外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ- M-Industry Japan株式会社

産業:その他製造業

PDF版PDFファイル(310KB)

スイス最大の食品小売企業Migros(ミグロ)の子会社M-Industryが2014年11月、東京都に株式会社を設立。同社は、Migrosのスーパーマーケットで販売されるプライベートブランド商品(食品・化粧品等)の開発・製造及び販売を手掛けている。M-Industryは欧米での販路開拓に重きを置いてきたが、次なる海外戦略としてアジア市場に狙いを定め、アジア初の拠点を日本に設けた。


M-Industryの親会社Migrosは1925年、スイスで誕生した食品小売企業である。第一次世界大戦の戦後不況に喘ぐ当時のスイスで、Migrosは良質で安価なプライベートブランド(PB)商品を販売し、主婦層を中心に顧客を獲得した。その後も順調に事業を拡大し、1941年には、株式を顧客に分配することで協同組合となる。現在では、スイス国民の4分の1以上がMigrosの組合員となり、2015年12月時点の従業員数が10万人、2015年度売上高が274億スイスフランに達するなど、スイスを代表する企業グループとなっている。

M-Industryは、Migrosで販売されるPB商品の開発・製造部門として1928年に設立された。同社が製造する食品や化粧品等はMigrosの販売品目の9割を占め、これまでに生み出したPB商品は2万点を超える。海外展開も積極的に進め、大量生産によるリーズナブルな価格設定や、スイスブランドが持つ高級イメージ、独自の食品加工技術や環境・健康に配慮した商品作りを強みに、世界約50カ国に商品を輸出している。

日本進出の経緯

M-Industry Japan株式会社代表取締役デヴィット H. チョーク氏は、日本進出の理由を次の通り説明する。「日本の市場規模の大きさに魅力を感じた。日本の食品市場はアメリカに次ぐ世界第2位だが、食糧自給率は40%と高くない。輸入食品が入り込める余地が十分にあるのではないかと考えた。」同社はかねてより日本を重点市場に位置付け、日本人の消費トレンドを調査してきた。今回の拠点設立には、販売拠点としての機能に加えて、マーケティング戦略の強化も視野に入れる。

また、アジア攻略を進めていく上で日本の果たす役割は大きいとチョーク氏は話す。「日本をアジア進出のゲートウェイとして捉えている。アジアには大きなチャンスを秘めた市場があるが、我々が欧米で積み上げた知見だけでは対応しきれないことが多い。」アジア市場のノウハウを得るため、まずは、他のアジア諸国と地理的・文化的に近く、より高い品質を求める消費者、より成熟した市場を持つ日本への進出を決めた。

日本進出で苦労した点

M-Industryは日本進出当初より、飲料やジャム、ビスケット等のブランドSwiss Deliceを展開してきた。従来、同ブランドは大規模スーパーマーケット向けに販売されていたが、日本では現在、輸入食品を多く扱う小売店が主なターゲットになっている。その理由をチョーク氏は以下のように話す。「日本進出直後にスイスフランが高騰し、商品価格が跳ね上がった。日本製品が並ぶスーパーマーケットで、我が社は劣勢に追い込まれてしまった。」同社は、大手小売企業への商品販売という当初の計画から方針転換し、比較的小規模な高級路線の輸入食品販売店向けの展開へと舵を切った。独自の配合で作ったスイスビスケットや、ワインやチーズとの相性が良いジャム等のオリジナル商品を展開し、スイスの高級イメージをアピールした結果、業績は順調に推移しているという。「当初の計画通りには行かず、今まさに軌道修正を図っている。ただ、日本全国に我が社の製品を届けるという目標を変えるつもりはない。」とチョーク氏は意気込む。

日本市場でのブランド戦略

Swiss Deliceの他に投入したブランドの一つが、カプセル・コーヒーのブランドCafé Royalだ。スイスでトップシェアを誇る同ブランドを、成長著しい日本のカプセル・コーヒー市場で展開している。2015年10月には、ローションやアンチエイジング製品をはじめとした化粧品ブランドZOEの販売を開始した。日本人女性100人に同社製品を一定期間使用してもらい、そこで得られたフィードバックを基に、アジア人女性の肌に合った化粧品を開発したという。また、Swiss Delice、Café Royal、ZOEに加えて、乳製品等で新たなブランドの展開を予定している。

新たな試みとして、2015年10月の2週間、銀座の複合商業施設EXITMELSAでM-Industryフェアを開催し、期間限定ショップを開いた。Swiss Deliceのビスケット、ジャムやCafé Royalのコーヒーを販売するなど、日本の消費者に直接触れ合う機会をつくり、卸売やオンライン以外の販売機会へと繋げた。「将来的には、人々が気軽に立ち寄れて、我が社の製品を手に取れるような店舗を東京にオープンしたい。」とチョーク氏は語る。

     M-industry Japan 代表取締役
     デヴィット H. チョーク氏 

ジェトロのサポート

日本法人設立に際し、ジェトロ対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)は、会社登記・労務など拠点設立にかかる各種コンサルテーションほか支援を行った。ジェトロのサポートについてチョーク氏は「拠点設立の方法について助言をいただき、大変助かった。設立にかかる全ての業務を自分たちで解決しようとしたら、もっと多くの時間がかかっていただろう。また、ほとんどのサービスが無料とは大変貴重なことで、とても感謝している。」と述べた。

(2016年5月取材)


同社沿革

1925年 スイス・チューリッヒでMigros及びM-Industryが設立
1941年  Migrosが株式を顧客に分配し、株式会社から協同組合となる
2014年 アジア初の拠点として、M-IndustryJapanを設立

M-Industry Japan株式会社

設立 2014年11月
事業概要 食料品、飲料、化粧品の輸出入及び販売業務各種マーケティングの事業
親会社 Federation of Migros Cooperatives
住所 〒105-0011 東京都港区芝公園3-4-30 32芝公園ビル7階
URL http://www.mindustry.co.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

ジェトロの支援

  • 会社設立手続き支援
  • マーケット情報の提供
  • 許認可情報の提供

お問い合わせ

フォームによるお問い合わせ

ジェトロ対日投資部

お電話によるお問い合わせ

ジェトロ対日投資部

拠点設立・事業拡大のご相談:外国企業支援課
Tel:03-3582-4684

自治体向けサポート:地域連携課
Tel:03-3582-5234

その他の対日投資に関するお問い合わせ:対日投資課
Tel:03-3582-5571

受付時間

平日9時00分~12時00分/13時00分~17時00分(土日、祝祭日・年末年始を除く)