米国で「アジア太平洋広域経済圏セミナー」を開催(2019年)
2019年6月
ジェトロは2019年6⽉19日、⽶国戦略国際問題研究所(CSIS)との共催で「アジア太平洋広域経済圏セミナー:米国はアジア経済の枠組みから切り離されようとしているか?」をワシントンDCで開催しました。
ステファニー・マーフィー下院議員(民主党、フロリダ7区選出)とマーク・ナッパー国務省副次官補(日韓担当)による開会挨拶後、佐々木伸彦理事長は基調講演で、アジア太平洋地域でイノベーションに基づくデジタル分野のビジネスが拡大していることに触れ、それを促す環境整備の必要性を呼びかけました。一方、米国と中国による追加関税を通じた、対立の先鋭化と対象領域の拡大によって事業環境の不確実性が一層増し、企業の事業拡大意欲が減退する恐れがあると指摘しました。こうした環境下で日米政府に求められる役割として、イノベーションを損なわずに普及を促すことが可能なデジタル貿易についての枠組みやルール形成の重要性を示し、両国が地域における議論を先導していくべきと訴えました。
1つ目のパネルディスカッションでは、「インド太平洋地域で進む経済統合に対する各地からの見方」をテーマに、早稲田大学の戸堂康之教授、シンガポールのデボラ・エルムズ・アジア貿易センター所長、中国の屠新泉・対外経済貿易大学教授らが議論を交わしました。経済統合のけん引役として、「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定」(CPTPP)や「東アジア地域包括的経済連携」(RCEP)、「一帯一路」などに関する評価のほか、米中通商交渉の行方とそれがもたらす自由貿易体制や国際ビジネスへの影響などについて活発な意見交換が行われました。
続くパネルディスカッションでは、「米国における通商政策の現状と影響」をテーマに、全米商工会議所のチャールズ・フリーマン副会頭、穀物大手アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)のロリアン・ハウリー上級部長、ソフトウェア業界団体BSAのアーロン・クーパー副事務局長が討論に参加しました。セッションでは、関税の影響、通商協定、デカップリング、デジタル貿易などが民間分野にどのような影響を与えるか、また、アジア太平洋地域における米国の通商政策に対し、民間部門がいかに関与していくべきかなどについて、幅広い意見が交わされました。
基調講演
パネルディスカッション
会場
アジア太平洋広域経済圏セミナー概要
開催日 | 2019年6月19日(水曜) |
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会場 | CSIS講堂 |
主催 | ジェトロ、戦略国際問題研究所(CSIS) |
出席者 | 128名 |
テーマ | Is the United States Decoupling from Asia’s Economic Architecture? |
プログラム |
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