に比べれば、輸入の方が手軽に始められるので、必要に迫られ、見よう見真似で輸入を始めると、どうしても知識や経験不足により、無駄な経費を垂れ流していることがあります。また、コスト・マインドが希薄な方の場合、コストが膨らんでいても気付かないケースもあります。

ただし、やみくもにコストを削減すれば良いというものではありません。特に一人ないしは小さな組織の場合、コストを削減するのに手間暇が膨大に増え、本来業務ができないというのでは無意味です。また、コスト削減はできるものの、リスクも増えるという場合も要注意です。コスト削減に伴い、マイナス面があれば何を優先するのか、上手に判断していくことも大切です。

以下、コスト削減の手順についてまとめてみました。

1.商品コストの分析

まずは現行のコストの分析をしましょう。支払相手とその金額や支払目的を整理します。支払相手には海外の業者、物流業者、税関などがあります。この作業で輸入業務の流れも同時に再確認できます。

初心者によくある失敗事例として、次のようなものがあります。
・海外の業者から不明な手数料などを請求され続けていた。
・知らない間に仲介者の手数料を上乗せされた金額を払い続けていた。
・請求書に記載ミスがあり過払いを続けていた。
・他の低コストのサービスがあるのを知らなかった。あるいは、TPOに応じてサービスを使い分けられなかった。
・輸入時の検査費用を考えていなかった(検査については、費用のみならず、時間もかかることなので、事前の調査が重要)。

また、円建て取引以外は為替リスクがつきものです。大口取引の場合は為替予約をすることが一般的ですが、小口取引の場合はよくシミュレーションを行い大きな差損が出ないような販売価格の設定が必要です。

2.自分(自社)でコスト削減できる方法を考え、実施する

次に上記1.に基づき、自分(自社)でコスト削減できる方法を考えます。取引相手との交渉の必要はありませんので比較的簡単に行えます。また、コストに強い経営体質を作るのにも役立ちます。そのチェック・ポイントとして、次の事項が挙げられます。
(1)見積受領時、発注時に不明な経費はないか、追加される経費はないか。
(2)請求書の明細を必ずチェック。
(3)請求された金額は妥当かどうか。
(4)正しい関税率が適用されているかどうか。
(5)適切な物流手段を選択しているかどうか。
(6)法規制を正しく理解し、行動できているかどうか。

上記(3)の請求額の妥当性については、日本では通常、2社以上から見積を入手し、納得できる価格と商品やサービスかどうかを見極めてから、取引先を決める方法がとられています。

上記(4)の関税率については、事前に通関業者に資料を提供し、調べてもらう。あるいは、ご自分で事前に税関に問い合わせるのもよいでしょう。

上記(6)の法規制についても、通関業者がアドバイスして(少なくとも問い合わせ先は教えて)くれる筈ですし、ジェトロのホームページにも日本の輸出入に関する制度・規格・手続きに関するQ&Aが提示されていますので、そちらもご参照ください。
 http://www.jetro.go.jp/world/japan/qa/

日本の制度や規格をクリアするために、海外の取引先に仕様の変更を依頼することもあるでしょう。仕様の変更が必要とされる場合、事前に海外の取引先からの理解と了承を得ること、仕様の変更に特別な料金がかかるのかどうかの確認も必要です。知識や情報不足のため、後からいろいろ依頼事項を出していくと、海外の取引先に迷惑をかけ、信用を失ってしまいます。

3.海外の取引先と交渉をする

交渉ごとは相手がある事です。しかも言語、文化、商習慣の違う海外とあって表現やタイミングにも非常に気を遣います。理由もなく値切りたおそうとする方がいらっしゃいます。私の長い経験から、一方的に損をしたり、一方的に得をしたりするビジネスは長続きしません。お互いがメリットあるような関係を構築できる提案を行うことが、成功の秘訣だと思います。

