外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-日本アエロジル株式会社

産業:その他製造業

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ドイツの化学品メーカー エボニック インダストリーズ AGの日本法人であるエボニック ジャパン株式会社と三菱マテリアル株式会社の合弁会社の日本アエロジル株式会社は、三重県四日市市の工場にて、アエロジル(超微粒子シリカ)等の特殊化学製品の製造・販売および研究開発を行っている。日本でのビジネス状況や今後の展望について、代表取締役社長のマイケル・ドルーダ氏(2016年1月当時)に聞いた。


日本アエロジル株式会社(以下、日本アエロジル)は、ドイツ化学大手エボニックグループの企業で、同グループの日本法人4社のうちの一つである。

グループの中心となるエボニック インダストリーズAGは、5社が統合されてできたドイツの特殊化学品のメーカーで、150年近い歴史があり、2007年の社名変更により、現在のエボニック インダストリーズAGが発足した。同社はドイツ・エッセンを本拠地とし、世界25ヶ国に製造工場を所有。従業員は33,000名以上、売上高は135億ユーロを誇る(2015年時点)。研究開発にも力をいれており、世界35カ所以上に2,700人以上の研究開発スタッフを擁し、2015年の研究開発費は4億3400万ユーロに上る。

日本アエロジルは、塗料やトナーなどに使われるフュームドシリカの製造販売および研究開発を行うため、1966年にドイツのデグザ社(現 エボニック インダストリーズAG)と三菱金属鉱業(株)(現 三菱マテリアル(株))の折半出資で設立された。同社の設立背景と日本でのビジネス状況について、代表取締役社長(当時)マイケル・ドルーダ氏に話を聞いた。

代表取締役社長(当時)のマイケル・ドルーダ氏 三重県四日市工場にて

日本における会社設立の背景

日本アエロジル設立当初の50年前、デグサ社と三菱金属鉱業は同じ分野のビジネスを展開しており、原料や副産物を融通し合えるため、両社が合弁企業を設立したのは自然な流れだったという。「三菱は多結晶シリコーンを生産し、その副産物を利用し、デグサが製品を生産。また、デグサの生産工程で出た副産物を三菱が原料として利用するという完全なループを成立させることができた。廃棄物を削減できるため商業的にもメリットがあり、同時に環境の点からも、他のプラントに運ぶ必要がなく、汚染を発生させないで済む。両社が隣接するプラントで生産することは理にかなっていた」とドルーダ社長は説明する。

日本アエロジルの強み:顧客企業との共同開発

同社の生産するアエロジルなどの添加剤は、シリコーンや接着剤、シーラント、コーティング材など、様々な製品に使われている。自動車業界では、ウェザーストリップや防風ガラスを支えるシリコンゴム製のシーラント、傷を防ぐ自動車のコーティング材にも使われている。「私たちが生産する添加剤は、製品の特徴を際立たせ、特定の機能を持たせるのに重要な役割を果たしている。自動車業界では、接着剤やシーラントの利用が増えており、高い機能と安定性が求められている。これまで、私たちは顧客と手を携えて製品開発を行ってきた」とドルーダ社長は述べた。

現在では、食品から医薬品、化粧品まで、30以上の業界に製品を販売しており、コーティングやシリコーンのような、あらゆる分野の工業製品にも使われている。同社の生産する製品は、応用範囲が広いことが強みだ。そして、顧客のニーズにあわせて製品を開発し、より高い機能を持たせることで、他社が提供できない特殊な製品を作り出すことに成功している。

同社が日本で生産を続ける理由もそこにある、とドルーダ社長は言う。「多くの日本企業はマレーシア、ベトナム、タイなど海外に生産拠点を移している。しかし、私たちは今でもそうした企業に日本から製品を供給している。なぜなら多くの場合、私たちは、日本に研究開発拠点を持つ顧客企業と密に連携を図りながら製品開発を共同で行っているからだ。顧客と共に開発した私たちの製品が日本から輸出され、日本企業の海外工場で使われている。」

