外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-

イケア・ジャパン株式会社(Peter List 氏)

産業:小売

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イケア・ジャパン代表取締役社長 ピーター・リスト氏
(後方は、同社が掲げるビジョン)

スウェーデン発の大手家具メーカーであるイケア社は、2006年に日本に一号店をオープンした。以降、地方を含めて8店舗まで拡大し、2020年までに14店舗を目指すと発表している。地域に根付き、積極的に店舗ネットワークを拡大する同社は、日本でのビジネスをどのように捉えているのか。日本法人代表取締役社長ピーター・リスト氏にインタビューを行った。

同社は、「To create a better everyday life for the many people.(より快適な毎日を、より多くの方々に。)」というビジョンを掲げ、欧州、北米、アジアに出店している。日本では、2006年に千葉県船橋市に一号店をオープンして以降、関東のみならず、地方にも出店し、地域に根付いたビジネスを行っている。2020年までに日本国内の店舗数14店舗を目指すと発表するなど、積極的に店舗ネットワークを拡大する同社は、日本のビジネスをどのように捉えているのか。イケア・ジャパン株式会社(以下、イケア社)代表取締役社長ピーター・リスト氏にインタビューを行った。

イケア社の強みは?

当社の強みはビジョンである。我々は、常に「To create a better everyday life for the many people.」を意識しながら働いている。ただ家具を販売するのではなく、より快適な毎日をより多くの方々に提供しようとしていることが、日々の仕事の原動力である。

このビジョンは、当社の文化であり価値である。我々は、スウェーデンの南部に位置するスモーランド地方で事業をスタートした。スモーランド地方は、労働倫理や連帯感、達成意欲が極めて強く、皆が村の発展という一つの目標に向かって熱心に働く地域であった。そのような特徴が、グローバル企業となった今も社内に根強く生き続けている。

日本でビジネスを行うメリットは?

日本は、世界第2位の小売市場であり、GDPも世界第3位だ。この2つの要素だけでも十分魅力的だが、それに加えて日本人には非常に高い教養がある。

更に、日本には、限られたスペースで生活する人が多い。同じく生活スペースが限られている地域(例えば、ニューヨークやパリ、ロンドンなど)でのビジネス経験が豊富な我々にとっては、他国で培ったノウハウを生かすチャンスがある。

製品やサービスを日本市場にあわせてローカライズする上で、工夫した点・苦労した点は?また、日本で開発された製品・サービスを他国に展開した事例は?

日本の消費者はサービスを重視するため、低価格な商品だけでなく、何らかのサービスを付加する方法を考える必要があった。結果、考案したのが「手ぶらdeボックス」というサービスである。これは、公共交通機関を使ってイケアに買い物にくるお客様のため、購入商品を自宅に郵送できるサービスだ。電車やバスで買い物にくる日本の消費者の特徴に合わせてカスタマイズしたものだが、今では世界各国で提供しているサービスだ。

また、日本市場にあわせた商品展開も行っている。例えば、世界同一サイズで販売していたソファーも、日本の家の大きさに合わせて一回り小さくした。日本全国の家庭を訪問し、日本人の生活の仕方や意見を取り入れてカスタマイズした商品は、世界市場においても人気商品となっている。ソファーだけでなく、日本で開発したお箸や固めのマットレス、冷却グッズも、世界で販売している。日本市場はイケアのグローバルにおける成長で重要な役割を果たしており、まさにWin-Winの関係を築いているといえるだろう。

日本市場参入を進める上で苦労した点は?

日本市場参入においては、大型小売業向け用地取得の制限や、製品の認証・表示に対する日本独自の規制、レストランで提供する食品の輸入規制などの課題がある。今後、これらの規制緩和や相互認証が行われれば、企業のみならず、日本の消費者にとっても大きなメリットとなるだろう。

地方に進出した理由・メリットは?

当社は、より多くの方々により快適な毎日を提供することを目指して、日本全国に出店している。関東近郊の4店舗に加えて、兵庫県神戸市、大阪府大阪市、福岡県糟屋郡、宮城県仙台市に店舗を有する。立地に留意しており、IKEA福岡新宮は、駅の近くで駐車場も確保できる場所を選んだ。

地方店舗の中でも、IKEA仙台のオープンは特殊な経緯を有する。仙台の出店は以前から検討しており、2020年以降のオープンを予定していた。だが、2011年に発生した東日本大震災を受けて、被災地の復興に何らかの貢献をしたいという思いから、オープンを約10年早めることとなった。イケアにとって、地域の住民は非常に重要である。イケアの店舗を訪れたお客様が、その日に何か買いたいと思わなくても良い。お客様は、店舗を楽しみ、アイディアやインスピレーションを得て、レストランで食事をし、何か小さなものを買って帰る。そして、次回、彼らがベッドやソファーなどの家具が必要になった時、イケアを心に思い浮かべてくれることで、より良い生活を提供するお手伝いが出来ればと考えている。

我々には、将来的には、広島や群馬の前橋など、地方への出店を増やしていく計画がある。メガマーケットの一つである名古屋近郊も重視しており、中部地方での初の出店に向けて計画を進めている。

地方への進出時に自治体等に協力を求めましたか?

新しく店舗をオープンするときに限らず、当社は、地域のコミュニティとの関係を重視している。新店舗がオープンすると、来客や交通が増えるため、自治体に限らず、地域住民の方々との調和も大切となる。関係構築にあたっては、イケアがどのようなものか説明し、コミュニティ側の懸念事項もお聞きすることで、長期間かけて真のパートナーになっていく。

非常に幸運なことに、我々は多くの自治体から出店のお声がけをいただいているが、当社のビジネスモデルは20,000m2以上の店舗展開で、周辺に多くの住民がいる広大な土地が必要なため、決定に時間がかかる。一方で、多くの自治体が、我々のビジョンやビジネスアイディアを必要としていることは非常に有難く、既に出店した地域や、今後出店予定の地域の自治体と良好な関係を築いている。

今後のビジネス展開は?

当社は、多くの人にとって身近な企業を目指している。現在、日本では8店舗を展開しているが、2020年までに店舗数を14店舗にしたい。2020年以降も、店舗数を増やし、Eコマースビジネスも立ち上げ、より手の届きやすい価格での商品提供を目指していきたい。

ご自身が感じる日本の生活環境は?

私は日本の生活が大好きだ。子供の頃から、日本の文化に魅了され、日本に住み働きたいという夢を抱いていた。日本は美しく、全てがシームレスで、決められた時間通り動いている。また、互いを尊重し、社会を気遣う日本人の心は、私の日本での生活の大きな助けとなった。日々の買い物経験や、文化、美しさ、人、そして食事からも感化されることが多い。

(2015年1月)

同社沿革

1943年 スウェーデンスモーランド地方で創業
2002年 日本法人設立
2006年 日本一号店 IKEA船橋と、二号店 IKEA港北がオープン
2008年 IKEA神戸、IKEA鶴浜、IKEA新三郷がオープン
2012年 IKEA福岡新宮がオープン
2014年 IKEA立川、IKEA仙台がオープン

イケア・ジャパン(日本法人)

設立: 2002年7月
事業概要: DIY家具販売、インテリア販売
親会社: INGKA Holding B.V.
住所: (本社)千葉県船橋市浜町2-3-30
URL: http://www.ikea.jp外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

経済産業省のウェブサイト内「CEO Voices in Japan」で、本インタビューの一部が動画でご覧いただけます。

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