今回はコスト削減がテーマですので、値引き交渉のポイントとして、相手目線で考え、「値引きしても良い」と思える条件を提示することです。たとえば、

(1)将来の事業計画を提示して理解と協力を得る
 目先の発注分だけに対し値引きを依頼しても、相手はこの取引が今後続くのか、増えるのか、まったくわかりませんので、快く値引きに応じる筈もありません。継続し、拡大させる意思を数字で提示すれば、相手も協力をしようという気になる筈です。

(2)交換条件を提示する
 買い付け数量を増やすことによって、単価を下げてもらうのはよくあることです。他の商品も一緒に買い付けるので、単価を下げてもらうという交渉の仕方もあります。

(3)取引のメリットを感じさせる
 日本市場でのテストマーケティングの結果を報告する、日本市場の動向を教える、ネットショップでの広告効果が期待できる等々、本来なら有償となるような良いサービスを海外の取引先に提供することを交換条件に、値引きをしてもらう方法です。当然、口先だけではなく、相手に認めてもらえるだけの知識と誠意が必要です。

(4)建値の変更によるコスト・メリットや手間の削減
 貿易取引では、受け渡し条件による取引価格の設定を“建値”と言います。
 例えば、海外取引先への支払の観点から、現地工場での出荷時点の価格(Ex. Factory/Works)や、現地港での船積み時点の価格(Free on Board:  FOB)で買う方がメリットはあります。輸入国の港までの海上運賃を含めた建値(Cost and Freight: CFR)にすると、相手が海上運賃の変動要素を見積に余分に入れている筈なので、割高になるかも知れません。しかし、仕入価格の安定という意味で“CFR建て”とする企業もあります。また、“建値”とは、引き渡しと同時に所有権が移転する意味も持っています。個人事業者や小企業にとって、一端トラブルに巻き込まれると、貨物を回収するのが大変になるので、“CFR建て”にして当地の港で所有権を移転させる方がリスク・マネジメント上の効果を重視する考え方もあります。いずれにせよ、取引価格の設定は経験、知識、リスクの許容範囲とのバランスで決めると良いと思います。

日本人は相手の会社の大小や力関係、あるいは交渉相手本人の肩書きなどで態度を変える傾向にありますが、海外の方は交渉相手本人の人格や能力を見抜く力を持っているので、礼儀正しさ、相手への配慮、勤勉さ、誠実さ等人間力を磨くことも交渉を成功させる秘訣だと感じます。

<参考コラム>
 輸出入のコスト削減や迅速な手続きも工夫次第(基礎知識)
  http://www.jetro.go.jp/ttppoas/howto/index2j.html

TTPPを利用した海外商品調達
この内容を印刷する2008年11月号
TTPPを利用した海外商品調達
〜効果的な「買いたい」案件登録について〜

有限会社フォーカス・ビジネスプロデュース 代表取締役 大石達也

TTPPは、全世界の様々なビジネス案件約30,000件のデータベースです。これらの案件の中で、自社案件を際立たせ、アピールすることが、TTPPを効果的に活用することにもなります。つまり、単にビジネス案件だけを登録するのではなく、アピール対象を意識した内容の情報発信(公開)が必要です。今回は、案件登録の中でも、特に「買いたい」案件に的を絞ってお話しします。

「買いたい」案件のアピール対象は、当然売り手です。売り手が「買いたい」案件で重視する事項は何か考えてみると、次の事項が挙げられるでしょう。
 *自社が売りたい製品か。
 *希望する数量、価格帯、決済方法、その他取引条件が合致するか。
 *買い手国の輸入規制や法規をクリヤするために、信頼できる相手か。(自社の機密事項の開示を求められることがある)
 *買い手の支払い能力は信頼できるか。
 *マーケティング、販売力はあるか。
 *信頼関係に基づき、中長期の取引ができる相手か。