三重県四日市での研究開発について

同社は2015年10月、同社製品の一つSMA(Surface Modified Aerosil:アエロジル特殊品)の生産能力増強のため、三重県四日市にある工場に約20億円(既存プラントの耐震化等も含む)の追加投資を行い、新たにSMA製造プラントを建設した。四日市工場は、エボニック グループの中でもアジアで最大規模の生産能力を持つフュームドシリカ(アエロジル)の工場であり、日本のみならず、アジアをはじめ、全世界へ製品を出荷している。

四日市工場には研究開発部門があり、製品開発および応用技術の部門で、20名近くの研究員を抱えている。応用技術は、文字通り、技術の応用に焦点を置いており、コーティング材、接着剤、シーラント、シリコーンなど、各製品に熟知した専門家がいる。研究開発は、微粒子の設計開発などに力をいれている。

同社が日本で生産している製品のうち、重量ベースで、60%が日本国内市場向けで、40%が海外向けとなっている。また、特殊品については、アメリカやヨーロッパなど全世界に輸出している。「私たちは日本に研究開発拠点を持っているので、日本の顧客企業とともに開発し、日本から輸出している製品はたくさんある。特にプリンター用のトナーでは、日本の大手企業と共に独自に開発したものは多数ある。」とドルーダ社長は述べた。

今後の日本での展開

製品に対する需要の増加に対応し、四日市工場の拡張を行った同社だが、一般にコストが高いといわれる日本で製造を行うことについて、ドルーダ社長はこう説明した。「私たちは、特殊な製品を製造しているので、コストパフォーマンスは第一条件ではない。しかし、グリーンフィールドで新たに化学工場を設置するとしたら、日本は第1の選択ではないだろう。私たちの場合、日本にすでに工場があり、インフラが整っている。専門知識も日本に蓄積されている。日本で生産しているのは、この専門知識があるからといってもいい。日本で生産していくのは簡単ではないが、日本にはインフラ、専門性、ノウハウ、そして特殊品については市場がある。こうしたことを踏まえ、日本に投資を拡大した。」同社では、将来的に、アジアでの研究開発を日本に集約させていくことも検討しているという。

同社の四日市工場では、地元の高校や専門学校などから毎年4~5名の社員を採用している。しかし、優秀な人材を確保するためには、合弁パートナーである三菱グループのネットワークが欠かせなかったという。「100%ドイツ企業だったら、こうした有能な人材にアクセスできなかったかもしれない」とドルーダ社長はいう。

今後の展開として、同社は日本での共同開発に期待を寄せている。「私たちには大手企業との信頼できる協力関係、共同研究の実績があり、今後も成長が期待できる。顧客と一緒に新しい革新的な製品を開発していきたい」とドルーダ社長は述べた。

(2016年1月取材)


同社沿革

1966年 ドイツのデグザ社(現 エボニック・インダストリーズAG)と三菱金属鉱業(株)(現 三菱マテリアル(株))の折半出資にて、日本アエロジル(株)を設立
1968年 日本アエロジル(株) 四日市工場にて親水性フュームドシリカ・アエロジルの生産開始
2004年  出資比率の変更(※デグザ・ジャパン(株)80%、三菱マテリアル(株)20%)
※親会社のデグザ・ジャパン(株)は、社名変更により、現在のエボニック・ジャパン(株)に。
2015年 四日市工場にてSMA生産能力増強のため、新たに製造プラントを建設。

日本アエロジル株式会社

設立 1966年11月
事業概要 親水性、疎水性アエロジル(超微粒子シリカ)等の化学製品の製造・販売、研究開発
親会社 エボニック・ジャパン株式会社(80%)、三菱マテリアル株式会社(20%)
代表取締役社長 フロリアン・キルシュナー(2017年1月就任)
住所 (本社)〒163-0913 東京都新宿区西新宿2丁目3番1号 新宿モノリス13階
URL http://www.aerosil.jp外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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