外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-ソストレーネ グレーネ

産業:小売

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デンマークのオーフスにて創業し、欧州域内に140店舗以上展開する北欧雑貨店ソストレーネ グレーネ。2016年5月、ソストレーネ グレーネを日本で運営するため、株式会社ヒルマー・ジャパンを東京都に設立し、同年10月に表参道にアジア初の旗艦店をオープンした。北欧雑貨を通じて、日本人により良いライフスタイルを提案したいと語る、ヒルマー・ジャパン代表取締役の木村聡史氏に日本でのビジネスや今後の展望について話を聞いた。


北欧に位置するデンマークは、世界の中でも国民の幸福度が高い国として知られている。ワークライフバランスを大切にする文化や、高い税金に見合った社会保障が整っている等の理由がよく挙げられるが、デンマーク人の幸福度が高い理由はそれだけではないようだ。北欧では、他の言語には置き換えられない”ヒュッゲ(Hygge)”という言葉をよく耳にする。ヒュッゲとは、デンマーク語で「人と人とのふれあいから生まれる、温かな居心地の良い雰囲気」という意味だ。暗くて寒い日々が長く続く北欧では、人々は憂鬱な気分を晴らすために、心地よい空間で愛する家族や友人と過ごす日々の何気ない時間を大切にしている。彼らはそんな時間に感じる、胸に湧き上がる温かい気持ちや、ささやかな幸せに満たされる瞬間を“ヒュッゲ”という言葉で表現している。

ソストレーネ グレーネ誕生の物語

そのような北欧特有の文化的背景から誕生したのが、デンマークのオーフスに本社を置く北欧雑貨店ソストレーネ グレーネだ。ソストレーネ グレーネとは、「グレーネ姉妹」という意味。日常にあるどんなささやかなものにも宿る「美しさ」や「喜び」を見出すグレーネ家のアンナとクララという2人の姉妹が、日々の生活を豊かにするアイテムを集め始めたことが創業のきっかけ、という設定でストーリーブランディングを展開している。同店のブランディングを手掛ける本社のソストレーネ グレーネ・ホールディングは1973年に同社初となる店舗をオープン、1989年にその存在を広めるべくフランチャイズによる事業展開も開始した。以来、欧州を中心に直営店とフランチャイズ店を計100店舗以上展開し、人気ブランド店として名を広めてきた。居心地の良い“ヒュッゲ”という世界観を表現するため、店舗内は洞窟のように、黒、茶色、グレーで色を統一し、BGMはクラシック音楽、照明は小さくて弱い照度のものを利用することで、商品を浮き立たせる展示方法にこだわっている。取り扱っている商品は、インテリアをはじめ、ステーショナリー、ギフトラッピング、クラフト用品、キッチン用品からおもちゃに至るまで幅広く、洗練されたスカンジナビアンデザインの雑貨が手頃な価格で販売されている。また、足を運ぶお客様に常に新しい刺激を与えるため、商品のラインナップを毎週、毎シーズン入れ替えるなどの工夫もしている。

デンマーク流ライフスタイルを日本に

近年、日本では北欧インテリアデザインが多くの注目を集めている。北欧のライフスタイルが日本人に「幸せなライフスタイル」として映っているようだ。ヒルマー・ジャパンが店舗を構える表参道には、北欧系雑貨店を運営する競合他社が多く立ち並ぶ。
同社は、2016年5月に100円ショップを運営する株式会社ワッツ、雑貨等の企画・輸入卸売業を専門に行う株式会社元林およびSostrene Grenes Holding三社の合弁会社として設立された。同年10月に表参道に旗艦店1号店をオープンした。商品の企画・製造は全て本国で行い、日本においては本国から輸入された商品の販売にのみ注力している。「来店者の9割は女性で、20代後半から30代が中心」と、同社代表取締役の木村氏は話す。
木村氏は競争の激しい日本市場への進出の経緯について尋ねると、「本国では、日本はアジアの中でも非常に成熟した市場であるという肯定的な印象を持たれている。日本の巨大な消費市場と、購買力の高さを前提に、品質の違いがわかる消費者の感度や北欧文化に対する日本人の高い共感力に期待し、アジア初の拠点として進出することを決めた」と語った。お客様がトレンドとデザイン性の高い商品を手軽に購入できるプチプライス(低価格商品)を全店舗で徹底しており、値上げは一切しないという。また、デンマーク文化である“ヒュッゲ”という落ち着いた世界観の演出と、お客様の来店頻度と購買意欲を高めるため、リピートできない商品の定期的な入れ替えにより、競合他社との差別化を図っている。

