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ジェトロ対日投資関連スピーチ 東京「Invest Japan Forum」講演

2016年10月7日

ジェトロ理事長 石毛 博行

はじめに

ご来場のみなさま、こんにちは。ジェトロ理事長の石毛です。Invest Japan Forumの開催を心よりお祝い申し上げます。このような大規模、かつ、ハイレベルの「投資フォーラム」が日本で開催されるのは、投資誘致機関にとっても大変喜ばしいことです。 現在、世界各国が外国からの投資誘致をめぐって競争する時代に入っています。アメリカ、フランス、香港、シンガポール・・・・。もちろん日本もそうです。このような時に日本がその投資誘致の姿勢を国内外に向けて明確に示すことは、大変重要なことと思います。

さて、皆さまもご存知のとおり、ここ椿山荘は、『山縣有朋公』の屋敷があったところです。その名の通り『椿』が自生し、「つばきやま」と呼ばれる美しいところだったそうです。「椿」は日本原産の植物で、その油は「化粧品」や「香水」の原料として、古くからの輸出品となっていました。そういえば「資生堂」のマークも『椿』です。

その「椿の産地」の一つに「佐賀県・唐津」があります。『虹ノ松原』など風光明媚なところです。その唐津が、化粧品産業の集積を起こそうということで、2013年、「ジャパン・コスメティック・センター」を立ち上げました。すぐに、フランスの「コスメティックバレー」と提携し、さっそく、フランス企業も唐津への投資を表明しています。ドイツやイタリアなどの企業もジェトロの支援で進出しようとしています。この唐津のように、『アイデア』を『行動』に結びつければ、変化は確実に起こります。

今日は、対日投資をテーマにこうした『変化』についてお話ししたいと思います。

われわれ、ジェトロは、政府と協力して、昨年度から今までの「1年半」の間に、海外で120回を超える「対日投資セミナー」を開催してきました。去る9月19日にもニューヨークで「対日投資セミナー」を行いました。安倍総理みずからが登壇され、320人の聴衆に向かって「ぜひとも日本に投資をしてください!」と呼びかけました。安倍総理が対日投資について外国でスピーチをするのは、この3年間で、6回目です。ちなみに、今までの総理はどなたも、こうした対日投資のスピーチを外国で行っていません。総理のこうした海外でのスピーチは、いかに、安倍政権が対日投資に力を入れているかの現れです。

総理は、ニューヨークの聴衆に対し、TPPについてもお話しました。『アメリカ議会はTPPを早期に批准するべき。日本もTPPの批准に全力で取り組む』と宣言しました。TPPは、世界のGDPの40%をカバーします。世界の貿易と投資の流れを変えるメガFTAです。アメリカにとっても、日本にとっても、地政学的にみても大変大事なFTAです。それにもかかわらず、アメリカは、大統領選の終盤になって、民主・共和両候補のディベートを聞いていても、どうも保護主義的な内向きのメッセージばかりのようです。対照的に安倍総理のメッセージは、日米両国がリードして市場をオープンにしようという力強いものでした。

日本の魅力、変化

我々が海外で日本をアピールする際、特に強く訴える点は『日本は変わった』というものです。

「日本は低成長で、高コストで、いろいろと複雑な規制がある。」『閉鎖的なマーケットだ』といまだに言っている人がいますが、そういう認識は捨てたほうが良いと思います。そういう認識は、過去のものであり、率直に言えば、大変、間違っています。とは言っても、そういう認識も7~8年前なら、必ずしも間違いとも言えませんでした。

2007年~09年頃、日本から「研究開発拠点」や「地域統括拠点」が中国やシンガポールなどに移転してしまうという事例が相次いで起こりました。製薬企業のノバルティスが「つくばの研究所」を閉鎖して「上海」に移しました。携帯端末メーカーのノキアは「東京の開発部門」を閉じて「シンガポール」に移す、といった事例がそうです。この時期の急激な円高もあったと思いますが、確かに、当時、「ぜひ日本に投資を!」と呼びかけても、それに応じる外国企業は少なかった様に思います。