つまり、案件登録には、上記の情報をどれだけ多く、かつ正確に盛り込むかが重要です。

次に、各事項の内容について具体的にみてみましょう。

【製品】何を買いたいのか具体的に明記しているか。

例えば、「日本未紹介の○○を買いたい」と登録した場合、海外の売り手は日本市場を熟知しておらず、何が未紹介かわからないと思います。買い手が多くの売りオファーを受けた上で、取扱商品や販売計画を立てようとするならば、このような登録は効果的かもしれません。一方、闇雲に売り込みをする人はいるでしょうが、真面目な売り手にとってこのような買い手は取引に不安があり、真剣なオファーをしないと思います。売買当事者間の信頼関係構築や成約にこぎつけるには、手間と月日を要することは避けられないでしょう。

消費者向け商品を輸入販売する場合、販売広告を念頭に、ターゲット市場(消費者、大衆品・中高級品・超高級品等の商品ライン)を想定した商品発掘や、マーケティング戦略の検討が重要です。こうした検討があれば、商品の特徴や、販売初期の取引量、価格帯等を明示できる筈です。TTPP登録案件を見ていると、インターネット販売を含む小口取引を希望される方の中には、マーケティング戦略や販売計画について、さらに考慮が必要と思われるものも散見されます。

【取引諸条件の開示】できるだけ多くの希望取引条件を明記する。

買い手が販売計画を立てる場合、商品構成や価格帯、決済条件、納期、販売・流通コスト等の資金繰り・収益等を試算する筈です。海外から商品を直接輸入する場合、納期、品質管理、検品をどうするか、決済条件やリスク回避も熟慮の上、希望取引条件を明記することをお勧めします。外国語での商談にあまり自信がない場合は、できるだけ多くの希望取引条件を提示しておくことが得策であり、商談を効率的に進めることにもなります。なお、仲介業務の場合、仲介業の業務権限と責任範囲も併せて明記することが、信頼獲得には重要なことだと思います。

国際ビジネスでは、売り手と買い手の双方が対等な立場に立ち、公正で誠実に交渉を行う姿勢が求められます。その認識があってはじめて、長期的な信頼関係に基づくビジネスパートナーシップを構築することができます。私自身、国際ビジネスの現場で多くの事例を見、経験してきました。その中で、新商材の導入や新規市場開拓が成功するか否かは、いつでも、どの国でもビジネスパートナーとの信頼関係にかかっていることを実感してきました。案件登録の際にも、ぜひこの点に留意され、効果的にTTPPを活用されることをお勧めします。

輸入ビジネスで買付けミッションや商談会を上手に利用
この内容を印刷する2008年02月号
輸入ビジネスで買付けミッションや商談会を上手に利用
〜商品の選択眼、ビジネスプラン、相互理解のための資料作りと対話〜

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

私は輸入ビジネスをされている方へは「常に次の商品を探す」ことをアドバイスしています。現在利益が取れている商品があったとしても、その状態が未来永劫に続くわけではありません。慌てて探しても自社に合った商品を簡単に見つけることはできません。

先日、ベトナムの輸出業者を対象とする、現地での日本市場参入セミナーに講師として参加するとともに、在日ベトナム大使館主催の日本からの買付けミッションの商談会に立ち会いました。この経験を含め、買付けミッションや商談会の上手な利用の仕方をまとめてみたいと思います。

1.買付け品の販路、価格、数量を事前に考えておく
特に買付け初心者の場合、商品を見つけ、輸入することのみにエネルギーを費やしてしまいがちです。いかに国内で販売し、収益を得るかが後回しになり、失敗するケースが多々あります。

自社で取扱える商品か否かを的確に判別するには、輸入商品を誰にどのような形で販売するか、またその収益構造(いくらで買い、いくらで幾つ売れば、どの位の利潤が上げられるか)もある程度考えておかなければなりません。これを事前に検討ないし計画を立てている企業ならば、現地での自由時間をフルに活用し、工場見学やさらなる商品発掘に出かけ、成果を上げることができます。

2.相互理解のため、自らのビジネス紹介の資料を事前に用意
商談相手が途上国であったり、小規模な企業であったりすると、見下すような態度を取る人がいます。商品を供給してもらってこそ、初めてビジネスとなります。また、相手の情報を一方的に聞き出すのみでなく、自社のビジネス紹介のために、英文の会社案内や写真、サンプルなどを用意し、相手に正確に伝えることも重要です。

