海外ビジネス情報

ジェトロの海外ネットワークを通じて収集した最近のビジネスニュースや政治・経済の概況、貿易・投資実務に役立つ制度・手続き情報や各種統計、調査レポートなどをお届けしています。

各国・地域別にご覧になりたい場合は「国・地域別情報」をご覧ください。

国・地域別に見る

2014年版ジェトロ世界貿易投資報告 ‐日本を国際ビジネス循環の基点に‐

2014年08月07日

2014年版のジェトロ世界貿易投資報告をまとめましたので、総論編概要を以下のとおり発表します。

-10のポイント-
  1. 2013年の世界貿易・投資は回復傾向へ、世界経済は緩やかに復調
  2. 3年連続で赤字となった日本の貿易
  3. 日本の対外直接投資は過去最高を記録
  4. TPPとRCEPの推進により、アジア太平洋自由貿易地域を実現
  5. 規模、質ともに厚みを増すアジアの消費市場
  6. 海外有望市場を戦略的に開拓
  7. 日本企業の海外拠点の再編に新たな動き
  8. 外資系企業はビジネスコストの高さを問題視、改善の兆しも
  9. 対日投資増へ国を挙げた取り組みが不可欠に
  10. 国際ビジネス循環のハブ化に向けた日本企業の課題


-概要-
1.2013年の世界貿易・投資は回復傾向へ、世界経済は緩やかに復調
  • 世界貿易(商品輸出)は、中国とEU・米国など先進国が牽引するも、日本とロシアなど一部新興国の減少により前年比微増(前年比1.6%増の18兆2,826億ドルで過去最高)。商品別では、集積回路や通信機器が伸びた一方で、原油など資源が減少。
  • 世界の直接投資は、2年ぶりに増加(前年比9.1%増の1兆4,520億ドル、うち新興・途上国が61.0%)。
  • 世界経済の回復ペースは緩やか。新興・途上国が勢いを欠くが、先進国経済が回復基調強める。新興・途上国が世界経済をけん引(寄与度約7割)する構造は将来も変わらず。


2.3年連続で赤字となった日本の貿易
  • 2013年の日本の貿易は輸出入とも前年比減少し、3年連続の貿易赤字。リーマン
    ショック前の2008年と比べると輸送機器、電気機器が大幅減。他方、一般機械は健闘。
  • 貿易赤字の拡大が響き、経常収支の黒字幅は縮小続く(2013年は317億ドル)。ただしサービス貿易は赤字縮小。輸送、旅行収支は改善、特許等使用料は黒字拡大。


3.日本の対外直接投資は過去最高を記録
  • 日本の対外直接投資は10.4%増の1,350億ドルと5年ぶりに過去最高を更新。
    ASEAN向けが236億ドルと過去最高を記録した一方、中国は3割減少(91億ドル)。
  • 13年の対外直接投資収益額は682億ドル。地域別ではアジア、北米、欧州の順に多い。アジアを中心に収益率をさらに高め、収益額を伸ばしていくことが必要。
  • 対日投資は、諸外国に比べ日本での投資収益率が大幅に上昇。日本経済の回復で外資にとって日本が儲かる市場に。


4.TPPとRCEPの推進により、アジア太平洋自由貿易地域を実現
  • TPP、RCEP、日中韓、日EU、TTIPの5つの大型FTA(メガFTA)の交渉が進展中。政府は、FTAカバー率を70%に引き上げることを目標に設定(2013年時点で18.2%)。交渉中のメガFTAなどが発効すれば、日本のカバー率は8割まで上昇。
  • 日本は28カ国・地域との間で投資協定(FTAの投資章を含む)を発効済み。日本の対外直接投資残高に占める投資協定カバー率は29.1%。
  • FTA利用企業にとって、原産地証明の発給申請や原産地基準を満たすための事務は負担。認定輸出者制度の利用拡大や、中小企業へのきめの細かい広報活動が引き続き必要。


5.規模、質ともに厚みを増すアジアの消費市場
  • アジア(※)の家計消費支出は2012年時点で日本の1.5倍。人口増と所得水準の向上により、アジアの市場規模は拡大が続く。
  • アジアの消費は、量に加えて質も変化。基礎的支出から耐久消費財へ、そしてサービス支出へと、支出の質も高度化。
  • ASEAN主要国の首都には、一人当たりGDPが1万ドルを越える都市も出現。
    ※ここでのアジアは、中国、インド、ASEANの3カ国・地域。


