外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-

トラベレックスジャパン株式会社(ジョン・レイメント氏)

産業:金融/保険

PDF版PDFファイル(370KB)

photo

外貨両替サービス大手の英国トラベレックスの日本法人、トラベレックスジャパン (本社:港区)はブランド力、 商品力、顧客との信頼関係などの強みを武器に、2003年の日本法人設立以来、国内外貨両替サービス市場を牽引している。同社のジョン・レイメント代表取締役にインバウンド市場の動向や日本での事業計画などについて話を聞いた。

ここ数年の訪日外客の急増は、国内の外貨両替サービス市場の様相を大きく変えた。従来、国内の外貨両替商が相手にする顧客は海外渡航する日本人向けビジネスが中心であったが、訪日外客の増加、すなわちインバウンド市場の拡大は、顧客層の大きな変化をもたらしている。国内業界最大手の一つ、トラベレックスジャパンのジョン・レイメント代表取締役は「訪日外客の急増によって、訪日外客向けの両替サービスは、日本ビジネス全体の約3分の1まで急増した」とインバウンド市場の拡大ぶりを説明する。2015年に同社が新設した店舗をみても、JR 品川駅、新千歳空港国内線到着ロビー、名古屋ユニモール店など、訪日外客の利用が期待される店舗が目立つ。(表1)

訪日外客数は、2014年に前年比3割増の1,341万人に急増し、2015年は2,000万人近いと予想されている。これを受けて政府は目標値を2,000万人から3,000万人に見直す方針を明らかにしたが、レイメント氏は「政府の目標値は3,000万人だが、もっと多くなるのではないか」とし、インバウンド市場の高い潜在性を指摘する。その理由として同氏が真っ先にあげるのが、全国を網羅する公共交通機関の存在である。公共交通機関の利便性の高さによって滞在日数を有効に活用できることが、外国人旅行客の高い満足度につながっていると同氏は評価する。

表1:最近の拠点設立地

日本人向け、法人向け市場も大きな可能性

レイメント氏は、日本人向けビジネスの重要性も強調する。インバウンド市場に注目が集まりがちだが、日本人向けビジネスは同社のビジネスの残り3分の2を占めるコアビジネスを形成している状況に変わりはない。今後の展望について、「日本人の海外渡航者数は微減の傾向を示しているが、今後も日本法人のコアビジネスであることに変わりない」と同氏は説明する。とりわけ同氏が強調するのが、中国やアジアとの近接性だ。例えば、訪中する年間300万人規模の日本人の多くが事前に日本国内で両替していくのがその理由だ。同社にとって、今後も確実な収入源の一つになると見込んでいる。

また、今後、同社が大きなビジネス機会と睨むのが法人向けビジネスである。世界全体でみると、売上高に占める個人向け、法人向けの比率はおよそ半々であるが、日本ではインバウンド、アウトバウンド両市場とも対象顧客が個人に偏っており、法人向けビジネスはおよそ全体の2割弱にとどまっているのがその理由だ。すでに、大手旅行代理店向けや都内の大手4つ星以上のホテルなどの市場では最大シェアを有するが、インバウンド市場の拡大とともに、外貨取り扱いを希望する法人顧客がさらに増えると予想される中、同分野での事業拡大も図る。

ジョン・レイメント日本法人代表取締役

成功のカギは顧客との信頼関係の醸成

トラベレックスジャパンは、もともと外貨両替業界で世界最大手の英国トラベレックスグループ※が2003年に設立した日本法人で、外貨両替のほか、外貨宅配サービス、旅行会社・金融機関向けの外貨卸サービスなど幅広く展開している。同社の進出以前、日本では大手銀行が主要な外貨両替サービス提供者であったが、同社はインターネットを利用した常時注文受付や外貨受取方法の多様化など、専門業者ならではの商品力やブランド力を武器に着実にビジネスを拡大し、存在感を高めてきた。

商品力とブランド力に加えて、レイメント氏が日本での成功のカギとしてあげるのが、顧客との信頼関係の醸成である。「普段利用しない外国の金銭を扱う外貨両替サービスでは、どこの市場でも顧客との間に信頼関係が求められるが、日本はその傾向がとりわけ強い」(レイメント氏)と日本市場の特徴を分析する。一度顧客の信認を得られれば、リピーター顧客の維持、増加によって強い顧客基盤を築くことができるというわけだ。また、日本人は空港で両替する人の比率が他国に比べて低いそうだ。両替ビジネスでは、利用者の多い飛行場への出店が王道だが、日本では市街地店舗のチャンスが大きいという。

全地方への出店を達成

日本のビジネス環境について、レイメント氏は「確かに、他国でビジネスするのと日本でビジネスするのは異なる。日本から学ぶこともあれば、その逆もあるはずだ。ただし、法制度については特に不満に感じたことはない」という。例えば、2010年に新たに施行された「資金決済に関する法律」の下では、新たに規定された資金移動業者の第1号として業者登録を完了するなど、日本国内での法律順守についても社内に専門部隊を組織して対応している。そんなレイメント氏が、日本でのビジネス展開のマイルストーンとして最も強調したのが、2015年の沖縄への新店舗開設だ。北は北海道から南は沖縄にいたる国内ネットワークを完成することができたのがその理由だ(表2)。同拠点の設立によって、日本国内の店舗数(2015年11月時点)は主要都市、空港を中心に国内72カ所に達した。今後の国内の店舗戦略については具体的な店舗数は掲げずに、「良い立地案件があればいつでも検討する」(レイメント氏)方針だ。

表2:地域別拠点数
トラベレックスの創業は1976年で、現会長のロイド・ドーフマンが始めた両替商を起源とする。その後成長を遂げ、2001年には同業最大手の一つ、トーマスクック・グローバルアンドファイナシャサビスを買収した。現在では50カ国以上で1,500店舗を有するほか、銀行をはじめとするほか地元金融機関などと事業提携を展開している。

(2015年11月取材)


同社沿革

2003年 日本法人トラベレックスジャパン(株)(Travelex Japan K.K.)を設立
2003年 1号店舗をTCAT内に設立
2010年 資金移動業者登録(関東財務局第0001号)
2011年 初の外貨自動両替機を都内ホテルに設置

トラベレックスジャパン株式会社

設立: 2003年3月
事業概要: 外貨両替業務及び外貨両替に付帯する業務,プリペイドカード(キャッシュパスポート)の発行・販売
親会社: Travelex Limited
住所: (本社)〒107-0052 東京都港区赤坂2-9-11 オリックス赤坂 2丁目ビル6階
URL : http://www.travelex.co.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

お問い合わせ

フォームによるお問い合わせ

ジェトロ対日投資部

お電話によるお問い合わせ

ジェトロ対日投資部

拠点設立・事業拡大のご相談:外国企業支援課
Tel:03-3582-4684

自治体向けサポート:地域連携課
Tel:03-3582-5234

その他の対日投資に関するお問い合わせ:対日投資課
Tel:03-3582-5571

受付時間

平日9時00分~12時00分/13時00分~17時00分(土日、祝祭日・年末年始を除く)