ジェトロ山形作成                       最終更新日:2003年12月15日 2003.12.15 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(50) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ボストンを含め米国東北部は12月5日(金)、6日(土)、7日(日)と大雪で した。月曜日の8日も多くの学校はお休みになってしまいました。町中でも1メ ートル以上の雪が積もり、除雪作業に用意された財源の1/4から1/3を既に使っ てしまった町も少なくないとテレビで報道されていました。12月初旬にこのよ うな大雪が降ったのは20年ぶりとのことで、昨年以上に厳しい冬になる事が予 測されます。 さて先日、気温がぐっと下がった時(零下10度以下)に妙な実験をしてみまし た。3種類の寝袋を用意して部屋の暖房を消し、この寒い中(と、言っても7 度くらい)眠れるか試してみました。薄いものから極寒用まで試しましたが、 結局眠れず翌日寝不足になってしまいました。なぜこのようなことをしたかと いうと、最近、東欧諸国の地下鉄の地下道・下水道トンネルで生活している子 供達(他)の写真を見たからです。この子供達は(毎日の食料確保が先決で) 雪国で欠かせない物を選ぶ余地は無いのです。これらの写真は、Keystone Human Services (キーストーン・ヒューマン・サービス)- www.keystonehumanservices.org - というNPOでCEO(最高責任者)を務めな がら、写真家として世界中を旅行して色々な写真を撮り続けているDennis Felty(デニス・フェルティー)氏のものです。 直接お会いして話を伺いました。フェルティー氏は、学生時代、精神薄弱者救 済活動に興味を持ち、数々のNPOを立ち上げ(吸収合併を含め)、現在の大規 模なコミュニティー・サービス慈善事業団体を築きました。本拠地は、ペンシ ルバニア州・ハリスバーグ市。12の所属するNPO(子会社?)を持ち25ヶ国( 日本は含まれていません)で独自のサービスを提供して、年間収入は2001/ 2002年度で80億円を超しています。フェルティー氏は米ソ冷戦時代、空軍戦術 部隊飛行士(空軍大佐)として過ごし、元共産圏諸国上空を偵察していたそう です。でも、「その時地上にいた子供達の生活状態までは見る事が出来なかっ た。」と言われていました。飛行中に、色々な慈善事業のアイデアを練ってい たそうです。 元ジェトロ北海道 所長・大久保徹夫氏(現ボストン総領事館・経済担当領事) が下記URL記事中でボランティア活動について日本と諸外国の違いを述べてい ます。是非読んで頂きたいです (http://www.jetro.go.jp/ove/sap/business/trade/363_1.html)。 大久保氏は、「これからは、地域経済に直接的な効果をもたらすビジネス交流 ミッションの海外派遣などは別にして、地域の国際交流活動をはじめとして多 くの分野で民間ボランティア団体が活動を担っていくという「ボランティアの 国」アメリカのやり方が主流になっていくのではないか。」と指摘しています。 2年以上前になりますが、ジェトロ山形事務所が中心となり米国テロ被害者の 為に募金活動を行いました。つい最近になり、その時の活動はジェトロとして 行ったものではないことを知りました。 http://www.jetro.go.jp/ove/yat/backnumber/20011001.txtの告知板に出てい ましたが、「県民の思いを米国に向けて発信するとともに、義援金を集めるた めに、米国滞在経験者、観光・留学・ビジネスなどで米国にかかわりのある県 内の有志が集まり」行なわれた事実に気付きました。このような思いを実際に 行動に移す事はこれからさらに必要だと思います。 ちなみに大久保氏によると、ジェトロ自身が直接慈善事業やボランティアにか かわることはほとんどないとの事ですが、ジェトロ内の有志で行っているボラ ンティア活動などはあるそうです。このような動きがあることは、将来の日本 外交政策に大きく役立つと思います。いっそのこと、社員がこのような活動に 参加する事を組織として義務付けてみてはどうかとも思います。 日本には日本独特のボランティア精神があることは認知しています。マサチュ ーセッツ州ベッドフォード市にある「鯨博物館 (Whaling Museum)」- www. whalingmuseum.org - に勤務されていた豊橋市出身・牧野浩子さん(日本で自 動車会社に勤められ、アメリカでMBAを取得)は「日本のボランティア活動原 点は、総代会とか町内会にあるのでは。」と指摘されました。また「日本は、 役名がついていないと動かないのでは。」とも言われました。非常に痛いとこ ろを指摘されたと思いました。 日本には、素晴らしい技術と製品があります。私達は寒い雪国(山形とボスト ン)に生活していても、心の中には色々な温もりがあります。貧しい状態で生 活している人達、特に子供達に何か届けてみてはどうでしょうか。企業、組織、 肩書きに関係無く、慈善事業分野でフェルティー氏のようにベンチャーしてみ るのも面白いと思います。このような活動は、現在日本でブームになっている 中国(の子供達)に対しても損得抜きで必要だと感じます。 読者の皆さんが、良いお年を迎えられる事をお祈り申し上げます。   バリッド・テクノロジー・グループ http://www.validtechnology.com    代表 黒木嗣也 Edward Kuroki          (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.12.01 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(49) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2001年9月からこのシリーズを寄稿し始めて二年以上経ちました。この間、色 々な会議に出席して様々な人達と接しました。その中で一番「面白い」と思っ たのは最近出席した The 7th Annual U.S.- Russian Investment Symposium (第7回米・ロシア投資シンポジウム−米・ロシア会議では最大規模−11月12 〜14日) - www.usris.org - でした。これは、ハーバード大学内ジョン・F・ ケネディー政治学部、ベルファー科学・国際問題研究所(The Belfer Center for Science and International Affairs, John F. Kennedy School of Government, Harvard University) - http://bcsia.ksg.harvard.edu - とダ ウ・ジョーンズ(Dow Jones)社 - www.dowjones.com - が共催で行った会議 です。 まずこの会議に行って目に付いたのは、米国陸軍士官学校 - www.usma.edu - の制服を着た人達でした。各人制服に「警備(Security)」と書いたバッジを つけているのです。一瞬、会議場を間違えたかと思いました。話を聞くと、こ の会議には元・政府高官ならびに現・政府民間重要人物が参加しているので、 あまり大げさにならない程度の「制服組」が警護にきたそうです。また、参加 者の半数以上がロシア人なので、ロシア語を勉強している士官学校生徒が選ば れて来たそうです。 会場には、ロシア・テレビ・ラジオ放送局、ニューヨーク副支局長を務める米 国人・パトリック・クラーク(Patrick Clark)氏がおり、両国から参加した 重要人物を紹介してもらいました。ちなみに、このクラーク氏は講談社のレポ ーターも務めているそうです。また、ロシアからはモスクワ・タイムズ(The Moscow Times) - www.moscowtimes.ru - とインターファックス(INTERFAX) - www.interfax-news.com - の記者にも会い、日本に対する鋭く厳しい指摘 も受けました。また、インターファックス社セレゲイ・バビチェンコ(Sergey Babichenko)氏は「米国はロシアが米国を必要としている以上にロシアを必 要としているのではないか。」と、元・GEキャピタルCEOのギャリー・ウェン ト(Gary C. Wendt)氏からは「それは逆だろう。」との発言もありました。 3日に渡るシンポジウムのどの会場でも話題になったのは、最近問題になった ユーコス・オイル事件のことでした。そして会場では、オイルとガス・ビジネ スに関する資料が目に付きました。PR分野で世界的に有名なフライシュマン・ ヒラード(Fleishman Hillard) - www.fleishman.com - 社で副社長を務める アンドリュー・ケイテル(Andrew Katell)氏によると、「ユーコス事件に関 する論議はあくまでも政治的な動きであり、全体のビジネスにはさほど影響し ない。」との事でした。 株価市場がまだ成熟していないロシアですが、ベンチャー熱は高まっており、 特に飲料(特にビール)・食品関係分野の動きに今後注目すべきだと思います。 一般的に未だ欠如している分野は、戦略投資・(先進国と対応可能な)企業管 理体制、またベンチャー・ビジネス教育体制であるとの声が参加者からあがり ました。 このシンポジウムの広報並びにまとめ役を務められたイザベラ・タバロフスキ ー(Izabella Tabarovsky)さんによると、「米・ロシア関係は今後、日本・ ロシア関係にも大きく影響すると思われるが、日本からの参加者は誰もいなか った。」との事でした。会議終了後にわかったことですが、シンポジウムのロ シア食料・農業分野に関するセッションで素晴らしい発言をされた女性は、テ キサス州ヒューストン市のKILE AMラジオ放送局 - www.kile1560.com - でロ シア語番組を10年以上も続けられているイザベラさんのお母さん、ソフィア・ タバロフスキー(Sophya Tabarovsky)さんであることがわかりました。この ような女性の力が、これからの国際関係を動かすには大切であると感じさせら れました。 ロシアでも、現在「日本ブーム」(アニメも含めて)だと会議参加者の多くか ら聞きました。米国だけではなく日本との取引を望むロシア企業が多数あるこ とも知りました。(ニッチのマーケットを狙う戦略で)ロシア市場に進出する 投資効果は大きいのではないかと思います。   バリッド・テクノロジー・グループ http://www.validtechnology.com    代表 黒木嗣也(黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.11.17 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(48) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「アメリカの景気はどうですか。」と、よく日本の友人・知人から聞かれます。 非常に漠然とした質問ですが、色々な戦略を決定するのに根本の部分です。 政府刊行物、学術誌、新聞などには著名な経済専門家の見方が述べられていま す。日本ではアメリカの状態は上向きに見えているのでしょうか。 