インド・ベンガルールで対日投資セミナーを開催
「Japan-India Innovation Dialogue」
2019年3月
2019年3月8日、ジェトロはインド・ベンガルールで日印ビジネスセミナー「Japan-India Innovation Dialogue」対日投資セミナーを開催し、現地のスタートアップ企業など約140名の参加者に対し、日本への投資を呼びかけました。
日印互いの強みで連携し、世界展開へ
インド全国ソフトウェア・サービス企業協会(NASSCOM)のヴィスワナサン副総裁は、インドは2018年に8社のユニコーン企業を輩出し、スタートアップ・エコシステムが充実していると述べました。エレクトロニクスやハードウェアに強い日本とソフトウェアに強いインドが連携すれば世界に展開できる製品が作れると発信しました。同氏はまた、NASSCOMが広島県とともに広島県内で「日印IT回廊(Japan-India IT Corridor)」を設立し、インドからビジネスと人材を日本へ移転させるべく無料オフィスやAIによる文書翻訳支援などのサービスを提供していく事を表明しました。
講演の様子
インド企業にとっての日本市場の魅力と課題
エンジニアリング研究開発サービスを提供するL&T Technology Servicesのラガバン日本・韓国・中国地域代表は、日本では日本語と日本文化を理解するバイリンガルを現場に配置し接客にあたらせることが重要と強調しました。また、「根回し」や「稟議」のある日本では意思決定は徐々に進むため忍耐が必要と述べました。
格安ホテル予約サイト「OYO Rooms」を運営するOYOのドゥレジャ海外展開代表は、日本のホテル市場は3年で1.5倍となる見込みで、ホテル予約サイトへのニーズが高いと思われる独立経営のホテルが多く存在することから参入余地が大きいとしました。
日本で物流業界向けに自動搬送ロボットを利用した倉庫業務の自動化ソリューション等を提供するベンチャーGrey Orangeのアドバニアジア太平洋・日本代表は、日本の電子商取引市場は1年で6%も成長しているが、物流業界の労働力不足が大きな課題となっており、その解決にロボティクスが貢献できると述べました。同氏はまた、ジェトロの協力により、人材確保が困難な日本で、知見が深く意欲的で低コストのシルバー人材を確保できたと述べました。
ベンチャー企業を支援するデロイトトーマツベンチャーサポートの斎藤 事業統括本部長は、日本のベンチャーキャピタル(VC)による投資規模は2016年時点で約2,000億ドルとなり、近年はコーポレートベンチャーャピタル(CVC)が大幅に増加し、大企業によるスタートアップの協業やM&Aも急増していると説明しました。同氏は現地スタートアップ企業に対し、日本での進出にはベンチャー企業のプレゼンイベントに参加して大企業とのコネクションを作り、アクセラレーションプログラム参加によって実績を作り、メディアに露出してファンドに見い出されることが大切と強調しました。
インド企業との連携により自社課題の解決をめざす
日本企業のリバースピッチでは、ガラスメーカーAGCの森シニアディレクターが、社会環境の大変化に伴う課題を共に解決するため、自社に不足する技術(アルゴリズム、コントロールシステム、ネットワークプラットフォーム)を持つインド企業との連携に期待を表明しました。
海運・物流のソリューションを提供するSymphony Creative Solutionsの鈴木アシスタントジェネラルマネジャーは、海運業界の課題(契約締結プロセスや燃料価格の予測の難しさ)の解決に向け、同社ではスタートアップを発掘するコンテストを同社が開催していると紹介し、音声・画像認識技術、データマイニングなどのインドのIT技術を取り込みたいと述べました。
総合商社である双日の桑原上級主任は、同社がインド企業技術のユーザーであると同時に、インド企業とともに新規分野に参入する戦略パートナーとして、ともに海外展開を目指したいと発信しました。
4自治体が重点分野とスタートアップ支援策を紹介
日本の地方自治体からは大阪外国企業誘致センター(O-BIC)、静岡県、浜松市、茨城県が登壇しました。
O-BICは、大阪市のイノベーション創出拠点「大阪イノベーションハブ」や国際イノベーション会議「Hack Osaka」を紹介し、大阪商工会議所と大阪工業大学によってユニークな産業と学術機関がオープンイノベーションハブを形成するXportという施設を開設されたと述べました。静岡県は、県の東部は薬品、中部は食品化学、西部は光子と地域ごとの強い分野を紹介し、県内の産学連携が強いこと、県がアグリ・オープンイノベーション(AOI)プロジェクトを開始したことなどをアピールしました。浜松市は、公的インキュベーション施設「浜松イノベーションキューブ」や周辺に11の大学と短大があることを紹介し、低コストのオフィスと若い人材が魅力とアピールしました。茨城県は、高水準の研究と教育の集積が進む「筑波研究学園都市」で、多くの機関がロボティックス分野などのR&Dを行っており、7,000人以上の外国人研究者が在籍していると紹介しました。また、同都市に多くある大学や研究機関から生まれたスタートアップとのネットワークをワンストップで提供可能で、インターナショナルスクールや英語で対応できる病院もあり、家族での移住も歓迎していると述べました。
インド企業に日本企業との協業を呼びかけ
瀧ジェトロベンガルール所員は、日印政府の主導により2018年に日印経済の共同イノベーションを促進する枠組み「日印スタートアップハブ」が設立されたことや、現在85社の日本進出インド企業のうち、70社をジェトロが支援していることを述べました。また、ジェトロIBSCでは貸しオフィスを通常50日間無料で提供しているところ、スタートアップであれば100日間無料で利用可能とアピールしました。
仲條ジェトロニューデリー事務所所長は、2018年に日本のスタートアップの海外進出支援と海外スタートアップの日本進出支援を行う「ジェトロ・グローバル・アクセラレーション・ハブ」がベンガルールを含む世界のスタートアップ・エコシステム先進地域で始動したことに触れ、インドの企業は日本市場にローカライズすることが重要であり、また日本企業と協業して世界市場の開拓を目指してほしいと締めくくりました。
ネットワーキング・レセプションでは、登壇した4自治体と沖縄県、ジェトロが相談デスクを設置し、現地企業からの個別相談に対応しました。
日印ビジネスセミナー「Japan-India Innovation Dialogue」対日投資セミナー概要
開催日時 | 2019年3月8日(金曜)13時30分~17時00分 (15時55分~17時00分はネットワーキング) |
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会場 | Shangri-La Hotel |
共催 | ジェトロ、カーネギーインディア、バンガロール商工会議所(BCIC)、全国ソフトウェア・サービス企業協会(NASSCOM) |
協力 | 在ベンガルール日本国総領事館、カルナタカ州政府、経済産業省、印日商工会議所(IJCCI) |
来場者 | 約140名 |
プログラム概要 |
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