相互理解がなければ良い人間関係が築けず、良いビジネスにもつながりません。先日会ったベトナム・ビジネスマンは農村の手工芸職人から、数年で年商1,000万ドルの企業経営者となりました。誰でも、このような成功の可能性はあるわけで、謙虚に相手の話を聞くことが大切です。

3.商品ばかりでなく、経営者の信頼性、柔軟性も見極める
日本人バイヤーで、相手から提示される商品を見て、「買う、買わない」、「売れる、売れない」だけを繰り返している方をよく見かけます。「このような商品は作れないか」、「このように変更してもらえないか」の問いかけをしてみてはいかがでしょう。

このことは上記1ができていれば、自ずと出てくる言葉です。私が商談する際、商品のみならず、経営者に信頼がおけ、柔軟な姿勢で前向きに努力できる性格かどうかも必ず見ています。これはリスク回避にもつながりますので、是非心掛けてみてください。

4.普段から小まめに商品の選択眼を養う
商品を見る目は日々の積み重ねです。「面倒だ」、「どうせ行ってもないだろう」などと言わず、機会を捉えては足を運び、丹念に商品を見て選択眼を養うことが大切です。

実は、今回のベトナム出発前に、在日ベトナム大使館で打ち合わせした際、日本で売れそうな商品を見つけていました。現地で、偶然にもそのメーカーを訪問したのですが、欧州の大手量販店チェーンから500万ドルの発注を受け、この量販店チェーンの日本の店舗でも売られていると聞かされました。

このメーカーはかつて、日本の国際見本市にこの商品を出展した時、日本の業者からは引合がなかったそうです。概して、途上国のブースはディスプレイ技術が洗練されておらず、また日本市場に関する情報も少ないため、日本市場にあった商品が目立つ所に置かれていなかったりするのが、原因だと思います。

5.公的機関や商工団体の「買付けミッション」や「商談会」を利用する
公的機関、在日外国大使館、商工団体などが主催・共催する「買付けミッション」は、単独で行くよりも多くのメリットがあります。パッケージ旅行のため旅費の節約ができる、航空機やホテルの予約の手間が不要である、信頼できる現地企業を紹介してもらえる、随行員によるサポートが得られる、優秀な通訳を手配してもらえるなど、特に個人事業者や中小企業にとっては便利です。内容はミッション毎に違いますが、参加者は皆プロなので、業種や取扱商品が異なっても、学ぶことがたくさんあります。

また、海外に行かずとも、日本では国際見本市や海外から輸出者を招聘しての商談会が数多く開催されています。面白いことに、輸出業者から、日本国内で把握できないような日本の業界動向を教えてもらうこともあります。企業や商品、情報との出会いの場として、ミッションや商談会を積極的に活用したいものです。

過去のコラムに関連する内容のものがあります。併せて参考にしてください。

2007年7月 商品展示会を効果的に利用するには

2006年2月 輸入を始める相手とのコンタクト方法

小額輸入代金の決済方法
この内容を印刷する2007年11月号
小額輸入代金の決済方法
〜銀行送金、クレジットカード決済、ゆうちょ銀行の国際送金サービス〜

有限会社フォーカス・ビジネスプロデュース 代表取締役 大石 達也

海外企業との取引決済方法には通常、銀行経由の電信送金(Telegraphic Transfer:T/T)と、高額であれば信用状(Letter of Credit:L/C)決済が用いられています。T/Tでは国内での円貨送金と比較して割高な手数料が、L/Cでは開設時に銀行の審査が、それぞれ必要とされます。小額決済の場合、クレジットカードによる決済やゆうちょ銀行(旧郵便局)の国際送金サービスを利用する方法もあります。

