須貝 智也

PROJECT STORY 海外調査・北米担当

コロナ禍と大統領選の混乱、
激動の2020年北米市場。
的確な情報発信が求められた。

  • 須貝 智也

    Sugai Tomoya

    海外調査部
    米州課
    2010年 入構

プロジェクトの概要

JETROは世界70拠点を超えるネットワークを活用し、現地の情報を収集・調査・分析する業務も行っている。各国・地域の経済や貿易投資、産業動向、法制度関連情報などを調査し、政府や産業界に提供していく。北米の通商調査を担当する須貝にとって2020年は激動の年となった。新型コロナに始まり、米中貿易摩擦、日米貿易協定の発効、そして年末の大統領選挙の混乱。在米日系企業はもちろん、日本でもアメリカの動向は強い関心を持たれ、須貝の情報発信は殊更に意味を持った。

PROJECT MISSION

海外調査部米州課はアメリカとカナダ、中南米地域の調査を担当する。
2020年3月、コロナ禍の蔓延によりアメリカで「国家非常事態」が発令され、エッセンシャル事業以外の操業停止措置などアメリカの経済活動状況が大きな変化を受けた。
米州課は日々刻々と変化する状況に鑑み新型コロナ特集サイトを開設。在米日系企業はもちろん、日本に本社を置く企業にもアメリカの状況を日々発信し続けている。

PROJECT TIME LINE

  • 2020.03

    アメリカ合衆国にて非常事態宣言発令

  • 2020.04

    新型コロナ特集ページの公開

  • 2020.03〜
    2020.06

    連邦・州毎の規制・支援策等の情報収取、 ウェビナーの実施、 企業へのアンケートの実施

  • 2020.06〜

    随時、新型コロナの最新情報を提供

MY COMMITMENT

北米に展開するJETROの各事務所が報告してくる情報のとりまとめを行い、Webサイトやメールマガジンなどで新型コロナに対応するための有益な情報を日系企業向けに発信していく。
日系企業は全米各州に拡散しており、各州の規制や州独自の支援策などの情報ニーズが高い。そうした声にも丁寧に対応する。須貝の役目は情報の力によって日本の企業を支援することだ。

アンテナ感度と探究心、冷静さ、そして執念深さ

「トランプ政権がドラスティックな政策を次々と展開し、その度に最新の情報提供や分析をする必要がありました。特に新型コロナを巡る規制や行政の支援策は日本の企業活動にも甚大な影響を与えるため、スピーディかつ正確な情報を求める声が強かったですね」須貝は2020年をそう振り返る。

海外調査部米州課はアメリカとカナダ、中南米地域の調査・分析が主なミッションで、須貝は主にアメリカの通商を担当する。経済的に日米は強いつながりを持ち、近年その関係は良好と言える。2020年1月には日米貿易協定が発効され、両国の繋がりがより強化された。しかし2021年には政権が変わるため、バイデン政権下での政策の動向に注目が集まる。「目下のテーマは、バイデン政権が新型コロナ対策を含めてどんな政策を打ってくるのか。企業はその最新情報と分析を求めています。私は北米の拠点にいる調査担当者から情報を集め、デイリーのビジネス短信や調査レポートなど様々な形で発信していきます」。

JETROのような公的なポジションから発信される情報は客観性が高く、新聞やテレビ、ネットニュースなど各メディアでも扱われる。またJETROが現地で培った企業との信頼関係があるため、情報提供者からもニュースバリューの高い情報が寄せられる。インタビューを行い、企業に直接聞かないと得られないような情報までフォローしていく。

「私たちに必要なのは、情報をキャッチするアンテナ感度の高さと探究心、そしてそのソースを冷静に分析する目。あとは執念深さですかね(笑)」。

緊急事態宣言でもチーム一丸となって情報を発信

2020年は世界中が新型コロナに翻弄された年だ。特にアメリカは世界で最も感染者数が多く、2021年の頭には2,000万人を超えた。アメリカで感染拡大が急増した春先には、多くの州でロックダウンが行われ、企業の操業停止措置などがとられた。経済活動に与える影響も甚大だった。

