外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-キャタピラージャパン株式会社

産業:その他製造業

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建設機械のグローバルメーカーである米国Caterpillar inc.の日本法人・キャタピラージャパン株式会社は、兵庫県明石キャンパスにて油圧ショベルの研究開発・製造を行っている。明石キャンパスとは、Caterpillarグループの油圧ショベル部門のグローバル開発拠点である油圧ショベル開発本部と、油圧ショベル事業のマザー工場に位置付けられている明石事業所を配置した事業場で、グループの油圧ショベル事業の中枢拠点となっている。


米国のCaterpillar inc.(以下Caterpillar)は、1925年の設立以来、建設機械および鉱業用機械、ディーゼルおよび天然ガス・エンジン、産業用ガス・タービン、ディーゼル電気機関車などの開発・製造を行うグローバルメーカーである。180カ国を超える世界各地の顧客に対し、300を超える製品を提供し、2015年には売上げ470億1,100万ドル、世界中で10万人以上の従業員を有するなど、世界の建設機械産業において躍進を続けている。
Caterpillarの日本法人であるキャタピラージャパン株式会社(以下キャタピラー)は、東京本社をはじめ、同グループの油圧ショベル部門のグローバル拠点である明石キャンパス(兵庫県)、油圧機器の開発・製造を行う相模事業所(神奈川県)、など総従業員約2,100名を有している。その他にも、販売部門やデモンストレーションを行う秩父ビジターセンターなどを有する日本キャタピラーグループといった複数の関連会社を持つ、国内建機業界の最大手企業である。

キャタピラージャパン株式会社の設立背景

Caterpillarの日本進出は、1963年、三菱重工業(当時:新三菱重工業)との折半出資の合弁会社であるキャタピラー三菱の設立(神奈川県相模原市)から始まる。
一方、建設機械市場への参入を進めていた三菱重工業では、合弁会社設立前の1960年から神戸造船所所有の敷地内に建機専門工場を開設し、日本初の国産油圧ショベル「Y35(ユンボ)」を生産していた。これが後のキャタピラージャパン・明石キャンパスの原型となる。
建設ラッシュに沸く高度経済成長期に誕生したキャタピラー三菱は、ブルドーザやホイールローダーの製造などで業績を順調に拡大し、1987年に、キャタピラー三菱と三菱重工業の明石工場が合併する形で新キャタピラー三菱が誕生。初のCaterpillarブランドの油圧ショベル「E200B」の生産を開始するなど、同社の油圧ショベル事業は益々拡大していった。
その後、新キャタピラー三菱の業績は順調に推移しつつも、日本の建機市場の停滞や中国市場の台頭など、同社を取り巻く建機市場の情勢は変化。三菱重工業は建機事業から撤退の方向で動き始め、2008年、米Caterpillarが出資比率を上げることで、会社は現社名に変更となった。2012年には米Caterpillarの100%出資となり、明石キャンパスを含め、Caterpillar単独での経営が始まった。

キャタピラー油圧ショベルCAT320E

油圧ショベルグローバル拠点・明石キャンパス

キャタピラー明石キャンパスは、甲子園球場の約5倍の敷地内に、生産部門である明石事業所と、油圧ショベル開発本部(Hydraulic Excavator Development Center)が併設された油圧ショベル専門工場である。世界のCaterpillarの中で油圧ショベルの中枢拠点と呼ばれている明石キャンパスについて、油圧ショベル開発本部副本部長の豊浦信海氏は次のように説明する。「ここでは、小型から大型までの油圧ショベルの開発・生産を一貫して行える体制を整えているほか、全世界のキャタピラー油圧ショベル工場に設計図面を供給する機能が集約されている。ワールドワイド・ワンデザインとすることで、グループ全体の業務の効率化と高いクォリティの維持を図っている。一方、製品の現地化にも力を入れており、各国の多様な要求に対応した次世代油圧ショベルの研究開発にも余念がない。『明石の力を世界へと発信!』」のスローガンの通り、世界のCaterpillarの油圧ショベル事業の中心であると自負している」。
キャタピラーは、経済産業省が実施した2014年度対内投資等地域活性化立地推進事業費補助金(グローバル企業立地推進事業)に採択されている。「油圧ショベル開発におけるソフトウェア開発拠点整備や、車両試験拠点整備をすることができた。我々の計画に対し、補助金の存在が本社への説得材料にもなり、大変ありがたかった」という。