6.海外有望市場を戦略的に開拓
  • 2013年の農林水産物の輸出額は前年比22.4%増の5,505億円で過去最高を記録。
    日本のサービス産業(非製造業)の海外現地法人数は、2003年度から約92%増になるなど、海外展開が加速。
  • 医療機器市場は、中国など新興国を中心に拡大見込み。ものづくり企業が活躍することで、輸出力強化に期待。
  • 日本企業のアフリカ進出は、各国と比較して出遅れ。アフリカ進出の余地は大きいが、情報が少なくリスクもあるため支援強化が必要。


7.日本企業の海外拠点の再編に新たな動き
  • 日本企業による海外拠点の再編が進展。人件費の上昇などにより、中国からASEAN諸国に拠点・機能を移管する動きが進展。さらに近年ではタイから周辺国へ進出するタイ・プラスワンの動きあり。
  • ジェトロ新興国進出個別支援サービスの採択企業のうち、13.7%が東アジア、ASEAN以外へ進出希望。中堅・中小企業でも中南米、南西アジアへの進出希望が増加。
  • 海外拠点から第三国へ輸出する動き(“Made by Japanese”)も目立つ。南アフリカ共和国における日系メーカーの自動車輸入台数は、インドなど第三国からの輸入が日本からの輸入の約2倍の規模。


8.外資系企業はビジネスコストの高さを問題視、改善の兆しも
  • 対日投資の魅力は経済規模、インフラ、人材。他方、外資系企業はビジネスコスト(税率含む)の高さを問題視。
  • ビジネスコストを比べると、不動産の中にはアジアの他都市が東京を上回るものも。一部職種の人件費も格差は大幅に縮小。
  • 国内では消費財中心に高いシェアを有する外資系企業も多い。飲料品、コンタクレンズ、個人用装飾品は外資の販売シェアが日本企業を抑えて首位。


9.対日投資増へ国を挙げた取り組みが不可欠に
  • 主要国は大統領や首相自ら自国をアピール。企業誘致巡る競争が激化するなか、国を挙げた取り組みが不可欠に。欧米は自治体レベルでも外資誘致を展開。
  • ジェトロは03年度以降、10年間で1万件超の対日投資を支援。そのうち1,136件が日本進出を果たす。環境、健康、観光、小売、および研究開発拠点の誘致に重点。
  • 訪日外国人旅行者数は1,036万人と過去最高を記録。経済効果は大きい。さらなる旅行者増に向け、地域の産業施設や工場を活用した「産業観光」の取り組みを。


10.国際ビジネス循環のハブ化に向けた日本企業の課題
  • 模倣品・海賊版対策や特許取得中心の“知財対策”から、営業秘密保護も含めた総合的な“知財戦略”への転換が必要。
  • 日本とシリコンバレー間の“頭脳循環”の促進を通じた日本発ビジネスイノベーションの創出や、中小ベンチャーのグローバル展開支援の強化が重要。
  • 外国人留学生など多様な属性や価値観を持った人材の能力を最大限発揮させイノベーションを創出する「ダイバーシティ経営」への取り組みが待ったなし。


<日本を国際ビジネス循環の基点に>
 
政府の成長戦略の目標を達成し、日本経済が将来にわたり成長するためには、日本がアウトバウンド(輸出、対外直接投資など)とインバウンド(対内直接投資、観光など)両方の国際ビジネス活動の循環の基点となり、またその循環が回転し続ける必要がある。
 
よって今後は中堅・中小企業や地域も含めて、オールジャパンで国際ビジネスに取り組まなければならない。
 
対日投資を通じて優れた人材や技術を呼び込み、イノベーションを創出し、その刺激によって鍛えられた日本企業が、また新たな海外市場展開を図るという国際ビジネスの好循環を作り出すべきである。
 
TPPやRCEPなどの経済連携でビジネス環境を整え、営業秘密保護など新たな知財戦略、頭脳循環を通じた高度人材活用、外国人留学生の活躍を推進するダイバーシティ経営などを通じて、日本の社会や企業自身が国際ビジネス循環の基点に足りうるよう生まれ変わる必要もある。 
 
ジェトロの取り組みも、改訂版成長戦略に沿って、これまでの成果を点検して新たなステージに移行することになる


ウェブで全文公開「ジェトロ貿易投資報告 2014年版」
本報告書はウェブサイトで全文をご覧いただけます。また、書籍版も販売しています。
書籍版購入ページへ

担当部課

ジェトロ国際経済研究課(担当:米山、鈴木、吾郷)
Tel:03-3582-5177