以前から自分が、生きた庶民の情報を収集する手段としているものに、毎日通 っているYMCA(www.mvymca.org)−非営利法人・健康運動施設−があります。 平日は朝5:30から夜22:00まで利用できます。各人が個別に色々な運動が出来 ると同時に、子供・大人向けに様々なクラスもあります。時間帯によって来る 人達が違いますが、各人のパターンはほぼ決まっているようです。特に早起き で来るメンバーは1時間おきに変わります。05:30-07:00は20-30歳代。07:00- 08:00は30-40歳代。08:00-09:00は40歳から上の年齢と言えます。人種的には このYMCAは白人が中心ですが、その他に多いのはロシア、インド、中国、ヒス パニック系です。 多くのメンバーは運動が終わるとサウナに入り、「井戸端会議」ならぬ「サウ ナ会議」を始めます。家族、学校、趣味、仕事のこと等話題は様々で、意見・ 情報を交換し合います。皆ビジネス抜きで、お互いタオル一枚の裸のお付き合 いです。年齢・職業を気にせずFirst name (下の名前)で呼び合っています。 実はこの環境が本音でアメリカの声を聞ける格好の場なのです。(と、自分で 勝手に思っています。)何か疑問があると、すぐに教えてくれます。 ここ4〜5週間、「アメリカの景気」について「サウナ会議」で得た情報は、10 /20/2003発行のBusiness Weekで報じられていた情報(特に、JAMES C. COOPER & KATHLEEN MADIGANの記事)とほぼ一致しました。要約すると、労働省 (http://www.dol.gov)などが発表した統計によると表向きは景気(購買力) は回復したかのように見えますが、その反面、例えば仕事数は増えても雇用数 はあまり増えていない。また、(税金も含めて)医療・保険費などが毎年毎年 (強調せざるを得ません)値上がりする為、雇用者にとっても労働者にとって も負担は増える一方です。全体的に見ると、「アメリカの景気」は横ばい状態 であると判断できると思います。(イラク戦争の影響もかなりあります。) アメリカには、日本とは違い国民健康保険制度がありません。雇用者または個 人で選択する保険によって質・金額の差は激しく、選挙のたびに候補者が大き く取り上げますが依然解決されない問題の一つになっています。おちおち病気 になってはいられません。例えば、夫婦と子供一人の家族が標準の健康保険に 入るには、1カ月約1000ドルかかります。この場合でも自腹払い部分はゼロで はなく、何かあったら出費です。薬品・歯科治療は含まれていません。最近は、 過去に毎月の保険料を全額払っていた州政府機関でも個人負担を要求するとこ ろが増えました。また、医療関係機関の質も営利法人化・リストラ化で低下し ており、病院で働く人達(特に看護婦)の待遇が問題になっています。切り詰 めて、切り詰めて、最大限の利益を出すやり方の病院が増えています。 YMCAの「サウナ会議」に来る人達は皆、「アメリカの景気」を支える人達の一 部です。問題があっても、世界の色々な国から来た人達が知恵を出し合えば何 らかの解決策が生み出せると信じます。「必要は発明の母」であることをサウ ナの熱気と共に感じます。   バリッド・テクノロジー・グループ http://www.validtechnology.com    代表 黒木嗣也(黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.11.04 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(47) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「イーコマース」と言えば「e-Commerce(Electronic Commerce):電子商法」 を意味し、聞き慣れた表現の一つになりました。英国のB2B「イーコマース」 市場を専門に扱うASP Media Ltd が、1年程前から「イーフォーレックス:e- FOREX」という雑誌(www.e-forex.net)を発行しています。「イーフォーレッ クス」とは「e-FOREX:電子外国為替(取引)」を意味します。 日本でも金融の自由化や電子商取引が一般化してきたことに伴って、特に去年 から今年にかけて検索エンジンのヒット数が増えたキーワードの一つに、「外 国為替」の「電子取引」があります。語弊はありますが、「外貨」が商品のよ うに小売・卸売り単位で、インターネット上で取引される時代が来たことを示 唆しているかのようです。BIS(Bank for International Settlement - 国際 決済銀行 - www.bis.org/index.htm)が約2年前に行った調査によると、「外 国為替」は世界で最も流動的な金融市場であることが指摘されています。また 、金融・経済分析で著名な"Greenwich Associates" (www.greenwich.com)が 出した"Online FX - Rising Tide Getting Higher Than Ever, April 22, 200 3"(インターネット上オンラインによる外国為替取引市場報告書)では、2005 年までにこの市場で、1,000億ドル以上の外貨がオンラインで取引されるであ ろうと予測しています。 さて、上記「イーフォーレックス」マガジン2003年10月号(88-90ページ)に 「Integrating a White-Labelling Solution」と題して、比較的安価で容易に “ターンキー”MSP(*)モデルでインターネット上オンライン外国為替トレー ディング用プラットフォーム・ソフトを開発・販売している ActForex(アク ト・フォーレックス)社のことが出ていました。この会社は2000年、ロシア人 ・Ilya Sorokin (イリヤ・ソロキン)氏によりニューヨーク州ニューヨーク 市マンハッタン、世界の金融が集まるWall Street(ウオール・ストリート) に設立されました。 ソロキン氏は70年代、ロシアから文字通り「裸一貫」でアメリカに来て、マサ チューセッツ州ケンブリッジ市で教育学を修めた後にコンピューター分野に入 り、色々な保険・金融IT機関で上級プログラマーとして活躍し、NASDAQ(ナス ダック:全国証券業協会相場伝達システム。世界初の株式電子取引所として 1971年に創設された全米店頭市場)で情報エンジニア・コンサルタントを務め た時にウオール・ストリートで起業する夢を持ったとのことです。 現在アクト・フォーレックス社は、社長兼CEOであるソロキン氏を筆頭に合計 30人以上の管理者・技術者が勤務、また、ソフト開発チームはロシアのセイン ト・ピーターズバーグに拠点を置き、データ・センターはニューヨーク市の隣、 ニュージャージー市にあります。アクト・フォーレックス社製品の特徴として、 非常に信頼性の高いセキュリティー技術が挙げられます。これはソロキン氏が 同社を設立する前に高度なオンライン・セキュリティー技術開発に携わってい たことが影響しています。同社が開発した製品は既に、米国、韓国、日本、ヨ ーロッパ、英国、中近東、東ヨーロッパ、南アメリカの金融市場で導入されて おり、今後戦略パートナーと提携することによって大きく事業展開することを 望んでいます。また、同社の製品とサービスは外国為替に限らず先物取引分野 等での応用も可能で、他分野での活躍も期待できます。 追加情報として、前述「イーフォーレックス」マガジン同号に、「What's driving the increasing uptake of eFX in the Asia/Pacific region? (何 がアジア諸国でオンライン外国為替トレーディングを急増させているか)」と 題する記事も出ており、その中にはACI Asia-Pacific Congressによる裏付け データ、中国がWTOに加入した事による外国為替市場への影響、さらに、東京 三菱銀行がオンライン外国為替トレーディング用プラットフォームを導入した 例なども紹介されています。今後、活発な動きが起こる分野だと思います。 * MSPは「Managed Service Provider (マネージド・サービス・プロバイダー )」の略で、「http://www.ctc-g.co.jp/sbd/msp/msp3.html」で上手く説明さ れています。また、「http://www.ctc-g.co.jp/sbd/msp/msp1.html」には「E- ビジネスを成功させるためのインフラ」としてASPと MSPの比較も出ています。   バリッド・テクノロジー・グループ http://www.validtechnology.com    代表 黒木嗣也(黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.10.15 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(46) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こちらは、今紅葉がとても綺麗です。英語で「紅葉」のことを、「foliage」 と言います。インターネットの検索エンジンで、「New England (米国東北部 のことを指します)」と「foliage」を同時に入れて「Enter」すると、下記の ようなサイトが出てきてこちらの美しい光景が楽しめます。 http://www.photo.net/us/ne/foliage http://www.yankeemagazine.com/foliage/index.php http://gonewengland.about.com/library/blfoliagecentral.htm 紅葉で美しい山々を歩いて見かけるのはバケツの下がったカエデの木です。 そして、「Sugar House」と呼ばれるメープル・シロップを作る小屋です。 ちなみに、「カエデ と もみじ /1998 Copyright HAJIME HAYASHIDA」 - http://www.inh.co.jp/~hayasida/top.html - によると、メープル・シロッ プが出来るカエデは「イタヤカエデ」と呼ばれるもので、「イタヤカエデは木 材として、あるいはシロップを採取する有益なカエデです。日本全国に分布し、 種類数や産出量も多く、それぞれが分布に特徴をもっており、工業的には最も 重要なカエデ材料です。大きく7つ挙げられますが、オニイタヤ、イトマキイ タヤ、エンコウカエデは静岡県近郊でも見られます。エゾイタヤ、アカイタヤ は北海道や日本海側で見られます。ウラジロイタヤ、タイシャクイタヤは一部 の地域に分布が限られています。イタヤカエデについては種(しゅ)の判別の ページで葉の特徴について詳しく述べます。」と説明があります。 又、メープルシロップの作り方として、「カエデ類はもともと糖分を含むが、 北米産のサトウカエデ、その変種のブラックメープル、アメリカハナノキ、ヒ ロハカエデ、ネグンドカエデ次いで欧州のコブカエデ、日本のイタヤカエデな どが砂糖採取に使われる。樹液には1〜5%の蔗糖を含む。採取期は2月上旬 から4月下旬、生育の強い樹を選び、地上1mの部分に径1cm、深さ5〜8cm の穴を2〜5箇所あけ、ガラス管かゴム管を差し込み流れ出る液を1升ビンな どに受ける。