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「2016年度中南米進出日系企業実態調査」の結果について

2017年01月23日

ジェトロは、2016年10月11日から11月29日まで、中南米7カ国(メキシコ、ベネズエラ、コロンビア、ペルー、チリ、アルゼンチン、ブラジル)に進出している日系企業を対象に、経営実態に関するアンケート調査を実施しました。その結果を以下のとおり発表します。

調査方法・実施時期: アンケート調査、2016年10月11日~11月29日
アンケート送付先: 在中南米進出日系企業814社(回答企業数358社、回答率44.0%)
質問項目: (1)企業業績、(2)今後の事業展開の方向性、(3)経営上の課題とその対応等

調査結果のポイント

  1. 中南米全体:営業利益が黒字の企業増えるも、景気回復の遅れや不安定な為替が足かせ
  2. メキシコ:進出日系企業は不安定な為替を懸念
  3. アルゼンチン:マクリ政権の経済改革によるビジネス環境改善を評価
  4. コロンビア:和平プロセス進展によるテロ懸念後退で進出企業は今後の事業を拡大
  5. ブラジル:進出日系企業の営業黒字は改善も我慢の経営続く

結果概要

1.中南米全体:営業利益が黒字の企業増えるも、景気回復の遅れや不安定な為替が足かせ

2016年の営業利益が「黒字」と回答した企業の割合は中南米全体では61.5%となり、前回調査と比べて5.0ポイント上昇したものの、ペルー、コロンビア、チリ、ブラジルでは「赤字」と回答した企業の割合も増えており、企業業績は明暗が分かれる結果となった。【資料6ページ】
ただし、前年比で「改善」したと回答した企業の割合は41.9%と、昨年とほぼ同じ割合(41.8%)となった。景気回復の遅れや不安定な為替が背景にある。【資料7ページ】
近い将来の事業展開の方向性については、コロンビアとアルゼンチンにおいてポジティブな回答が増えた。今後1~2年間に事業を拡大すると回答した企業の割合はそれぞれ57.1%から75.0%、45.2%から56.5%に上昇した。【資料21ページ】
なお、今回初めて、初期投資を回収しているかどうかについて調査した。2011年以降に進出した企業の傾向をみると、初期投資の回収が早いのはメキシコ、コロンビア、遅いのはブラジル、アルゼンチンだった。【資料71、72ページ】

2.メキシコ:進出日系企業は不安定な為替を懸念

メキシコは、2016年前半は内需が経済成長を下支えしたものの、後半はペソ安とそれによるインフレの進行が内需に影響して減速した。米国の利上げをめぐる思惑や大統領選挙などを背景にペソ安が継続しており、進出日系企業の不安材料となっている。メキシコ進出日系企業が挙げる投資環境面のリスク(問題点)として「不安定な為替」を挙げる企業が前回調査から大幅に増え(43.7%から63.4%)、リスク項目のトップになった(前回調査は4位)。【資料52ページ】

3.アルゼンチン:マクリ政権の経済改革によるビジネス環境改善を評価

アルゼンチンでは、2015年12月に発足したマウリシオ・マクリ政権の経済改革によりビジネスを展開するための環境が整ってきた。財務・金融・為替面の問題点として「対外送金に関わる規制」を挙げる割合が前回調査から大幅に減少した(96.8%から17.4%)。【資料37ページ】
その他に挙げられていた問題点についても改善を評価する声が多かった。例えば、「現地の規制緩和が進まない」(67.7%から17.4%)【資料33ページ】、貿易制度面の問題点では「非関税障壁が高い」(35.5%から17.4%)、「輸出制限・輸出税がある」(41.9%から17.4%)【いずれも資料45ページ】が挙げられる。
こうしたビジネス環境の改善は、進出企業による現地体制強化につながりそうだ。日本人駐在員数を今後増やすと回答した企業の割合は21.7%となり、コロンビア(25.0%)、メキシコ(23.2%)とともに高かった。【資料29ページ】

4.コロンビア:和平プロセス進展によるテロ懸念後退で進出企業は今後の事業を拡大

政府と左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」の和平プロセスの進展(最終的に2016年11月30日に成立)を受けて、投資環境のリスク(問題点)では「テロ」、「外国人・企業を対象とした犯罪」に対する懸念が前回調査から減少した(いずれも33.3%から20.8%)。【資料54ページ】
今後1~2年間に事業を拡大すると回答した企業の割合は75.0%となり、前回調査から17.9ポイント上昇した。【資料21ページ】

5.ブラジル:進出日系企業の営業黒字は改善も我慢の経営続く

ブラジル進出日系企業の2016年の営業利益見込みは、「黒字」の割合(53.1%)が前年調査(44.9%)から8.2ポイント改善した。【資料6ページ】しかし、前年比では「悪化」と回答した企業の割合も44.8%と高い。【資料7ページ】同国の景気回復の遅れが背景にある。実際、営業利益が前年に比べて悪化した理由として「現地市場での売上減少」を挙げた企業の割合が72.1%と中南米で最も高かった。【資料11ページ】
また、前年に比べて営業利益が改善したと回答した企業においても、改善理由として人件費削減を挙げる割合が域内で最も高く、「我慢の経営」が続いている。【資料8ページ】
初期投資の回収状況についてもブラジルならではの特徴が出ている。2011年以降に進出した企業14社のうち初期投資を回収できたと回答した企業はなかった。複雑な税制や高い輸送コスト、手厚い労働者保護など「ブラジルコスト」と呼ばれるビジネスコストの高さが影響を及ぼしているとみられる。【資料72ページ】

ジェトロ米州課 中南米班
Tel:03-3582-4690