日本での課題はコミュニケーション戦略

着実にビジネスを展開している同社だが、北欧との文化の違いが大きい日本でのビジネスは、課題も多いと木村氏は話す。「我々の店は、ライフスタイルショップなので、日本のスタイルに対してきめ細かく適応していかなければならない。フランチャイズというビジネス形態で、ブランドコントロールをするために、デザインやマーケティングに関する意思決定は全て本国で行っている。同社の軸となるブランドコンセプトを変えずに、いかにその世界観や価値観を日本のお客様に伝えていけるかが我々の課題」と、木村氏は語る。店内には大きなラッピングコーナーが設置されているが、自分でラッピングする文化が根付いていない日本では、来店者から「可愛い」という声は挙がっても、購入にはなかなか結びつかないという。現在、情報発信ツールとして欠かすことのできないフェイスブックやインスタグラムなどのソーシャルメディアを上手に使い、購入商品の楽しみ方やライフスタイルの提案をしていくことが同社の日本でのミッションという。

今後のビジネス展開とジェトロのサポート

日本国内においてソストレーネ グレーネのブランドを発信していくために、同社は東京以外の地域への進出も検討している。「販売単価が安い分、一人当たりの購買単価も安い。店舗の広さは100坪(330平方メートル)が基本なので、その広さで企業としての収益を出すため、ある程度の人口規模のある都市部を中心に考えている。まずは東京近辺でスタートし、次に集客力が高い京都、神戸、名古屋、博多、札幌などを視野に入れている」と今後の日本でのビジネス展開について木村氏は話した。
同社は東京での法人設立の際に、準備期間として原則50営業日無料で利用ができるジェトロ対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)のテンポラリーオフィスに入居していた。「Wi-Fi環境やコピー機などのビジネスインフラが整ったレンタルオフィスを借りることができ、非常に助かった。赤坂という立地も良いので、外部の方ともミーティングがしやすく、便利だった。ジェトロのこの制度にはとても感謝している」と木村氏は語った。ジェトロは東京だけではなく、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡にもテンポラリーオフィスを構えており、拠点設立に係る登記・ビザ・税務などの行政手続きをサポートする専門家も常駐して、企業の拠点設立をワンストップで支援している。「一度利用した企業でも、地方進出の際に再度利用できるのはとても助かる。ぜひまた利用させていただきたい」と木村氏は話した。

(2017年3月取材)


同社沿革

1973年  デンマークでソストレーネ グレーネを設立
2016年5月  東京都に株式会社ヒルマー・ジャパンを設立
2016年10月 東京都表参道にソストレーネ グレーネ旗艦店1号店をオープン

株式会社ヒルマー・ジャパン

設立 2016年5月
事業概要 デンマーク発の北欧雑貨ソストレーネ グレーネの運営
資本金 2000万円
親会社 Sostrene Grenes Import A/S
持株比率 株式会社ワッツ:55%
Sostrene Grenes Holding ApS:40%
株式会社元林:5%
住所 〒540-0001 東京都渋谷区神宮前四丁目25番13号
URL https://hilmer-japan.co.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(株式会社ヒルマー・ジャパン公式HP)
http://sostrenegrene.com/ja/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ソストレーネ グレーネ公式HP)

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