これを金ダライなどを用いストーブで過熱濃縮する方法が最もよ いので農家の副業に適する。北海道、静岡県での生産が知られている。径30cm イタヤカエデ1株から平均600gの砂糖が採れ、褐色、結晶粒大粒で氷砂糖の ごとくアイヌ文化の1つである。以上、上原敬二:「樹木大図説」(有明書房) から引用しました。」とありました。 ちなみに、「2000年 奈良/玩槭庭 矢野正善作製」の日本カエデの日本都道 府県別分布表(2001年3月20日現在) - http://www1.kcn.ne.jp/~ganshuku/ nihonbunpuhyo.html -を見ると、山形県にもメープル・シロップの採れるカエ デの種類はあるようです。 米国北部には、Massachusetts Maple Producers Association - www.massmaple.org - を含め、メープル・シロップ生産関係団体が数多くあり ます。日本ではあまり生産されていないニッチな分野として山形でも取り組ん でみてはどうでしょうか。協力を得られる団体は沢山あります。   バリッド・テクノロジー・グループ http://www.validtechnology.com    代表 黒木嗣也(黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.10.01 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(45) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 9月20日(土)朝08:30から、NECINA(New England Chinese Information & Networking Association )が主催する会議に出席しました。NECINA(www. necina.org)は、ボストン周辺で電子商法・情報・ワイアレス技術に携わる (比較的若い)中国人が中心となって1996年に設立されたNPOです。メンバー ・リストの名前の綴りを見ると、ここでは広東系を含まない中国人が主になっ ているようでした。 当日は、MIT(マサチューセッツ工科大学)Alfred P. Sloan School of Management(経営学を専門にする学部)のGlen L. Urban(グレン・アーバン) 教授による、"THE TRUST IMPERATIVE - DOES IT APPLY TO YOU?"と題した、電 子商法において「信用」ベースのビジネス・モデルを強調する内容の講演もあ りました。 NECINAの本年度代表は、15年前に中国本土から渡米し、機械工学で博士号を取 得したAlex Wang(アレックス・ワン)氏です。ビジネス・ウーマンである奥 様もボランティアとしてNECINAを支援しており、当日は会場で受付係を務めて いました。ワン氏の本職は、B2Bインターネット・ソフト開発Emptoris社(www .emptoris.com)の新規事業開発担当・副社長です。 今まで民族別に開催される色々なベンチャー・ビジネス会議に参加しましたが、 NECINAの特徴は、多くのボランティアが外部とのコンタクトを非常にオープン にしながら、同時に組織としての目的を達成する団結力の強さにあると思いま した。参加費用なども他の団体と比べると格安で、行事内容も盛り沢山です。 NECINA代表のワン氏は、これから日本のベンチャー関係者との交流も深めて行 きたいとの希望を述べられていました。これからの活動が期待されます。 次回10月10日のNECINA会合では、「何も無いところからハイテク企業をどのよ うに起こすか?」と題する講演があります。MIT起業センター所長のEd Roberts 氏も招待されています。   バリッド・テクノロジー・グループ http://www.validtechnology.com    代表 黒木嗣也(黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.09.16 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(44) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 最近、「黒木さんはよくインドのことを取り上げますね。」と言われるように なりました。確かにそうかもしれませんが、その理由の一つとして、日頃受け 取るインドに関しての情報量が増したことにあります。 身近な例として、ボストン周辺で活動しているベンチャー起業家・関連団体の 中で、インドに関係している機関からの会議・催し案内メール数がトップにな りました。そのやり方は非常にアグレッシブで(aggressive)で高いレベルで組 織化されていますが、会費が高いことが参加している人達から指摘されていま す。 さて、インドでハイテク(特に情報)分野を専門にした「シリコンインディア ・ニュース: siliconindia-News(www.siliconindia.com)」8月27日号による と、インドの情報技術関係者間で日本語を勉強することがブームになってきた そうです。「これから日本語を勉強する事が、日本からのFDIを引きつける為 の鍵である。」と述べています。 また、8月22日発行のTamil Nadu州広報「The New Indian Express」には、 「Proposal for separate Japanese industrial estate(日本工業団地特別地 区設立に関するプロポーザル)」と題する発表が出ていました。この動きは、 FDI専門家Kenzo Kato氏が中心となっています。 http://www.tn.gov.in/pressclippings/newindpress/newindpress22082003.htm これからの動きに注目したいと思います。ちなみに、昨年三月には山形でも、 米沢市・米沢商工会議所・日本貿易振興会(JETRO)が主催、国立長岡技術科 学大学が共催で「日本とインドの情報通信技術交流セミナー」が行なわれまし た。   バリッド・テクノロジー・グループ http://www.validtechnology.com    代表 黒木嗣也(黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.09.01 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(43) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 剣豪・宮本武蔵先生の教えの一つに、「四手をはなすと云ふ事」があります。 指南書の名著として名高い、流郷晃著「実践する五輪書」では、この意味を 「敵も我も同じ心となり張り合う状態になってしまうと、戦いは決着がつかな いものである。そうなったと思ったら、それまでの気持ちを捨てて別の手段で 勝つことを知れ」の意であると説明しています。つまるところ、その極意は 「敵の意表を突くことで先をとる」ことにあると言えるでしょう。 企業にとって、いかに効果的・効率的に営業過程を実施できるか、これは常に 大きな課題です。営業品目によって差異はありますが、一般的に、マーケティ ング活動を含む営業過程には莫大な投資を必要とします。特にこれが海外での 営業活動となると、言語・文化・風習の壁を越えねばならず、困難は一層増加 します。さらに「物を売る」ことに専念する営業マンにとって、販売行為にと どまらず「誰に売る」か、その販売対象にまでこと細かく注意を払い、常に調 査・把握し続けることは容易ではありません。 米国マサチューセッツ州メイナード市に、武蔵の言う「相手を呑み意表を突く」 戦法で、Fortune100社(米国トップ企業)を対象に、「テレ・ディスカバリー」 と名づけた新しい手法(「テレ・マーケティング」と差別化)で「営業見込査 定サービス」を提供する会社があります。MarketOne International (マーケ ットワン・インターナショナル)社(www.marketoneinternational.com)と呼 ばれるこの会社には、社長・Spencer Harvey(スペンサー・ハービー)氏以下、 同市にある本社直結子会社とイギリスの現地法人を含め、総勢150人近い正社員 と契約社員が働いています。この会社は顧客の国際的な営業活動を支援するこ とに力を入れており、そのサービスは、日本語を含む10言語以上を使って提供 できる体制を備えています。 MarketOne International(以後、略して「M1」)の社長とパートナーのFred Ewald氏は、同種サービスを提供するImpole Corporation(マサチューセッツ、 ウオルサム市)に勤務した後、1998年に独立し、僅かの資金でM1を設立しまし た。その時期は、米国でも人員削減・リストラの波がちょうど押し寄せ始めた 頃で、M1ビジネス・モデルはアウトソーシングによる営業活動支援を必要とし た企業ニーズと上手くマッチして成功を収めています。M1はマサチューセッツ 州内でも、設立当時から負債無しに急成長を遂げた数少ない会社の一つです。 社長・ハービー氏に、M1「テレ・ディスカバリー」サービスの特徴を聞いてみ ました。(内容は、大きく以下5点に集約出来ます。) 1.顧客のターゲット企業の重要意思決定者が誰なのかを、分野・国別専門のア  ナリストが、直接電話でコンタクトして確認する事。(M1の「分野・国別専  門のアナリスト」は、全員が各分野で学位と経験を有した分析員です。) 2.顧客の営業活動の成功、不成功の鍵を握るターゲット企業内の意思決定者を  選別し、リストを作成する。(この過程を、M1では「List Development -  リスト・ディベロップメント」と、呼んでいます。) 3.顧客と予め話し合って作成した「コーリング・ガイド」に基づいて、分野別  専門のアナリストが、顧客のターゲット企業に「意表を突いて」直接電話で  コンタクトをとり、顧客に必要な情報を入手すると同時に、顧客から依頼さ  れた情報をターゲット企業に提供する。 4.このようにして集められた顧客のターゲット企業の情報は、「Sales Lead  Report(営業見込み査定レポート)」として、顧客から要求された全ての調  査事項を満たして提出される。 5.さらに、これら顧客から依頼されたターゲット企業の営業見込み可能性度合  い(確率)は、全て段階毎に選別され明確に表示される。 一般的には、営業過程には「Face to face - 面と向かった」お付き合いが重要 視されます。(特に日本ではその傾向が強いように思われます。)また、企業 によっては会社方針を設けて、俗にいう「電話アンケート調査」のようなアプ ローチを初めから門前払いするところもあります。これらの営業過程で生じる 障壁を考えると、M1の提唱する「テレ・ディスカバリー」の電話だけによるア プローチが果たして効果的なのか疑問が湧いてきます。この疑問について、実 際に現場で仕事をされているアナリスト(日本人アナリストも含めて)達に聞 いてみました。 1.電話の受け手の反応はまちまちで、情報入手・交換が成功するか否かは確率  の問題である。最初に目的を明確にすることで、面識がない電話によるイン  タビューでも有益な相互会話が成り立つ場合が多く発生する。 2.