外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-テラダイン株式会社

産業:その他製造業

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Teradyne Inc.は、1960年、電子部品の自動検査装置を世の中に送り出すことを目的に、米国マサチューセッツ州ボストンの学生街で生まれた。現在、その売上は、世界の半導体向け自動検査装置市場(ATE)で首位を誇る(同社調べ)。 同社は本国以外では唯一の半導体試験装置の研究開発拠点を、熊本県に有する。2016年の熊本震災の被災後も、経験豊富で優秀なエンジニアを有する熊本で、「人材」を武器に工場を再建し、同地でビジネスを続けることを決意した。日本法人テラダイン株式会社の髙島 寛代表取締役社長と本村 祐造熊本事業所長に話を聞いた。


我々の生活に欠かせない携帯電話やスマートフォン。「その部品として使われる半導体の6割から7割はTeradyneのテスターで検査をされて世の中に送り出されている」と、髙島社長は語る。同社は、世界32拠点、従業員数約4,700人を有し、2017年には約2,350億円を売り上げ、半導体自動検査装置のトップメーカーとして同業界をリードしている。同社によると、2017年の世界の半導体の自動試験装置市場(売上ベース、見込み)において、同社が50%、日本企業のアドバンテストが33%と、トップ2社で市場の約8割を占めている。米国の半導体市場調査会社VLSI Researchによる半導体装置メーカー顧客満足度調査でも、2013年から6年連続で最高評価を得ており、顧客からの同社への信頼は高い。

事業の大半が半導体の試験装置製造だが、2015年に、人間とともに作業ができる協働ロボットで世界首位のデンマーク企業Universal Robotsを買収し、協働ロボットの開発・製造にも乗り出した。日本では人手不足が深刻なことから、同ロボットを導入したいという日本企業からの引き合いも増えているという。

半導体産業集積地・熊本で、世界トップシェアを誇る顧客企業の近くで製造・開発

同社の日本進出は古く、1973年に日本支社を設立、今年で45周年を迎える。顧客サービス強化のため、1978年に東京に日本法人を設立し、1995年には熊本県にイメージセンサー向け試験装置の開発・製造拠点を設置した。現在、横浜の本社(2008年移転)には従業員60人、熊本には120人が従事する。

熊本には、本国アメリカ以外で唯一の開発拠点が立地している。熊本で開発・製造されるイメージセンサー向け試験装置は、熊本から世界中に出荷され、主力のJ/IP750シリーズは2016年には累計5,000台の出荷を達成した。同シリーズの開発は、「熊本事業所でしかできない」と、本村所長は断言する。その理由は、熊本に集積する顧客の存在と人材だと言う。

日本の南西に位置する九州地方は、シリコンアイランドと呼ばれ、半導体産業の集積地として知られている。その中でも、熊本県は、イメージセンサーにおいて世界をリードするソニーをはじめ、三菱電機やルネサス、東京エレクトロンなど、大手半導体関連企業が名を連ねる。こうした半導体産業の集積の鍵を握るのが、阿蘇山から湧き出る豊富な地下水だ。半導体の製造において、水は洗浄工程で欠かせない。

熊本から世界に出荷しているJ/IP750シリーズ

高度なテスターを開発・製造するには優秀な理系人材も不可欠である。熊本県は、全国でもトップクラスの優秀な理工系人材の宝庫でもある。理工系新卒者が毎年約6,000人輩出され、これらの優秀な人材は、多くの立地企業から高い評価を得ている。「熊本には、熊本大学、熊本高専はじめ、優秀な学生がたくさんいる。特に、グローバルな仕事がしたいという学生に対しては、東京に出て行かなくても、熊本で一緒にそうした仕事ができると自社をPRしている」と、本村所長は語った。

「人材力」で震災を乗り越え、新工場で生産能力を増強

2016年4月、熊本地震で最大震度7の大きな揺れが同社を襲った。天井や壁が崩壊、デスクや椅子は散乱し、復旧不可能な状況となった。「復興までの間は、生産を止めてはいけないということで、中国・蘇州の生産拠点に、日本で行っていたイメージセンサー向け試験装置の生産を依頼した。我々の一番の懸念は、そのまま中国に開発拠点ごと完全移管されてしまうのではないかということだった」と、髙島社長は当時の様子を振り返る。「しかし、これまで優秀なエンジニアが10年、20年、熊本で開発、設計、製造、マーケティングまで全て一貫して行ってきた。その蓄積がある『人材』という資産は大きい。人材がいる熊本以外に開発拠点は動かしようもなく、熊本で再建することが最善と、米国本社も判断した」

2016年9月9日、米国本社のマーク・ジャギーラ社長が、熊本県蒲島知事との面談のために来日。その夜の社内パーティで、社長は熊本事業所の再建を社員に発表した。熊本県もまた、地元に世界的企業を残し、地域の産業競争力を推進するため、補助金の提供など全面的なサポートをしてくれたという。蒲島知事自ら横浜の同社本社まで足を運んだほどだ。同社は2017年6月に新事業所の建設に着手し、同年末に完成。2018年の1月に無事に再稼働を果たした。「地震が再度発生した場合に被害を抑えられるよう、2階建てだった工場を平屋に変えた。設備も古く、震災で全壊したため、最新設備を導入。その結果、生産能力は50%増しになった。支えて頂いた熊本県や大津町には大変感謝している」と、髙島社長は語った。従業員もまた、「同じメンバーで同じ場所で仕事ができることをとても幸せに思います」と、同社の地元での事業継続に感謝し、さらなる飛躍に決意を新たにしている。

再建されたテラダイン熊本事業所

新事業分野での開発、ビジネス拡大に意欲

熊本事業所は現在120人の従業員を抱え、世界のマーケット・ニーズを分析しながら、日々開発・製造に取り組んでいる。熊本では非常に独創性の高い試験装置を開発できるという点で、米国本社からも高く評価されている。そのため、今後は新たな事業分野における開発も熊本で担っていく可能性があると髙島社長は話す。今後の世界の半導体試験装置市場について、「拡大を継続するでしょう。例えば、車の自動化、それに伴うセンサー、それから距離をはかるためのミリ波と言われる、ミリウェーブ関連の試験装置が必要になってくる。スマホに入っているメモリーもさらに複雑になり、その分高度な試験装置が求められる。我々のービジネスは今後も拡大していくと見ている」と髙島社長は、意気込みを語った。

日本法人代表取締役社長の髙島氏(左)、 熊本事業所長の本村氏(右)

(2018年6月取材)


同社沿革

1960年 米国マサチューセッツ州ボストンにて、Teradyne Inc.設立
1973年 東京にテラダイン・ジャパン・リミテッド日本支社を設立
1978年 東京に日本法人テラダイン株式会社を設立
1995年 熊本県に日本事業部熊本事業所を設置
2008年 テラダイン株式会社本社を横浜に移転
2014年 名古屋市に中部サービスオフィスを設置

テラダイン株式会社

設立 1978年
事業概要 半導体、エレクトロニクス、ワイヤレス機器向け自動検査機器装置(ATE)の製造・販売
親会社 Teradyne Inc. (米国)
住所 本社住所:〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-6-3 MMパークビル7F
熊本事業所住所:〒869-1232 熊本県菊池郡大津町高尾野大字平成272-12
URL http://www.teradyne.co.jp外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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