しかし、日本は、その後、大きく、急速に、変化してきました。第一に、日本のマクロ経済が変わりました。日本への直接投資自体が大きく変わりました。第二に、日本政府が変わりました。規制改革を進めました。2008~9年ごろ、日本のTPP参加も、電力小売市場の自由化も、再生医療の規制改革も、農業改革も考えられませんでした。誰も予想しませんでした。しかし、そうした規制が変ったのです。第三に、それ故に、「外国企業の日本を見る目」あるいは「外国企業の行動」が変わってきました。 本日は、この三つの『変化』を皆さまにお話しし、日本がいかに対日直接投資をするのにふさわしいか、ビジネスを拡大するのにふさわしいか、説明したいと思います。

日本の変化:マクロ動向、アジアからのFDI

まず、一点目。日本経済、マクロ面での変化についてです。

アベノミクスの効果で、日本経済がデフレから抜け出し、回復しつつあるのは事実です。これを受けて、2000年に6兆円であった対日直接投資残高は、この15年間で24兆円に増えました。4倍です。日本経済のマクロ経済指標の中で、これだけ増加した指標は他にないでしょう。政府は2020年末までに対日投資残高を35兆円にする、という「野心的な目標」を掲げています。 9月上旬に日本銀行が発表した6月末の推計値では約27兆円となり、昨年末より大きな伸びが見られます。35兆円が実現する可能性が出てきています。

ジェトロの支援する投資プロジェクトでも同じ傾向が出てきています。ジェトロがこれまでに取り扱ったプロジェクト数は1万5,000件、日本への立地に至ったものが1,500件あります。年平均で1,000件支援して、100件実際に立地すると言う数字です。それが、昨年度、立地支援した投資件数は160件と、前年比で約7割も増えています。

近年、対日投資で特徴的なことは、牽引してきた欧米に加えて、アジアからの投資が非常に増えていることです。ご覧のように2000年を100とすると、アジアはこの15年間で8倍に増加しました。アジアは「投資の受入国から、投資の出し手」になっています。

こうした動きに合わせジェトロは、アジアでの情報発信を強化しています。昨年度は31件、今年度は半期だけで23件もの投資セミナーを中国、アセアン、インドなど、アジアの各地で行っています。われわれが1年半に行った120回のセミナーの半分はアジアで行っているのです。どのセミナーも現地の人たちでいっぱいになります。数年前には考えられなかったことです。われわれは成長するアジアからの対日投資に重点を置いています。

日本政府の変化

第二点目として、日本政府は変わりました。

安倍総理は、「日本を世界で一番ビジネスのしやすい国にする」としています。そのためには、「TPPへの参加」、「電力市場改革」、「医薬品・医療機器開発の規制改革」などの『一連の規制改革』が大事ですが、まさに日本政府はそれを進めてきています。

しかし、この他にも、対日直接投資を促進する取り組みが進められています。今年の4月から、日本に大きな投資を行った外国企業に対して、所管省庁の『副大臣がアドバイザーとなる制度』が始まりました。公募で選ばれた9つの企業に、それぞれの副大臣が直接面接を行い、要望を聞いています。(1)IBM、(2)エアリキード、(3)ジョンソン・エンド・ジョンソン、(4)スリーエム、(5)デュポン、(6)フィリップス、(7)マイクロン・テクノロジー、(8)メルク、(9)ファイザーの9社です。最初は、恐る恐るであった外国企業もその便利さに気がついてきました。徐々に効果が出てくるものと思います。

先ほど、規制改革と進めてきたと言いましたが、これで十分と言うわけではありません。「対日投資にかかる規制や行政手続き」の改革については、更に進める必要があります。年内に政府は更なる具体策をとりまとめます。

『Monocle』という英国メディアに、世界の「住みやすさランキング」が出ています。その「トップ10」に東京が1位、福岡が7位、京都が9位と、3都市が入りました。1つの国から3都市も選ばれたのは日本だけです。我々が投資プロジェクトをサポートしている「外国企業」が立地を決める際にも、駐在員の「住みやすさ」を重視する傾向があります。

