米国で「アジア太平洋広域経済圏セミナー」を開催 (2022年)
2022年6月
ジェトロは2022年6月23日、⽶国戦略国際問題研究所(CSIS)との共催で「アジア太平洋広域経済圏セミナー:アジア太平洋地域における経済秩序の未来」を対面形式では3年ぶりにワシントンDCで開催しました。
マシュー・グッドマンCSIS上級副所長の冒頭挨拶及びマリサ・ラーゴ商務次官 による開会挨拶後、佐々木伸彦理事長は基調講演で、トランプ前米政権が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱し、米中摩擦が固定化して以降、アジアで起きた最も大きな変化は中国とASEANの経済関係の強化だと指摘しました。一方、シンガポールのシンクタンク、ISEASユソフ・イシャク研究所の調査では、ASEANの有識者の約70%が米国の影響力を歓迎していると紹介し、米国はASEANからの信頼が高い日本とともに、地域のルール形成に貢献すべきと提起しました。特に、アジアでデータの自由な流通を制限する規制が広がっていることに懸念を示し、バイデン米政権が2022年5月に立ち上げた「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」ではデジタル貿易に関わる課題に対処する必要があると述べました。また、最終的には米国がCPTPP(注)に復帰することが望ましいとし、それを核としてWTO改革にもつなげていくべきと訴えました。
基調講演(リアル)
基調講演(オンライン)
パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、クリストファー・ジョンストンCSIS上級顧問兼日本部長がモデレーターを務め、大庭三枝神奈川大学法学部教授(オンライン参加)、マシュー・グッドマンCSIS上級副所長、屠 新泉対外経済貿易大学(北京)・中国WTO研究院長・教授 (オンライン参加)、サイモン・テイシンガポール国際問題 研究所(SIIA)理事長がパネリストとして登壇し、各国・地域の視点からアジア太平洋地域の経済秩序の展望を議論しました。IPEFが効果的且つ継続的な枠組みになるための課題、米国不在のCPTPPの今後の展望、地域において存在感を増すインドの役割等、各パネリストより様々な見解が示され、活発な議論が展開されました。
(注)米国がTPPから離脱後、米国抜きで、新たな貿易協定として、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)が2018年12月に発効した。
アジア太平洋広域経済圏セミナー概要
テーマ | The Future of Economic Order in the Asia Pacific Region |
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開催日 | 2022年6月23日(木曜) |
会場 | CSIS講堂 、オンライン(You tube配信) |
主催 | ジェトロ、戦略国際問題研究所(CSIS) |
出席者 | 1,815名(対面:33名、オンライン:1,782名) |
プログラム |
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視聴ウェブサイト | https://www.csis.org/events/future-economic-order-asia-pacific-region |