外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-銀聯商務股份有限公司

産業:金融/保険

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世界最大級の銀行・クレジットカード「銀聯カード」の決済システムを運営する銀聯商務股份有限公司は、2017年6月、日本の決済代行会社であるマーチャント・サポート株式会社に100%出資する形で同社を子会社化した。同社は今後、増加する訪日中国人観光客の日本での「銀聯」カードの使用環境を一層充実させ、特に地方での決済システム普及に力を注ぐ。


中国銀聯(China UnionPay)グループは、2002年に中国の中央銀行である中国人民銀行が中心となり、政府の主導により、銀行間決済ネットワーク会社として設立された。「大連のクレジットカードが北京では使えない」など、それまで中国で銀行間・地域間のカードの相互利用ができなかったところ、中国のどこでも決済を可能にしたのが銀聯カードだ。同カードの利便性が認識され中国国内での利用が急速に進むと、同グループは次なる展開として、中国人が海外でカード決済を行えるようにアジア諸国、欧米などへ進出を果たしていった。その後も同グループは順調にビジネスを拡大。銀聯カードは2015年には中国で発行枚数が50億枚を超え、世界150以上の国・地域で決済可能になるなど、設立10年余りで世界的なブランドへと発展を遂げた。日本では、2005年12月に三井住友カードと提携し、決済を開始している。

中国銀聯グループは、カード発行の銀聯国際、決済システムの銀聯商務股份有限公司(以下、銀聯商務)を含む主要4法人を軸に構成。銀聯商務は、銀聯カードの拡大とともにビジネスを順調に伸展し、中国国内で800万を超える加盟店にPOS端末※を設置済みだ。
※POS端末:商品販売時点の情報を管理・分析する端末機械。

日本中どこでも使える銀聯カードを目指して

銀聯商務の日本子会社であるマーチャント・サポート株式会社(以下、マーチャント社)の執行役員営業本部長である坂上昌市氏は、銀聯商務の日本進出の理由を以下のように語る。「近年、急増する訪日中国人客のニーズに応えるため、日本への進出は必須であった。また、銀聯グループは日本中で銀聯カードが使えない地域・店舗がないようにするという壮大な目標を掲げている。支払い環境を整えることで、訪日中国人が増え、銀聯カードの利用も増える好循環をグループ全体で目指している」。

JNTO(日本政府観光局)によると、2003年に約45万人だった訪日中国人客数は2008年には100万人を超え、2017年には約736万人にまで増加した。「多くの中国人にとって日本は、自然の観光資源が豊富で、食べ物も美味しく、経済・文化面でも親近感があるため、テーマパークに遊びに行く気軽さで訪れることができる。また、日本とは地理的にも近いので、中国人観光客によるリピート率は欧州などの遠方からの観光客と比較しても非常に高い。今後も需要拡大が見込まれると判断し、銀聯商務は初の海外拠点設置先を日本に決めた」と坂上氏は話す。

圧倒的なスケールを持って日本でビジネスを展開

日本進出にあたり銀聯商務は、複数のカード会社と加盟店間の契約とカード決済を取り次ぐマーチャント社を子会社化した。同社の迅速かつ多様な決済システムと安価な金利手数料という強みに着目したためだ。坂上氏によれば「一般にカード決済代行会社から加盟店に対する支払いには決済後約1ヶ月を要するが、自社では最速3日後、平均でも1~2週間後の支払いが可能である。加盟店のニーズに合わせ、週1回決済プランを含む複数の決済プランの中から最適なプランを提案している。また、通常、日本で加盟店がカード会社に支払う金利手数料は3~4%が相場だが、マーチャント社を利用するとそれらより多少は抑えられる。これにより、特に多くの中小規模の事業者の加盟を獲得している」。

マーチャント社は2017年6月に子会社となり、日本における銀聯カードの加盟店獲得と決済代行を、銀聯アクワイアランス業務を代行する企業を介して行っている。子会社化されたことにより、同社は中国に約800万ある銀聯カード加盟店舗に置かれたPOS端末から集まるビックデータを活用し、顧客である銀聯カードの加盟店に対し中国人客向けの広報のノウハウを提供できるようになった。

2018年3月時点、マーチャント社の取扱加盟店数は日本全国で1万7,000店舗以上を誇るが、今後は取扱高の増加も大きな目標であるという。「月間取扱高の平均額を1年以内に120%に増やすことを目標にしている。これは10年以上かけて達成したのと同じ数値目標であり、1年で果たすにはかなりのスピード感で臨まないといけない。しかし、銀聯カードの取引規模が今後も増加の見込みであり、元来の迅速な支払い、低い金利手数料という強みに、中国人向け広告展開の提案・サポートという切り札も加わった今、実現は十分可能である。加盟店が扱う商品やサービスの金額が大きくなれば、手数料収入も大きくなっていく。また、銀聯グループは、近年中国で、QRコードによる電子決済サービスを開始して、ビジネス拡大に成功しているが、日本の加盟店にも中国の決済方法の導入を積極的に提案している。加盟店とともに行う新たな挑戦や協力関係からも新しいビジネスが生まれていくだろう」と坂上氏は、ビジネスの展望を明かす。

日本の地方での展開は大きなビジネスチャンス

都市部での銀聯カードの利用展開が順調に進む一方、日本子会社としてマーチャント社は地方での銀聯カード決済システムの普及を急ピッチで進めている。「現在、銀聯カードの主な市場は、訪日中国人客が多いインバウンド都市だ。今後、JNTOや地方自治体などと協力し、それ以外の地方店舗や観光地の路面店、地域ビジネスなどで加盟店を増やす計画を進めている。それが、日本中で銀聯カードを使えるようにするというグループの大きな目標の達成につながると考えている。ただ、当社も地方展開では知見が少なく、様々な関係者と一緒に勉強しながら、win-winの関係になるビジネスを創っていきたい」と坂上氏は意気込みを語る。そうした訪日中国人客による地方でのクレジットカードの利用の促進は、観光立国を目指す日本政府の政策と一致しており、銀聯商務の活動は、今後ますます注目される。

マーチャント・サポート株式会社 代表取締役 東山正彦氏

ジェトロのサポート

日本法人設立に際し、ジェトロ対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)では、専門家による許認可情報(カード決済業務)・市場情報の提供、拠点設立(登記)に係るコンサルテーション等の支援を提供した。

(2018年6月取材)


同社沿革

2002年3月 中国・上海で中国銀聯が設立
2002年12月 銀聯商務股份有限公司設立
2005年12月 日本で加盟店業務を開始
2006年以降 日本で銀聯カードATM業務が開始
2008年1月 日本で銀聯カード発行業務が開始
2009年1月 日本でEC加盟店業務(ネット決済業務)が開始
2017年6月 東京都に日本法人を設立

マーチャント・サポート株式会社

設立 2005年4月
事業概要 加盟店募集代行業務、早期決済支払代行業務、システムの保守・運用業務
親会社 銀聯商務股份有限公司(中国)
住所 〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-12-1 パークウェスト12F
URL https://www.chinaums.com/enums/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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