外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-株式会社ロボティズ

産業:その他製造業

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研究・教育向けロボットのアクチュエータ*(駆動装置)の開発を行う韓国のロボットメーカーRobotis Co., Ltd.は、2016年11月、東京都に日本支店を設立した。ロボット用アクチュエータのデファクトスタンダードとして世界で高く評価され、各国に販路を持つRobotisは、ロボット先進国である日本において企業や大学、研究機関との協業により、さらなる事業展開、販路拡大を進めている。
*入力されたエネルギーを物理的運動に変換し、ロボットに動きを生み出す駆動装置。モーターやセンサーなどを含むロボットの構成要素。


韓国のRobotis Co., Ltd.(以下、Robotis)は、企業や教育機関、研究機関などで使用されるロボット部品の研究開発・販売を行う会社として1999年に設立された。新規開拓分野で競合が少なかったため、同社製品に対するユーザーのニーズは多く、販売は順調に拡大。また、同社製品を使ったロボットや研究成果が次々と発表され、同社への注目は高まっていった。現在、52ヵ国に販売代理店を通じて国際的に販路を拡大するほか、2009年には米国法人、2016年には中国法人を設立。日本では、2004年にパートナー企業との提携により輸出販売を開始し、2016年11月に日本支店を設立した。

Robotisは、2012年に韓国知識経済部「ロボットグランドチャレンジ・ロボット技術大賞」の大統領賞を受賞。ISO9001:2008やISO14001:2004を取得し、2014年にはNY TIMES誌の「今年の10大ロボット」に選出された。

ロボット製作の世界に革命を起こしたRobotis

Robotisの強みについて株式会社ロボティズ日本支店(以下、ロボティズ日本支店)支店長の柴田善広氏は次のように語った。「小型ロボット用のモーターから等身大人型ロボット用まで大小取り揃えて一貫したラインナップとして世界市場に供給している会社は、私が知る限りRobotisだけだと自負している。産業用の大型ロボットのモーターとは違い、研究・教育などに用いられる小型ロボット用のモーターを製造する企業自体がそもそも少ない。その中で当社は多様な用途に合わせたラインナップを揃えており、世界中の多くの顧客を相手にビジネスを展開している」。

Robotisのアクチュエータ「ダイナミクセル」

「当社のアクチュエータ『DYNAMIXEL(ダイナミクセル)』は、数千円の子供向け教育用ロボット向けから、30万円を超える等身大人型ロボット用まで豊富に取り揃えている。まずは安い小さなモーターから入門し、さまざまな学習や研究を経ることで次の段階にステップアップがしやすい。」

「これまではロボットの筐体や部品の構成を変えると、既存のプログラムが使えなくなるなど、大幅な修正が必要で、多大な時間や費用のロスが発生していた。結果としてそれがロボット研究の発展の遅れにつながっていた。当社のダイナミクセルは、モーターを制御するための通信仕様がサイズを問わず共通であるため、それまでに作ったソフトウェアリソースを無駄にせず新しいロボット開発ができる。また、これまでバラバラに作られていたロボットを構成する上で必要な機能を一つにまとめているので、製作時間を大幅に短縮することに成功した。こうした点が認められ、特にロボット研究者から支持を得る結果となった」と柴田氏は説明する。

また、世界的に普及しているロボット用のオープンソースのミドルウェア ROS (Robot Operating System)も同社にとって大きな存在だという。「ROSを介することにより異なるメーカーのロボット、モーター、センサー、コンピュータなどのデバイスをつなげて1つのシステムとして構成できるようになる。ロボットや自動運転システムの開発の世界を加速度的に進化させるものとして、トヨタの人口知能の研究機関が億単位の出資をするほど注目は高い。当社はそのROSを管理している米国の団体と共同でROS公式の学習用ロボットプラットフォーム『TURTLEBOT3(タートルボット3)』を開発し、同プラットフォームに当社のダイナミクセルが採用された。これにより、世界中のROSユーザーが当社製品に触れることになり、これ以上ないPRとなっている」。

ロボット先進国日本への進出

日本進出の理由について柴田氏は次のように振り返った。「第一に代理店を通じた日本市場での販売が伸びていたので、それを補強する必要があった。第二に、ロボット先進国と言われる日本は、ロボットをビジネスとする企業や、ロボット開発に熱心な大学や研究機関などの研究者が多く、市場の成長性を常に感じていた。また、2016年時点で、2017年に名古屋でロボット世界大会『ロボカップ』、そして2018年と2020年に経済産業省が主催する『World Robots Summit』の開催が決定しており、ロボット部品の需要がさらに高まることが予測されたことも、日本進出の後押しになった」。

