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「ジェトロ世界貿易投資報告」2018年版 ―デジタル化がつなぐ国際経済―

2018年07月30日

2018年版の「ジェトロ世界貿易投資報告」をまとめましたので、総論編概要を次のとおり発表します。

  1. 貿易
    17年の世界の貿易額は3年ぶりに増加
  2. 直接投資
    世界で存在感増す中国の対外投資
  3. 通商ルール
    厳しい局面を迎えた多国間貿易体制
  4. トピック:デジタル化がつなぐ国際経済
    財・サービスよりデータが伸びるデジタル貿易

1. 貿易

  • 2017年の世界貿易(財貿易、名目輸出額ベース)は、前年比10.5%増の17兆3,162億ドル(ジェトロ推計)となり、3年ぶりにプラス成長に転じた。特に、価格上昇を背景にした資源関連商品や、半導体関連商品の伸びが顕著。貿易数量(輸出ベース)も4.5%増で、金額、数量とも2011年以来の高い伸び。
  • 2018年第1四半期の財貿易額(主要34カ国・地域)は、輸出が前年同期比13.3%増、輸入が同14.6%増と2桁の伸び。貿易制限的措置の連鎖が下振れリスクに。
  • 2017年の日本の貿易は輸出が前年比8.2%増の6,972億ドル、輸入が10.5%増の6,710億ドルと、ともに増勢を強め2年連続で貿易黒字(263億ドル)を計上。半導体製造機器など一般機械の輸出が、世界的な投資回復を背景に特に好調であった。

2. 直接投資

  • 2017年の日本の対外直接投資は、前年比3.0%減の1,686億ドル(国際収支ベース、ネット、フロー)と、ピークの2016年から微減となったが、過去2番目の高水準を継続。停滞感が続いてきた日本企業の対中ビジネスにも再拡大の兆し。
  • 世界の対外直接投資残高の国・地域別シェアをみると、投資元として、新興・途上国、特に中国の存在感が年々大きく。欧米で中国企業による買収への警戒感が高まる一方で、中国政府も対外投資管理を強化。中国などアジア企業のプレゼンスは対日投資でも拡大しており、日本企業への資本参加やシェアリングビジネスなどに広がる。

3. 通商ルール

  • 世界の自由貿易協定(FTA)発効のペースが落ちている中、日EU・EPA、TPP11という、経済的インパクトの大きい2つの大型FTAの発効が近づく。日本は対EU輸出で年間約26億ドル(ジェトロ推計)の関税を支払っており、関税コストの削減に期待。
  • 世界のアンチダンピング(AD)調査開始件数は高水準にある。米国の貿易政策にはADなど貿易救済措置の積極活用だけでなく、国内法に基づく一方的措置が含まれており、WTOルールを基盤とする多国間貿易体制の存立が揺らいでいる。

4. トピック:デジタル化がつなぐ国際経済

  • 世界のデジタル貿易は財・サービスよりも、電子商取引やデータ・フローの伸びが顕著。「デジタル関連財貿易」(ジェトロ推計、輸出ベース)は世界貿易全体の17.0%(2兆9,505億ドル、2017年)を占め、近年、品目の新旧交代が進む。世界のデジタル関連財輸出における日本の存在感は全般的に低下がみられるが、半導体製造機器と産業用ロボットでは、2007年以降、常に世界の輸出シェア第1位を維持。
  • 世界の「デジタル関連企業」による対外グリーンフィールド投資とクロスボーダーM&Aは、拡大傾向にある。いずれも米国が最大のシェア(件数ベース)を占める一方、中国など新興・途上国のシェアが拡大しつつあり、国外への事業展開を積極化させている様子がうかがえる。
  • 世界のデジタル大手を抱える米国は、FTAを通じてデジタル貿易の自由化を進めてきた。他方、EUは、競争政策や税制改正など非貿易分野でもデジタル関連ルール形成を積極的に進める。また、中国が外資に対し厳しい国内規制を課すなど、デジタル貿易政策は各国で異なる。こうしたなか、WTOで有志国による電子商取引ルール検討の枠組みが始動しており、多国間ルール形成の意義と必要性を示すものとして注目される。

ジェトロ海外調査部 国際経済課(担当:米山、明日山、安田)
Tel:03-3582-5177