外資の対日投資成功事例 - サクセススト-リ-3DNest株式会社

産業:ICT/その他製造

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3D-VRカメラの製造・販売と撮影サービスを行う中国の3DNest(众趣(北京)科技有限公司)は2018年2月、日本市場の開拓を目的に茨城県つくば市に日本法人を設立した。同社が独自に開発した3Dスキャンカメラで空間を360度回転しながら写真を撮影すると同時に、空間情報を瞬時に読み取ることが可能なため、低コスト・短時間でリアルな空間データを3D-VRで再現できるのが強みだ。日本進出の経緯と今後の事業展開について日本法人社長の張 顕赫(ちょう けんかく)氏に聞いた。


3D-VRの空間データを短時間・低コストで提供

2014年に中国北京で設立された3DNestは360度の空間撮影が可能な3D-VRカメラの製造・販売と撮影サービス、3D-VRのコンテンツ作成を行う。同社の3Dスキャンカメラで撮影したデータは、独自に開発したクラウド上のプログラムで自動処理され、素早く3D-VRの空間データとしてオンライン上にアップロードしシェアすることができる。

3D-VRカメラを製造するメーカーは米国にも1社あるが、3DNestはカメラの販売のみならず、3D-VRの撮影サービスをビジネスモデルの中心に置き、不動産業界など顧客ニーズに合わせた製品開発、サービスを提供している。CGでも3D-VRのデータ作成はできるがエンジニアなどの人手が必要となり、コストと時間がかかる。それに対し、同社は3Dスキャンカメラで撮影したデータをクラウド上のプログラムで自動的に3Dモデリング化できるため、3D-VRのコンテンツを短時間・低コストで提供できる。従来の技術では100平米の部屋の空間撮影と3D-VRのデータ作成に3~4日、100万円以上かかるのが相場だが、同社は4時間で3万円程度に抑えられる。

同社の3D-VRコンテンツ事例(不動産)

同社はこの画期的な技術によって、本社を置く北京のほか、中国全土にビジネスを拡大し、サービスを展開している。顧客は、臨場感あふれる3D-VRで部屋の間取りや室内の様子をオンライン上で体感できるため、効率的な部屋探しにつなげたい不動産会社や、宿泊客に事前に部屋を確認できるサービスを提供したいホテル・民宿、バーチャルオンライン展示をしたい美術館など多岐にわたる。IntelやIKEA等のグローバル企業、中国の不動産大手の華住集団(ファオズ)やECサイト(C2Cの淘宝網(タオバオワン)、B2Cの天猫(Tmall)を運営するアリババグループも顧客に名を連ねる。創業時に5人だった社員は、現在、北京に50人の技術者を抱えるまでに成長。2017年にはシンガポールにも現地法人を設立した。

技術系人材の採用を視野につくばに拠点設立

同社は2018年2月、日本法人の3DNest株式会社を茨城県つくば市に設立した。つくばは東京と比較しオフィス賃料が安く、筑波大学の優秀な人材を獲得しやすいと考えたためだ。入居したシェアオフィスは筑波大学の隣に立地しており、実際に筑波大学を卒業した技術系の中国人留学生を1名採用した。日本法人代表の張社長自身も10年前に留学生として来日し、日本語はもちろん、日本文化にも精通している。

張社長は、3DNestが日本進出を決めた理由として、世界に名立たる大手企業の集積、発展したインフラ、訪日外国人観光客の増加に伴う不動産・ホテル業界等での同社技術に対する需要の高まりを挙げた。「海外に進出しようと考えた時、日本は世界市場へのゲートウェイであり進出した方が良いと考えた。」日本での事業拡大のため、東京にも拠点を設立し、2019年2月末までに大阪にもオフィスを構える予定だ。

日本の外国人起業家コンテストで優勝し、顧客開拓

日本に進出して一番苦労したのは日本にあまり人脈がない中で営業しなければいけなかったことだという。そうした中、同社は2018年7月、東京スター銀行が主催した「外国人起業家ビジネスコンテスト」で優勝した。張社長は「日本での人脈を作る目的で応募したが思いがけず優勝し、テレビにも取り上げていただいた。東京スター銀行からは優勝賞金をいただき、弊社の技術が合う日本企業を複数紹介してもらい、とても助かった」と語った。優勝後、複数の企業から引き合いがあり、同社の技術の導入に向けて商談が進んでいるという。

現在日本では、中国系の不動産会社がすでに同社の技術を導入し、中国人投資家向けに来日しなくてもウェブサイトで日本の物件を3Dで確認できるようにし、他社との差別化を図っているという。最近は日本の病院や学校、飲食店などからもウェブサイトでの宣伝に使いたいと問い合わせがあり、関西圏の民宿の需要も高いという。

自社の技術で人々の生活を変えたい

中国では、不動産会社、民宿、美術館、工場、ECサイトなど、様々な業界で同社の3D-VRが導入されている。この技術によって企業間のつながりをつくり、人々の生活をより良く変えていきたいと張社長は語った。例えば、観光地の風景の3D化やオンライン上での学校の3D化やオンライン上での学校の3Dオープンキャンパス、製品の背景情報としてその製品が作られている工場を3Dで紹介するなど、すでに中国で始まっているプロジェクトもある。「日本でマンションの販売や賃貸に3D-VRを使ってもらえたら、今後、物件を見る方法が変わります。現在は中国で開発・製造されたカメラを輸入し、日本で事業展開しているが、日本市場向けにさらに技術をローカライズしていきたい。そのためにも開発に係る人材の採用も積極的に行いたい。」と張氏は語る。

ジェトロのサポート

3DNestの日本拠点設立に際し、ジェトロはIBSCテンポラリーオフィスの賃与、サービスプロバイダ(税理士、行政書士、銀行)の紹介を行った。

張社長は「登記手続きや銀行の紹介など様々な支援を受けた。特にジェトロのテンポラリーオフィスを利用できて、その後入居するオフィスを紹介いただいたことは大変助かった。最初はジェトロに対してあまり認識がなかったので正直こんなに助かるとは思っていなかったが、本当にジェトロと出会ってよかった。今後も日本企業と出会う機会を設けてほしい」と語った。最後に、張社長は「中国で成功した我々のビジネスモデルをぜひ日本企業にも活用してもらいたい」と語った。

3DNest日本法人の張社長と同社の3Dスキャンカメラ

(2018年8月取材)


同社沿革

2014年4月 中国・北京にて3DNest(众趣(北京)科技有限公司)設立
2018年2月 茨城県に3DNest株式会社を設立
2018年7月 東京都に東京オフィスを設立

3DNest株式会社

設立 2018年2月
事業概要 3D-VRカメラの製造・販売、撮影サービスと3Dデータの提供
資本金 500万円
親会社 3DNest(众趣(北京)科技有限公司)
住所 〒305-0005 茨城県つくば市天久保2-16-8
URL http://3dnest.co.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

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