お知らせ・記者発表
ジェトロ 2023年度 海外進出日系企業実態調査(北米編)
2023年12月05日
―賃金上昇や人手不足など雇用面に根強い課題感―
本調査について
- ジェトロは2023年9月、米国・カナダに進出する日系企業(日本側出資比率が10%以上の現地法人、日本企業の支店)1,874社を対象に、オンライン配布・回収によるアンケートを実施。829社より有効回答を得ました(有効回答率44.2%)。
- 本調査は、進出日系企業の活動実態を把握するために原則年1回実施しているもので、今回が米国は第42回目、カナダは第34回目の調査です。
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- 調査項目:
- 1.営業利益見通し、2.経営上の課題と対応策、3.雇用環境と賃金実態、4.サプライチェーンの見直し、5.事業展開の方向性、6.ESGへの対応、7.米国連邦政府の政策影響(米国のみ)
本調査結果のポイント
- 1.黒字見込みは6割台半ば、新型コロナ禍前に及ばず
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- 2023年に黒字を見込む企業は、在米国日系企業で64.8%、在カナダ日系企業で65.4%。2019年の新型コロナ禍前の水準には未だ及ばず。景況感を示すDI値は、米国、カナダとも、前年を大きく下回った。
- 他方、今後1~2年の事業展開の方向性は、現地市場ニーズの拡大を見込み、拡大を予定する企業の割合が米国、カナダともに5割前後。米国では経済規模の大きいカリフォルニア州、テキサス州などでの拡大を見込む。
- 2.賃金上昇や人手不足など雇用面に根強い課題感
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- 経営課題は、(1)従業員の賃金水準の上昇、(2)人手不足による採用難や定着難、(3)高止まりするインフレによる調達コスト増など。
- 人材不足の課題に直面していると回答した企業は米国で7割、カナダで6割。職種別には、特に工場作業員やエンジニアなど専門職種で人材不足の深刻度が高かった。
- 3.調達先をASEANへシフトする動きが顕著に
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- サプライチェーン再編の動きは継続。調達先を見直す企業は米国製造業で4割を超える。調達先後の調達先は、米国内(72件)での現地調達が最多。これにASEAN(24件)が前年(14件)から増加し続いた。中でも、中国からASEAN(15件)へのシフトが目立った。
- 4.人権尊重や脱炭素化の課題認識が高まる
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- 人権を重要な経営課題と認識する企業は米国、カナダともに8割前後。前年比で20ポイント以上増加。他方、人権デューディリジェンスを実施する企業は米国で3割に至らず。また、人権尊重や脱炭素化の取り組みにおいて、大企業と中小企業の差が浮き彫りに。
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ジェトロ調査部米州課(担当:葛西、滝本、谷本、伊藤)
Tel:03-3582-5545