外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-プレカーコネクト・ジャパン株式会社

産業:自動車関連

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ドイツでカーナビ等の車載用システムの開発を行うPreh Car Connectは、2016年12月、R&D拠点として日本法人プレカーコネクト・ジャパン株式会社を東京に設立。Preh Car Connectは、カーナビ等の車載インフォテインメントシステムに強みを持ち、その高度な技術が日本に導入されることが期待される。今後の展開について、プレカーコネクト社取締役のリーベンザーム・ケン氏に話を聞いた。


Preh Car Connect(以下、PCC)の前身企業(TechniSat Automotive)は、ドイツのドレスデンで1992年に設立され、2016年に現社名になった。同社は1994年から、ドイツ国内の大手自動車メーカー向けカーラジオ生産で事業を開始し、その品質の高さが顧客の信頼を生み、会社規模は順調に拡大していった。その後、カーラジオからカーナビに生産をシフトさせるなど時代に合わせてビジネスを発展させてきた。カーナビ等の車載インフォテインメントシステム※に強みを持つ同社は、ポーランドに生産拠点を有し、主要顧客である独大手自動車メーカーが欧州で調達するカーナビのシェアは同社が独占している。さらに世界展開に併い、米国および中国にR&D拠点や、韓国にテストセンターを有するほどに成長している。売り上げは、2016年現在で、4億ユーロ(約458億円)超、従業員は全世界中約1,200名になっている。

※「インフォメーション(情報)」と「エンターテインメント(娯楽)」を組み合わせた造語。車載情報システムには、主として経路案内(カーナビゲーションシステム)や道路交通情報表示があり、娯楽要素では、カーオーディオ、TVチューナー、車載DVDなどがある。「インフォテインメントシステム」とは、これら各機能を統合し、シームレスに切り替えて運用できるシステムを指すことが一般的。また、クラウドなどを活用して、家庭やオフィス、スマホなどの端末機器といった外部環境と接続する利用方法もある。

日本独自の価値観や制度に合わせたインフォテインメントシステムを開発

プレカーコネクト・ジャパン株式会社(以下、プレカーコネクト)取締役のリーベンザーム・ケン氏は、PCCの日本市場参入の目的について、以下のように語る。「日本で販売されるクライアントメーカーの車に、当社のインフォテイメントシステムを設置する契約があり、準備を進めている。そうした前提に加えて、日本市場で当社インフォテイメントシステムの研究開発能力を向上させるという大きい目標がある」。ケン氏は、「日本のユーザーは、車を単に移動手段だけでなく、車の中で移動する時間をより快適に過ごしたいと考える傾向が強い。これは、ドイツや他の欧州諸国と比較しても顕著だと感じている。例えば、ナビの画面に表示される地図の色使いや、注意音ひとつにしても、日本人の好みは非常に細かい。そうした日本人がより楽しめるインフォテインメントシステムとはどういったものか試行錯誤の日々だ」と説明する。

また、当該国の法制度や交通事情などにシステムを適合させるためには、現地での開発は必須であるという。「日本には独特なシステムが多い。1つは、ETC2.0という高速道路の交通料金の自動収受システム。ドイツの高速道路は無料なので、ETC2.0の仕様がよくわからない。VICSという日本道路情報システムもかなり複雑だ。これらに対応するカーナビシステムを開発するためには、ドイツからの遠隔作業では非常に困難で、実際に日本で腰を据えて行っていく必要がある。日本市場で培った経験は、PCCが世界展開を続けていく中で、必ず大きな糧になると確信している」。

プレカーコネクト・ジャパン株式会社 取締役 リーベンザーム・ケン氏

クラウドを通じた自動車内外のコミュニケーションの実現を目指す

先進的なカーナビシステムを開発するPCCであるが、ケン氏はさらに次世代の車やカーナビの在り方を見据えている。「今後、車はさらに進化して、車から運転者へのコミュニケーションが可能になるだろう。具体的に言うと、クラウドを通じて車と車載機器、そして車外の社会との結びつきが益々強まる。歩行者、自転車ユーザーなど車外の交通参加者、他の車、標識といった交通表示物などがデータ化され、クラウド上でつながり、その情報がカーナビを通して運転者にフィードバックされる。これが可能になれば、渋滞や事故は減るし、安全でスムーズな走行がより広まる。我々は、カーナビを起点に、そうした相互コミュニケーション機能を備えた車載インフォテインメントシステムの導入を構想している。そうした革新的な開発をするため、イノベーションの発信地である米国など、世界中から絶えず情報収集を行っている。システムが完成する時、カーナビは現在の形ではなく、カーナビという名称もなくなっているかもしれない。しかし、カーラジオからカーナビへと進化していったように、我々はこれからもどんどん進化していく必要がある」。

日本市場における今後の展開

「PCCが世界市場で成長をしていくために、日本市場での研究開発は必須だと考えている。PCCはプレカーコネクトの日本法人設立以外に、日本の自動車関連企業の買収で事業分野を拡大させるなど、日本市場との関係性を深めている。加えて、新しいIoTコンテンツを開発するために、今後日本のIT企業と協業することも検討している。また、少人数ながらインターナショナルで、多様な考えを持つスタッフが集う職場であることも当社の強みの一つだと考えている。もちろん意見の衝突もあるが、その分、画期的なアイデアも生まれやすい。こうしたクリエイティブな環境で日々、新しいインフォテインメントシステムづくりに励んでいる」とケン氏は日本市場での意気込みを語る。

ドイツ、ロシア、韓国、そして日本と多国籍なスタッフが集うプレカーコネクト(一番右がケン氏)

ジェトロのサポート

ジェトロ対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)は、日本拠点設立に際し、テンポラリーオフィスの提供、拠点設立に係るコンサルテーション(ビザ、労務)、サービスプロバイダ(行政書士、税理士、不動産会社、銀行)の紹介等の支援を提供した。ジェトロのサポートに対して、「会社設立手続きや実際の業務など、同時に複数のことをこなさなければいけない時に、ジェトロの支援は、それらをスムーズに進めるのに非常に役立った。特に、ジェトロ紹介の各専門家は、質の高い仕事をスピーディーに行ってくれて、大変ありがたかった」とケン氏は述べた。  

(2018年5月取材)


同社沿革

1992年 前身企業TechniSat Automotiveがドイツ・ドレスデンで創立
1994年 操業開始(開発拠点の竣工)
2016年 Joyson Group(中国)とPreh株式会社(ドイツ)による買収で、社名をPreh Car Connectに変更
2016年12月 プレカーコネクト・ジャパン株式会社設立
2017年 韓国にテストセンターを設立

プレカーコネクト・ジャパン株式会社

設立 2016年12月
事業概要 日本向けカーナビ等の車載用システムを開発
親会社 Preh Car Connect(ドイツ)
住所 〒105-0001東京都港区虎ノ門3-22-1虎ノ門桜ビル602
URL http://www.prehcarconnect.com外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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