日本政府は「住みやすい日本」を『もっと住みやすくする』ために、(1)外国人子弟への日本語サポート、(2)公立学校における補助教室、(3)病院や銀行、通信など「生活に不可欠な公共サービス」での英語対応 などの対策を強化します。

中川・大臣政務官からもお話があったように、多くの改革が政府のイニシアティブで本格化し、海外からの投資を後押しします。

企業行動の変化

第三の変化は、「企業行動の変化」です。「外国企業の日本を見る目」が変わってきたということです。これこそ、『日本の変化』を象徴するものです。

最大の特徴は、日本を活用した「イノベーション」の実現です。最近、日本でモノを作り、研究開発を行い、Made in Japan、Developed in Japanを獲得し、アジア、さらには、世界へ展開しようとするビジネスモデルが力強く進められています。

冒頭、私は2007年~09年ころに、日本から拠点が相次いで流出したと申し上げました。しかし、多国籍企業を対象とした「経済産業省による最新の調査」によると、アジアでは、『研究開発拠点』、『販売拠点』として日本が1位となりました。数年前の調査では、中国に水をあけられていたのが、ウソのようです。日本の完全復活です。

OECDによると、日本の研究者の数は、被雇用者1,000人あたり10.5人で世界2位、総数は68万人で世界3位です。日本では高いレベルの研究者が雇いやすいと言われています。また、日本は知的財産権の保護でも世界トップ・レベルです。

こうしてみると、研究開発拠点として、まず日本を選ぶというのは『企業にとって合理的な判断』なのです。日本の研究開発拠点としての魅力は、日本の近隣国との比較をしてみれば、良く分かることだと思います。

研究開発拠点について、一つ、例を挙げましょう。建設機械の世界最大手のキャタピラーという会社はみなさんもよくご存知のことと思います。キャタピラーの「油圧ショベル開発本部」は兵庫県明石市にあります。世界で唯一の『油圧ショベルの開発部隊』は明石市にあります。そこで作られた設計図は、世界中のキャタピラーの工場で使われているそうです。また、明石工場で作られた製品の7~8割は世界中に輸出されており、明石工場は、文字通りキャタピラーの「マザー工場」になっています。

他にも「ジョンソン&ジョンソン」など多くの企業が、最近、研究開発拠点を日本に設けています。これは大きな変化です。

また、最近、ある外資系医薬品メーカーの本社のトップの方と話す機会がありました。私が『日本のマーケットはどうか?』と聞きました。彼女は『第一に、日本は、米国の次に大きなマーケットである。高齢化社会だから。そして、第二に、開発するのに優れた研究者が多くいる。企業にも、大学にも。第三に、何よりも大きな変化は規制改革が進んだことだ。』と答えました。私が更に聞きました。『コミュニケーションが大変だという話は良く聞くが』。そうすると、『石毛さん、全く問題ない。研究者とは全く問題なく英語でコミュニケーションが出来る。今や、日本は医薬品開発で最も競争力のあるマーケットだ』と言うやり取りでした。

もう一点、強調したいことがあります。高い「研究開発力」に加え、日本には『厳しい消費者の目』があります。

例えばP&Gは、まず新製品のいくつかは日本で試すそうです。オムツがそうです。なぜ、日本なのか?日本の主婦の目が非常に厳しいからです。日本の主婦は、夫に対してだけ厳しいのではなく、製品にも非常に厳しいのです。オムツは「蒸れない、漏れない」と言う要求があります。漏れては困ります。ムレテモ困ります。両者は、トレード・オフの関係で、両立が難しそうです。ですが、日本だからこそ、その両立が可能な製品開発が出来たと聞きます。厳しい主婦の多い「日本」で成功すれば、「一流」の製品・サービスを持っていることの証明になると聞きます。主婦の目も「製品開発」の優れた条件の一つです。

