「第2回地域ブランド認知度アンケート調査」結果について

2019年04月24日

ジェトロは2019年3月、香港、シンガポール、米国において「地域ブランド認知度アンケート調査」を実施しました。本調査は、日本産食品を輸出する際、都道府県などの産地・地域ブランドを前面に出すアプローチがどの程度効果的かを把握するために5年ぶりに実施したものです。

調査の結果、日本産食品の購入に当たって、一部を除き、産地・地域ブランドは認知されていないことが分かりました。このため、多くの産地・地域は、ジャパンブランドの下で輸出し、その中で産品の特色をアピールしつつ、ブランド価値を高めていくことが期待されます。

結果のポイント

1. 日本の食品を購入・飲食する際に意識することは「価格(妥当性)」「美味しさ・味・風味」「鮮度」
「日本の食品を購入・飲食する際にどのようなことを意識するか」という質問への回答(自由記述、複数回答可)では、各国・地域ともに、「価格(妥当性)」(3カ国・地域合計で188回答)、「美味しさ・味・風味」(同168回答)、「鮮度」(同131回答)が上位3項目であった。「産地(日本産含む)」は同46回答であり、これらと比較して低い結果であった。【p.3】
2. 産地・地域ブランドを意識する割合は前回調査から減少。米国では意識しないが意識するを上回る
「産地名・地域ブランドを意識するか」という特定の質問に対しては、前回調査(2013年)と比較して、「産地名、地域ブランドを意識する」と回答した割合が香港では92.4%から83.6%、シンガポールでは86.0%から66.0%と減少した。また、本調査で初めて対象国となった米国は、「産地名、地域ブランドを意識しない」が52.4%であり、「意識する」の47.6%を上回った。【p.4】
3. 認知されている産地・地域ブランドに偏り
「知っている日本の産地・地域ブランド(自由記述)」として、正しく産地・地域ブランドを認知している割合は、香港70%、シンガポール30%、米国19%であった。また、比較的認知率が高い香港でも、認知されている産地・地域ブランドは、北海道、東京、大阪などに限られる傾向となった。【p.5~7】
4. 産地・地域ブランドを知ったきっかけは「食品ラベル等の表示」「デパート、スーパー等でのプロモーション」
香港では「デパート、スーパー等の小売店でのプロモーション」が71.6%、「食品ラベル等の表示」が67.2%、シンガポールでは「食品ラベル等の表示」が48.8%、「デパート、スーパー等の小売店でのプロモーション」47.6%、米国では「食品ラベル等の表示」が42.8%、「テレビ、雑誌等のメディア」が24.4%であった。前述3. のとおり、一部の産地・地域ブランドはプロモーションが奏功しているものの、食品ラベル等の表示によって知る層も一定数がいる結果となった。【p.8】

オールジャパンでの輸出に向けたジェトロの取り組み

  • 海外見本市におけるバイヤーのニーズに沿った展示の工夫

    例:昨年の香港FoodExpoにおいて、ジャパンパビリオン内にて品目別のゾーニングを実施。

  • 海外小売店の棚等における複数県による供給

    例:イオンのベトナムの店舗において、梨の輸出解禁に伴い、福島県産及び茨城県産梨のプロモーションを実施。また、「日本秋祭in香港」において、食のイベントに参加する日本各地の企業を束ねた。

  • 国内商談会やインクワイアリサービスにおける国内企業の広域参加

    例:国内商談会において各県から広く参加企業を募集するとともに、海外からのインクワイアリーに対し、全国の国内事務所に供給業者情報を要請。これらの取組を通じて長期的には供給業者間の連携を醸成。

  • 輸出に意欲のある産地形成・産地間連携の促進

    例:GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)に参画する産地による連携の取り組みへの協力

調査概要

  1. 対象市場:香港、シンガポール、米国
  2. 回答者:20代~50代の男女、対象国・地域各250名
  3. 実施期間:2019年3月8日~22日
  4. 調査手法:インターネットによるアンケート調査
  5. 関連調査:2013年8~9月に第1回地域ブランド認知度アンケート調査を実施

ジェトロ農林水産・食品課(担当:川原、中島)
Tel:03-3582-5186