インド発のデジタル公共財について、日印の企業間連携を支援します

2019年12月12日

ジェトロがIPAおよび印iSPIRTとデジタルインフラ分野の協力に関する共同声明を発表

ジェトロは、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)およびインドの技術シンクタンクであるiSPIRTと、デジタルインフラ分野の協力に関する共同声明を発表しました。ジェトロは「日印デジタル・パートナーシップ」に基づき、オープンで民主的なデジタル公共財の第三国(アジア、アフリカ等)への展開に際し、日印間あるいは日印と第三国間でのビジネスマッチングといった企業間連携の創出を支援します。

1. 概要

今回の共同声明では、経済産業省とインド電子IT省が2018年10月に合意した「日印デジタル・パートナーシップ」に基づくビジネスベースの取組として、デジタルインフラの構築に関する相互の情報交換、特に、アーキテクチャ設計及び実装能力の向上等を目的とする交流・意見交換を、標記3者で定期的に実施していくことが確認されました。また、第三国(アジア、アフリカ等)における、アーキテクチャ設計及び実装能力向上に向けた取組について、デジタルインフラの整備・活用状況、こうしたインフラに基づきサービスを提供するためのアーキテクチャの状況、日本の貢献の可能性(ハードインフラやユースケース構築のためのビジネス組成・マッチング等)に関する検討を開始することもあわせて確認されました。

2. 背景

インドにおいて、個人のデジタルID、認証、決済等のデジタル公共財の整備により、貧困層の金融包摂や新ビジネス創出などが実現しています。iSPIRTが設計を主導した「インディア・スタック」と呼ばれるデジタル公共財は、同国の産業・社会サービスプラットフォームとして世界各国から注目されています。

また、日本とインドは、経済産業省とインド電子IT省が2018年10月に「日印デジタル・パートナーシップ」に係る協力覚書を締結し、2019年6月の首脳会談時のファクトシートにおいてオープンで民主的なデジタル公共財の第三国展開について協議を実施する旨が記載される等、デジタル分野での日印連携を積極的に進めています。

ジェトロとしては、デジタル公共財に対する世界的な導入需要の高まりに伴い、日本企業が当該分野で優位性を有する製品・技術の海外展開が期待できるという状況、また、経済産業省との協議を踏まえ、今般の共同声明を発表し、標記3者での協力を経済産業省や印電子IT省など日印政府機関とも連携しつつ進めていくことにしました。

参考

iSPIRTについて
インドソフトウェア製品産業ラウンドテーブル(the Indian Software Product Industry Roundtable)は、2013年にバンガロールで設立された非営利のシンクタンクで、公共インフラ「インディア・スタック」の設計を主導した団体。ソフトウェアやデジタルプラットフォームを用いて社会のトランスフォーメーションを行うという趣旨に賛同した多数のボランティアで構成されている。
インディア・スタックについて
デジタル技術を用いた国民識別番号制度(Aadhaar)を基盤として、個人認証やペーパーレス、キャッシュレス、個人情報に係る利用の同意・流通の管理に関する一連のオープンAPI(アプリ・プログラミング・インターフェース)を束ねた公共のデジタルインフラ。インディア・スタックのAPIに接続する形で、モバイルペイメント、デジタル本人確認、健康情報管理・流通、マイクロレンディング等の多様なアプリケーションが開発・運用されている。

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