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ジェトロ対日投資関連スピーチ 北京「対日投資ビジネスシンポジウム」基調講演

2015年7月20日

ジェトロ理事長 石毛 博行

はじめに

尊敬する中華人民共和国・商務部 高(ガオ)副部長、中国・国際貿易促進委員会 姜(ジィアン)会長、日本国・経済産業省 高木副大臣、ならびにご列席の皆様、ご紹介いただきましたジェトロ理事長の石毛です。本日ここ北京で、中国の皆様に『日本への投資』についてお話できることを嬉しく思います。

重要な相互交流

私は、4年前の2011年10月にジェトロの理事長に就任しましたが、今回が18回目の中国出張となります。日中の経済関係を発展させるには、相互交流こそが最も重要であるとの思いがあり、広い中国の各地を訪問し、色々な省の書記や省長と交流を重ねてきました。前回は、2ヶ月前の5月、二階俊博・衆議院議員が率いる3,000人の訪中団とともに当地北京を訪れました。その際、観光分野に関する『対日投資セミナー』を、ここ、「長府宮飯店」で開催しました。

「一衣帯水」の隣国である日本と中国とは、2000年を超える長く、深い交流の歴史があります。8世紀に中国で大詩人の李白や王維と深い友情を結んだ『阿倍仲麻呂』や、17世紀には、「隠元豆」を日本に紹介した中国の僧侶・『隠元禅師』などが有名です。

そして現在。文部科学省によれば、2012年に海外留学した日本人は8年ぶりに増加に転じ、6万を越えました。増加したことも大事ですが、より注目すべきはその留学先です。中国が前年から2割近く増え、2万1,000人と、史上初めてアメリカを上回り、最多となりました。ちなみに、日本が受け入れている中国人留学生は9万4,000人で、全留学生の半数以上を占め、2位のベトナム2万6,000人を大きく上回っています。

日中の政治関係が一時期、冷え込んだ中でも、むしろ、若者たちは将来を見据えているのだと思います。日中のお互いの国で、学び生活することは、相互理解を促進し、将来、きっと役立つものだと確信しているようですらあります。ちなみにジェトロでは、大学を卒業して入ってきたフレッシュマンに、1年半の間、中国語研修を義務付けています。ジェトロが如何に対中関係を重視しているか理解していただけると思います。

こうした諸々のことの背景には、中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、進出企業数は世界最多という緊密な経済関係があります。この関係は継続します。双方向の貿易、投資の拡大が、日中の経済関係を強固なものにすることは言うまでもありませんが、双方向という点で、一つだけ抜け落ちたものがあります。それは何か?それは、『中国からの対日投資』です。今日の私の話のポイントです。

日中間の投資インバランス

まず日中間の投資の状況をお話します。日本と中国の投資関係は、これまでは専ら日本から中国へと言う「一方向の議論」でした。

日本の中国向けの投資残高は、米国に次ぎ世界2位であり、中国では2万3,000社の日系企業が、1,000万人以上の雇用を創出しています。(人口の多い中国ではありますが、1,000万人は天津市の人口と同じです。)一方、中国は、今や、米国・香港に次ぎ、世界第3位の対外直接投資国です。日本は世界第4位です。中国政府の対外直接投資・促進政策については、この後、商務部の李(リー)副院長よりお話がありますが、この促進策のもと、中国の対外直接投資は着実に増加しています。

そうした中ですが、中国の日本向けの投資は未だ低水準に留まっています。我々の統計によれば、対日直接投資残高は、欧米が8割近くを占めます。しかし、アジアからの投資は16%で、なかでも中国のシェアは、わずか0.5%に過ぎません。

実際、2014年、「日本から中国へ」の直接投資額は、「中国から日本」への投資額の12倍に上ります。二国間の経済関係の強化・発展には双方向のビジネス交流が不可欠です。中国企業の対日投資の余地は大きいと思います。

なぜ今、日本への投資か

しかし、「なぜ、今、日本への投資か?」と皆さんは思うでしょう。日本への投資と言われても、『日本は低成長で投資をしても、儲からない。』のではないかと思っているでしょう。世界一ビジネスが上手で、リターンに厳しいのが中国の方がたです。そういう疑問は当然です。しかし、日本は変わったのです。順にお話しします。まずは日本経済の現状です。