「テレ・ディスカバリー」は、一方的な営業宣伝ではなく、受け手と話し手  の相互ニーズを組み込み、情報の価値を高める双方向性の情報交換過程であ  ることを先方に認識してもらうことによって、かなり深い内容の情報交換が  可能である。 3.M1顧客の実際ケースで、某米国コンピューター・ハード/ソフト会社の場合、  日本市場獲得目的でM1「テレ・ディスカバリー」を導入しているが、その結  果、予想を上回る率で「営業見込み」の高い企業を効果的に発見している。 M1はこれまで、米国・ヨーロッパにおいて何十社もの大手企業に営業見込査定 サービスを提供して成功を収めています。そして将来的には、同サービスを 日本・中国・韓国において、アジアでの営業獲得を目指す米国・ヨーロッパ企 業を顧客に紹介していく構想を持っています。このようなサービスは、米国・ ヨーロッパに営業拡大を目指す日本企業にとっても、強力な武器になるのでは ないかと考えます。ただしその場合、時差の関係で米国本土からサービスを提 供するだけで充分な効果が上がるのか疑問に思いました。より柔軟なビジネス 展開を行うことが、M1の今後の課題といえそうです。 なお、M1は、8月18日東京で開催された日本ビジネスインテリジェンス協会 (会長・中川十郎東京経済大学教授) - http://www.asahi-net.or.jp/~ED4K-KTR/bia.html -定例会議で、同協会正 式メンバーとしての入会承諾を受けています。   バリッド・テクノロジー・グループ http://www.validtechnology.com    代表 黒木嗣也(黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.08.01 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(42) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 外交政策分野で世界的に信頼を得ている「Foreign Policy (外交政策)」誌の7 ・8月号に、「Can India overtake China? (インドは中国を追いつき追い越す ことが出来るか。)」と題する興味深い記事(Yasheng Huang and Tarun Khanna 著)がありました。(原文はhttp://www.foreignpolicy.com/story/story.php? storyID=13774で見ることが出来ます。)中国ブームが続く中、この記事の和訳 があったら是非読んで頂きたいと思いました。ここで全文を要約するのは難しい ですので、その中から主な点を(コメントをつけて)取り上げます。 (1)昨年度Forbes(フォーブズ)ランク付けによる世界のベスト中小企業200社中   (http://www.forbes.com/2002/10/10/200bestland.html)、13のインド企業   (大手ソフト企業のInfosysやWipro、大手医薬バイオテク企業ではRanbaxyや   Dr. Reddy's Labsなど)が挙げられたのに比べ、中国企業は僅か4社だけで   した。これは何故か?です。 (2)中国にとって、海外直接投資(FDI)が中国の近代経済発展の原動力になった   ことは隠すことの出来ない事実です。しかしながら、「中国製」と書かれて   いる商品のなかで、一体どれだけが本当の中国企業を代表する製品なのかお   気づきですか? (3)同じ中国内でも、江蘇省と浙江省では過去20年間の発展経緯が異なります。   江蘇省がFDIに大きく頼っていたのに対し、浙江省は省自身の起業発展に重点   をおきました。結果として、浙江省の経済成長率は江蘇省を上回っています。   浙江省の例はそのままインドを中国全体と比較するのに当てはまります。 (4)最新のthe Far Eastern Economic Review (FEER)- www.feer.com −による   主要アジア企業調査によると、インド企業に対する点数が中国をはるかに上   回っています。中国2社だけが、インドのトップ10社に匹敵するだけの点数を   獲得しましたが、両者とも中国政府が株を占めるState-Owned Enterprises   (SOEs)でした。 (5)中国は僅か4年前から、国内企業に対して国外企業と同等の中国憲法で定めら   れる保証を与え始めました。国外企業は1980年代からこの保証を受け続けて   います。(カースト制の残る)インドは(多くの日本人にとっては文化的に   理解しがたい面が多くありますが)中国とは違い、民主国家としての保護を   国内全企業に与えています。 記事では、中国の政治・立法体制が変わらない限り、FDIに頼らない「ボトム・ アップ型」インド起業育成モデルは強力な経済原動力になることを指摘していま す。事実、インドの金融・法律制度は(様々な問題の議論は別にして)中国と比 べるとはるかに優れたものであることも述べられています。インドは中国と違い 「民主国家」であることを強調しています。 ここで、日本にとってインドへ目を向けるにあたり障壁となっているものは、文 化的また心理的なものではないかと自分は考えます。日本にとって距離的に近く、 文化的に似た中国のほうが安易に進出できると思えるのでしょうか?それで得る ものは何でしょうか?故・宮崎松記博士のことを考えてしまいました。 宮崎博士は明治33年熊本県八代市生まれ。旧制5校に在学中、英国貴族出身のハ ンナ・リデル女史のライ患者への献身に打たれ、救ライに一生を捧げることを決 心しました。京大を卒業後、大阪日赤に数年勤務の後、郷里熊本の国立ライ療養 所菊池恵楓園に園長として赴任、昭和33年まで在勤。昭和34年、ライオンズ・ク ラブの事業活動の一環としてインドのライ事情調査に派遣されたのを契機に、イ ンド救ライ活動に挺身し、アグラにJALMA(アジア救ライ協会インド・センター )− http://icmr.nic.in/000164/institute.htm − 建設とともに骨を埋める覚 悟で渡印、診療活動に従事しました(1969年講談社発行「ぼだい樹の木陰で」よ り)。 宮崎博士は1972年、日本航空機がニューデリー空港着陸寸前に墜落した事故で死 亡しましたが、同博士の「善意と友愛」の精神は今でもインドで語り継がれてい ることをボストンのハイテク企業で活躍するインド人の同僚から聞きました。 感動を覚えざるを得ませんでした。 インドの人達は日本ともっと身近にビジネス関係を築きたいと願っています。真 剣に取り組んでみてはどうでしょうか?アメリカ経由でも充分効果はあると思い ます。   バリッド・テクノロジー・グループ http://www.validtechnology.com    代表 黒木嗣也 (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.07.15 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(41) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 月刊 Entrepreneur(起業家)誌 - www.entrepreneur.com - 7月号に、 PricewaterhouseCoopers社(略してPWC) - www.pwc.com のベンチャー・キャピ タル部門で活躍されるTracy T. Leftoff(トレーシー・T・レフトオフ)さんの 書かれた"The Thrill of the Chase"「追いかける事の面白さ」と題する記事が ありました。その中に、2003年度トップVC(ベンチャー・キャピタル)100社リ ストが載っています。これはPWC、Thomson Venture Economics (www. ventureeconomics.com)とNational Venture Capital Association (www.nvca. org)が毎年4回発行する"The Money Tree Survey - お金のなる木調査 - www. pwcmoneytree.com"を基に作成されました。この情報には第一ラウンド軍資金を VCから受け取った、選りすぐられた出来たばかりの企業も含まれています。そし て「お金のなる木調査」の情報は、米国金融界、起業家、政策担当者及びマスコ ミをつなぐ役割も果たしています。 同記事によると、2002年のVC総額は212億ドルに落ち、これは過去5年間で最低 だそうです。また、2002年にVC融資を希望した約3000社のうち第一ラウンド軍資 金を得る事が出来たのは僅か530社で、これは1994年以来最低の数だそうです。 この現象は一見暗い将来を示唆するかのように見えますが、逆にこれは「強いも のだけが生き残る」優秀企業を見つけ出す良い機会だとレフトオフさんは述べて います。まさにそうだと思いました。 ちなみにトップVC100社中、西部カリフォルニア州のVCは55社、東部マサチュー セッツ・ボストン周辺のVCは下記30社でした。 Polaris Venture Partners, Waltham - www.polarisventures.com Flagship Ventures, Cambridge - www.flagshipventures.com Kodiak Venture Partners, Concord - www.kodiakvp.com Battery Ventures, Wellesley - www.battery.com Charles River Ventures, Waltham - www.crv.com North Bridge Venture Partners, Waltham - www.nbvp.com Village Ventures, Williamstown - www.villageventures.com Atla Communications, Boston - www.atlacomm.com Atlas Venture, Waltham - www.atlasventure.com 3i (US), Waltham - www.3i.com Bain Capital, Boston - www.baincap.com Century Capital Management, Boston - www.centuryfunds.com General Catalyst Partners, Cambridge - www.generalcatalyst.com Ampersand Ventures, Wellesley - www.ampersandventures.com Ascent Venture Partners, Boston - www.ascentvp.com Bessemer Venture Partners, Wellesley Hills - www.bessemervp.com BioVentures Investors, Cambridge - www.bioventuresinvestors.com Boston Millennia Partners, Boston - www.millenniapartners.com Boston Scientific Corporation, Natick - www.bostonscientific.com Commons Capital, Brookline - www.commonscapital.com Commonwealth Capital Ventures, Wellesley - www.commonwealthvc.com Highland Capital Partners, Lexington - www.hcp.com M/C Venture Partners, Boston - www.mcventuepartners.com Matrix Partners, Waltham - www.matrixpartners.com MPM Capital, Boston - www.mpmcapital.com Navigator Technology Ventures, Cambridge - www.ntve.com NeoCarta Ventures, Boston - www.ntven.com Rockport Venture Partners, Gloucester - www.rockportventure.com TVM Techno Venture Management - www.tvmvc.com VIMAC, Boston - www.vimac.com 来年には米国東部の大都市(ボストン、ニューヨーク)を含めて不動産バブルが はじけるとの予測が"Economist(エコノミスト)誌"を始めとした様々な誌上に 出ています。