キャタピラーの強み:取引先とWin-Winの関係

同社の強みについて、「常に製品の品質向上を続けていくことができる、ディーラーやサプライヤーとのWin-Winの信頼関係である」と豊浦氏は力を込める。「当社の顧客は、国内外ともに長年にわたって当社製品をご使用いただいている方が多く、品質、操作性、生産性などについて大変良くご存知で、そうした方々の声は、品質改善や次の製品開発には欠かすことができない。顧客の声を製造・開発の部門まで届けるためのディーラーネットワーク力は、全世界に拠点を有する当社ならではの強みだと言える。メンテナンスなどのアフターマーケットの分野において、作業を行うディーラーが、顧客に対して素早く正確にサービス提供でき、なおかつ利益もしっかり出るようにするところまで考えて製品設計をしている。さらに当社だけが儲かるのではなく、サプライヤーと一緒に育っていくという姿勢が重要であり、我々は、こうした取引先との信頼関係構築のために、多大な投資をしてきた。取引先とのWin-Winの関係こそが、顧客満足度につながり、新しい製品開発にも活かされる。それが、Caterpillar設立以来のビジネスモデルとして成立している」。

日本で開発を続ける理由と今後の展開

「以前に比べたら、世界における日本の建設機械市場の割合は確かに減ってはきているが、キープレーヤーはまだまだ多く存在しているため、製品開発に必要な情報が豊富にある。そこに拠点を持つことのメリットは計り知れない」と日本で開発を続ける理由を、豊浦氏は語る。
キャタピラーは、日本国内でNOx(窒素酸化物)低減装置搭載など排ガス規制への対応、およびIoT活用などの最新型油圧ショベルを次々に発表し、話題を集めている。今後の展開について豊浦氏は「世界No.1企業であり続けるために、製品開発力とともに人材獲得にも力を入れている。開発の精度を上げるため、最新鋭VR(ヴァーチャルリアリティ)装置の導入なども行っているが、最終的にそれらを扱うのは人である。外資系の当社は、日系企業と比べると知名度が低く、人材獲得が後手に回ってしまう実情がある。まずは会社のことや、仕事のことを知ってもらうために、就業前の子供たちを対象に、工場見学やVR体験、仕事体験などのイベントを定期的に開催している。また、女性が働きやすいように企業内保育園など施設整備も進めているほか、外国人エンジニアを迎え入れていく為の環境整備も必須課題として取り組んでいる」と語った。

油圧ショベル開発本部副本部長 豊浦氏

ジェトロのサポート

ジェトロは、キャタピラーの2014年度対内投資等地域活性化立地推進事業費補助金の取得に際し、各種情報提供を行った。ジェトロのサポートに対して、「我々だけでは把握しきれない部分もあったが、スムーズに手続きを行うことができた。ジェトロから積極的に働きかけてもらい、大変感謝している。今後も、情報提供を含めて、いろいろとアドバイスをいただきたい」と豊浦氏は述べた。

(2016年9月取材)


同社沿革

1925年 米国Caterpillar設立
1960年 三菱重工業(当時:新三菱重工業)・明石工場で初の国産油圧ショベル「Y35(ユンボ)」を生産
1963年 Caterpillarと三菱重工業が合弁会社・キャタピラー三菱を設立
1987年 キャタピラー三菱と三菱重工業・明石製作所が合併して新キャタピラー三菱が誕生
初のCaterpillarブランド油圧ショベルを生産
2008年 キャタピラージャパン株式会社に社名変更
2012年 Caterpillar単独での経営がスタート

キャタピラージャパン株式会社

設立 1963年
事業概要 建設機械(油圧ショベル等)の開発・製造
親会社(グループ) Caterpillar Inc.
住所 〒158-8530 東京都世田谷区用賀4-10-1
URL http://www.cat.com/ja_JP.html外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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