外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-サンファーマ株式会社

産業:バイオテクノロジー/ライフサイエンス

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ジェネリック業界において世界第4位のインド最大手製薬会社Sun Pharmaceutical Industries Limitedは2012年3月、東京都に日本法人サンファーマ株式会社を設立した。世界の中でも特に品質管理に厳しいと言われている日本市場における同社のビジネス戦略について、本社執行副社長のキルティ・ガノルカル氏と日本法人取締役会長の村松勲氏に話を聞いた。


日本政府は高齢者の増加により年々増える医療費を削減するため、近年ジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用を促進している。ジェネリック医薬品は、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に販売される、新薬と同じ有効成分、効き目の低価格な薬である。開発にかかる期間が新薬に比べて短い分、費用が安くて済む。政府はジェネリック医薬品の数量ベースのシェアを2020年度9月までに欧米並みの80%に引き上げる目標を掲げている。

このようなジェネリック医薬品ブームが続く日本市場に大きな魅力を感じ、進出する企業は多い。インドのムンバイに本社を置くインド最大手製薬会社Sun Pharmaceutical Industries Ltd.もその一つである。同社は1983年3月に設立された。全世界で30,000人以上の従業員を擁し、医薬品の研究から、製造、販売まで一貫して行う。ジェネリック、スペシャリティジェネリック、革新的医薬品を含む2,000種類もの経済性に優れた高品質な医薬品を世界150ヶ国の患者に提供している。

同社は2014年、第一三共の子会社であるインド最大級の製薬会社ランバクシー・ラボラトリーズ社を全額株式交換により買収。この買収後、同社はジェネリック業界において世界第4位の大手企業となった。ジェネリック医薬品のほか、同社は患者の福利面でのニーズを満たすための医薬品の研究開発にも熱心に取り組んでいる。同社は全世界に広がる様々な研究開発センターに2,000人以上の研究者を有し、錠剤、カプセル剤、注射剤から経皮パッチのような革新的な剤型の医薬品を製造している。

ローカルビジネスに注力したビジネス戦略

創設者であるディリップ・サングヴィ氏は、当時他のインド製薬企業が抗生物質、グルタミン、咳止めシロップなどの製品を多く開発している中、抗うつ薬、統合失調症薬、心血管高血圧薬などの慢性疾患治療薬と呼ばれるライフスタイル医薬品が今後より重要となってくると考え、同市場に戦略的に参入した。慢性疾患治療医薬品の開発に注力したことで、これらの商品は競合他社と差別化した同社の看板製品へと成長した。

1997年、インドで成功した後、米国で初めての買収を行った。当時インド企業で米国に進出し、製造拠点を買収したのは同社が初めてだったので、苦労が多かった、とキルティ氏は話す。「買収した製造拠点は全て現地の人々が管理した。我々は財務的な側面からの監督をし、R&Dのサポートをしただけで、現地の文化や組織を理解し、ローカルビジネスとして運営することに注力した。この米国での経験を活かし、これまでインド、米国、欧州を含め16件の買収を行ってきた」と本社執行副社長のキルティ氏は述べた。2007年には欧州に進出し、2012年に日本市場に参入した。

日本市場進出の背景と課題

日本は米国・中国に次ぐ世界第3位の医薬品市場の国であり、医療機器や福祉サービス等を含めたライフサイエンス市場において、多くのビジネスチャンスで溢れた国と見られている。他方、インドはジェネリック医薬品などの原薬・中間体や製剤を供給する世界最大の輸出国である。インドの原材料を日本に輸出し、日本企業と共同開発を行うことでさらなる品質の向上を図ろうとするインド企業も少なくない。インドの低価格な原材料に期待する日系医薬品企業も多い。また、インドには優秀な人材、高い研究力、技術力がある。同社は日本市場進出の理由について、「日本は医薬品市場において世界で3番目に大きな市場であるという魅力に加え、優れた企業や技術者がいるためR&D拠点としての魅力も大きい。また、政府がジェネリック医薬品の使用を促進している点も進出の決め手となった」と日本法人取締役会長の村松氏は話す。

しかし、インド企業にとって日本でビジネスをすることはハードルが高いようだ。品質水準の要求の高さに加え、規制の厳しさ、複雑さなどに苦戦し、撤退を余儀なくされるインド企業も少なくない。日本市場では、パッケージなど医薬品の外見も含め、極めて高いレベルの品質を求められる。「日本では、中身に関係なく薬の箱が少し汚れていたり、印刷がずれているだけで販売することができない。今後もわが社が誇る高い品質を確保すべく、徹底してパッケージングの指針に取り組む」と村松氏は話す。

ノバルティスより承継したブランドで、製造販売はサンファーマ 株式会社、販売は田辺三菱製薬株式会社が行う。

また、日本ではブランド信仰が強く、長い歴史や実績があることやイノベーティブであることが支持される。「顧客である日本の医者や薬剤師は、サンファーマの名前を知らない。また、ビジネスチャンスを活かすことができず日本市場から撤退したインド企業が過去にあったりと、インドという国に対するイメージもあまり良くない。そのため信頼度を高めるため、ブランド力のある大手企業との提携を行っている」と村松氏は話す。例えば、スイス大手医薬品のノバルティスファーマが日本で製造販売する長期収載品14ブランドをサンファーマが承継し、日本大手医薬品企業の田辺三菱製薬が、販売・流通及び適正使用情報の提供を行っている。

世界が認める研究開発拠点としての日本

研究開発拠点については、インドに3ヶ所、米国に1ヶ所有しており、ジェネリック医薬品に加え、革新的医薬品の開発に力を入れている。同社は年間売上高の7-8%を研究開発に投資しており、同社が販売する2,000種類の商品の大半は、独自開発したものである。

「日本には、世界をリードする先進的な技術があり、優秀な技術者がたくさんいる。日本市場に参入することで、我々は日本の優れた技術に触れることができる。日本でよりイノベーティブなものを開発することで、他国へとさらに展開することも可能だ。日本はまさにテクノロジーへのゲートウェイである」と村松氏は研究開発拠点としての日本の魅力について語った。

同社は今後、日本での社員数を来年には大幅に増員する計画だという。現在、製造販売の一部については、他社に委託しているが、情報提供・販売面でも能力を高めていきたいと意気込む。同社の今後のさらなるビジネス展開に期待したい。

日本法人取締役会長の村松氏(左)と本社執行副社長のキルティ氏(右)

(2017年8月取材)


同社沿革

1983年3月 インド・ヴァドーダラーにてSun Pharmaceutical Industries Limitedを設立
2012年3月 東京都に日本法人サンファーマ株式会社を設立

サンファーマ株式会社

設立 2012年3月
事業概要 医薬品及びその原材料の製造、輸入、販売
資本金 1億5千8百万円
親会社 Sun Pharmaceutical Industries Limited
住所 〒105-0011 東京都港区芝公園1-7-6 CROSS PLACE浜松町
URL Sun Pharmaceutical Industries Limited:http://www.sunpharma.com/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
サンファーマ株式会社:http://www.sunpharma.com/ja/japan/about-greeting外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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