蓄えたアイデアと実力を試す良い機会のように思えます。   バリッド・テクノロジー・グループ http://www.validtechnology.com    代表 黒木嗣也 (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.06.16 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(40) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 最近日本の書店で「レター・ボックス」と題する本が話題となっていると聞きま した。著者はMark & Diane Buttonご夫妻です。Mark Button(マーク・バトン) 氏は起業家で、玩具屋で売られている「ゴム・ボール」を発明した人でもありま す。その「ゴム・ボール」は英語では「Koosh Ball (クーシュ・ボール)」と 言われ、手の大きさ、強さに関係なく誰でも投げ、受け出来るように作られてい ます。子供を思うちょっとしたアイデアが元で、世界中に広まった製品の一つと 言えるでしょう。 ただ現実的に、このような良いアイデアが頭に浮かんだからといって、それを商 品化することは容易ではありません。その行程は複雑で、デザイン・製作・販売 などの様々な要素が関係してきます。例えば、現在ほとんどの玩具は中国や東南 アジアで作られていますが、その後の販売はますます複雑で、人気の有無で経路 と方法が決まってきます。 玩具に限らず、単純な発想から生まれてくるアイデアと商品は数限りなくありま す。その実用性と市場性が明確になっていない段階でのビジネス展開方法として 「Cart & Kiosk - カート・キオスク」戦略があります。「Cart」は「二輪荷車 ・手押し車・ワゴン」、「Kiosk」は「キオスク・売店・ニューススタンド」と 訳せます。こちらのショッピング・モールではこのような「Cart & Kiosk」が幅 広いモール通路に沢山でています。このような商法は厳密に言うと「Specialty Retail Business - 特産品小売業」にあたり、商品性を試す意味で売られている 商品が数多く並んでいます。 1980年代後半から1990年代始めに話題となった超電導応用技術の可能性を追求す るために米国で設立された「Superconductor Applications Association - 超電 導技術応用協会」会長のTim Runner(ティム・ラナー)氏は3年前、この「Cart & Kiosk」ビジネスの卸売りビジネスを起こしました。その会社の名前は 「Awesome Specialties International - すっごい特産品国際株式会社」と訳せ ます。www.car-stuff.com/products の一部として起業されました。 Tim Runner(ティム・ラナー)氏は、日本で超電導リニア・モーター・カーの生 みの親として知られる京谷好泰氏と共に、色々な会議を米国で主催されました。 その頃を思い出してみると、両氏に共通していたのは、R&D&D (Research, Development and Demonstration - 研究、開発と実物による証明)の発想でした。 京谷氏が、トヨタ・グループと一緒に作った実際に動く模型をTim Runner(ティ ム・ラナー)氏主催の会議場で多くの科学者・技術者の前で走らせたことが、 「Cart & Kiosk」ビジネスの原点であるように思えます。もしかしたら、子供の 時から機械いじりがお好きだった京谷氏の発想自体がその原点と言えるかもしれ ません。 とにかく、顧客の声を直に聞きながら商品開発が可能であるこのようなビジネス ・モデルも、地域国際化の一手段として考慮してみる価値はあるように思えます。   バリッド・テクノロジー・グループ http://www.validtechnology.com    代表 黒木嗣也 (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.06.02 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(39) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 6月、ジェトロ山形主催で中国ビジネス総合講座が開催されることを知りました。 The U.S. Department of Commerce - Commercial Service(米国商務省コマー シャル・サービス)が出している国別ビジネス・ガイド・レポート(Country Commercial Guides for CHINA)の中に、アメリカから中国へ進出しようとする 企業に対するアドバイス事項がありました。日本から中国への進出を考える企業 の方々にも参考になると思います。 (1) 中国のビジネス環境は予測性に欠ける。この予測性は明確で一定した法律・   法規と政府規定により確立するが、中国の場合この両方に欠ける。中国の法   律・法規システムは現在でも不透明で矛盾が多く、頻繁に恣意的な決断が下   される。 (2) 中国政府は商業・営利主義、同時に保護的である。市場主義経済に基づいた   発展が見られてきたが、一般的に中国官僚の大多数は国有企業、また一般国   内企業を(輸出を進めながら)保護する傾向にある。 (3) 歴史的に長年続いた「計画経済」思考から抜けきれていない。全体的に自由   競争経済的思考が浸透していない。需要・供給とは関係なく、過剰投資・過   剰生産に陥るケースが多く見られる。 (4) 多数の企業が巨大市場に魅せられて中国進出を目指しているが、正確な市場   査定と危機管理調査を充分行っていない。さらに、中国の法律・法規・政策   内容を理解する専門家を雇っていない。 このレポートは全体的に、中国進出に伴う危機管理の重要性を強調しています。 詳しい内容は次のURLで見ることが出来ます。 http://www.usatrade.gov/Website/CCG.nsf/CCGurl/CCG-CHINA2002-CH-1:-002F425D ちなみに、米国同省が提供するインドに関する同種のレポートは http://www.usatrade.gov/website/ccg.nsf/CCGurl/CCG-INDIA2002-CH-1:-006C3F07 ロシアに関するレポートは下記のURLです。 http://www.usatrade.gov/Website/CCG.nsf/CCGurl/CCG-RUSSIA2002-CH-1:-003606D4 いずれのレポートも各市場・動向を的確にとらえています。   バリッド・テクノロジー・グループ http://www.validtechnology.com    代表 黒木嗣也 (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物)   ※バリッド・テクノロジー・グループは、グローバル規模でベンチャー・    起業ビジネス展開を企画・支援する戦略シンクタンク集団です。 2003.05.15 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(38) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 最近「TBO」という略語がベンチャー関係者の間で流行っています。「The Big Opportunity(大きな機会−ビジネス・チャンス)」の略です。私が先日参加し た、ハーバード・ビジネス・スクールで行なわれた「起業会議2003」でもTBOに ついて盛んに討議されました。会議主催者側の要請で「ベンチャー・ビジネス最 前線(36)」では講演者の名前を出すことが出来ませんでしたが、同スクールが 発行している定期情報誌「Working Knowledge - http://hbswk.hbs.edu」4月21 日号で、同会議に関する記事が講演者の名前入りで出ていましたので、改めて何 点かを紹介したいと思います。 (以下の情報は全て4月21日号「Working Knowledge」から引用しました。) ボストンに事務所を持つJAFCO VentureのUllas Naik氏は、起業家を目指す学生 達に、今はTBOを探すことを控えた方が得策であると述べました。代わりに、既 に蓄えた専門知識を充分に生かして、マーケットと顧客の見える分野に的を絞る ことを薦めました。 IT支援ソフト会社Relicoreの創設者・社長Firdaus Bhathene氏も、確実に実現で きる自信と確約がない限り、現在敢えてTBOを追い求める必要はないのではと指 摘しました。TBOを求めるなら、その新しいビジネス・アイデアを受け入れてく れる顧客を確保しておくこと、また競合会社が新しい市場を勝ち取る前に素早く 計画実行することを指摘しました。 Flagship Venturesの責任者であるDavid Flaschen氏は逆に、今までノーベル賞 (Nobel e-Museum: www.nobel.se)を受賞した多くの人達は元々の専門分野とは関 係のない分野で受賞している点を指摘した上で、日中の交通渋滞を見て渋滞のお さまった夜間に効率よく宅配サービスするビジネスを思いついた起業家の例を紹 介しました。ちなみにこのビジネスには現在、投資家達により5,000万ドルの資 金が集まっています。 Cell Exchange社・会長Sundar Subramaniam氏は、TBOは全く予期せぬ時・予期せ ぬ所に訪れる場合もあるとし、現在同社の7割を占める収益が、Homeland Security(米国内安全保証)に関するビジネス・コンサルティングとモバイル技 術分野から生まれようとは、2001年9月11日以前には予測できなかったと述べて います。 TBOを狙うにはかなりのリスクを負わねばなりません。