アベノミクスは日本を変えた

2012年12月にスタートした安倍政権は、「経済の再生」を最重要の課題とし、「アベノミクス」と呼ばれる経済政策を実施しています。2年が経った今、GDP成長、企業の経常利益、景況感、株価など、すべて好調で、3年前とは様変わりです。企業業績の改善が、投資の拡大を呼び、賃金を上昇させる、それが消費を拡大し、更に企業業績を一層引き上げるという、経済の好循環に入りました。多くの人々、特に企業関係者はこの好循環を実感しています。

この好循環を持続的成長につなげる鍵は「成長戦略」で、その中心は「岩盤規制」の改革。これが新たな市場を生み出します。例えば、60年間変わらなかった『発送電の地域独占体制』ですが、これが崩れ、電力の小売市場は来年自由化されます。中国の太陽光パネルの世界的な企業である「ET Solar」は、2012年にジェトロの支援を受けて、東京に支社を設立しました。(流石です。読みが良いです。)また、薬事法改正で承認手続きが大幅に改善され、日本は医薬品や医療機器を開発するのに最適な場所になりました。ハンルイ医薬はこれを見越しているかの様です。

3年前には日本がTPP交渉に参加することなど誰も想像していませんでしたが、年内合意の見通しが広がっています。TPPが出来れば、日本は世界のGDPの40%を占める貿易・経済圏に入るわけです。アメリカへの輸出は中国より、日本のほうが相当有利になります。

アベノミクスは日本を変えました。

投資先としての日本の魅力

日本の魅力は、アベノミクスだけではありません。投資先としての日本の魅力を更に4つ、具体的にお話ししましょう。

第一の魅力は『洗練された消費市場』です。昨今、中国からの訪日旅行者の急増により、日本各地の観光地が賑わっています。2014年は240万人と、前年からほぼ倍増しました。中国の方の大量の買い物は、驚きの気持ちを込めて「爆買い」と呼ばれ、国内消費のカンフル剤として好意的に受け止められています。

この「爆買い」現象は、高品質、安心・安全、便利な機能などの日本の商品の特長が、中国の消費者から支持を得ている証左でしょう。日本製の紙オムツは中国でも人気商品ですが、ハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・ポーター教授は「P&Gが紙オムツの新製品テストを日本で行うのは、日本の主婦が世界で最も厳しい消費者だから」と語っています。(我々日本人の夫は世界で最も厳しい女性にトレーニングされています。)厳しい消費者は、競争力のある商品を育てます。

第二の魅力は日本の『観光市場』です。今、日本は、中国のみならず世界中からの訪問者が加速度的に増え、2014年は1,341万人に上りました。アジア、なかでも中国・台湾・香港からの来訪者数は全体の半分に迫り、毎年3割から4割のペースで増加しています。まさに「日本旅行のブーム」です。2ヶ月前の北京セミナーで李・旅遊局長は「かつて中国への日本人観光客が増えた結果『長富宮飯店』が開業した」とコメントされました。同様に、日本への中国人観光客が増えているなか、中国資本で日本にホテルを新設しては如何でしょう。コンシェルジュは当然、中国語対応です。(そういうホテルが足りないのです。)

第三は、先進国特有の課題に対する、日本の『先行的な取り組み』です。少子高齢化は、中国をはじめ多くのアジア諸国が抱える共通課題です。医療や年金、環境とエネルギー、インフラの老朽化といった課題も、アジアの中では日本が最も先に直面し、取り組んでいます。例えば、老人福祉、高齢者医療など、日本と中国が抱える共通課題の分野で、中国企業は日本企業との提携を通じ、新たなビジネス・モデルの構築やノウハウの取得が可能となるでしょう。先日も、チンタオで日系の合弁のケースを見ました。私は、これから、本格化すると確信しました。

第四は、楽しく安全に暮らせる『生活インフラ』です。OECDで幸福度ランキングと言うものがあります。その「安全」指数で日本は世界一です。また、英国の情報誌「MONOCLE(モノクル)」が発表した「世界で最も住みやすい25都市のランキング」で、東京は1位、京都12位、福岡14位と日本の3都市がランクインしました。多くの外国企業は、治安や社会の安定性、教育環境、居住環境、日本の生活環境の良さを高く評価しています。加えて、四季の変化、自然の美しさ、多様で繊細かつ健康的な日本「食」は大きな魅力のはずです。(ミラノ万博でも『和食』や『日本パビリオン』は大人気です。)

