外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-ダンデライオン・チョコレート・ジャパン株式会社

産業:小売

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米国サンフランシスコ発祥のクラフトチョコレート企業Dandelion Chocolateは2015年5月、東京都蔵前に日本法人を設立、翌年2月に海外初店舗となる日本1号店をオープンした。同店はチョコレート工房にカフェを併設しており、農園でのカカオ豆の仕入れから焙煎、成形に至るまで、チョコレート製造工程の全てを自社工房で行う。Bean to Barと呼ばれる米国の新たなチョコレート文化を日本に持ち込んだ同社の日本代表取締役、堀淵清治氏に日本でのビジネスや今後の展望について話を聞いた。


Dandelion Chocolateは、イノベーションの地、サンフランシスコ発祥のクラフトチョコレート企業である。元々IT企業家であったトッド・マソニス氏とキャメロン・リング氏が自宅のガレージで試行錯誤しながらチョコレート作りを始めたことが創業のきっかけである。品質や製造工程に対する強いこだわりと米国での知名度の高さから、日本でもオープン前から同社に対する注目が集まっていた。
サンフランシスコに店舗を構える同社は、2015年5月に東京都蔵前に日本法人を設立、今年の2月に海外初店舗となる日本1号店をオープンした。自由であることを人生のモットーとする同社日本代表取締役の堀淵氏は、大学を卒業後、サンフランシスコの寛容な雰囲気に惹かれ、渡米。現地に40年在住しながら、米国と日本文化の架け橋を担ってきた。日本の漫画文化を米国に広めたり、サードウェーブコーヒーとして話題を呼んだサンフランシスコ発祥のコーヒー店Blue Bottle Coffeeを日本に持ち込んだりと、日米間に新たな文化を根付かせる第一人者としても知られている。

新たなムーブメント“Bean to Bar”

Bean to Barとは文字通り、「カカオ豆から板チョコレートになるまで」の全ての工程を一貫して行うことであり、手作りにこだわるクラフトムーブメントの流れを受けて、米国で始まった新たなチョコレート文化である。10年程前から米国各地にクラフトチョコレートのお店ができ始め、現在は米国に200店舗ほど存在するという。「大量生産・大量消費の時代から、一つ一つの工程にこだわる少量生産・少量消費の時代になった。」と 堀淵氏は語る。
クラフトチョコレート業界の中でも、同社のビジネス規模は大きい。工場とカフェが併設されたファクトリーカフェ形式の店舗を海外に展開しているのは米国企業で同社のみであり、カカオ豆の買い付けは、商社や卸売業を使わずに、自ら世界各地の農園に足を運んで行っている。こだわり抜いたシングルオリジンのカカオ豆とオーガニックのきび砂糖のみを使用することで、チョコレート特有の風味を表現している。また、同社は内部の透明性を高めるため、使用したカカオ豆がどこの国の農園で、どれくらいの量がどのくらいの価格で取引され、購入されたものなのかといった買い付け工程をソーシングレポートにし細かくまとめて公表している。
「我々のフィロソフィーや作り方をオープンに共有することは、クラフトの最も根幹の思想。シリコンバレーのIT産業がアイディアとなる情報をオープンに共有することで、より良い情報やアイディアを集め、イノベーションの地として発展してきたように、クラフトチョコレート産業も情報をオープンにすることで、1つの新たな産業として今後世界でさらに発展していくだろう。それを広めていくことが我々のミッション」と堀淵氏は真剣なまなざしを向ける。同社では、より多くの人々にクラフトチョコレートに対する理解を深めてもらうため、ワークショップやファクトリーツアーも定期的に開催している。

地域とのコラボレーション

ダンデライオン・チョコレート第1号店は人が多く集まる都心ではなく、日本の伝統やクラフトマンシップが息づく台東区蔵前へ出店した。蔵前は昔からものづくりが盛んな下町の地として知られており、チョコレート作りをしている同社としては、同じ「ものづくり」というコンセプトに共感したことが蔵前進出の決め手になったという。
同店人気メニューの「クラマエホットチョコレート」は同じ蔵前に店舗を構えるNAKAMURA TEA LIFE STOREのほうじ茶を使用しており、そのお茶もまた、静岡で100年もの歴史を持つ自社農園で栽培された厳選された茶葉である。また、カフェで使用する食器には、徳島産大谷焼とコラボレーションした器を使用することで、シンプルさと温かさを表現している。地域のコミュニティや伝統文化を大切にするといった点もクラフト文化の特徴の1つである。
このような地域とのコラボレーションにより、同店の話題性はさらに高まり、同社は店舗オープン前後からTV、雑誌、ウェブサイト合わせて200以上のメディアに取り上げられた。これにより、店舗オープン初日には開店前に200人もの行列ができたという。多くのメディアは同店のBean to Barという新たなチョコレート文化の日本への到来と、店舗展開のロケーションに注目を集めている。

日本進出の経緯と拠点設立

少量で高品質なものを提供するクラフトムーブメントが押し寄せている日本では、近年、クラフトビール、クラフトコーヒーに代表されるように、食に対する強いこだわりを持つ人が増えている。「Blue Bottle Coffeeを日本に展開したときの経験から、クラフトチョコレートも必ず日本で受け入れられるだろうという確信があった」と堀淵氏は語る。堀淵氏の予想通り、新しいものに敏感な若者がブームの火付け役となり、現在は若者から家族連れ、高齢者まで、老若男女問わず、毎日1000人近くの幅広い客層が店舗に足を運んでいる。
日本法人の設立に関して、「日本では工事の着工から3ヶ月程で店舗をオープンしたが、アメリカだったら最低でも1年はかかると思う。アメリカでは一つ一つの作業を行うのに細かい規定をクリアしなければならず、プロセスが非常に複雑。日本ではデザイナーや職人と密にコミュニケーションを取ることで、難しい要求にも柔軟に対応してくれるので、非常に良かった」と設立当時の様子を語る。蔵前店の人気を受けて、今後さらなる店舗設立も検討しているという。

ジェトロのサポート

同社の日本法人設立に際し、ジェトロ対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)は、テンポラリーオフィスの貸与と査証・インセンティブに関する情報の提供を行った。「法人設立までの準備期間に利用していたテンポラリーオフィスは本当に素晴らしかった。赤坂の中心で、郵便局、病院、薬局や飲食店など、全てが完結していて、本当に便利。50日間しか無料で使えないけれど、心地良くてあと3ヶ月くらい入居していたかった。もし次の機会があれば、ぜひまたジェトロにお世話になりたい」と堀淵氏は述べた。

ダンデライオン・チョコレート・ジャパン株式会社
代表取締役 堀淵 清治氏

(2016年9月取材) 


同社沿革

2010年 米国サンフランシスコにDandelion Chocolateを設立
2015年5月 東京都蔵前にダンデライオン・チョコレート・ジャパン株式会社を設立
2016年2月 蔵前に店舗をオープン

Dandelion Chocolate Japan株式会社

設立 2015年5月
事業概要 チョコレート製造、チョコレート及びチョコレート加工品販売
カカオ豆の輸入及び販売、カフェの経営
親会社 Dandelion Chocolate
住所 〒111-0051 東京都台東区蔵前4-14-6
URL http://dandelionchocolate.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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