今回は、100万円以下の小額な輸入、サンプル購入の代金支払い方法について、銀行送金、クレジットカード決済、ゆうちょ銀行の国際送金サービスの3種類をご説明します。

1.銀行送金
ある都市銀行の普通扱いでの外国送金手数料は、海外他行向け送金で4,000円、さらに円為替・外貨取扱手数料が、ミニマム料金で2,500円かかります。自社の通常の円口座から米ドル建て海外送金する場合、見かけ上は手数料の4,000円だけですが、円・ドル為替レートの為替手数料が上乗せされます。円建て海外送金の場合も、4,000円+ミニマム為替手数料2,500円の計6,500円が掛かります。送金コストを抑えたい場合、銀行間の外国送金手数料と外国為替手数料とを比較すると良いでしょう。

銀行送金は、以前は銀行の外国為替窓口に行かなければなりませんでしたが、最近はオンライン・バンキングでの取り扱いも可能になりつつあります。もちろん、オンライン・バンキングでも、手数料は別途掛かります。

ただし、T/Tでも、輸出業者(受取人)が入金を確認できるのは、通常2〜3日程度のタイムラグがあります。したがって、前払いの場合、このタイムラグを考慮する必要があります。

2.クレジットカード決済
輸入代金の最も簡単な支払方法はクレジットカードによる決済で、外貨取扱手数料(あるクレジットカード会社では2%)と為替手数料です。

小額な取引の場合、銀行(ゆうちょ銀行含む)の国際送金手数料に比べ、安くなる可能性があります。さらに、クレジットカードの代金引き落としは通常、1ヵ月程度の支払い猶予期間があります。小額なサンプル代の決済には最も手軽な方法といえます。ただし次の注意点があります。

1)クレジットカード詐欺に合わないために、送金先が確かな相手であること。
このことはどのような取引でも重要ですが、クレジットカードの場合、特にセキュリティに注意する必要があります。最近、多発するクレジットカード詐欺事件を防止するため、所持人確認が厳しくなっています。
2)通常、クレジットカードの限度額が事前に設定されており、決済額はこの限度額以内となります。
3)輸出者がクレジットカードによる支払いを受け付けない場合があります。
4)セキュリティー上、クレジットカード情報をEメールで送ることには問題があります。電話で直接、あるいはファックスでの送付が比較的安全です。ただし、ファックス番号を間違えないことに、特に注意を必要とします。
5)手数料はクレジットカード会社によって異なると思われます。ご自身で為替手数料を含めたトータルコストと銀行送金でのコストと比較、確認してください。

3.ゆうちょ銀行の国際送金サービス
輸出業者(受取人)がクレジットカードを受け付けない場合や小額決済の場合、ゆうちょ銀行の国際送金サービスを利用する方法が割安です。送金方法には、先方の住所宛て送金と口座宛て送金の2つがあります。手数料はどちらも一律2,500円です。

ただし、米国住所宛て送金の場合は、為替証書を自分で国際スピード郵便(Express Mail Service: EMS)や書留などを使って送付することになります。この場合は為替証書作成手数料として2,000円、および別途郵送費がかかります。所要日数は、米国向けの場合5〜12日程度とのことです。

なお、住所宛て送金の場合、相手が為替証書を受け付けてくれるかどうかの事前確認が必要です。また、窓口で送金可能な国と通貨、送金上限額を確認することも必要です。
米国向けは米ドルのみで、7,000ドル/回が上限です。法人名義の送金の場合、登記簿謄本などの提示が求められます。

ゆうちょ銀行・国際送金について(日本語のみ)

◆ジェトロ海外情報ファイル(JETRO-FILE)・代金決済について
 『貿易・投資相談Q&A』画面の中央から“輸出(輸入)に関する基本的な制度等を知りたい”をクリック後、画面右側の「代金決済」をご覧ください。

以上、3つの決済方法をご紹介しましたが、利用上の細かな注意や手数料については、必ずご自身でご確認の上、ご自身の責任において上手にご活用ください。

最後に、最も重要なポイントは、輸出企業が信頼できる相手であるかどうかで、取引相手を事前に良くチェックしておくことが必要です。国際取引で「送金したけど、いつまで経っても商品が届かない」というケースをよく耳にします。お気をつけください。