Flaschen氏は、歳を取る こと、家族を持つこと、定年退職に近づくこと等をリスクが取れなくなる要因と して挙げていました。 全てのパネリストが、若い起業家にとって、今はどんなに過去の経験があっても 増資を狙うには非常に困難な時期であると指摘しています。Bhathene氏は、VCに 頼らず家族・親戚・友人・エンジェル資金を考慮することを薦めていました。ベ ンチャーにとって困難な時期を乗り越える方法としてFlaschen氏は、全ての面で ダウン・サイズを試みることを挙げ、多く場合、新しい焦点を用いて会社縮小す る努力を図る事が得策であると説きました。 NewsMarket社の創設者・社長Shoba Purushothaman氏は、TBOの規模にかかわらず 常に情熱に満ちたプランを用意しておくこと、さらに、同じような情熱を持った 人達と絶えず接しておくことの重要性を強調しました。             バリッド・テクノロジー・グループ 代表 黒木嗣也                      http://www.validtechnology.com            (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.05.01 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(37) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 過去何度かにわたり、この誌面を通してインドに関することを述べてきました。 前号では、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)で行なわれた "Entrepreneurship Conference(起業会議)2003 - www.hbseconference.com - で、インドからの留学生達が積極的に活動していることを述べました。また、 「ベンチャー・ビジネス最前線(33)」では、ここ東海岸のボストン周辺で活発 な動きを見せる、インド人を中心に西海岸で生まれたTie(The Indus Entrepreneur - インダス起業家 - www.tie-boston.org)のことも述べました。 インド全体の動きをキャッチするのに便利なサイトがあります。www.expressind ia.comです。これはボンベイにあるThe Indian Express Newspapers Ltd.の子会 社The Indian Express Online Media (Pvt) Ltd. (TIEOML)が運営しています。 このポータル・サイトの一つとして、ビジネス金融関係を専門に取り上げている www.financialexpress.comがあります。このサイトで4月26日にVEESHAL BAKSHI 氏が書かれた「Is India Ready To Do Business With Japan Inc?(インドは日 本株式会社とビジネスする準備は出来ているか。)」と題する興味深い記事が出 ていました。 BAKSHI氏は、日本のある大企業による投資例を挙げながらも、色々な統計を示し 、日本全体のインドに対する外国直接投資(FDI)額がまだ非常に小さい事を指 摘していました。その額は対中国に比べると10分の1で、これは日本がグローバ ルに投資する額の0.1%にすぎないそうです。 ちなみに、2001年度の日本の国・地域別対外直接投資実績(報告・届出ベース) をインド・ロシア・中国間で比べると、下記のようになります。             (単位:件、100万ドル、%)(1ドル=125.13円) インド│ 件数  6 │ 金額  145 │ 構成比 0.5 │ 前年度比 △13.6 ロシア│ 件数  2 │ 金額   4 │ 構成比 0.0 │ 前年度比  69.8 中 国│ 件数 187 │ 金額 1,440 │ 構成比 4.6 │ 前年度比  44.8 (出所:「2002年版 ジェトロ貿易投資白書」) BAKSHI氏は、日本のインドに対するFDI額が少ない理由として、インドの未開発 なインフラ、腐敗に満ちた官僚主義、複雑な税制度を挙げています。しかしなが ら、日本の中国に対する投資ブームは2008年のオリンピックを境に冷める傾向に あり、その後はインドに目が向けられるのではないかと論じています。 その具体例として、インドIT・ソフト関係会社の日本進出を挙げています。日本 には既に約2000人ものインド系ソフトウエア・エンジニアがいること、また、イ ンド大手のWipro、Infosys、Satyam社などの進出も取り上げています。 このインド系技術・ビジネスは将来、日本にとって中国とは別の意味で強敵にな ると思います。アメリカでよく言われる文化ユーモア・ジョークに、ユダヤ人・ インド人・中国人を比べたものがあります。ここでは敢えて詳細は申し上げませ んが、日本は今のうちにグローバルなインド商法をよく研究する必要があると思 います。同時に、世界に飛び立っているインド系の人達が将来日本にどのような 影響を及ぼすかも調査する必要があると思います。なぜなら、大手企業でなくて も、多くの可能性を秘めるインド市場へ進出することのメリットは大きいからで す。小回りの出来る中小企業のほうが有利なケースが多く考えられます。 さらに、このインド以上に将来強敵になるのはロシアだと思います。現在あまり 知られていない事実として、同じIT関係のアウト・ソースをするのに、ロシアで インドの同レベル、もしくはそれ以上の人材を使って開発させた場合のコストは インドの5分の1以下ですみます。ロシアもインドと同様、人材の宝庫です。             バリッド・テクノロジー・グループ 代表 黒木嗣也                      http://www.validtechnology.com            (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.04.15 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(36) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4月5日、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS) - www.hbs.edu - で行なわれ た"Entrepreneurship Conference(起業会議)2003 - www.hbseconference.com" に出席しました。毎年、HBS学生が中心となって企画・開催されます。学生と言 ってもHBS学生のほとんどは、入学以前に既に色々なビジネス知識と経験を持っ ています。 招かれた講演者は、各分野のトップ・レベル。中身の濃い、実践的で具体的な内 容の会議でした。主催者によると600人以上の出席者があり、朝8時の受付から始 まって何と、延々翌日午前2時まで行事は続きました。夜10時から午前2時まで はダンス・パーティーでした。 ちなみにこの会議の実行委員会メンバーには日本人の名前は見当たらず、中心に なっているのはインド系の人達でした。(最近この事実が気になって仕方ありま せん。なぜなのか?このような会議に参加して直に学ぶ知識と、人脈を有効に活 用する効果は大きいと思うのですが、、、、、。) そこで今回は、当会議で講演者が言われたことを何点か報告します。 (1)ネット系で大成功を収めたインド系のD氏 1.起業するのに一番大切な事は、Conviction(確信・信念)を持つこと。 2.「どん底」まで落ちる経験からくる強さを身につける事。そして、その教訓を  大切にすること。 3.どんな事が起きても、自分の仕事・事業だけはゴム・ボールのように跳ね上が  るようにしておくこと。 4.「教育レベル」と起業に必要な「馬力レベル」は別問題。受けた教育の概念・  枠にとらわれないようにすべき。 5.これから特に10年間、技術のイノベーションは今まで以上に加速化する。起業  化も並行して加速するだろう。 (2)ビジネス・スクール教授でもあり自ら起業家でもあるC氏 1.起業の成功・失敗予測は、人類が「飛ぶ事(飛行技術)」を習得した時の経緯  から学べる。 2.将来、「ゼロックス対キャノン」、「真空管対トランジスター」等で見られた  要素("Disruptive Technologies")が顕著化するだろう。起業スタート時か  らこのことを念頭に置くこと。 (3)ベンチャー・キャピタル代表のF氏 1.ノーベル賞受賞者の多くはその専門分野での教育を受けていない。 2.「定期性」、「不定期性」両面からの、偏見の無い、とらわれない思考とアプ  ローチが重要だ。 3."Outrageous(とてつもない事)"を考える訓練をする。普通の思いつきをして  いては駄目。 4.常に進化する"Wholistic(全体的)"な思考と動きを忘れない事。 全体的に講演者(VCの人も含めて)のほとんどが口をそろえて言っていたことは 、起業の時にVC - ベンチャー・キャピタル - を当てにしないという事でした。 VCの所へ行く前にありとあらゆる方法を検討すること、そしてもっと真剣に考え るべき事は、起業するのに本当に「大金」が必要か?という事でした。             バリッド・テクノロジー・グループ 代表 黒木嗣也                      http://www.validtechnology.com            (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.04.01 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(35) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3月16日、ボストンからニューヨーク市までバスで日帰り旅行をしてきました。 コロンビア大学経営大学院客員研究員として昨年9月から滞在中の、中川十郎教 授が20日に帰国されると知ったからです。中川教授は東京経済大学経営学部・流 通マーケティング学科の教授です。商社勤務時代30余年間のうち、20年間をイラ ク、インド、ブラジル、カナダ、アメリカなどに駐在し、国際ビジネスで活躍さ れた国際派です。訪れた国は61ヶ国にのぼり、手がけた商談は、イラク、チリ向 け日本車の初輸出、マレーシア向け天然ガスパイプライン・プロジェクトの受注 など多彩です。ジェトロ認定貿易アドバイザーでもあり、日本ビジネスインテリ ジェンス協会会長等もされています。 余談になりますが、ボストンのチャイナタウンからニューヨーク市のチャイナタ ウンまで(片道、約230マイル = 368 km)直行バスが毎日何本も出ています。現 在ボストン近郊でレギュラー・ガソリンの値段は、最近値上がりして1ガロン( 約3.8リッター)$1.70から$1.80です。1ドル約125円とすると、1リッターあた り58円位の計算になります。バスの場合ディーゼル・エンジン用の燃料を使うの で普通車用ガソリンより高くなるにも関わらず、往復20ドルで行けます。これに は中川教授も驚いておられました。 中川教授からは、米国滞在中に研究された成果などを知る事が出来ました。