内川 未来

PROJECT STORY イノベーション・対日投資

日本市場への進出を計画する
北欧のフードデリバリーサービス。
2人3脚で成功に導く。

  • 内川 未来

    Uchikawa Miku

    対日投資部
    外国企業支援課
    2015年 入構

プロジェクトの概要

JETROが昨今注力している事業の一つにスタートアップの支援サービスがある。世界に挑戦する日本のスタートアップに加え、「日本に進出したい海外のスタートアップ」も積極的にサポートしている。対日投資部外国企業支援課の内川未来は、2019年からフィンランドのフードデリバリー企業であるWolt社を担当。日本で急速に拡大する新たな市場で、同社の全国展開プランを様々な局面で支援している。その活動は、後方支援の枠を超えたコンサルタントだ。

PROJECT MISSION

フィンランドの首都ヘルシンキで2014年に創業したWolt社。現在は世界23カ国でフードデリバリーサービスを提供する。
2019年10月に日本法人設立。2020年3月には広島でサービス開始。その後仙台や札幌、東京など10都市でサービス提供を開始した。(2021年2月現在)
2021年には日本全国に100都市を目標にしており、急速な事業拡大を計画。
JETROは対日投資部が拠点開設以前から支援しており、内川が担当。日本市場での事業拡大を引き続きサポートしていく。

PROJECT TIME LINE

  • 2019.04

    内川が担当になる。

  • 2019.10

    Wolt Japan株式会社設立。

  • 2020.03

    広島市で最初のサービスを開始。

  • 2020.06~

    広島県内でサービスエリアを拡大、札幌と仙台に展開。

  • 2020.10〜

    東京でサービス開始。

  • 2021〜

    全国100都市でのサービスを計画。

MY COMMITMENT

フィンランドのスタートアップと二人三脚で日本市場の開拓を進めていき、事業を成功に導いて対日投資を成功させる。
情報提供や自治体との連携、オフィス探しのための不動産仲介会社の紹介等も行う。また全国展開を計画するプロジェクトであるため、JETROの地方事務所との連絡を密にし、オールジェトロとして支援に取り組んでいく。
コロナ禍で全国の飲食店が困窮する中、「日本を元気に」というJETROのミッションを遂行していくプロジェクト。

フードデリバリーサービスに魅力的な日本市場

「コロナウイルスの影響で家食が増え、日本のフードデリバリー市場の需要が急速に拡大しています。ある意味、今世界中から注目を集めているホットなマーケットと言えるかもしれません」。外国企業支援課の内川未来はそう語る。「日本には巨大な外食市場があり、フードデリバリーサービス企業にとっては非常に魅力的な国。その内のひとつであるWolt社は欧州では知名度や評価が共に高く、既に世界23カ国に進出しているグローバル企業です」。

そのWolt社が2019年10月、日本法人「Wolt Japan株式会社」を設立。日本進出を本格的に始動することになった。Wolt社はもともとJETROのロンドン事務所と接点があった。同事務所がフィンランドも統括しているためだ。そこへ日本進出の打診があり、フィンランド大使館を通じてJETROが支援企業に一定期間無料で提供しているテンポラリーオフィスへの入居申し込みがあった。「フィンランド大使館の担当者から連絡があり、そのまま私が担当となりました。既に各国で成功を収めているスタートアップの日本進出を手伝えるということに、期待感と共に重責も感じていました」。

Wolt社は2020年3月、広島市で最初のサービスを開始した。「日本では既にフードデリバリーを展開する企業が国内外含めいくつかあり、群雄割拠となっている。そんな状況で成功に導くためには、Wolt社の企業文化と日本特有の市場特性、法規制を円滑にマッチングさせていく必要があり、JETROの知見が求められました」。