これらに加えて、われわれは外国企業が研究開発を日本で行うための『更なるインセンティブ』を提供し始めました。ジェトロは、この4月から、日本企業が外国企業とタッグを組んで進める『共同実証研究』などに対する補助金を出しています。既に17件が採択され、「再生医療」や「IoT」の分野で取り組みが始まっています。日本はアジアの「イノベーション・ハブ」になっていますが、これを更に強力にするため、ジェトロが補助金で後押しします。

10月3日、今週月曜日、東京工業大学の大隅教授が、ノーベル生理学・医学賞を受賞されました。ノーベル賞に関して、2年前(2014年)の今日、10月7日、何が起こったか覚えていますか?そうです。青色発光ダイオードに関する研究で、日本人研究者、赤崎 勇さん、天野 浩さん、中村修二さんの3人がノーベル物理学賞を同時受賞しました。これも快挙でした。もちろん本日登壇される田中フェローさんの功績も見事でした。

ノーベル賞のうち物理学、化学、生理学・医学という所謂「自然科学3部門」の授賞者数を2000年から最新の2016年まで見てみると、アメリカがトップ(48人)ですが、2位に日本が入ります。今回受賞の大隅教授を含め、16人になります。(3位がイギリスの15人、4位がドイツの6人)。欧米の受賞者が圧倒的に多いノーベル賞の世界でこれは特筆すべき数字です。この事実は、近年、日本の研究力・技術力を求めて日本に投資する外国企業への『分かりやすい』後押しになっています。

Talk to JETRO First

もう一つ、外国企業の日本を見る目が変わったと言う点で、データを紹介します。昨年、ジェトロが行ったアンケート調査によると、外資系企業の4社に3社が、「5年以内に日本で投資を拡大する」「雇用を増やす」としています。日本は投資するに値する国だ、ビジネスを拡大するのにふさわしい国だと言うことです。今年の調査は現在とりまとめ中ですが、昨年の調査よりもさらに明るい傾向が出ています。

この会場には、日本で活躍される外国企業の幹部の方が数多くいらっしゃいます。皆さまにとっては、本社に対し、新しいビジネス、プロジェクト、投資計画を提案することが重要な任務の一つだろうと思います。皆さまの目から見て、日本は変わったと思いませんか?もし、変わったと思うなら、日本への投資を拡大してみませんか?ビジネスを拡大してみませんか?今が日本への投資拡大の絶好のチャンスだと思います。是非、我々ジェトロをフルに使っていただいて、日本での投資、ビジネスの拡大をしていただけませんか?

また、日本企業の皆さま、外国企業の新しい動きやニーズをうまく捉え、ビジネス拡大に活かしていただけませんか?外国企業との共同事業に私たちジェトロは全力でサポートします。

地方自治体の皆さま、今こそ、自治体の出番です。世界中の都市が、世界中の地方政府が外国企業の誘致競争をしています。東京に一体、いくつの地方政府の事務所があるか、ご存知ですか?全部で64事務所もあります。アメリカだけで21事務所、カナダで4事務所、中国も18事務所ありました。地方自治体の外国企業の誘致にジェトロは確りとサポートします。お手伝いします。

そして私達、ジェトロは外国企業の皆さまにとってもっと使いやすい存在になります。先日、外資系企業の「日本発のビジネス」を拡大するため、その支援体制を強化しました。ここには、韓国、アメリカ、台湾、ハンガリー、中国、シンガポール、インド出身のスタッフを置き、母国のことも日本のこともよく知る、「飛び切り優秀な職員」を配置しました。『彼らはジェトロの宝ですから、決して引き抜いては駄目』です。彼らは、当然、母国語でのサービス・手伝いをします。

最後に、『日本に直接投資するのは何時ですか』と、聞く人がいます。
それはいうまでも無く、『今です。』今、しなければ、何時するのですか?

そして、日本へ直接投資をしようとするなら、まずジェトロにご相談ください。
TALK to JETRO First!

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