外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-VIPSHOP日本株式会社

産業:小売

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B2Cの電子商取引(EC)サイトを運営する中国企業・唯品会(中国)有限公司(vip.com)が、2016年1月、日本法人VIPSHOP日本株式会社を東京に設立した。vip.comは、中国三大ECサイトの一つであり、中国国内に2億人を超える会員を有する。日本法人では、日本のサプライヤー開拓を重要な使命だと考え、中国人から人気が高いmade in Japan商品の調達をすすめる。


唯品会(中国)有限公司(以下、vip.com)は、2008年に中国・広東省広州市で設立され、フラッシュセールスという特徴のあるビジネスモデルで急速に成長している。現在中国最大のフラッシュセールスサイトとして、各業界の人気ブランドメーカーと提携し、ファッション、化粧品、ベビー関連用品、インテリア等常に手ごろな価格で顧客に製品を提供している。vip.com は2012年にNY証券取引所に上場し(NYSE:VIPS)、2016年末には国内総会員数2億人を突破した。また、vip.comの2015年の年間売上高は402億元(日本円でおよそ7,501億円)を超え、オーダー数は2億を達成するなど驚異的なスピードで成長を続けている。
中国第3のEC企業であるvip.comは中国の消費者向けに中国国内での商品調達・販売を行ってきたが、それに加えて、2014年9月、海外商品のEC販売(越境EC)事業をスタート。商品仕入先として台北、香港、ロンドン、ミラノ、パリ、ニューヨーク、ロサンゼルス、シドニー、ソウル、東京に拠点を築いている。
※期間限定で割引価格など特典付きでブランド商品を迅速に販売する手法。

中国第3位のEC企業vip.comの強み

vip.comが短期間で急成長を遂げた理由としては持続的かつ斬新なフラッシュセールスという手法で、正規商品の低価格販売を続けてきたことが挙げられる。中国のECビジネスは短期間で急成長を遂げた為、過去、本物のブランド品の流通が管理されていないことが、一時期社会問題になり、顧客のネットショッピングへの信頼が低下した時期があった。その主な原因としては、中国のECサイト業界で中小規模の出品者の数も多く、コンプライアンスがなかなか徹底されないということがあるという。そうした時期にvip.comが設立された。vip.comは、メーカーや総代理店などから直接仕入れを行っており、本物以外の商品は入ってこないようになっている。「100%本物の正規品が買える」という信頼感が、現在、飛躍的に増加している中国数億人規模の消費者の心を掴み、同社躍進の原動力になっている。また、安定的に商品の仕入れ・販売を行うvip.comに対して、サプライヤー側からの信頼も厚く、取引関係もさらに良好になるなど、顧客、サプライヤー、vip.comの三者がwin-winの関係になっている。

日本進出の理由と課題

VIPSHOP日本株式会社(以下VIPSHOP)のGeneral Managerの小林健教氏は、同社の日本進出の理由について、vip.comの越境ビジネスにおいて、日本は仕入れの約25%を占める重要な国で、日本においてサプライヤーの日本企業とのビジネスの距離を縮め、信頼関係を築く必要があったためと語る。「少し前まで、中国人観光客による『爆買い』が話題となっていたが、あれは中国人富裕層に限られ、せいぜい数百万人から1,000万人程度で、中国全体から見ればごく一部。vip.comが考える日本商品の潜在顧客は中国中間層の約5億人。越境ビジネスが盛んになり、中間層も中国国内で日本商品を手軽に買えるようになってきており、日本商品の品質の良さを体験した消費者がリピーターになっている。これは今後、ネットでの『爆買い』につながっていくと思う」と小林氏は話す。品質の高い日本商品は巨大な中国市場において、今後も大きなビジネスチャンスがあると言う。「vip.comは、他社の越境ECサイトのような出店の場所貸しでサイト運営等全て個々の出店者に任せるのではなく、商品調達から販売、物流まで全て当社で一括して行うことで、made in Japan商品を安定的に中国の消費者へ供給している。そのためにも日本のサプライヤーとの関係構築が非常に重要になってくる」と小林氏は説明する。

vip.comのウェブサイト画面

一方、日本で活動をする中で国際市場において自社の「知名度の低さ」を実感するという。「vip.comは、中国で第3位のECサイトだが、日本での知名度は高くないのが現状。当社の実績や中国越境ビジネスの可能性について知ってもらうため、今後セミナーでの講演やPR活動にも注力していきたい」と小林氏は語る。

日本におけるビジネスモデル

継続的な取引で実績と信頼をつくることが、VIPSHOPの考える日本でのビジネスモデルだ。日本国内の売れ筋商品を短期的に安く仕入れて売って終わりという関係ではなく、メーカーの潜在的な売れ筋商品を積極的に発掘し双方で商品を育てていく協力関係を築くのが目標である。そうした継続的取引によって信頼と実績を作っていくことで、競争力のある商品の調達を目指す。メーカーにとっても製品の値崩れのリスクを回避でき、ブランド力を維持できる。小林氏は、「仕入れ先から販売価格までコントロールできるのが当社の強み。日本でこういった視点でビジネスをする競合の中国企業はまだなく、誠実な信頼関係の構築こそが他社との差別化になる」と力を込める。
また、「売れ筋商品の調達はもちろん、次なる売れ筋を他社に先駆けて見つけていきたい。特に地方には、まだ開発されていない地域に根ざした『いい物』が沢山あり、そういった商品を中国で販売し、地方活性化になれば」という。
小林氏は、VIPSHOPを「日本企業のバリューチェーンの一部にする」というビジョンを掲げている。「当社は日本のサプライヤーから商品を購入し、自社の流通網を使って中国で販売しているが、日本の流通側から見ると、今は、当社はいわばお客さん。しかし今後、日本のメーカーも小売企業も海外販売による更なる企業発展が期待できると思う。その際、vip.comを日本の流通網と同じ成長目標を持つ企業として、海外事業展開の戦略的パートナーとして活用してもらえるようになりたい。当社が、日本企業のグローバル化、日中友好の架け橋になるようビジネスを行っていきたい」と小林氏は意気込む。

VIPSHOP日本株式会社 General Manager小林氏

ジェトロのサポート

同社の日本法人設立に際し、ジェトロ対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)は、会社設立に関する情報提供、税務に関するコンサルテーション、サービスプロバイダの紹介、市場情報の提供等の支援を行った。ジェトロのサポートに対して、「会社設立時はジェトロより頻繁に相談に乗ってもらった。きめ細かく対応してもらったおかげで、予想以上にスムーズに手続きをすることができた。今後も当社が日本で事業拡大や新規ビジネスを行う際は、いろいろと協力して欲しい」と小林氏は述べた。

(2016年10月取材)


同社沿革

2008年8月 中国・広東省広州市にて唯品会を設立
2008年12月 ECサイト「VIPSHOP.COM」誕生
2009年8月 登録会員数が20万人を突破
2012年3月 NY証券取引所(NYSE)に上場  
2013年11月 新たなドメイン(vip.com)誕生
2014年9月  海外商品のECセールスチャンネルスタート
2015年1月 登録総会員数1億人を突破
2016年Q4 登録総会員数2億人を突破

VIPSHOP日本株式会社

設立 2016年 
事業概要 中国国内ECショップ(vip.com)向け商品の仕入れ、同ECショップへの参入日本企業の支援
親会社(グループ) 唯品会有限公司(VIPSHOP Co., Ltd.)
住所 〒100-0004 東京都千代田区大手町一丁目9番2号 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ18階
URL http://www.vip.com/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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