世界一ビジネスしやすい国に向けて

4つも魅力を挙げましたが、まだ納得できない?何故?『日本は投資コストが高い?』そう言うパーセプションがあるわけですね?その認識は変えるべきです。もっと言うと、今や間違っています。確かに、これまで日本への投資を考える際、最大の問題として挙げられてきたのが「コストの高さ」でした。しかし、高木副大臣が仰ったように、安倍総理は、日本を「世界で一番ビジネスしやすい国にする」と宣言しました。日本政府は、日本市場のビジネスコストの象徴である「法人税」に対しても、引下げに着手しています。数年間で20%台の水準に引き下げることをコミットしています。中国の最大の投資先の香港やシンガポールと比べれば、東京のオフィス賃料や家賃は、今や大幅に低く、上海とほぼ同じ水準です。例えば、スターバックスのラテの価格は、日本では19元ですが、中国30元です。

日本は中国からの投資を歓迎

それでもまだ、日本への企業進出をためらっていますか?理由は何ですか?理由は「中国からの投資は日本では歓迎されない」と思っているからですか。先日、ある中国人の指導層の方と話していたら、それが大きな障害の一つだと仰っていました。その認識も変えましょう。間違っています。

一つの例をご紹介します。ゴルフ好きな方はご存知でしょうが、日本に「本間ゴルフ」という老舗のメーカーがあります。パーシモン・ヘッドが主流の時代は、ゴルファー憧れのブランドでしたが、金属ヘッドへの移行が遅れて、経営不振に陥りました。2006年に民事再生を申し立て、2010年に中国のファンド「マー・ライオン」が株式の過半を取得しました。

ゴルフクラブの成長市場の中国で、攻勢をかけたい「本間ゴルフ」の思惑と、『本間』の成長をサポートすることで、成長の果実を獲りたい中国側の思惑が一致した結果です。現在は、中国・韓国を中心とした海外販売が好調で、売上げ・営業利益とも年々拡大し、ホンマ・ブランドは完全に復活しました。「白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのは良い猫だ」といった中国の偉い指導者がいますね。これと同じです。

中国からの投資の成功事例を、日本側が歓迎しないはずはありません。日本人もビジネスが大好きなのです。一緒にビジネスをしたいのです。

後ほど、日本に投資された「ファーウェイ」、「ラオックス」、「ハンルイ」各社の代表の方々からお話しをいただきます。彼らの「生の声」をお聞き頂ければ、日本側の認識が分かると思います。日本は皆様の投資を心から歓迎します。

Talk to JETRO First

最後に、私の組織「JETRO」を紹介させて下さい。JETROは、世界57か国76事務所そして国内に44事務所のネットワークを持ち、日本と世界の貿易・投資を促進する機関です。(2,000名近くが働いています。)JETROは、この12年間で、日本への投資に関心のある1万2,000社以上の外国企業を支援し、1,200社以上が投資を実現させました。

ジェトロでは、国内6都市に置かれたIBSC:Invest Japan Business Support Centerで、日本での会社設立準備のために、テンポラリー・オフィスを2ヶ月間無料で貸与しています。また、各種の手続きの相談や市場情報の提供などコンサルティングを無料で実施し、日本進出に際してのワンストップ・サービスを提供しています。さらに、今年4月1日には、外資系企業やベンチャー企業等の開業手続を一元化する『東京開業ワンストップセンター』が、ジェトロ内に開設されました。法人設立や事業開始の時に必要な登記、税務、年金・社会保険、入国管理等の殆ど全ての手続を、専門家がFace to Faceで、スピーディーに行っています。

これで日本に直接投資をすることについて納得いただけたと思います。

中国は日本を、日本は中国を互いに必要としています。その時、良い関係をダイナミックに発展させてゆく上で障害となっているのが古いマインド・セットです。古いマインド・セットを排し、新しい日中の未来を開くのが我々の役目です。人の交流、投資の交流、双方向の交流です。中国からの対日投資は不可欠な要素です。そう思いませんか?

ところで、日本に投資するのはいつが良いか?よく聞く質問です。答えは明白ですね。
『それは今でしょう。』『今をおいてはないでしょう。』

日本での投資に関し、ご質問やご要望があれば、どうぞ先到(シエンダオ)JETRO!(Talk to JETRO First!

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