お知らせ・記者発表
2024年版 ジェトロ世界貿易投資報告
分断と協調 - 岐路に立つ国際ビジネス2024年07月26日
本年の報告について
- 「ジェトロ世界貿易投資報告」は、世界と日本の貿易・直接投資、通商政策、および国際ビジネスに関わるルールの最新動向を豊富なデータを用いて分析した年次レポートです。
- 本年の報告は、分断と協調の両軸から、今日の世界経済を取り巻く複合的リスクと国際通商秩序の変容の実態を分析し、ビジネス戦略再構築に向けた方策を提示することを目的としました。
2024年版世界貿易投資報告のポイント
- 1.世界貿易、3年ぶりに減少
- 2023年の世界貿易は金額・数量ともに減少。地政学的緊張、海上輸送ルートの寸断、保護貿易主義的措置の増加など、貿易回復への道筋には高い不確実性が伴う。
- 米中間貿易の減少傾向が目立つ。他方、中国はリチウム・イオン電池、EV、太陽電池などを中心に世界シェアを拡大。欧米諸国は、中国製品の過剰供給に対する警戒を強める。
- 為替が円安に転じて3年強、円安がさらに加速する状況ながら日本の輸出は総じて鈍い動き。
- 2.世界の直接投資に分断と再編の兆し
- 2023年の世界の直接投資は2年連続減少。資金調達環境の悪化などで、クロスボーダーM&Aが10年ぶりの低水準。欧米諸国による対内投資へのスクリーニング強化も投資抑制の一因に。
- 新型コロナ禍後、欧米の対中投資は大幅減。中国企業は中東、ASEANへ投資を加速。
- 日本の対外直接投資は回復局面へ。ベトナム、インド向け投資額がともに過去最高額を更新。
- 3.経済安全保障を巡る政策介入の応酬
- 補助金や関税措置など、政策介入の応酬が本格化。2023年に世界で導入された貿易投資を阻害する政策介入は3,500件超。政策間の競争が、貿易投資の不確実性を連鎖的に高めている。
- 4.増大する企業の実務負担
- 日本企業にとって経済安全保障上の筆頭課題は輸出管理。特に、米国の輸出管理の拡大・強化は、企業に多くの実務対応を迫る。審査や報告、評価を適切に行うための社内体制構築が必要。
- 5.サステナビリティ推進と新たな逆風
- 環境・人権のルール形成が進む一方、増加する負担に産業界は反発。EUでは一部の法案が軌道修正される事例も。米国でも関連投資に陰りが見え、共和党による反ESGも過熱傾向にある。
添付資料:2024年版「ジェトロ世界貿易投資報告」
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ジェトロ国際経済課 (担当:伊藤、田中)
Tel:03-3582-5177