外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-株式会社Ruten

産業:サービス/その他

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台湾最大手のEコマースPChome グループ傘下にある株式会社Rutenは、2017年11月、大阪府大阪市に、東京本社に続く2つめの拠点を設置した。PChome グループの越境ECシステムを通じ、台湾にいる消費者に向けて、質の高い日本の商品を届けるサービスを2018年5月末に開始した。


台湾最大手のEC(Electronic Commerce)であるPChomeグループは、2015年8月に株式会社Ruten(以下、Ruten Japan)を東京都渋谷区に設立し、2017年11月、大阪府大阪市に支社を設置した。PChome グループの中核となる台湾企業PChome online Inc.(以下、PChome)は、台湾証券取引所に上場した電子商取引企業で、台湾で最大規模のオンラインショッピングサイトを運営している。

日本製品の需要と日本企業の海外展開ニーズ

PChomeグループは、三種類の異なるビジネスモデルを展開している。台湾最大のB to Cサイト「PChome24h ショッピング」及び「PChome Global」での直接販売に加え、モール型のB to B to Cサイト「PChome商店街」では、出店する中小企業のビジネスを支援し、C to Cサイト「露天(Ruten)オークション」では、個人同士の取引も仲介している。台湾では、いずれのモデルでも、最大のシェアを誇っており、ユーザー数は1,000万人にのぼる。台湾の消費者がオンラインで物品購入する際、PChomeのサイトを利用する機会が多い。18年以上、台湾のECマーケットをけん引してきたPChomeは、台湾消費者の日本商品に対する高い関心とニーズに着目した。

Ruten Japan COOの魏丞慶氏(以下、魏氏)は、「台湾では、日本製品の人気が非常に高く、魅力はその高い品質にあります。日本企業は、研究開発に力を入れており、優れた商品が多い一方、他の外国企業の商品は日本商品のコピーであることが多いのが現状です。台湾の消費者は品質が高い日本商品を求めています」と日本製品を評価する。「しかし同時に、個人が日本の製品を手に入れるのは、ハードルが非常に高い。日本語が理解できない、支払い手段がない、送料が高いなどの理由から購入できず、百貨店などで売られている高価で限られた品しか手に入れることができない人が多くいます。そこを解消したいと考えています」と日本進出の経緯を語った。

台湾の消費者に日本製品を届ける方法を模索する中で、ジェトロ主催の日本企業とのマッチングイベントに参加したことが、日本法人の運営方針を決定づける重要な契機となったという。「ジェトロのイベントで多くの日本の中小企業さんとお話し、海外展開の需要の大きさを実感しました。また、コミュニケーションの難しさやアフターケアの問題、決済システムや関税などの障壁で、海外展開に踏み出せない企業さんが多いことも分かりました」と魏氏は言う。このイベントをきっかけに同社は、日本製品を買いたい台湾消費者と、海外展開を望む日本企業との懸け橋となる代理購入サービスの提供を決意した。

「代理購入」サービスシステムの採用

台湾消費者と日本企業の双方のニーズを満たすため、自社の越境ECサイトをどう活用していくか検討した結果、同社がたどり着いたのが「代理購入」というサービスだ。 Ruten Japanは台湾の消費者に「代わり」、商品を日本企業から「購入」し、消費者の元へ届ける。台湾の消費者はPChomeのウェブサイトを通じ、中国語に翻訳できるシステムを利用して、日本企業の日本語版ウェブサイトをそのまま閲覧することができる。決済もPChomeとの間で完了するため、容易に注文ができ、海外取引の困難に煩わされることもない。注文から到着までに要する時間はわずか2~3日程度という。

一方、日本企業はRuten Japanに対して、既存の日本語商品情報ページの情報を共有すればよい。台湾の消費者から注文が入ると、Ruten Japanを通じて連絡が来るため、通常の日本国内の取引と同様、Ruten Japanの国内倉庫へ該当商品を発送し、Ruten Japanから商品代金を受け取るだけで取引が完了する。日本企業が懸念する、国際発送・決済のリスクがない。Ruten Japanへ届けられた商品は、複数の製品がまとめて梱包され、台湾へ送付されるため、輸送コストの削減にもつながる。

「代理購入」イメージ図

翻訳や決済はすべてPChomeグループが開発したシステムを利用し、越境ECの壁と呼ばれている3つの課題、「言語、物流、決済」をワンストップで解決するサービスを実現する。同社のサービスは2018年5月末から開始している。

日本企業とともに世界市場へ

「台湾の消費者が多様な日本製品をPChome経由で選ぶことができるよう、Ruten Japanはまず日本の大手EC企業と提携し、既にサイトに掲載されている1,000万個の商品をそのままPChomeのサイトに掲載します。そのためにまずは日本でEC企業が集積している東京都渋谷区に拠点を設置しました」と魏氏は述べた。大阪に支社を設立した理由を尋ねると「今後のビジネスプランにも関係があるのですが、いずれ日本の中小企業や伝統工芸品など、職人さんの製品も直接、PChome上で展開したいと考えています。大阪にはそうした有力な中小企業や職人さんが多く所在します。現時点で、数社との契約をしているが、今後も取り扱う商品の種類を増やすため、積極的に両拠点で営業をしていく予定だという。現在は6人の台湾人スタッフが日本で従事しているが、今後は日本人の雇用も増やし、現地化を積極的に進め、日本法人としての地位を確立したい考えだ。

今後のビジョンについて魏氏は、「私たちは単なる仲介業者ではなく、日本企業のパートナーになりたいと考えています」と語る。Ruten Japanのサイトを通じて購入した消費者たちの様々なデータを解析し、日本企業にフィードバックすることで、日本企業は、海外に実店舗を設置せずとも、低コストでのテストマーケティング・市場情報の収集が可能になる。「今後は商品開発を日本企業とともに行い、日本企業の海外展開を支援していきたい」と語った。日本製品の台湾市場での展開の後は、同社が拠点をもつ米国、タイでの展開も考えているという。

対話の重要性

「どのような課題も自身で解決を目指す」ことが社風であるというRuten Japanだが、日本でのビジネスにでは、越境ECに対し保守的な日本企業が多いことに苦労しているという。魏氏は、「根気強く交渉をしています。E-mailのやりとりだけでなく、実際何度も対話を重ねて契約を結んできました」と語った。COOの魏氏自ら対話に赴くことも多いという。

ジェトロのサポート

ジェトロは、同社に対し、労務に関するコンサルテーションやビジネスマッチングイベント機会の提供などを行った。魏氏は「ジェトロの支援を通じて、様々なビジネス情報やリソースを獲得しました。ジェトロは外国企業にとって日本進出の良いパートナーです」と語った。

株式会社Ruten COO 魏丞慶氏

(2018年5月取材)


同社沿革

1998年 台湾にて、PChome online Inc.(網路家庭国際資訊股份有限公司)設立
2000年 B to C総合オンラインモール「PChome Onlineショッピング」を開始
2007年 世界初のオンラインショッピング24時間配達サービスを開始し、自社の物流倉庫を建設
2010年 PChome Globalサービスを開始
2015年 東京都に日本法人 株式会社Rutenを設立
2017年 大阪府大阪市に株式会社Ruten大阪支社を設置

株式会社Ruten

設立 2015年
事業概要 Eコマースとポータルサイト業務によるインターネットサービスの提供
親会社 Ruten Global, PChome online Inc.
住所 (本社)〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-12-2 クロスオフィス渋谷701号室
(支社)〒541-0052 大阪府大阪市中央区安土町2-3-13 大阪国際ビルディング8階
URL http://www.ruten.co.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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