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ジェトロ・トピックス

ニューデリーで「東アジアの経済統合」に向けたシンポジウム開催

2014年11月

2014年11月18日、ジェトロはインドの首都ニューデリーにおいて、インド工業連盟(CII)と共催により、「地域貿易協定がもたらすメリット~製造業の成長がカギ~」(Benefitting from Regional Trade Agreements~India’s Manufacturing Growth Holds Key~)と題するシンポジウムを開催、地場企業および現地日系企業を中心に約180名が参加しました。インド政府のラジーブ・ケール商工省商務局次官とアミタブ・カント商工省産業政策振興局次官、およびジェトロ石毛博行理事長などが参加した冒頭セッションに続き、現地企業・有識者などが参加して3部構成で行われたパネル・ディスカッションでは、12月初旬にインドで初めて開催されるRCEP(東アジア地域包括的経済連携)交渉(第6回交渉)を控え、政府および産業界の代表が、地域経済統合への参画を前向きに捉えつつ、製造業の発展に向けたインドの国内制度改革の必要性などについて訴えました。

地域経済統合への参加は必要不可欠との認識を共有

石毛ジェトロ理事長基調講演

本シンポジウムで冒頭スピーチに立ったケール次官は、「インドにとって、地域経済統合への参画は、望ましいというより、むしろ必要不可欠なものである」と強調、交渉中のRCEPについては「加わらなければ、深化するグローバル・バリュー・チェーン(GVC)に取り残されることになるので、国内製造業はRCEPを通じた経済統合の深化に十分な備えをした上で、そのメリットを享受すべき」とコメントしました。続いて登壇したカント次官は、「今日、GVCへ組み込まれることなしに製造業は成長しないが、大きな潜在力を秘めるインドの製造業は、その観点からも、地域経済連携の枠組みへの参加が必須」であるとして、RCEPを始めとする枠組みへの参加意義を強調し、ケール次官と同様の見解を示しました。

基調講演に登壇したジェトロの石毛理事長は、アジア地域のサプライチェーンに組み込まれることにより、インドの製造業は飛躍的に発展する可能性を秘めていると言及した上で、「技術力を持った日本企業を誘致し、競争力を高めることで製造業ハブとしてのインドが実現する。インドを輸出拠点として活用しようとする日系企業が増加し、日系企業による輸出取り組みも今後ますます強化されると思うが、そうした動きをさらに加速させるのが地域経済統合であり、インドはそのメリットを最大化する貿易投資政策を実行に移すべきである」と述べ、ジェトロもその過程で最大限のサポートを行うと表明しました。

国内産業界へのインパクトとのバランスをへの配慮も必要

第1セッション

第2セッション

第3セッション

基調講演に続いて行われたパネル・ディスカッションの第1セッションでは、「インド製造業の輸出志向の強化~その鍵となる要素~」をテーマに、デリー・ムンバイ産業大動脈開発公社CEOのタリーン・クマール氏、タタ・グループの経済顧問を務めるシッダールタ・ロイ氏、ボストン・コンサルティンググループ・インド社長のアリンダム・バッタチャルヤ氏が、それぞれパネリストとして登壇、インド製造業がアジア地域および世界のGVCに参画し、輸出を拡大させるための具体的な政策の方向性とアクション・プランについて意見交換が行われました。タタ・グループのロイ氏は、FTA/EPAの推進は製造業振興にとって重要な要素であるとしながらも、「インドの貿易品目別の比較優位と劣位を分析し、それに対応した適切な措置を取る必要がある。センシティブな品目に対しては、セーフガードの適用などによって国内産業への影響を抑制しつつ、経済連携による利益を享受しなければならない」と、政府の産業界への配慮を促しました。

「地域貿易協定とインドの輸出競争力拡大のための施策」をテーマに掲げた第2セッションでは、現地進出日系企業であるダイキン、日産自動車の両社に加え、地場企業・研究機関の代表者が参加、それぞれの立場から、FTAの活用状況や運用面での課題、今後の地域経済連携協定への期待などについて説明しました。ダイキン・エアーコンディショニング・インディアのディベンダル・シャルマ部長は、自社の事例を引用しつつ、FTAを通じた東南アジアとの経済統合の推進が部材輸入の関税削減をもたらし、生産基地としてのインドの競争力強化に大きく寄与している、とコメントしました。また日産モーター・インディアの前橋秀輝ゼネラルマネジャー(経営企画)は、同社の105カ国(欧州・中東・アフリカ・アジア・南米・オセアニア)向け完成車輸出実績に加え、部材の供給基地として、15カ国の工場に1,800点のパーツを供給している実績を紹介、日産の国際的オペレーションの中でインドが第4位の輸出実績を有し、主要なサプライ・チェーンの一角を成していると説明しました。

最終となる第3セッションでは、J.S.ディーパック商工省商務局次官補と経済産業省通商政策局の坂本敏幸交渉官が登壇し、これまでのセッションを振り返って議論を深めました。同セッションのモデレーターを務めた前述のバッタチャルヤ社長は、全体を通じて、RCEPは一つの大きな挑戦であるが、RCEPへの参加はインド製造業の発展にとって極めて重要な枠組みであり必要不可欠であることが本シンポジウム全体を通じて確認できた、と総括しました。同時に、交渉過程においては短期的な産業界へのインパクトと、長期的なインドの競争力強化とのバランスを取る必要がある、との共通見解が出されたことも確認しました。

「地域貿易協定がもたらすメリット~製造業の成長がカギ~」(Benefitting from Regional Trade Agreements ~India’s Manufacturing Growth Holds Key~) 概要
主催
ジェトロ、インド工業連盟(CII)
日時
2014年11月18日(火曜)10:00~13:45
会場
オベロイホテル、ニューデリー
次第
  • オープニング・セッション
    • 開会挨拶
      スニル・カント・ムンジャル インド工業連盟(CII)元会長
      ヒーロー・モトコープ 共同社長
    • 開会挨拶
      ラジーブ・ケール インド商工省商務局次官
    • 開会挨拶
      アミタブ・カント インド商工省産業政策振興局次官
    • 基調講演
      石毛 博行 日本貿易振興機構(JETRO)理事長
  • セッション1:インド製造業の輸出志向の強化~その鍵となる要素~
    (モデレーター:アビジット・ダス  インド外国貿易研究所(IIFT)WTO研究センター長)
    タリーン・クマール インド商工省産業政策振興局局長
    デリームンバイ産業大動脈開発公社(DMICDC)社長
    シッダールタ・ロイ タタ・サービス 経済顧問
    アリンダム・バッタチャルヤ ボストンコンサルテンググループ・インド社長
  • セッション2:地域貿易協定とインドの輸出競争力拡大のための施策
    (モデレーター:T.S.ヴィシュワナート APJ-SLG法律事務所 主席アドバイザー)
    プラビール・デ インド開発途上国研究情報システムセンター(RIS)教授
    ベッド・カーレ ジュビラント・ライフ・サイエンス社 販売部長
    ディベンダル・シャルマ ダイキン・エアーコンディショニング・インディア 調達部長
    前橋秀輝 日産モーター・インディア ゼネラル・マネジャー(経営企画)
  • セッション3:インドの製造業振興と輸出競争力強化の展望
    (モデレーター:アリンダム・バッタチャルヤ ボストンコンサルテンググループ・インド社長)
    J.S.ディーパック インド商工省商務局次官補
    坂本敏幸 経済産業省 通商政策局 通商交渉官

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