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「2017年度中南米進出日系企業実態調査」の結果について

2018年01月29日

ジェトロは、2017年10月18日から11月22日まで、中南米7カ国(メキシコ、ベネズエラ、コロンビア、ペルー、チリ、ブラジル、アルゼンチン)に進出している日系企業を対象に、経営実態に関するアンケート調査を実施しました。その結果を以下のとおり発表します。

調査方法・実施時期 アンケート調査・2017年10月18日~11月22日
アンケート送付先 在中南米進出日系企業827社(回答企業数417社、回答率50.4%)
質問項目 (1)企業業績、(2)今後の事業展開の方向性、(3)経営上の課題とその対応等

調査結果のポイント

全体概要:
チリやコロンビア、ペルーなど南米の主要国中心に資源価格の回復と現地市場での売上増加が企業の黒字改善に貢献。ブラジルでも資源高を背景とする景気回復傾向で進出日系企業の見方もポジティブな方向に変化しつつある。近年と異なる点としてはアルゼンチンで研究開発や物流といった機能の強化を図る検討が始まっていることが挙げられる。また、メキシコにおける今後の事業拡大意欲という点でNAFTA再交渉の影響が現れ始めた点も従来とは異なる点だ。ベネズエラについては進出企業の事業縮小に加え、撤退の動きがみられた。
  1. ブラジル、パラグアイ:国内の売上増加とコスト削減で赤字見込みは半減するなど明るさ戻り始める。一部企業は「ブラジルコスト」回避目的でパラグアイ進出を検討。
  2. チリ:資源価格の上昇による輸出増加と内需拡大で営業利益改善も、国内市場の価格競争は激化。
  3. アルゼンチン:ビジネス環境改善の継続で、売上増加と新しいビジネス形態の創出機会の到来。
  4. メキシコ:足元のビジネスは堅調。NAFTA再交渉の不透明感もあり、事業拡大には慎重な姿勢も。

結果概要

全体概要補足:

  • 2017年の営業利益が「黒字」と回答した企業の割合は中南米全体では62.1%となり、前回調査(61.5%)とほぼ横ばいであったが、「赤字」と回答した割合は6.6ポイント減少した。(報告書9ページ)
  • 2017年のDI値(業況感)は前回調査の約2倍(11.7から20.8)を記録した。前年と比較した2017年の営業見込みでは、「横ばい」が増加し(27.9%から35.0%)、「悪化」が減少するなど(30.2%から22.1%)、南米の景気回復により、進出日系企業の業績にも好転の兆しがみえる。(報告書10ページ)
  • 2017年の見込みと比較した2018年の営業利益見通しでは、「改善」の割合が10ポイント近く上昇した(52.0%)。(報告書17ページ)
  • 近い将来の事業展開の方向性については、コロンビア、ペルーにおいてポジティブな回答が目立ち、今後1~2年間に事業を拡大すると回答した企業の割合はそれぞれ73.3%、73.7%だった。ブラジルも国内景気回復の本格化を見込み、10ポイント以上上昇した(42.7%から53.5%)。ベネズエラでは「第三国(地域)への移転、撤退」(21.4%)の回答が本項目の調査開始以降(2012年)初めて見られた。(報告書24ページ)
  • 同業種企業で最も競合関係にある企業について、コロンビアやペルーでは中国を挙げる割合が高まっている(それぞれ16.7%から20.0%、17.4%から31.6%)。特にコロンビアでは、最近2年間で進出中国系企業数が20社から70社へ増加したことなどが背景に挙げられる。(報告書33ページ)

1.ブラジル、パラグアイ:ブラジルは国内の売上増加とコスト削減で赤字見込みが半減するなど業績に明るさ戻り始める。一部企業は「ブラジルコスト」回避目的でパラグアイ進出を検討。

