ラオス伝統工芸品育成支援事業 ―ジェトロ「GIFTプロジェクト」―

2017年1月

ハンディクラフト製品の品質向上と輸出拡大を目指して

ジェトロは、ラオス政府からの要請を受け、2001年からラオスのハンディクラフト協会(LHA)とともに、ラオスの輸出奨励品であるハンディクラフト製品の品質向上と輸出拡大に向けた支援を行っていますが、15年からはその一環として、GIFTプロジェクトを始めました。

同プロジェクトでは、ラオスを訪れる外国人用の土産物(ギフト商品)として、ラオスの伝統工芸品を開発する支援を行っています。ラオスの伝統工芸品は、質の高さには定評はあったものの、ギフトとしての視点が弱く、地元のニーズに合わせた製品をそのまま外国人向けにも販売する傾向がありましたので、GIFTプロジェクトでは「ギフト」を念頭に置いた製品開発の支援を行いました。

開発したギフト製品例

具体的には、15年8月にジェトロから派遣した専門家による「New Lao Gift, New Lao Handicraft」と題したセミナーを現地で開催し、ギフトの考え方やパッケージング、トレンドについて情報提供を行いました。また、ラオス企業が持ち寄った製品に対する公開コンサルティングも行い、製品の課題点や改善点を会場全体で協議するという手法を通じ、素材の使い方や柄の出し方などの面で、これまでにない商品作りのアイデアが出るといった成果がありました。

15年の10月から11月にかけてビエンチャンで開催された「ラオス・ハンディクラフト・フェスティバル」では、ギフト製品としての完成度をはかるため、LHAと協力してギフトコンテストを初めて実施しました。また、伊勢志摩サミット・アウトリーチ会合に出席するため来日したトンルン首相に対し、石毛理事長からギフト・プロジェクト製品を記念にお渡ししました。

専門家によるセミナーの様子

石毛理事長から、トンルン首相に対してギフト・プロジェクト製品を手交

一連の取り組みをラオス政府も評価

ASEAN議長国ラオスの首都ビエンチャンで開催された、「第48回ASEAN経済大臣会合(AEM)および関連会合(2016年7月31日~8月7日)」、そして「ASEAN Business & Investment Summit(ABIS) 2016(9月5日~7日)」では、会場近くに展示ブースを設置し、ラオスのハンディクラフト製品のPRを行いました。また、ラオス製品をより多くの人に知ってもらうため、ジェトロとLHAは協力し、コンテストで選出された10社の製品を掲載したギフトカタログを、上記会合に合わせて作成しました。
AEMに出席したラオスのケンマニー・ポンセナー商工相は本事業に対する謝意を示すとともに、AEMの公式ギフトとしてカタログ掲載製品が各国経済相に手渡されました。プロジェクト開始当初には、改善余地の多かった製品も、様々な改善を経た結果、国際会議の公式ギフトとして使用されるまでになったことになります。上記会議の開催期間中、多くのラオス人や外国人が展示ブースに立ち寄り、ラオス産のアクセサリーや藍染めスカーフ、ティーセットなどに見入っていました。会合に出席した世耕経済産業大臣も公式ギフトや本プロジェクトを高く評価し、さらに9月のサミット開催時には安倍首相が同ブースを訪問し、これまでの取り組み成果を確認するとともに、今後のさらなる成果に期待感を示しました。同ブースについては、多数の現地紙も取り上げ、会合出席者がラオスのギフト製品や本プロジェクトに関心を示したと報じました。


ケンマニー商工相(後列中央)がジェトロのブースを訪問


ジェトロ・ブースを訪問する安倍首相

GIFTプロジェクトを通じ、ラオスのハンディクラフト製品を同国を代表する土産物として同国内で販売することには、大きな可能性があることが示されました。今後は国内販売のみにとどまらず、ラオス企業の技術力やマーケティング力を引き上げることで、日本企業とラオス企業とのコラボレーションを目指す予定です。