全国の地方事務所と連携して課題を解決していく

Wolt社と内川との二人三脚による全国展開は、ここから始まった。「対日投資の個社支援は1企業1担当制を敷いています。Wolt社についてはすべて私が担当になっているので、先方のエクスパンションマネージャー(日本の市場開拓責任者)にいかに信頼していただくかが大切です。聞かれたら答えるスタンスではなく、こちらから『こういう情報がありましたよ』『こういう人を紹介できますよ』と働きかけていく。パートナーとしてJETROが頼りになる存在であるよう、幅広くサポートしています」。

拠点展開では土地それぞれの課題もあった。札幌の「積雪問題」もその一つだ。冬、積雪があると自転車では転倒してしまうので運べない。一方、寒い冬ほど家食のニーズは高まる。しかし法律上、自動車で食べ物を運ぶのは資格や登録が必要で手続きは容易ではない。そうした課題をWolt社はもとより北海道事務所の職員と共に打開していく推進力が求められた。

「土地由来の課題は各地にあります。JETROには全国の都道府県に地方事務所があり、それは大きな強みです」。札幌の件も、北海道事務所の職員と連携して貨物自動車運送事業届け出済みの配送事業者を紹介した。「フードデリバリーは日本では比較的新しいサービスなので法整備が追いついていない側面もあります。サンドボックス制度*など内閣府も規制改革の方向に向かっていますが、そうした細かい規制や法律、優遇制度は外国の企業にはなかなか分からない。だからこそ日本をよく知るJETROが対日投資企業をサポートし、企業の成長に貢献する意味があると思っています」。

*サンドボックス制度:イノベーション促進のために、一時的に規制の適用を停止するなど、新たなビジネスの実験場の仕組みとしてイギリスなどで始められた「規制の砂場(Regulatory Sandbox)」をいい、日本においても事前規制・手続きを見直すことで、迅速・円滑に実証実験を実現する仕組みを設ける制度のこと。

「日本を元気にする」というミッションを体現

「後発のWolt社にも勝算はあります」。内川は断言する。「キーワードは地元密着。例えば広島ならお好み焼き、札幌でスープカレーなどを提供し、しかもチェーン店以外の地元の名店のような個人店とも提携する。また問い合わせには1分以内に返信する、配達員専用のチャットサポートを設置するなど、とにかくユーザーオリエンテッドなんです。競合とは一線を画す様々なサービスがWolt社の強みだと思います」。

Wolt社は2020年10月、ついに激戦区東京でのサービスを開始した。また公式リリースによれば、2021年には全国100都市でのサービスを計画する。「スタートアップがいきなり全国展開というケースは珍しいですね。私が100都市すべてに関わることは難しいと思いますが、JETROのネットワークと情報提供体制がありますので要所で関わっていきたいです。スピードが求められることは百も承知。全国の事務所と連携して、Wolt社の日本での成功をサポートしていきたいと考えています」。

JETROの対日投資部は外国企業による地方への投資を促進している。Wolt社の案件は、これまで配達員やバイクの用意など費用の問題で宅配サービスができなかった個人経営の飲食店が簡単にデリバリーを始められるようになり、そのソリューションを地方に展開する手助けとなった。まさに「日本を元気にする」というJETROのミッションを体現するケーススタディだ。

「着任当時はフードデリバリー業界についてまったく知りませんでしたが、業務を通じてさまざまな経験を重ね、知識を身につけ、それが自分の成長につながっています。JETROは私のような若い職員にもどんどん任せる組織。成長意欲の高い人には理想的と言えると思います」。街中で、「Wolt」のチラシが置いてある飲食店を見かけると嬉しいと語る内川。その喜びは、今後全国規模で、何倍にも広がっていくはずだ。

MY FUTURE

将来は海外事務所で活躍したい。ただそれはまだ先の話なので、当面は対日投資のビジネスをしっかり経験し、海外のスタートアップを数多く支援していきたいです。

入構理由

スペイン語学科卒で、マドリードへ留学経験があり、得意なスペイン語を使って海外に関わる仕事がしたいと考えました。独立行政法人なので、利益にとらわれず、困っている企業を支援できる点も魅力に感じ、JETROに入構しました。