外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-NextDrive(ネクストドライブ)株式会社

産業:ICT

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ゲートウェイやセンサーデバイスといったIoTソリューションを開発する台湾のスタートアップ企業NextDrive Co.(聯齊科技股份有限公司)は、東京都港区に2017年1月、NextDrive株式会社を設立した。同社は、ハードウェア、ソフトウェア、クラウド、アプリなどの幅広い独自開発技術による、スマートエネルギー・マネジメントソリューションを提供している。今。日本で注目を集めている台湾のスタートアップ企業NextDrive(株)の代表取締役石聖弘氏に話を聞いた。


家庭及びビジネス向けのスマートエネルギー・マネジメントソリューションを提供する台湾スタートアップ企業のNextDrive Co.は、2017年1月、日本法人、NextDrive株式会社(以下、NextDrive社)を設立した。同社は、9月にサービスオフィスから、現オフィスである3階建ての建物に移転し、世界最小クラスのIoTゲートウェイであるNext Drive Cube J Series(以下、Cube J)をはじめとする製品を展開している。

港区にあるNextDrive株式会社、全棟すべてが同社のスペース

IoTを活用して生活の利便性を向上

東京都港区にあるNextDrive社の入口をあけると、その扉に薄いひし形のセンサーが取り付けられていた。「今、玄関の扉が開いたという通知が、私のスマートフォンに送られてきました」と同社代表取締役の石聖弘(Shawn Shih)氏(以下、石氏)が自身のスマートフォンを見せてくれた。扉に取り付けられたモーションセンサー「Motion pixi」が、扉の動きを検知、小型ゲートウェイであるCube Jを介し、Bluetoothを通じてスマートフォンに通知が送られるという。石氏は、玄関付近に設置しているカメラを指し、「このカメラもゲートウェイとつながっており、皆さんが入ってきた際の動画も録画されていますよ」と教えてくれた。

同社の主力製品であるCube Jは、5cm四方未満のコンセント直差し型IoTゲートウェイだ。Cube JはBluetooth、Wi-Fi、Wi-SUNの無線規格に対応しており、接続する機器の種類次第で、前述したホームセキュリティへの活用だけでなく、HEMS(Home Energy Management System、ヘムス)(*1) に基づく電力管理、健康管理など多様な展開をみせる。例えば、健康管理の観点では、温湿度センサーと血圧計をCube Jに接続することにより、居住環境と血圧値の相互関係を把握したり、温湿度のアラート起動条件を設定することで、一定の温度を超えた際に警告を出したりすることができる。

(*1)家庭で使うエネルギーを節約するための管理システム

NextDrive株式会社のCube J Series および周辺機器

電力自由化とHEMSへの道筋

台湾のスタートアップ企業であったNextDrive社が、日本市場を目指すきっかけとなったのが、グローバル情報通信およびIoTテクノロジーの見本市であるComputex Taipeiだった。2015年の同見本市で、インターネット接続サービスをはじめとする総合的なソリューションサービスを提供する日本企業、株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ社)と出会い、IIJ社がNextDrive社への強いアプローチを行ったことから、日本市場に関心を持った。

さらに日本では、2016年4月に電力小売市場の全面自由化がされたことから、IoT製品をハードとクラウドの両面から開発する同社にとって、日本市場では、多種多様なビジネス、特にHEMSに向けたビジネス展開が今後見込めると確信したという。

また、HEMSでの事業展開を考えたとき、日本の電力市場において、無線規格が統一されていたことも、海外展開の第一歩に日本を選んだ理由だという。日本では2013年に、東京電力株式会社(当時)により整備予定のスマートメーターと、企業や家庭内にある宅内エネルギー管理システムとの間の無線通信方式として、Wi-SUNという無線規格が採用されることが決定された。このように無線規格が統一されている市場は日本だけだという。例えば米国では州や会社によって違う無線規格を使用しており、台湾でも今年になるまで規格が統一されていなかった。HEMS対応の事業を展開するにあたり、規格が統一されている日本では、研究開発が容易だと考え、日本進出を決意した。

日本企業や大学との提携

Wi-SUN規格の研究開発は、IIJ社をはじめとする日本企業や京都大学などの日本の大学とともに行ってきたという。「日本政府は2023年までにすべての家庭のメーターをスマートメーターに切り替える予定で、それが実現すれば実に約8,000万台。これだけのマーケット規模があれば、このマーケットに新しいサービスやアプリケーションが出てくる可能性があると思います」と石氏は語る。現在、日本での売り上げは本社のある台湾を抜いて一番で、日本向けにCube Jを開発するなど、日本は重要な研究開発拠点かつマーケティング拠点となっている。

将来的には、東南アジアなどへの展開も想定しており、日本企業とのパートナリングを元に世界へ乗り出すことを想定しているという。石氏は、「日本と東南アジアは良好な関係が構築されているので、既に東南アジアに進出しているIIJとパートナーシップを組むことで、一緒に世界展開していくイメージを持っています。また、日本という国は天然資源が少なく、エネルギー管理や省エネについて進んでいる側面があります。日本でこうした仕組み、モデルが成功すれば、台湾に行っても、東南アジア中国に行っても上手くいくはず」と語り、日本企業との提携の重要性を強調した。

B to B to C のビジネスモデル

現在は石氏や研究開発メンバーを含む6名が日本拠点に在籍しており、B to B to C をビジネスの基軸に、事業を展開している。「例えば、我々のソリューションを電力会社に供給し、電力会社が自身の顧客に提供します。我々のシステムを使うことで、それぞれの顧客が10%の節電をしたら、国にとっても大きな節電になる。また、電力会社も顧客の電力使用に関するビッグデータを手に入れられるので、メリットがあります」と石氏は話す。2018年の春を目途に、オフィスを改装し、3階を研究開発・カスタマーサポートセンターに、1階をHEMSのショールームにする計画だという。それに向け、現在は技術職やカスタマーサポートを行うスタッフを探している。

NextDrive株式会社 代表取締役 石 聖弘氏

ジェトロのサポート

ジェトロは、同社に対し、テンポラリーオフィスの提供、税理士や行政書士の紹介、会社設立にかかるコンサルテーションの提供などを行った。

石氏はジェトロのサービス対して「初めて日本にきて会社設立を目指した際、無償のテンポラリーオフィスがあり、大変ありがたかった。紹介していただいた士業の先生には今もお世話になっています」と語った。

注目される台湾のスタートアップ企業

台湾は「アジア・シリコンバレー計画」を掲げ、台湾で成長したスタートアップ企業と海外企業との連携を通じた第三国・地域へのビジネス展開を推進しており、同社はまさにそのモデルケースと言える。今後革新的な技術を持つ台湾のスタートアップ企業と日本企業との協業が活発になることが期待される。

(2017年11月取材)


同社沿革

2014年 台湾にて、NextDrive Co.(聯齊科技股份有限公司)設立
2017年 東京都港区に日本法人NextDrive株式会社を設立

NextDrive株式会社

設立 2017年
事業概要
  • IoT分野における無線ネットワーク電子機器及びセンサーデバイス製品開発
  • IoTサービスに関するソリューションの開発、販売及び提供
  • HEMSソリューションの開発、販売及び提供
親会社 NextDrive Co.
住所 (本社)〒106-0031 東京都港区西麻布3-19-22
URL https://jp.nextdrive.io/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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