海外の製品・部品の品質問題の改善方法
この内容を印刷する2006年11月号
海外の製品・部品の品質問題の改善方法

ピーケスZDコンサルティング 代表 シニアコンサルタント 神谷 徹

海外の製品や部品を輸入し、日本で販売する時に注意しなければならないのが品質です。
ある高級腕時計の輸入販売会社によれば、定常的に10〜15%の不良(傷などの外観上の不良を含む)があり、自社で補修したり、海外メーカーへ返品したりと、その手間とコストはお客様への納期遅れによる機会損失を含めると、年商の15%以上になるそうです。

海外製品の品質問題にどのように取り組んでいけば良いか、その対応をいくつかご紹介します。
1.報告・フィードバックする:見られると頑張る。
2.検査基準を明確にする。
3.報告に際しては、ダブルスタンダードを避ける。
4.最終的に、基準を合わせる努力を続ける。

1. 報告・フィードバックする:見られると頑張る
上記の例では、海外メーカーに検品不良率10〜15%を報告することです。これは言葉やまとめる手間の問題があるものの、フィードバックするだけで、かなりの改善が期待できます。海外メーカーや供給業者は日本国内と違い、出荷後の品質問題のフィードバックが届きにくく、製造現場も比較的のんきです。海外の会社の場合、販売会社と保守会社の棲み分けが明確なことや、返品後の処理プロセスが比較的整備されているので、「交換したから良いでしょう?」という返事がくるでしょう。ですから、「あなたの会社から出荷した製品の品質はxx(例えば10%の不良率)ですよ」と報告するだけで、その改善効果がすぐに現れます。つまり、「見られると頑張る」からです。

しかしながら、これを数ヵ月繰り返すと、改善のスピードが鈍る場合がほとんどです。これにはいくつかの要因があります。
・当初の単純ミスがなくなり、より一層改善するのにスキルや経験が必要になる。
・検査基準が双方で違うと、言い訳し始める。
・日本での結果やデータを疑い始める。検査・検品方法を疑う。
・日本人異質論を展開する。

2. 検査基準を明確にする
次にしなければならないことは、その検査基準を明確にしておくことです。日本人は特に傷などの外観上の問題に神経質です。もし先方が基準が違うからだ、日本人はほんのわずかな傷でも不良扱いにすると反論してきたら、まずその基準を先方から提示してもらい、日本で受け入れられるものかどうかを確認します。例えば、傷ならば大きさ、深さ、単位面積当たりの数など、客観的、論理的に交渉しないと、水掛け論になってしまいます。もし日本で受け入れられるものであるならば、その基準を使って日本で検査・検品しましょう。

3. 報告に際しては、ダブルスタンダードを避ける
大多数のケースにあてはまることですが、先方の基準が日本のマーケットで受け入れられないレベルである場合、不良として報告をするのは、先方の基準で不良となったものだけに限定します。先方の基準で良品でも、日本で受け入れられない場合、これらを返品したり、自社で補修したものを含め、不良として報告すると、基準が2つ存在することになります。特に、欧米のようなマニュアル社会では、このような状態を「ダブルスタンダード(基準が2つある)」と言って、たいへん嫌います。「君たちの基準で検査して不良品が10%もあるよ。ちゃんと管理しているの?」と、議論すべきでしょう。

4. 最終的に、基準を合わせる努力を続ける
最後に、ダブルスタンダードをシングルにする努力を続けましょう。先方が皆さんの会社や日本のマーケットのより厳しい基準に合わせることが、ほとんどでしょうが、たいへん根気のいることで、時間もかかります。

稀なことですが、かなり古い時代の基準をそのままずっと使用し、いつのまにか過剰品質になっていませんか?良い機会ですので、是非皆さんの会社の品質基準を見直してみてください。