進出後、「新規の顧客開拓で当社の知名度が足りない点については、ロボット関係の学会やイベントなどで営業を行い補った。一方、代理店と既存顧客に対しては日本進出により距離が縮まり、アフターフォローのレスポンスが高まったのは大きかった。特に、日本のロボット研究分野で活躍している先生方からの口コミが広がり、新規開拓ができて、とてもありがたかった。最近では、日本企業から協業の申し出をいただくことも多くなり、ソフトバンクグループのアスラテック社のロボット制御ソフトウェア『V-Sido(ブシドー)』とのコラボはメディアで話題になっている。当初、私と経理スタッフだけで立ち上げた日本拠点は、現在、東京大学などからの学生アルバイトを含め、7人で営業している」。

同社の製品がオープンソースであることも、日本での認知度拡大にとても役立ったという。「日本の大学や企業、研究機関に属する研究者やエンジニアはオープンソースに取り組んでいる方が多い。弊社製品に関わるソフトウェアや機械設計のデータがウェブを通じてオープンソース化され、他のユーザーが無償で二次利用できる流れが出来たことで、知名度が向上していったと感じる」。

世界のロボットの祭典で注目を浴びるRobotis

世界各地で開催されるロボットの祭典でも、Robotisは存在感を放つ。米国の災害救助ロボット競技大会「DARPA ロボティクス・チャレンジ」において、日独米伊韓の25チームが決勝大会に参加し、そのうち約4分の1が同社の等身大人型ロボット『THORMANG(トールマン)』シリーズを使用したり、ダイナミクセルを使用したりしていた。これが大変なPR効果を生み、世界のレスキュー関連の研究関係者などと繋がるきっかけになったという。日本においても、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援のもと各地でレスキューロボットの研究が進む中、同社製品の使用事例が増えている。京都大学のレスキューロボ「FUHGA(フーガ)」や、電気通信大学・金沢大学、科学技術振興機構、内閣府が共同研究をするプラント点検用ヘビ型ロボットにも同社モーターが使われている。

株式会社ロボティズ日本支店 支店長 柴田善広氏

Made in Japanのロボットを世界に発信

今後の展開について、「今は日本では主に教育及び研究分野で当社の製品が使われているが、今後は消費者向けのロボットにも組み込んでもらいたいと考えている。また、当社のモーターを使用したロボットを日本企業とともにmade in Japanの製品として世界に発信するというビジョンを掲げている。当社は韓国企業だが、このビジョンに沿って日本企業とパートナーシップを組んでいきたい。そのために継続的な品質向上に加え、世界でどんなロボットが求められているのか、情報収集も欠かせない」と柴田氏は意気込みを語る。

ジェトロのサポート

日本拠点設立に際し、ジェトロ対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)では、テンポラリーオフィスの貸与、コンサルテーション(登記、ビザ取得、税務、労務)、市場情報の提供、サービスプロバイダ(行政書士、税理士、社労士、不動産会社、銀行)の紹介等を行った。ジェトロの支援に対して柴田氏は、「韓国本社で技術者として働いていた自分にとって、日本支店の立ち上げは分からないことばかりで、ジェトロのサポートは非常にありがたかった。特に、韓国語対応ができる各士業専門家を紹介してもらったことで、本社とのやり取りをスムーズに行うことができ大変助かった」と述べた。

(2018年7月取材)


同社沿革

1999年 韓国でRobotis Co., Ltd.設立
2004年 日本でのビジネス(輸出)を開始
2009年 米国法人設立
2012年 「ロボットグランドチャレンジ・ロボット技術大賞」
大統領賞(韓国知識経済部)
2013年 IP※スター企業選定(韓国特許庁)
※Intellectual Propertyの略で「知的財産」の意味。
2013年 ISO9001:2008、ISO14001:2004取得
2014年 韓国ロボット学会学会賞
2014年 NY TIMES誌「今年の10大ロボット」選出
2015年 大韓民国産業褒章(韓国行政自治部)
2016年 中国法人設立
2016年11月 東京都に日本支店を設立
2017年12月 優秀技術研究センター技術革新賞
(韓国産業通商資源部)
2018年10月 KOSDAQ上場

株式会社ロボティズ 日本支店

設立 2016年11月
事業概要 研究・教育向けロボット及びIoT製品の研究開発、製造、販売
親会社 Robotis Co., Ltd.(韓国)
住所 〒101-0052 東京都千代田区神田小川町2-12-14 晴花ビルディング 3階
URL http://jp.robotis.com/index/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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