外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-ゴルフェイス株式会社

産業:サービス/その他

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ゴルフのプレー予約、コース紹介、カートナビ、スコア管理などをアプリ等で一括管理できるサービスを開発・販売する台湾のスタートアップ企業Green Jacket Sports Co., Ltd.が日本市場へ参入するため、2017年5月、福岡にゴルフェイス株式会社を設立した。西日本鉄道グループと組み台湾観光客を誘致するゴルフパック事業を展開している同社に、日本進出の経緯と今後について聞いた。


「他社のカートナビはゴルファーにコースをガイドするだけですが、我々のカートナビはゴルフ場にも収益をもたらします」と語るのは、ゴルフェイス株式会社(以下、ゴルフェイス社)のエリアマネージャー、陳兆年氏(以下、陳氏)。

ゴルフェイス社は、スマートフォンアプリを主軸として、iPadやウェアラブル端末等のデバイスやGPS、空撮映像等を活用したゴルファー向けサービスを提供する。アプリ「Golface」では、各ホールの特徴をつかんだ正確な戦略の提供や、スコア管理などのプレー支援を行う。同社はさらに、日本のゴルフ場にスマートカートナビシステムを導入予定だ。同システムはゴルファー向けにサービスを提供するとともに、蓄積されたプレーヤーの位置情報やデータを同社が分析し、ゴルフ場にフィードバックすることで、管理の効率化に貢献する。台湾ではゴルフ場の業績を大幅に向上させた実績がある。

「うちのサービスを一度使うと、もう他のサービスは使えません」と陳氏は笑顔で語る。台湾のゴルフ場では、同社との契約継続率は100%を誇るという。また台湾では、ゴルフアプリで70%のシェアを誇り、アプリユーザーは130万人に上る。

ゴルフェイス社が入居する福岡市のスタートアップ施設 Fukuoka Growth Next

デジタル化の余地が大きい日本のゴルフ市場

全英ゴルフ協会(R&A)の「Golf around the world 2017」によると、日本のゴルフ場の数は2,290ヵ所であり、世界で第3位、アジアでは次点の韓国の約5倍と大差をつけての首位である。

「アプリの世界展開を考えたとき、アジア最大のゴルフ市場を持ち、サービスのレベルが高い日本でまずは成功を、と考えました」と陳氏はいう。

陳氏は「日本のゴルフ場の多くは、ずいぶん前に導入した複数社の古いシステムを使い続けています。予約は電話でのみ受付、カートにA社のナビを搭載し、B社の決済システムを利用するなど。多くの日本のゴルフ場を視察しましたが、ワンストップサービスを使っているところはありませんでした」と語る。

ゴルフェイス社サービスの特徴は、ゴルフ場で必要なすべての行動が同社システム内で行えるところだ。

ゴルフェイス社が提供予定のサービス
Golfaceアプリ
  • プレー支援
  • スコア管理
  • コース攻略
Golface Store アプリ
  • プレー予約
  • 決済
  • ゴルフ用品の購入
Golface スマートカートナビ システム
  • コースガイド
  • プレー進行状況管理
  • スコア管理
  • コンペ、トーナメント支援

同社の提供する各サービスは互いに連携しており、ユーザーはひとたび各アプリをインストールすればワンストップでサービスを受けられる。陳氏は「こうした『スマートゴルフサービス』の提供という点では、アジアで弊社が一番先んじています」と胸を張る。

アプリ「Golface」やスマートカートナビシステムでは、ホールまでのヤード数など、コース攻略のために必要な情報が付随したコース図や、ドローンによるコース全体の空撮映像なども確認できる。こうしたゴルファーに嬉しい機能はすべて、同社のエンジニアがシステムに組み込んでいるという。設立当初は手書きの図面からコース図を書き起こしていたが、現在ではAI技術を用いることで、1時間ほどでアプリに必要なデータを作成している。

しかし、日本のゴルフ場は、こうした新システムの受け入れに消極的なところが多いため、本格導入は簡単ではないという。

予約からスコア管理まですべてのアクションがゴルフェイス社のサービスで完結する(画像提供:Golface社)

日本企業との提携事業で、知名度アップ

そこで同社は、西日本鉄道グループ(以下、西鉄)と提携して、台湾のゴルファーを日本に誘致するゴルフツアーに力を入れている。

2017年の12月に第一弾として、約20人の台湾人観光客を日本に誘致した。福岡県のゴルフ場3ヵ所でのプレーを中心に、博多湾クルーズなどの観光や、宿泊、食事をすべてパッケージで提供。西鉄はホテルと交通手段を提供し、ゴルフェイス社は台湾でツアーを告知・販売するとともに、参加者にアプリ導入済みiPadを貸与した。参加者らは、日本でのプレーを、母国語で提供される使いなれたアプリと共に楽しんだという。ゴルフェイス社はこれらの利用者情報を蓄積し、今後ビッグデータとして、ゴルフ場に提供する予定だ。