輸入を始める相手とのコンタクト方法
この内容を印刷する2006年02月号
輸入を始める相手とのコンタクト方法
〜相手への要件伝達の工夫と配慮が大切〜

株式会社ワイズワース 代表取締役 河口容子

輸入取引を開始する時、たいていカタログやサンプルを取寄せることから始まります。ところが、いつまで経っても依頼したものが送られて来ないという苦情をよく耳にします。もちろん、一方的に相手が悪い場合もありますが、自分にも非がなかったか反省してみることが必要です。

コンタクトする際の留意点として、1)依頼状にあなたの取引プランを紹介していますか? 2)サンプル依頼でも、発注書と同じような事項(商品名/番号・数量・納期・費用負担等)を明記していますか? 3)相手にEメールやFAXが届いているか確認していますか? 4)依頼したものが届いた時、お礼と今後の方針等について連絡していますか?これらのいずれもが、国内・海外を問わず、ビジネスの基本だと思います。

第一に、相手が関心を持ってくれるような依頼状を書いたかどうかです。初心者の場合は、文例集のようなものを使いパターン化された依頼状を書くことが多いと思います。相手が是非取引をしたいと思うような内容を書いているでしょうか?例えば、会社案内やウェブサイトの英文版があればこれを提示し、どんな企業であるかを知らせるとともに、輸入予定の時期や数量、あるいは商品を取り扱いたい理由などを書くことです。これらの情報があれば、相手は具体的な判断や行動を起こしやすくなります。

逆に、海外だから、日本のことはわからないだろう、日本語は読めないだろうと、相手の関心を引くために、架空の話を持ちかける日本の企業や個人事業者がいることも聞いています。相手が現地のジェトロや日系商工会議所、日本大使館等に問い合わせたり、日本人に調査を依頼することもありますので、ビジネス・モラルから外れない言動をしたいものです。

次に、よくある例で、サンプルが予定どおりに届かないケースです。日本ではほとんどの商品に季節性があると言っても過言ではないでしょう。一定の時期までにサンプルを入手し、商談ができなければ、商機を逃してしまうケースが多々あります。何種類かのサンプルが必要な場合、商品番号と数量のほか、納期、費用負担も含め、発注書様式で確認することです。

日本人の場合は、口頭やEメールの文面のみで遣り取りし、途中の変更や時間の経過により、最終の発注内容がわからなくなる場合があります。相手に「勘違いしていました。申し訳ありません」と言われて終わらないように、きちんと文書で確認することが必要です。また、納期までのチェックポイントを決め、その都度、進捗状況の確認をすることも大切です。

さらに、国内取引でもよくあることですが、依頼をFAXやEメールで送った後に、相手がきちんと受け取っているか、内容を承諾したかどうかの確認も必要です。特に、相手が途上国の場合、回線やプロバイダー、受信機器の故障などで受信できていないこともあります。相手からのリアクションがないと勝手に怒り出す前に、Eメール、FAX、電話などいろいろなコンタクト手段を活用し、連絡を取ることをお勧めします。

当社は、アジア関連のビジネスが多いのですが、「日本へカタログやサンプルを送っても、その後の連絡がない」という苦情をよく聞きます。数社の製品を比較検討したり、参考資料として取り寄せる場合もあるでしょう。カタログやサンプルを受け取ったお礼とともに、今後の方針や検討結果を知らせることは、ビジネス・マナーであると思います。

海外取引の場合、国内取引よりもはるかにきめ細かな説明や確認が必要です。取引がうまくいかなかった原因を相手のミスや自分の語学力不足のせいにしがちですが、自分の知識や配慮、工夫が十分であったかをまず振り返ることが改善につながります。

TTPPご利用ガイド

ピックアップ情報

農林水産物輸出支援

インド鉄道産業支援

インドネシア輸出支援

ロシアからのビジネスプロポーザル

貿易実務オンライン講座
グローバルリンク

ニュース配信

1日2回、新着のビジネス案件を配信しています!

  • Eメール
  • 携帯電話
  • RSS

TTPPニューズレターバックナンバーはこちら

詐欺メールへの注意喚起