  • ブラジル進出日系企業の2017年の営業利益見込みは、「赤字」の割合が半減した(40.6%から23.2%)。2017年は景気減退から抜け出し国内需要が回復傾向にあることが背景にある。(報告書9ページ)
  • DI値(業況感)は前年のマイナスからプラスへと転じた(マイナス11.5からプラス23.3)。(報告書10ページ)
  • 2017年の営業利益見込みが改善した理由として「現地市場での売上増加」を挙げた割合が大きく伸びた(43.8%から75.6%)。また人件費や管理費、光熱費、燃料費等の、経営コスト削減にも引き続き注力したことが改善の要因となった。(報告書11ページ)
  • 他方、「ブラジルコスト」と呼ばれるビジネスコストは依然として企業経営に影響を及ぼしていると見られ、「税制・税務手続きの煩雑さ」(78.8%)や「人件費の高騰」(66.7%)、「労働争議・訴訟」(65.7%)などは前回調査同様、高い数値となった。ただし、為替は落ち着きを見せたことで「不安定な為替」を挙げる企業は大幅に減少した(76.0%から50.5%)。(報告書51ページ)
  • 12.1%の企業はパラグアイ進出を検討している。(報告書76ページ)

2.チリ:資源価格の上昇による輸出増加と内需拡大で営業利益改善も、国内市場の価格競争は激化。

  • チリでは、2016年末からの資源価格の上昇によって、2017年の営業利益見込みが「黒字」の回答率が伸びた(62.2%から75.7%)。(報告書9ページ)
  • 2017年のDI値(業況感)は前回調査の約4倍(10.8から46.0)となり、好調な企業経営を裏付けている。(報告書10ページ)
  • 資源価格の回復は輸出を後押しし、「輸出拡大による売上増加」(30.0%)を2017年の営業利益見込みの改善理由とした企業の割合が中南米で最も高かった。(報告書11ページ)
  • さらに、内需や輸出の拡大を見込み、今後1~2年に具体的に拡大する機能として、汎用品(11.8%から23.5%)と高付加価値品(5.9%から17.6%)の生産機能を強化する動きが見られる。(報告書28ページ)
  • ただし、内需の拡大による輸入品の増加を受けて国内の価格競争は激化している。直面している販売・営業面の問題点として「競合相手の台頭(コスト面で競合)」の回答率が上昇し(45.9%から56.8%)、中南米地域で最も高かった。(報告書35ページ)

3.アルゼンチン:ビジネス環境改善の継続で、売上増加と新しいビジネス形態の創出機会の到来。

  • アルゼンチンでは、マクロ経済の回復を背景に内需が拡大し、2017年のDI値(業況感)は前回調査の約7倍(4.3から31.7)と良好だった。(報告書10ページ)
  • 営業利益見込みが「改善」の具体的な理由として、「現地市場での売上増加」の回答率が94.1%に達した。また、マクリ政権が進めるビジネスフレンドリーな政策をふまえ、「現地政府の政策による影響」(11.8%)を挙げた割合が中南米地域で最も高かった。(報告書11ページ)
  • 加えて、今後1~2年に拡大する機能として、前年は挙げられなかった「研究開発」(12.0%)、「地域統括機能」(16.0%)が回答され、「物流機能」(15.4%から24.0%)が比率を伸ばすなど、アルゼンチンの多面的な活用の動きが見られる。(報告書28ページ)

4.メキシコ:足元のビジネスは堅調。NAFTA再交渉の不透明感もあり、事業拡大には慎重な姿勢も。

  • メキシコでは、2018年のDI値が51.4と域内で最も高く、足元のビジネスは比較的堅調に推移するとみている企業が多い。(報告書17ページ)
  • しかし、今後1~2年の事業展開については、「拡大」が前年に比べて約13ポイント低下し(78.9%から66.1%)、「現状維持」が約10ポイント上昇(20.4%から29.9%)するなど、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡る不透明感もあり、新規事業の展開には慎重になっている様子がうかがえる。(報告書24ページ)
  • 今回の調査では、在メキシコ企業を対象にNAFTA再交渉による影響等について聞いた。具体的な関心分野としては「通関・貿易円滑化・原産地規則」が74.6%と圧倒的に高く、個社のコメントとしても原産地規則改定を懸念する声が多かった。(報告書68ページ)

ジェトロ米州課 (担当:竹下、中畑、志賀)
Tel:03-3582-4690