「ゴルファー、ゴルフ場、旅行業者、そして私たち全員がハッピーになれる取り組みです。win-win-win-winですね」と陳氏。ツアーは大変好評で、2018年3月にもサクラツアーと題して同様のツアーを実施済み、今後も年に数回実施していく考えだ。

陳氏は、「参加者を対象とするアンケート調査によると、満足度は100%でした。ゴルフ場からも好評で、今後もアジアをはじめとした外国人のゴルファーを積極的に連れてきて欲しいと言っていただけた。実際に私たちのサービスを体感してもらい、良さを分かってもらえれば、必ず本格導入していただけると考えています」と自信をのぞかせた。同社のシステムは、日本語、英語、中国語、韓国語に対応しているため、今後導入するゴルフ場が増えれば、日本への観光客誘致に一役買うことができる。

次回ツアーへの問い合わせも多く、ツアー事業の滑り出しは順調だ。この事業を通し、まずは日本でのゴルフェイス社の知名度をあげ、顧客となるゴルフ場を増やす狙いだ。日本における初年度の売り上げは、目標を達成し、2020年までに、売上額を8倍に増やす見込みだという。

質が高く信頼感のある日本市場

陳氏は、日本での事業展開にあたり、「特段不便だ、困ったと感じたことはない」という。「手続きや書類は確かに細かいが、きちんとしたルールがあって、それにのっとって手続きを行えば、その後の不安がない。丁寧でプロ意識のある人たちが多く、歴史や文化などとにかく質が高い。これは日本の魅力だと思う」と陳氏。「ただ、やはり書類文化は日本特有ですね。私たちスタートアップはまず、理念や夢やビジョンを語りますが、日本ではまずその根拠と実績をまとめた資料が求められる。そうした文化の違いへの理解や忍耐は必要と考えています」と日本でのビジネス展開のポイントを語った。

福岡市から日本全土、世界への展開目指す

同社は現在、小学校校舎をリノベーションして作られた福岡市のスタートアップ施設「Fukuoka Growth Next」内にある一室「理科室」をオフィスとして利用している。陳氏と、日本語も堪能なエリアスペシャリスト陳湘藍氏、そして毎月来福する本社社長の廖聡哲氏の3名で日本での事業を行っている。

同社と福岡市との関係は、2016年に福岡市が台北で主催したスタートアップ企業を対象とした誘致セミナーに同社が参加したことから始まった。実際に福岡市を視察した同社は、候補であった北京や韓国と比較検討をし、福岡市への拠点設立を決めたという。「福岡市は、ゴルフにとても大切な気候が安定しており、台湾に距離の面でも、生活環境の面でも非常に近く、暮らしやすい。また家賃なども東京などの都市部に比べると安いように感じます」と陳氏。また、市の提供するスタートアップ支援プランや市長自らが率いるスタッフの専門性の高さ、丁寧さに、「信頼できる都市だ」と感じたことも大きな理由だったという。同社は法人設立の際、グローバル創業特区である福岡市のスタートアップビザなどを利用した。

「理科室」の表示に並ぶ同社の看板

今後は、全国展開に向け、日本の旅行会社、通信業者などと提携してより多くのツアーを実施、知名度をあげていきたい考えだ。ツアー事業を足掛かりに、2019年度中に、同社のスマートサービスを少なくとも二か所のゴルフ場に本格導入することを目指す。そのためにも、エンジニアやゴルフ場との連絡係を含めた2名の増員を考えている。また、効率よく営業活動を進めるために、国内で同社サービスの販売代理を担うパートナー企業も探しているという。「まずは九州でのスマートサービス導入を目標に動いていますが、そこから日本の他地域、さらには中国や韓国など、アジアへの展開をしたい」と語る。

福岡から日本全土へ。そして、アジア諸国への展開を目指したい、と意気込む。同社の計画が実現すれば、日本の地方都市発のサービスの好例となるだろう。

エリアマネージャー陳兆年氏(右)とエリアスペシャリスト陳湘藍氏(左)

(2018年5月取材)


同社沿革

2013年 台湾にて、Green Jacket Sports Co., Ltd.設立
2016年 西鉄と一般社団法人StartupGoGoが開催したオープンイノベーションプログラムで最優秀賞を受賞
2017年 福岡市スタートアップ施設「Fukuoka Growth Next」内に、ゴルフェイス株式会社を設立

ゴルフェイス株式会社

設立 2017年
事業概要 (1) ゴルフアプリ「Golface」の提供、販売
(2) 外国人観光客向け日本ゴルフツアーの促進
親会社 Green Jacket Sports Co., Ltd.
住所 (本社)〒150-0002 福岡県福岡市中央区大名2-6-11(Fukuoka Growth Next内)
URL http://www.home.golface.com.tw/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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