主な ものとして、『二国間、地域間、多国間自由貿易協定の研究―試論』、中曽根元 首相が会長を務める世界平和研究所宛に提出された、『我が国企業へのインテリ ジェンス・サイクル適用の必要条件、導入方法の調査研究・提言』などが挙げら れます。 ベンチャー・ビジネスについても考えをお聞きました。「日本でベンチャーが発 達しないのは、ベンチャーキャピタル市場が発達していないこと、ベンチャー的 な思考をする人間が少なく、"よらば大樹の陰"で"リスク"をとる生き方をする人 間が少ないからだと思います。」と述べられました。 また、以前、ジェトロ海外調査部ロシア・東欧チームに勤務されていた遊佐弘美 さんにもお会いする機会がありました。遊佐さんは、日本輸出入銀行・モスクワ 事務所での勤務経験もあることからロシアに詳しく、「ロシアは深い」と題する エッセイで、第4回JAL海外生活エッセイコンテストに受賞した方でもあります。 ロシアのベンチャーのことを尋ねたところ、次のような事が言えるそうです。「 (ベンチャーの)可能性は十分にあるが、法律があってもないような所なので、 ロシア側のパートナーへの強い信頼が必要である。また、ネットワークを作って ビジネスが本当に正しい方向に動いているか、常にチェックする必要がある。現 地のロシア人達はいつもお互い広くネットワークを作り、その中にいれば嘘がつ けない仕組みになっている。このようなネットワークを持たない場合、小さい投 資から始めてまずはネットワークを作るか、さもなければ、先払いで行う貿易や コンサルティングなどの分野ならば投資ビジネスよりも安全だと思う」。 中川教授が帰国された3月20日に、不幸にもイラク戦争が始まりました。遊佐さ んが、「生きていると大変な事が沢山ありますが、それでも乗り越えて世界を愛 して生きていきたいですね。」と言われたことが印象的でした。             バリッド・テクノロジー・グループ 代表 黒木嗣也                      http://www.validtechnology.com            (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.03.17 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(34) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は3月11日、ボストン西郊外の時計製造で有名だったウオルサム市(www. city.waltham.ma.us)にある、ユダヤ系私立ブランダイス大学のビジネス・スク ール(www.brandeis.edu/global)で行われたEntrepreneurs Forum(起業家フォ ーラム)について報告します。 このフォーラムが始まる前に、当学部長のPeter A. Petri(ピーター・ペトリ) 氏にお話を伺いました。ペトリ氏によると、このビジネス・スクールは数年前に 設立され、プログラムには50ヶ国からの学生が参加しています。新潟県にある国 際大学、慶応大学、早稲田大学とも提携しています。当プログラムの特徴は "Cross-Country (クロス・カントリー)アプローチ"で、昨年学部内で行われた ビジネス・プラン・コンテストでは、看護婦不足に悩む米国の病院に優秀なフィ リピン看護婦を連れてくるビジネス・アイデアが優勝したそうです。 17:00から始まったフォーラムには約30人の学生が参加、スピーカーは Massachusetts Business Development Corporation (www.mass-business.com) 社長のKenneth J. Smith (ケネス・スミス) 氏でした。この会社は1953年に設 立されたユニークな会社で、合計40行の出資を受け、主にマサチューセッツ州 内中小企業に対し、通常の銀行やベンチャー・キャピタル会社ではサービスでき ない小規模かつ低・中成長企業に対する融資援助サービスを行います。法律的に は州政府からのライセンスは不要な分野で、中でも"Mezzanine Investment & Financing"と呼ばれるサービスは初耳でした。ちなみに、"Mezzanine"は「メザ ネー」と発音され、意味は「中二階」です。"Investment & Financing"は「投融 資」です。米国では、同じようなビジネス・モデルでサービスを提供する企業が 他に11社あるそうです。最近米国ではエンロン社やウォール・ストリートのスキ ャンダルに象徴される、企業や金融機関のモラル問題が騒がれましたが、スミス 氏がネクタイにつけておられた小さな十字架のピンが印象的でした。 幸いこのフォーラムには、以前民間金融機関に勤務経験があり、ジェトロ・アジ ア経済研究所開発スクールから当大学院に派遣されて来ている落合敦子さんも参 加されていました。「メザネー投融資」が日本に存在するか尋ねてみましたが、 そのような定型化された投融資の有り方は日本ではまだ一般化していないのでは ないかとのことでした。また、このような投融資の手法が日本で普及できれば、 資金調達の困難さが増している日本の中小企業支援にも役立つのではとも考えら れるそうです。落合さんは将来、開発途上国の民間セクター支援に取り組みたい とのことでした。 話は戻り、このビジネス・スクールでは起業家フォーラムの他に、CEO FORUM (最高経営責任者フォーラム)、Corporate Responsibility Forum(企業の社会 責任フォーラム)、Real Estate Forum(不動産フォーラム)等もあり、一般に も公開されている講義・イベントが数多くあります。これからの発展が大きく期 待されます。             バリッド・テクノロジー・グループ 代表 黒木嗣也                      http://www.validtechnology.com            (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.03.03 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(33) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ベンチャー・企業戦士の中で、最もAggressive(勢いの良い)な人種グループと して中国人・インド人があげられます。米国西部のシリコンバレーでも、彼ら中 国人・インド人のハイテク戦士がいなければお手上げ状態になると言っても過言 ではないと思います。 ここ東海岸のボストン周辺でも、西海岸でインド人を中心に生まれたTie(The Indus Entreprenuer - インダス起業家)グループが活発な動きを見せています。 ボストン地域のTieグループはTie-Bostonと呼ばれ、www.tie-boston.orgで詳細 を見ることができます。 このグループのHPによると、マサチューセッツ州を含むニューイングランド地域 には約5万人のインド系住民が集まっており、一世帯の平均年間収入は10万ドル を超え、受ける教育は他の人種と比べても最高レベルと出ています。また同HPに よると、2000年からインド系ハイテク・グループに10億ドル以上のベンチャー・ キャピタルが投入され、ベンチャー・キャピタル総投資額は2000年の3.8%から 2002年には10.9%まで成長を遂げています。ちなみに2001年には、インド系ベン チャー・ビジネスに全米で30億ドルが費やされています。 ボストンを中心とするTie-Bostonは全米Tieグループ中2番目の規模で、450人以 上ものメンバーを有し、2001年、2002年には30を超えるスポンサーを獲得してい ます。その中には、日系のJAFCOも入っていたようです。活動内容は非常に活発 で、充実しており、二週間に一度、何らかのイベントが行われています。 2月24日にはこの団体による夕食会があり、自分も行って来ました。250人を超え る出席者で、議題は「衰退化する経済を生き残る為のモバイル技術(Wireless Technologies That Will Survive the Slow Economy)」でした。The Lehman Brothers (レーマン・ブラザーズ)がこのイベントのスポンサーでしたが、自 分の隣には当団体のグローバル・スポンサーであるSillicon Valley (シリコン ・バレー)の代表者が座っていました。 スピーカーからは経験と事実に基づく「ノー・ナンセンス」な貴重な情報が学べ、 大変面白いと思いました。また、食事もインド風のバイキング料理で贅沢なもの でした。実際、参加者の約1/3はインド系ではありませんでしたが、優秀なイン ド系技術者・企業家との繋がりを求めて活発な情報交換が行われていました。 いつもの愚痴になりますが、ここでも日本人は他に一人もいないようでした。             バリッド・テクノロジー・グループ 代表 黒木嗣也                      http://www.validtechnology.com            (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.02.17 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(32) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今年ボストンは、何度も大雪と寒波に襲われています。多くの町で除雪作業予算 が大幅に赤字となりました。イラクに対する政情もますます怪しくなり、テレビ では一般国民に対してガラスに貼る為のダクト・テープの購入を促しています。 売れ切れ商品の一つとなりました。 このような暗い情勢とは反対に、ベンチャー支援のための盛んな活動が繰り広げ られています。 (1) 2月4日には、IEEEボストン支部・起業家支援グループ"The Boston Entrepreneur's Network" (www.boston-enet.org)による「ベンチャー・キャピ タル」に関する会議、 (2) 2月5日には、Massachusetts Export Center (マサチューセッツ輸出センタ ー) - www.mass.gov/export - とGlobal Business Alliance of New England (ニューイングランド地域グローバル・ビジネス振興推進団体) - www.gbane.org -によるネットワーキング行事、さらに (3) 2月11日には、Merrimack Valley Chambers of Commerce (メリマック・バレ ー地域商工会議所) - www.merrimackvalleychamber.com - によるネットワーキ ング行事がありました。 (1)の会議は、かつて時計作りで有名だったボストン郊外のWaltham(ウオルサム )市において、食事をとりながら行われました。講演者を含めて約30人が集まっ ていました。参加者の殆どは技術系統・立ちあがりすぐ(1〜3年)の会社責任者で、 ベンチャー・キャピタルを含む増資についての情報・意見交換に実に熱心でした。 日本人は自分一人でしたが、座ったテーブルの前の席には、ニュートン市にある ソフト開発会社で品質管理を務める若い中国人の女性技術者がいました。 (2)の会議はボストン中心地にある金融関係企業が大々的に集まるもので、15:00 から21:00まで色々な分野に分かれて開催されました。JETROのような機関が世界 各地から40団体。当日受付前に登録済みの参加者は約400人。輸出入関係の米国 連邦政府機関からも講師が派遣され、現情勢に適したグローバル・ビジネスの展 開法を指導していました。ただ、これだけ集まった中に日本からの参加機関は一 つも無く、参加者にも日本人は自分を入れて二人だけでした。 (3)の会議は純粋に地方のビジネス・オーナー達が月一度集まるためのもので、 食事や飲み物を囲んで賑やかな雰囲気でした。メリマック・バレーはボストンか ら北へ車で30分程行った地域で、ニューハンプシャー州と隣接しており、この商 工会議所のメンバーにはマサチューセッツ北部企業とニューハンプシャー南部企 業が入っています。今回はバレンタインデーが近いので、集まった10社以上がプ レゼントとしてくじ引きで当てるものを持って来ていました。ここでも悲しい事 に、日本人は自分一人でした。 「日々是決戦」、と受験時代は教わり、毎日嫌々ながらも勉強する真似をしてい ましたが、ビジネスしかも、技術が絡む分野となると、受験以上に毎日勉強する 姿勢が当たり前の事ですが求められます。この勉強方法の一つに「足で稼ぐ」こ とがあると思います。これは、色々な人達と直接触れあう事から始まると思いま す。自分はどちらかと言うと恥ずかしがり屋の方ですが(?)、いつも練習を積む 気持ちで様々なネットワーキング会議に参加するようにしています。その度に、 自分の脳が色々な角度から刺激されるのを感じます。             バリッド・テクノロジー・グループ 代表 黒木嗣也                      http://www.validtechnology.com            (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.02.03 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(31) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ボストン市内から西へ車で約1時間の所に、Worcester - ウースター市(www. worcester.ma.us/)があります。ウースター市は、コネチカット州、ロードアイ ランド州、マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州、メイン州、バーモント 州を含むニューイングランド地方で3番目に大きな市です。そこにはColleges of Worcester Consortium(www.cowc.org)というウースター市周辺の大学連盟の ようなものがあり、13校でメンバーを構成しています。その他に付属団体として 、13の芸術・美術・歴史・音楽関係機関が所属して活発に交流しています。 この中でも特に技術関係分野で有名な学校として、WPI - Worcester Polytecnic Institute - ウースター工科大学 (www.wpi.edu)があります。米国市民戦争 が始まった直後の1865年に創立された私立大学で、現在は二つの分校を有し、応 用に重点を置いた特徴ある科学・技術教育を行っています。そしてこのWPIの管 理学部内に、企業家精神育成支援部門の一つとしてVenture Forum - ベンチャー ・フォーラム (www.wpiventureforum.org)があります。 このベンチャー・フォーラムは、1990年に数多くの経験を有するボランティア・ メンバーを中心に非営利法人として設立され、定期的な会合や行事、ニューズレ ターなどを通して技術系起業家育成教育・支援を続けています。このプログラム を(ほとんど一人で)取りまとめているのがGina Betti - ジーナ・ベティさん (女性)で、現在スポンサーは10団体です。そのうち6団体が知的所有権・特許 関係の弁護士事務所、そのほかにはベンチャー・キャピタル会社やマサチューセ ッツ州機関などが参加しています。ベティさんによると、このフォーラムの必要 経費はスポンサーと参加者会費によってまかなわれていて、大口スポンサー探し が常にフォーラム発展のキーポイントになっているそうです。ちなみに、このフ ォーラム参加費用は個人会員で年間わずか35ドル、法人会員は300ドルです。会 員数は現在1000人前後だそうです。 自分自身も参加した、夜6時半からのマーケティング専門分野のスピーカーによ る講演も含むネットワーキングには、200人以上もの参加者が訪れ、会場内外で 活発な情報・意見交換が行われていました。日本人は自分一人のようでした。一 つこの会議で気付いたことは、地元に13校もある大学の学生の参加が見られない ことでした。WPI学院生が2〜3人いたようですが、マサチューセッツ工科大学 - (www.mit.edu)で行われる同じようなベンチャー・フォーラムとは違った雰 囲気でした。ベティさんにMITとの違いを伺ったところ、「WPIは非常に初期段階 のベンチャー支援に重点を置いている。」との回答でした。 現在ベティさんは、このベンチャー・フォーラムの輪を国際的に広める為のアイ デアを募集しているそうです。日本の教育・ビジネス機関との提携も考えられる と思います。日本でベンチャーを志す人達に即役立つと思われる、ビジネス・プ ランの作り方を学ぶワークショップやコンテスト、さらに、多方面のCEO(最高 経営責任者)が集まって様々な問題を討論する会合やベンチャーに関する色々な 情報を提供するラジオ番組など、あの手この手で積極的にノウハウをミックスさ せてみるのも面白いのではないでしょうか。             バリッド・テクノロジー・グループ 代表 黒木嗣也                      http://www.validtechnology.com            (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物) 2003.01.15 ■○■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○■ ベンチャー・ビジネス最前線(30) ■┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003年、新年号にふさわしい内容をと考えてみました。そこで、私が色々な面で 「師」と仰いでいる連博士(Hwa Chii Lien, Ph. D.)に、米国経済動向やボス トンを中心とするベンチャー活動について、さらに日本に対する提言等を伺うこ とにしました。 ちなみに連博士は、第二次世界大戦前の台湾生まれ。幼稚園から最高学位を得ら れるまで、日本教育を9年、中国教育を8年(1年の予備軍官教育を含む)、そし てアメリカ教育を6年間受けられました。 戦前の日本占領下における教育体制のことを申し上げてもご理解頂ける人は少な くなったと思いますが(という自分も本で学んだだけです)、連博士は日本の占 領下、3等市民として差別と偏見を受けながらも戦時中に台北一中へ入学、戦後 は建国中学に変わり、台湾大学工学院を卒業後米国に留学、ペンシルベニア大学 で博士号を取得されました。ご専攻は電磁性流体力学でした。 にも関わらず(少々語弊がありますが)、連博士は日本を第二の母国と呼び、毎 月購読されている「文芸春秋」に、かなり前ですが元総理大臣・故田中角栄氏の ロッキード事件に関する評論が掲載されたこともあります。そして、今でも台北 一中時代の級友と交信され、日本の歌が大好きで、退職したら日本で老後を過ご したいと言われています。 米国に最初に来られたのは1955年、勉学を積まれた後は、航空宇宙分野や(アポ ロ計画時には断熱遮断材の研究をされていました)、商業銀行(Liberty Bank and Trust Company - Boston)頭取として企業・金融・投資分野で長年活躍され 、現在はご自分の会社Financial Sciences Inc.(財政科学株式会社 www. financialsciences.com)を経営されています。最近日本で盛んに取り上げられ ている、変額個人年金の運営・管理と関連した画期的な資金運用サービスにも従 事されています。 さて、連博士にまず米国経済動向について伺いました。 「米国経済政策は、ビジネスの成功や自由競争を促進する素晴らしい資本主義に 基づいています。ご存知のように、米国政策とは世界経済を指導し、又良い意味 で世界平和の為にコントロールすることです。しかし、それを米国が単独で行う ことはできないということを悟らねばなりません。ヨーロッパ、日本、中国、イ ンド、アラブ、ユダヤ、ロシア、すべては相互に働き、助け合わなければならな いのです。北朝鮮のような過剰な国家主義や、日本の政党の右翼は有害となって くるでしょう。米国はさらに、その貧欲的な経営者達による不道徳な振る舞いを もコントロールしていかなければなりません。米国ビジネスの根本的な強さは、 果敢に挑戦し、アイディアを成功に結びつける高いベンチャー精神にあります。」 また、ボストン周辺ハイテク・ベンチャー企業についてもご意見を頂きました。 「ボストン近郊の優れた学校(ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、ボ ストン大学など)とボストン/米国東北地区は、先端技術ベンチャーの優れたゆ りかごと言えます。多くの新しい先端技術のアイディアは、適切な管理支援のも とに、教授・大学院生やこれらの学校の進歩とともに生み出されてきました。た だ一つ残念なのは、大きな資金とのつながりが弱いことです。」 最後に、日本に対する提言をお願いしました。 「日本の若者は目覚めなければなりません。もっと独立し、より創造的に。冒険 を恐れることはありません。官僚的で非能率的な日本の社会もまた、変わるに違 いないのです。現政権で約束された「改革」とはPR戦術にすぎません。権力に飢 えた政治家が追放されるまで何もできないでしょう。では、誰がそれを可能にす ることができるでしょうか?国民、確かに。しかし、彼らはあまりにも現状に慣 れすぎて現実が見えていません。国を復興するため、国民のすべてにその必要性 が浸透するまで最低五〜六年の歳月を要するでしょう。そして政党の利益にとら われない決断力にあふれる指導者の出現をも待たねばなりません。どれだけの日 本人がこの危機に気づいているでしょうか?」 また、これに加えて連博士は、日本にはベンチャー事業に対する理解、人材と雰 囲気・環境に欠けていることを指摘されました。「未だに日本人はまともなビジ ネス・プランが書けない。常に勉強する人が少ない。」とも言われました。さら に、日本人の排他性とエリート絶賛主義、閥や徒党を組む悪習もベンチャー精神 を阻むものであると指摘されています。 連博士がおっしゃるには、「コスモポリタン的なのびのびした考えを持つこと」 が成功の秘訣のようです。 今年一年が皆様にとって良い年となりますことを心からお祈り申し上げます。             バリッド・テクノロジー・グループ 代表 黒木嗣也                      http://www.validtechnology.com            (黒木氏はアメリカのベンチャー企業で活躍中の人物)