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ジェトロ・トピックス

バングラデシュで「ルックイースト・シンポジウム」開催

2014年12月

会場風景

2014年12月1日、ジェトロはバングラデシュのダッカ国際会議場において、「ルックイースト~アジアの経済統合とバングラデシュの将来」と題するシンポジウムを開催しました。バングラデシュの国会議員・官僚、ビジネス関係者、研究者、学生、外交団など約400名の参加があった本シンポでは、アーメド商務大臣、カマル国家計画大臣、ラーマン首相経済顧問を始めとするバングラデシュの閣僚、地元のシンクタンク、大学、政府、業界団体などから有識者が登壇し、成長著しい東アジア経済への有機的連結、それに伴う通商・産業政策の方向性、国内に残された課題などについて、約4時間に亘って議論しました。

アーメド商務大臣挨拶

カマル国家計画大臣挨拶

木村ERIAチーフエコノミストの講演

サプライチェーンへの参加が飛躍のカギ

基調講演に立った、ERIA(東アジア・アセアン経済研究センター)のチーフエコノミストで慶応大学教授の木村福成氏は、「The Look East Policy: Coming into Production Networks」と題し、バングラデシュに対し、東南アジア諸国と比較しつつ、国際的な生産ネットワーク構築を軸とした新たな発展戦略を提案しました。リチャード・ボールドウィンの生産ネットワーク論・アンバンドリング論を紹介した木村教授は、製造と消費が国境を越えて分離したのが第1アンバンドリング(単純な貿易)、生産工程の各プロセスが国境を越えて分離したのが第2アンバンドリング(サプライチェーン・ネットワークの形成、国際的な労働分業の成立)とした上で、第2アンバンドンリングの典型例の1つが、1980年代以降の東南アジアにおける日系サプライヤーを中心としたサプライチェーン・ネットワークの形成であると説明しました。また「産業集積のないバングラデシュのような途上国は、サプライチェーンの一部(プロダクション・ブロック)だけでも国内に誘致し、ネットワークに参画することで地場の中小企業にもスコープが広がり、経済は飛躍できる。国によって開発段階に差があることで、むしろ後発国にとって有利になる」として、産業誘致によるメリットを得るためには、産業インフラ整備の必要性、コネクティビティ向上によるサービス・コストの低減、TPPやRCEPといった経済ブロックへの将来的な参加が望ましい、と解説しました。

バングラデシュ有識者の視点

パネルディスカッション

続くパネル・ディスカッションでは、ルックイースト政策に関する考え方や、木村教授が紹介した東アジアの経済統合について、産官学のバングラシュ有識者らによる活発な議論が行われました。

  • 木村氏の理論は面白いが、バングラデシュが直面する課題と政府が取り組む政策の現状を理解することが議論の出発点になるべき。まずはこれらの課題と向き合い、解決する必要がある。(ラーマン首相経済顧問)
  • ルックイースト政策については、インド・中国・米国・日本との間でバランスをとるなど、外交政策上の考慮も必要。外交的に最も友好的な日本との関連では、RCEPやルックイースト政策を外交アジェンダに入れても良いと考える。(アラム計画委員)
  • 木村氏の理論は面白い。バングラデシュにどのようにあてはめられるか、研究と対話を積み重ねていくことが重要。過去にもルックイースト政策に関する議論はあったが、なぜ、今それが必要なのか考える必要がある。(サッタールPRI所長)
  • 経済的に東アジア諸国の後塵を拝するバングラデシュがキャッチアップするには、確固としたルックイースト政策やRCEPへの参加が重要となる。バングラデシュで今注目されている高等教育は、海外とのコネクティビティを作る人材輩出という面では機能するだろうが、世界的なサプライチェーンに結合しようと考えたら、まず基礎教育を充実させなければならない。郷里送金の送り手である海外労働者は国の経済にとって欠かせない存在になっているが、木村氏が話した生産ネットワークに入るためには、国内で働くための人材教育が重視されるべきである。(ホックHaqsBay社長)
  • ただ単に東との統合度を深めよとの議論はあまり意味をなさない。他地域の経済とダイレクトにつながることは、バングラデシュ経済に不安定性と脆弱性をもたらす可能性がある。主要輸出先である欧米との統合(輸入)をさらに深め、結果的に日本からの輸入を減らす、という方向もあり得る。(タスリム・ダッカ大教授)
  • 木村氏の理論を政策に反映するには、非常にシリアスな政策変更を余儀なくされる。バングラデシュは輸出振興と輸入代替を柱とする政策を採用し、うまくやってきた。課題はインフラ(エネルギー、土地)とガバナンスの不足(汚職含む)であるが、これはネットワーク論や輸出入先がどこであるかという議論とは関係がなく、どの地域とつながるかとは無関係に、インフラとガバナンスの改善によってバングラデシュ経済は成長できる。(ラーマンBrac IGD所長)
シンポジウム 概要
日時
2014年12月1日15:30~19:30(4時間)
場所
バングラデシュ国際会議場(BICC)
共催
ジェトロ、ERIA、バングラデシュ開発経済研究所(BIDS)、PRI(民間シンクタンク)、バングラデシュ商工会議所連合(FBCCI)
プログラム
  • 冒頭挨拶
    登壇者(次第順)
    • 河野敬(ジェトロ・ダッカ事務所長)
    • カジ アクラム ウディン アーメド氏(FBCCI会頭)
    • 佐渡島志郎閣下(駐バングラデシュ日本国大使)
    • ムスタファ カマル閣下(国家計画相)
    • トファイル アーメド閣下(商務相)
  • 基調講演
    テーマ:The Look East Policy: Coming into Production Networks
    講師:木村福成氏(ERIAチーフエコノミスト、慶応大学教授)
  • 特別演説
    モシウル ラーマン閣下(首相経済顧問)
  • パネルディスカッション
    テーマ:東アジアとバングラデシュ—展望、障壁、共生—
    モデレーター:ザイディ サッタール氏(民間シンクタンク代表)
    パネリスト:
    • モシウル ラーマン閣下(首相経済顧問)
    • 木村福成氏(ERIAチーフエコノミスト)
    • シャムシュル アラム氏(国家計画委員会メンバー)
    • M A タスリム氏(ダッカ大学経済学部長)
    • スルタン ファヒズ ラーマン氏(ブラック大学理事)
    • アブドゥル ホック氏(FBCCI理事)
  • クロージングセッション
    • 総括:モハメド ユヌス氏(BIDS上級研究員)
    • 謝辞:河野敬(ジェトロ・ダッカ所長)

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