「そこで米州課では北米の新型コロナ関連の最新情報を発信するサイトを立ち上げました。連邦政府や各州の規制状況、中小企業向けの融資制度(給与保護プログラム(PPP))などの支援策などを一覧にとりまとめました。アメリカは州によって感染状況や規制が異なるがゆえに、連邦政府や各州の新型コロナ情報をまとめて発信しているサイトがありませんでした。そこで私たちは日本の企業がワンストップでそれらの情報を閲覧できるように項目を構成しました」。

北米の日本企業は広く分散しており、必要な情報も企業によってまちまちだ。だがこのサイトでもJETROのネットワークが活きた。「現地からの情報が日々更新されるおかげで、海外調査部は日本にいながら各地のリアルな最新情報が手に入ります。北米からの情報は、時差の関係で日本の夜中~明け方に届くことがほとんど。朝メールをチェックすると膨大な量の情報が届いていて大変でした(笑)。でも情報は鮮度が大事ですし、企業も最新情報をお待ちなので、その日のうちに発信することに努めました」。

その後、日本でも緊急事態宣言が発令され、JETROも在宅勤務体制を余儀なくされた。「しかし直接顔を合わせることができなかったからこそ、課内で密な連絡を取り合い、連携対策を講じ、各人の担当を明確化し、チーム一丸となって臨みました。新型コロナはまだ収束しておらずサイトの更新は続きますが、『新型コロナ対策の事例が参考になった』など企業からのコメントをいただくとモチベーションが上がりますね」。

(左)新型コロナ特集サイトのトップ画面。企業にとって貴重な最新の現地情報が幅広く網羅される。
(中)「ビジネス短信」は迅速な更新速度で新着ニュースが配信される。下には地域・分析レポートのコーナーも。
(右)ビジネス活動再開に向けた基本情報を整理して発信。感染状況のデータはもちろん、在米日系企業の動向も整理されている

情報の力で企業を支援していく

新型コロナ特集サイトを通じての情報発信は、海外調査部米州課のミッションの一端に過ぎない。新政権誕生の影響や日米貿易協定、米中経済摩擦など貿易に関する問題の他にも、気候変動、エルネギー政策、災害対策などあらゆる方面にアンテナを張り巡らせておく必要がある。しかし須貝はそれだけでも不十分と言う。

「大切なのは、政策や問題の裏にある背景や文脈を十分に理解し、それを踏まえて情報発信すること。私はウェビナーなどで講演する機会がありますが、そういう場でも背景を知った上で話をすると説得力が違ってきます。経済活動はある意味すべてつながっていて、例えば米中摩擦のきっかけを探っていくと数年前に遡る必要があったりします」。

須⾙は2017年から、戦略国際問題研究所(CSIS)に2年間派遣された。CSISはワシントンDCに本部を置く世界有数のシンクタンクで、⽇本の政府機関や企業からの出向者も席を置く。現地では有識者へのヒアリングやイベントへの参加などを通じ情報収集に努めたという。須貝らが調査・分析した情報は企業向けに発信するものが主になる。しかし時には政府への提言につながるものもある。新型コロナにしても、現地で集めた情報を経産省やその先へ「アメリカの状況を踏まえ、今後日本はどうするべきか」というような提言もしていく。また在米日系企業の声を州政府に届けることもある。多くの場合、JETROのミッションは「国内企業と海外企業の橋渡し」と語られがちだが、少し異なる観点からも海外で頑張る日本企業を支援していく。

「単に情報を集め分析して発信するだけじゃない。視線の先にはいつも情報を求める企業の存在があります。情報の力で企業を支援していく、それが私たち海外調査部のミッションです」。

MY FUTURE

新型コロナを通じて改めてアメリカという国の大きさ、州毎の多様性について再認識。企業の拠点によって提供すべき情報も大きく変わるので、個別ニーズに応えることの重要さを改めて感じました。より丁寧かつ迅速な企業対応ができるよう、調査の仕事を続けていきたい。

入構理由

出身の国際教養大学は授業がすべて英語な上に1年間の留学が義務付けられており、私はアメリカのミネソタ州に留学して語学力を身に付けました。また、地方出身ということもあり、地方経済に何かしらの形で貢献したいという思いがありました。そんな中、JETROでインターンをする機会があり、公的な立場か地方を含めた中小企業の支援と、培った英語力を生かせる点で興味が湧きました。